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けがの功名 兵庫県の民話 <福娘童話集 きょうの日本民話>
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けがの功名

けがの功名こうみょう
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 むかしむかし、ほうろく(→素焼すやきのなべ)りのおとこよるおそくまであるきましたが、今日きょうひとつもれませんでした。
(あーあ、これでは今日きょうもごはんきだな)
 つかてたおとこがトボトボあるいていると、みちなか一人ひとりさむらい(さむらい)がていました。
(なんでこんなところに? もしかして、だおれか?)
 おとこはそうおもって、ているさむらいをじっとました。
 さむらいは、すこしも身動みうごきしません。
(これは、んでいるな。だが、たしかめてみないことには)
 おとこはそばにちていたぼうきれでさむらいきましたが、さむらいうごきません。
 ためしにさむらいのふところにれてみると、さむらいからだいしのようにつめたくなっています。
(うん、間違まちがいなくんでおる)
 おとこさむらいのふところをさぐって、さむらい紙入かみいれ(かみいれ→さいふ)をしました。
 なかると、おかねがたくさんはいっています。
(ありがたや。これはてんのめぐみにちがいない)
 おとこさむらい紙入かみいれをったまま、いちもくさんにしました。
 そして途中とちゅうまり、キョロキョロとあたりを見回みまわしましたが、あたりにはだれもいません。
 そこでおとこはまた、さむらいところもどりました。
 そしてさむらいかたなをはじめ、ふんどし以外いがいにつけているものすべてはぎると、そのままいえんでがえりました。
(ほうろくりは、もうやめだ。おれは明日あしたからは、さむらいじゃ)

 つぎあさおとこさむらい姿すがたになると、まちってみました。
 まち中央ちゅうおうにはおおきなふだがあり、おおきななにやらいてありました。
 ほうろくりのさむらいめないので、なにいてあるかわかりません。
 するとそこへ一人ひとり老人ろうじんあらわれて、ほうろくりにたずねました。
「そこのおさむらいさま。さっきからそこで、なにをしておいでですか?」
「いや、その・・・」
 さむらいのくせに、めないなんてえません。
 そこでほうろくりは、ゆびさして、
「うむ、じつはこのがあまりにも見事みごともので、ついとれてしまったのじゃ。しかしくせがありすぎて、なんともみにくいじゃ」
と、うまくごまかして、老人ろうじんからふだいてあることをききだしました。
 老人ろうじんはなしによると、このまち金持かねもちのいえものるので、そのもの退治たいじしてくれたものには、一人娘ひとりむすめ婿むこ(むこ)にするといてあるそうです。
(金持かねもちのむすめ婿むこになるのか。それはよいはなしだ)
 ほうろくりは金持かねもちのいえくと、大声おおごえいました。
「わしは、日本にっぽんちゅう武者むしゃ修行しゅぎょうしておるしゃ腕試うでだめしに、もの退治たいじしてくれようぞ」
 よろこんだ金持かねもちは、ほうろくりにごちそうをすると、かいひろ部屋へやめてくれました。

 さて、ほうろくりがまったひろ部屋へやには、ヤリ、なぎなたゆみ鉄砲てっぽうなどの武器ぶきがたくさんいてありました。
「ほう、もの退治たいじ武器ぶき用意よういしているのか」
 ほうろくりには鉄砲てっぽうると、めずらしそうにあちこちいじっていました。
 するといきなり、
 ズドン!
と、鉄砲てっぽうたましてしまったのです。
「うわっ、しまった! どうしよう?!」
 ほうろくりがおろおろしていると、このいえ番頭ばんがしら(ばんとう)がんできていました。
「おさむらいさま、まことにありがとうございました。
 じつはたったいまれからものてきたのです。
 そこでおさむらいさまに報告ほうこくしようとしていたところ、おさむらいさまがった鉄砲てっぽうたまもの見事みごとにしとめられました」
「へえ、そうなの?」
「ありがとうございます。本当ほんとうにありがとうございます」
 こうしてほうろくりは、めでたく金持かねもちの一人娘ひとりむすめ婿むことなったのです。

 すごうでさむらい金持かねもちのいえ婿むこになったという評判ひょうばん(ひょうばん)は、たちまちまちひろがりました。
 するとむら百姓ひゃくしょう(ひゃくしょう)がたずねてきて、
大蛇おろち(だいじゃ)に、田畑たはたらされてこまっています。どうか、おさむらいさんのちから退治たいじしてください」
と、たのみました。
 ほうろくりは、
(へびはこわいから、いやだな)
と、おもいましたが、評判ひょうばん手前てまえことわることは出来できません。
 そこでしぶしぶ、大蛇おろち退治たいじけました。

 さて、ほうろくりのよめになった金持かねもちのむすめですが、むすめはこのほうろくりがどうにもりません。
 そこでほうろくりをころそうと、ほうろくりの弁当べんとうどくのにぎりめしれておきました。

 百姓ひゃくしょう案内あんないされて大蛇おろちむらくと、村人むらびとたちはボロボロの小屋こやにほうろくりを案内あんないしました。
大蛇おろちは、夜中よなかあらわれます。では、よろしくおたのみいたします」
 真夜中まよなかになると、ゴーゴーと気味きみわるおとがして、なまぐさいふうとともにおそろしいふたつのひかり小屋こやちかづいてました。
 そのふたつのひかりは、だいじゃひかりです。
(あわわわ、なに大蛇おろちだ。あんなのにてるわけがない)
 こわくなったほうろくりは小屋こやすと、小屋こやのそばにあるカキののぼって、ふんどしでからだにくくりつけました。
(かみさま、ふつさま、どうかつかりませんように)
 ほうろくりがにしがみついてふるえていると、大蛇おろちおおきなくちけながら、カキののぼってきたのです。
「わあ、るな、のぼるな、あっちへけ!」
 ほうろくりはこわさのあまり、うえでバタバタとあばれました。
 するとそのはずみに、ふところにれていたどくのにぎりめしがころがりて、大蛇おろちくちなかちたのです。
「ウギャーーー!」
 どくのにぎりめしをのみんだヘビは、うめきごえげながらバタバタとあばれましたが、やがてしずかになりました。

 つぎあさいちばんちゅうにしがみついていたほうろくりが、あかるくなってからしたてみると、どくのにぎりめしをのみんだ大蛇おろちんでいました。
 ほうろくりはからおりると、んだヘビの両目りょうめ一本いっぽんずつしました。
 しばらくしてやって村人むらびとたちは、両目りょうめ見事みごとでいぬかれてんでいる大蛇おろちてびっくりです。
「さすがは、すごうでのおさむらいさまじゃ!」

 この大蛇おろち退治たいじ評判ひょうばんは、殿とのさまみみにもはいりました。
「そのような見事みごと腕前うでまえったものなら、わしの家来けらい(けらい)にしたい」
 殿とのさまの家来けらいたちはうま用意よういすると、ほうろくりをむかえにきました。
「ささ、殿しんがりがおびです。このうまって、しろまでてください」
「えっ、うまに?」
 ほうろくりはうまったことがないので、一番いちばんからうま背中せなかにしがみついてきました。
 でも、途中とちゅうかわうまわたときに、ほうろくりはかわちてしまいました。
大丈夫だいじょうぶですか? おけがはありませんか?」
  それにがついた家来けらいたちがもどってみると、かわちたほうろくりは、たまたまふところにんできたおおきなコイをしていました。
はじめておにかかるお殿とのさまに、なんみやげがのうてはまずいからな。ちょうどごろなコイをつけたので、かわんだのじゃ」
 それをいた家来けらいたちは、すっかり感心かんしんしました。
 こうしてほうろくりは、なにとか殿とのさまのまえにやってました。
「おあるじ評判ひょうばんいておる。おあるじ侍大将さむらいだいしょうとしてむかえたいが、どうじゃな」
 いきなり侍大将さむらいだいしょうとは、大変たいへん出世しゅっせです。
侍大将さむらいだいしょうに? ははっ、ありがたくおけいたします」
「うむ、たのんだぞ。ところで、おあるじ評判ひょうばん腕前うでまえを、わしにせてくれぬか。わしの家来けらいたちと勝負しょうぶをしてしい」
勝負しょうぶを? ・・・これは、いたくこまりもうした」
 ほうろくりは、もちろん剣術けんじゅつなどりません。
 なんとかげようとかんがえましたが、ほうろくりの幸運こううんもこれまでです。
 ほうろくりは家来けらいたちに、さんざんにたたかれました。
「たっ、たすけてくれー!」
 ほうろくりはさけびながら、にものぐるいなってまわっているうちに、ふとめました。
「はっ、ここは?」

けがの功名

 かおげると、ほうろくりのおくさんがこわかおでにらんでいました。
「あんた、いつまでているの! はやく仕事しごときなさい!」
 じついままでのことは、みんなゆめだったのです。
 仕事しごと時間じかんだというのにいつまでもているので、おくさんがほうろくりのあたまをたたいていたのでした。

おしまい

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