大だい赤字あかじから7期き連続れんぞく黒字くろじへ！ 畑違はたけちがいからホテル総そう支配人しはいにんになった男おとこの常識じょうしき外はずれの経営けいえい哲学てつがく

※画像がぞう:『日本にっぽんでいちばん幸しあわせな社員しゃいんをつくる！』（柴田しばた秋雄あきお著ちょ、SBクリエイティブ刊かん）

　大だい赤字あかじから7期き連続れんぞく黒字くろじへ。経営けいえい難なんに陥おちいっていたホテルを復活ふっかつさせたのは、「日本一にっぽんいち幸しあわせな従業じゅうぎょう員いんをつくる！」という理念りねんの元もと、まったくの畑違はたけちがいから総そう支配人しはいにんになった男おとこだった。

　『日本にっぽんでいちばん幸しあわせな社員しゃいんをつくる！』（柴田しばた秋雄あきお著しる、SBクリエイティブ刊かん）では、「日本にっぽんでいちばん心温こころあたたまるホテル」の常識じょうしき外はずれの経営けいえい哲学てつがくを紹介しょうかいする。

　1961年ねん、著者ちょしゃの柴田しばた氏しは国鉄こくてつ（現げんJR）に就職しゅうしょく。組合くみあい活動かつどうにも参加さんかし、労働ろうどう組合くみあいの専従せんじゅう役員やくいんとなった。JR発足ほっそく後ごはJR東海とうかい労働ろうどう組合くみあい書記しょき長ちょう、JR連合れんごうの事務じむ局長きょくちょうなどを歴任れきにん。そして、52歳さいのとき、ホテルマンに転身てんしんする。総そう支配人しはいにんを務つとめることになったホテルアソシア名古屋なごやターミナルは、1974年ねんに誕生たんじょうした名古屋なごや駅えき前まえでも古株ふるかぶの小ちいさなシティホテルだった。バブル期きは業績ぎょうせきも良よかったが、次第しだいに低迷ていめいし、2000年ねんには4期き連続れんぞくの赤字あかじとなる。追おい打うちをかけるように、JR名古屋なごや駅えきの再さい開発かいはつによって「JRセントラルタワー」の一棟ひとむねに、52階かい建だてのホテルも開業かいぎょう。経営けいえいが傾かたむいている上うえに、巨大きょだいなライバルまで出現しゅつげんしてしまう。そんな状況じょうきょうの中なか、ホテルの復活ふっかつを託たくされた柴田しばた氏しは、どのようにして経営けいえい難なんのホテルを立たて直なおしたのか。

　うまくいってない会社かいしゃは、従業じゅうぎょう員いんが会社かいしゃにいる時間じかんを嫌いやがっているものだ。できるだけ早はやく帰かえりたい。文句もんくを言いわれない程度ていどにだけ働はたらいておく。そんな会社かいしゃの業績ぎょうせきが上あがるはずもない。それなら、逆ぎゃくにみんなが会社かいしゃにいる時間じかんを楽たのしくしよう。そう考かんがえた柴田しばた氏しが行おこなったことが、これらのことだ。

・学歴がくれきも障さわがいも過去かこも不問ふもん
・顧客こきゃく満足まんぞくより従業じゅうぎょう員いん満足まんぞく
・採用さいよう条件じょうけんはやさしい気持きもち
・レストランを超こえる社員しゃいん食堂しょくどう
・ホテルに休日きゅうじつをつくろう

　たとえば、ホテルに休日きゅうじつをつくるというのは、あまり聞きいたことがない。それも年末年始ねんまつねんしの忙いそがしい時期じきに。ホテルアソシア名古屋なごやターミナルは、毎年まいとし12月がつ30日にちは、お客様きゃくさまのためのホテルではなく、従業じゅうぎょう員いんとその家族かぞくのためだけのホテルに変身へんしんする。ホテルを支ささえているのは従業じゅうぎょう員いんだ。その従業じゅうぎょう員いんを支ささえているのが従業じゅうぎょう員いんの家族かぞく。経営けいえい理念りねんにもあるように「すべての活力かつりょくの源泉げんせんは人ひとである」のだから、ホテルの活力かつりょくの源泉げんせんである従業じゅうぎょう員いんとその家族かぞくに感謝かんしゃするための時間じかんをつくるのは当あたり前まえのこと。

　当日とうじつは、15時じから21時じまで800人にん分ぶんもの料理りょうりを用意よういして、いろいろなイベントまで行おこなう大だいパーティーとなる。人ひとと人ひとが大切たいせつなものを確たしかめ合あえる機会きかいをつくるのも会社かいしゃの仕事しごと。立場たちばも何なにもかもを超こえた「大おおきな家族かぞく」のような関係かんけいになって、本当ほんとうに大切たいせつなことは見みえてくる。柴田しばた氏しはホテルをそういう場ばにしたかったのだ。

　生いきていて、仕事しごとをしていて「幸しあわせ」だと感かんじられるような瞬間しゅんかんが1つでも多おおくあること。やさしさを大切たいせつに経営けいえいする。すべての源泉げんせんは人ひとである。傍はたから見みたら理想りそう論ろんと言いわれてしまうような、そんな強つよい信念しんねんを持もって、現実げんじつに大だい赤字あかじのホテルも従業じゅうぎょう員いんの心しんも蘇よみがえらせた。厳きびしいホテル経営けいえいの世界せかいでも、「人ひとが人ひとにやさしくする」ことでホテル再生さいせいに挑いどんだ柴田しばた氏しの経営けいえい哲学てつがくを読よむことができる一いち冊さつだ。
（新刊しんかんJP編集へんしゅう部ぶ）

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※本ほん記事きじは、「新刊しんかんJP」より提供ていきょうされたものです。