特集とくしゅう

はやぶさ2

探査たんさ機き「はやぶさ2」がリュウグウで試料しりょうを採取さいしゅして持もち帰かえる6年ねんの旅たびを完遂かんすい。分析ぶんせきや次つぎのミッションを解説かいせつ。

2014年ねん12月03日にち 13:22:04
打うち上あげから

記者会見で小惑星探査機「はやぶさ2」のミッションを振り返る渡辺誠一郎・名古屋大教授（左）＝相模原市中央区で2023年3月20日午後2時1分、幾島健太郎撮影

はやぶさ2の成果せいかは　リュウグウ試料しりょうが迫せまる太陽系たいようけいや生命せいめいの起源きげん

2023/4/19 17:00

　探査たんさ機きはやぶさ2が小惑星しょうわくせいリュウグウから持もち帰かえった試料しりょうを、日本にっぽんを中心ちゅうしんにした複数ふくすうのチームが初期しょき分析ぶんせきした結果けっかがまとまった。他た天体てんたいの物質ぶっしつを持もち帰かえるサンプルリターンは、太陽系たいようけいや生命せいめいの起源きげんの謎なぞを解とくカギになると期待きたいされる。その謎なぞにどこまで迫せまれたのか。　「最もっとも着目ちゃくもくすべき点てんは水みずの存在そんざい。46億おく年ねん前まえの水みずです」　3月2

探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウに最初の着陸に成功したことを受け、喜ぶ津田雄一プロジェクトマネジャー（中央）ら＝相模原市で2019年2月22日、渡部直樹撮影 — 探査たんさ機きはやぶさ2が小惑星しょうわくせいリュウグウに最初さいしょの着陸ちゃくりくに成功せいこうしたことを受うけ、喜よろこぶ津田つだ雄一ゆういちプロジェクトマネジャー（中央ちゅうおう）ら＝相模原さがみはら市しで2019年ねん2月がつ22日にち、渡部わたなべ直樹なおき撮影さつえい

　小惑星しょうわくせい探査たんさ機き「はやぶさ2」から切きり離はなされたカプセルが2020年ねん12月6日にち未明みめい、大気圏たいきけんに突入とつにゅうし、オーストラリア南部なんぶのウーメラ砂漠さばくに着地ちゃくち、地球ちきゅうに帰還きかんした。カプセルには小惑星しょうわくせいリュウグウの試料しりょうが入はいっていた。当初とうしょ予定よていされたミッションは全すべて成功せいこう。探査たんさ機き本体ほんたいは、11年ねん後ごの到着とうちゃくを目指めざす別べつの小惑星しょうわくせいでの新あらたな探査たんさに向むけて、地球ちきゅうを離はなれる軌道きどうに入はいった。

はやぶさ2、どんな探査たんさ機き？

　はやぶさ2は14年ねん12月に打うち上あげられ、18年ねん6月がつにリュウグウの上空じょうくうへ到着とうちゃく。1年ねん5カ月かげつにわたって観測かんそくを続つづけた。この間あいだ、19年ねん2月がつと7月がつの2回かいリュウグウへの着地ちゃくちに成功せいこう。他ほかにも金属弾きんぞくだんによる人工じんこうクレーターの形成けいせいや、小惑星しょうわくせい上じょうで移動いどうする小型こがたロボットの投下とうかなど、多おおくのミッションを成なし遂とげた。小惑星しょうわくせいと地球ちきゅうを往復おうふくした総そう飛行ひこう距離きょりは52・4億おくキロ。

小惑星リュウグウと地球を、はやぶさ2の同じカメラで撮影した写真。リュウグウの黒さが際立つ＝JAXA・東京大など提供 — 小惑星しょうわくせいリュウグウと地球ちきゅうを、はやぶさ2の同おなじカメラで撮影さつえいした写真しゃしん。リュウグウの黒くろさが際立きわだつ＝JAXA・東京とうきょう大だいなど提供ていきょう

試料しりょう、どっさり5.4グラム

はやぶさ2のカプセルに収められていた小惑星リュウグウの岩石のかけら。2回目の着陸での採取分を収めたC室内には、A室（1回目採取分）よりもかなり大きな試料が入っていた＝JAXA提供 — はやぶさ2のカプセルに収おさめられていた小惑星しょうわくせいリュウグウの岩石がんせきのかけら。2回かい目めの着陸ちゃくりくでの採取さいしゅ分ぶんを収おさめたC室内しつないには、A室しつ（1回かい目め採取さいしゅ分ぶん）よりもかなり大おおきな試料しりょうが入はいっていた＝JAXA提供ていきょう

　小惑星しょうわくせいリュウグウで採取さいしゅし持もち帰かえった岩石がんせきのかけらなどの試料しりょうは、計けい約やく5・4グラムだった。当初とうしょの目標もくひょうは0・1グラムで、50倍ばい以上いじょうの試料しりょう採取さいしゅに成功せいこうした。カプセルからは、世界せかいで初はじめて地球ちきゅう圏けん（地球ちきゅうと月つき）以外いがいの天体てんたいの気体きたい（ガス）も採集さいしゅうされた。

さらなる探査たんさ、100億おくキロ

　はやぶさ2は、別べつの小型こがた小惑星しょうわくせい「1998KY26」へ探査たんさに向むかっている。到着とうちゃくは31年ねん7月がつの予定よていで、新あらたに100億おくキロの旅路たびじに出でている。「1998KY26」は直径ちょっけい約やく30メートルで、直径ちょっけい約やく900メートルのリュウグウよりもかなり小ちいさく、地球ちきゅうと火星かせいの間あいだを公転こうてんしている。JAXAは新あらたな任務にんむで小型こがた小惑星しょうわくせいの地球ちきゅう衝突しょうとつによる被害ひがいの軽減けいげんや、太陽系たいようけいのより遠方えんぽうへの探査たんさに必要ひつような知見ちけんの獲得かくとくを目指めざす。