岳山５

岩いわ海かい、ぬすっと岩がん、北きたからの岳山たけやま

府中ふちゅう市しの岳山たけやまですがね、ガイドブックにある東ひがしからの道みちも行おこなった、西にしからの道みちも行おこなった、南みなみから抜ぬけて戻もどる道みちも行おこなった。
岳山たけやまへ通かよう道みち々、ここにも登山とざん道どうの案内あんないがあるなぁ、とチェックしていたポイントがあるんですよ。
今日きょうはこの道みちを歩あるいてみよう。
上下じょうげの町まちから府中ふちゅうへの県道けんどうを進すすみます。峠とうげのような状態じょうたいで、今いままでの平坦へいたんな道みちがここから一気いっきに坂道さかみちになって下くだって行いく道みちになります。
バス停ばすていが水永みずなが、駐車ちゅうしゃ場じょうのスペースもあって、そこに登山とざん口こうの案内あんないがある。地図ちずの看板かんばんもあって、眺ながめてコースをイメージしておこうぜ。
駐車ちゅうしゃ場じょうの反対はんたい側がわに永遠えいえん愛あいという店みせがあって、トワエと振ふり仮名がなが振ふってある。うどんの旗はたが出でている、UCCの看板かんばんもある。位置いちを見当けんとう付つける目印めじるしがこれだよ。
いま考かんがえると、あれは喫茶店きっさてんの駐車ちゅうしゃ場じょうだったんだ。営業えいぎょうを休やすんでいたので、無断むだんで止とめても文句もんくを言いわなかったのだ。
駐車ちゅうしゃ場じょうから進すすむと平山ひらやま古墳こふんと案内あんないがあるが、まぁ、それはええとして、そのまま進すすんで、山やまの麓ふもとの民家みんかへ進すすむように、案内あんない標識ひょうしきがある、岳たけ山登やまのぼり山道さんどう。
このまま進すすむと民家みんかの庭にわに入はいってしまう、いいえ、心配しんぱいない、山裾やますそに沿そいながら林道りんどうが伸のびている。
集落しゅうらく近ちかくは舗装ほそうされているが、すぐに地道じみちの林道りんどうとなる。地道じみちの林道りんどうを歩あるくのもちょっとだけ、林道りんどうから分わかれて山道さんどうに入はいって行いく。

草くさを被ひ（かぶ）っていない道みちなので、人ひとは通かよっているのだな、現役げんえきの道みちだよ。
ここで谷たにを渡わたる。鉄橋てっきょうは鉄橋てっきょうなのだが、簡単かんたんな工作こうさく物ぶつで、アングルに鉄板てっぱんを溶接ようせつした手製てせいのものだよ。もちろん、充分じゅうぶんな強度きょうどを備そなえていますとも。
さっきの鉄橋てっきょうは支ささえ谷たにを渡わたったんだね、今いまは、本谷ほんやに沿そって遡上そじょうしている。谷たにの対岸たいがんに道みちがあるよ。向むこうの道みちのほうが幅広はばひろのように見みえるね。
本谷ほんやを渡わたって、今度こんどは木橋きばし、木橋きばしに土どをかぶせて土橋どばしになっているのだよ。対岸たいがんに渡わたって林道りんどうに出でた。
曲まがる角かく々、見通みとおす先さきには、岳たけ山登やまのぼり山道さんどうの案内あんない看板かんばんがある。念入ねんいりの親切しんせつと言いおうか、過剰かじょうなお世話せわと言いおうか。
林道りんどうはトラックがじゅうぶん走はしれる道みち、タイヤの跡あとがないので、ここんとこ休眠きゅうみんしているような気配けはいだね。
向むこうに伐採ばっさい地ちが見みえる。伐採ばっさい地ちを詰つめて行いって、ぅん、止とまれぇ、ちょっとここは考かんがえなきゃね。
このまま伐採ばっさい地ちをたどるのだろうか。林道りんどうをそのまま歩あるいて行いくのだろうか。分岐ぶんき点てんなのに案内あんない看板かんばんがないので戸惑とまどってしまう。
わからん時ときには、斥候せっこう・スカウティング、荷物にもつを分岐ぶんき点てんに置おいて林道りんどうを歩あるいてみる。はるか奥おくまで歩あるいて案内あんない看板かんばんがあった。この道みちだ。
戻もどって、念ねんのため、伐採ばっさい地ちの谷たにを詰つめてみよう。伐採ばっさい作業さぎょうの道みちは途中とちゅうで消きえてしまった。この道みちではないと納得なっとくした。

もともと、岳たけ山登やまのぼり山道さんどうと案内あんない看板かんばんを設置せっちしたのは何なん年ねんも前まえのことだったのだろうと思おもうよ。
その後ご、伐採ばっさいが始はじまったのだ。伐採ばっさいされて裸はだか地ちになったので、いかにも分岐ぶんき点てんのように見みえるのだ。案内あんない看板かんばんを設置せっちしたひとが悪わるいのじゃないよ。
林道りんどうを歩あるいて行いくと、途中とちゅう、谷たにの水みずが林道りんどうを洗あらう箇所かしょがある。このままでは、水流すいりゅうで道みちが掘ほられてしまうので、丸太まるたを敷しき詰つめムシロで覆おおってある。
温泉おんせんかけながし、ここでは、谷水たにみずかけながし、このフレーズにあまり意味いみはないのだよ、ただ、言葉ことばで遊あそんでみたかっただけ。
林道りんどうの傾斜けいしゃは増まして、ぐんぐんと登のぼりつめて行いく。
おや、林道りんどうの終点しゅうてんのようだよ。ここからは山道さんどうを歩あるいて行いくことになる。案内あんない看板かんばんがあるから、方向ほうこうを迷まようことはない。
ここから先さきの案内あんない看板かんばんは文字もじがなくなった、矢印やじるしのマークだけになった。
ここで大おおきく迂回うかいする。尾根おねが突つき出だしているので、突つき出だしたカタチそのままをなぞって、折おれて曲まがって、次つぎの山腹さんぷくを渡わたって行いく。
出でたぁ、谷たに一いち面めんの伐採ばっさい地ちだ。
伐採ばっさい地ちのまんま、伐採ばっさい地ちの頭あたまに向むかうのだろうと思おもったが、違ちがった、伐採ばっさい地ちの途中とちゅうで折おれ曲まがって森もりの中なかへ入はいって行いくのだった。

森もりの中なかを抜ぬけて、ふたたび伐採ばっさい地ち、伐採ばっさい地ちがあまりに広ひろすぎて、どう動うごいてええのかわからない。
広ひろい空間くうかんに小ちいさな矢印やじるしが立たててある。矢印やじるしの向むこうを透すかして次つぎの矢印やじるしを探さがせばばええのだ。誘導ゆうどうに従したがって、次々つぎつぎとポイントを移動いどうして行いけばええ。
伐採ばっさい後ごのここには案内あんない看板かんばんを立たててあるのに、下したの伐採ばっさい地ちに看板かんばんがないのは片手落かたておちじゃないか。
念入ねんいりの親切しんせつ、過剰かじょうなお世話せわがあそこだけ歯は抜ぬけになっているのだよ。
さっきは納得なっとくしたように言葉ことばをまとめたが、ほんとは物申ものもうしたいよ。あそこでは、ほんま、悩なやんだんだから。
伐採ばっさい地ちには植林しょくりんの苗なえが植うえてあるのですよ。植うえてから、最初さいしょの数すう年ねんは草刈くさかりをする。
今いまは草刈くさかりの効果こうかがあって、草くさの背丈せたけが低ひくいが、苗なえの背丈せたけが草くさよりも越こえると、もう草刈くさかりはしないのだよ。
そこでお願ねがいがあるのだが、ここを通とおる人ひとは、イバラなどの若芽わかめは通とおりながら踏ふみ潰つぶして歩あるいていただきたい。
成長せいちょうしたイバラは手てに負おえないが、若芽わかめの時期じきなら踏ふめば簡単かんたんに潰つぶれてしまうからね。
何なにを言いうのだ、自然しぜんを破壊はかいするのは反対はんたいだ、必かならずこんな反論はんろんがあることでしょうね。

あなたの登山とざん靴くつはどこを踏ふんでもインパクトを与あたえるのです。どうせインパクトを与あたえるのなら、イバラに集中しゅうちゅうしてインパクトを与あたえてくださいな。
もともとこのコースはマイナーで、そんなに人数にんずうが入はいるとは思おもえない。今いま、イバラを退治たいじしとかないと、来年らいねんに歩あるくひとが難儀なんぎするからね。
伐採ばっさい地ちから森もりの中なかを眺ながめると、梢こずえに覆おおわれて大おおきな岩いわが見みえている。
そうです、これがぬすっと岩がんなんです。森もりの中なかに入はいると、ぬすっと岩がんの付つけ根ねのところに出でた。
岩屋いわやの中なかに入はいって、チョックストーンに感嘆かんたんしてもええ、岩いわ天井てんじょうを眺ながめて、今こん地震じしんで揺ゆれないことを願ねがってもええ。
始はじめてぬすっと岩がんに来きたとき、大変たいへんな距離きょりを歩あるいて谷たに底そこに降おりたように思おもったもんだよ。
何なん度どか訪問ほうもんしているから、そんなに時間じかんがかかるもんじゃないことは判わかっている。ほら、すぐに稜線りょうせんに出でたよ。
ここから岳山たけやまの頂上ちょうじょうまでは目めと鼻はなの距離きょり、そんなに時間じかんのかかるもんじゃないよ。
はい、ここが岳山たけやま頂上ちょうじょう、三角さんかく点てん。ただね、道端みちばたの休憩きゅうけい場じょうとしか見みえないんだよね。山頂さんちょうの風格ふうかくがありません。雰囲気ふんいきに欠かけるのだよね。
梢こずえが成長せいちょうして、見みえる範囲はんいが狭せばまってきている。以前いぜんは麓ふもとの集落しゅうらくなどが見みえたものなんだがね。

見晴みはらし場じょうを求もとめてもっと先さきに行いこう。
次つぎの分岐ぶんきで前山さきやまに向むかおう。はい、ここが展望てんぼう台だい、ここから前山さきやまの先端せんたんが見みえる。
この先さき、前山さきやままで行いっても何なにも見みえないものね。止とめた、ここから引ひき返かえそう。
引ひき返かえして、岳山たけやま三角さんかく点てん、ぬすっと岩がん分岐ぶんき、ここからどうしよう。来きた道みちをそのまま帰かえるかい。
ちょこっと冒険ぼうけんしてみないかい。はさん箱ばこ岩がんからウェルカム岩がん、そこから未知みちの稜線りょうせんに行いってみるのはどうだろ。
稜線りょうせんから下したを見みれば、ぬすっと岩がんからの伐採ばっさい地ちが見みえる。点々てんてんと岩いわが斜面しゃめんに転ころがっていて、その様子ようすが島々しまじまのようだ、岩いわ海うみだなぁ、と見立みたてているのだね。
数すう年ねん前まえ、見みる前まえに想像そうぞうしていたのはね、岩いわ海かいとは、大量たいりょうの岩いわが重畳ちょうじょうと重かさなって連つらなって、波なみが打うち寄よせるように盛もり上あがっている、そんな姿すがたを思おもい描えがいていたのですよ。
ほら、大海たいかいの磯いそもとどろに寄よせする波なみ割われて砕くだけて裂さけて散ちるかも(源実朝みなもとのさねとも)、そんなイメージを描えがいていたんですよ。
違ちがった、気抜きぬけしたよ。動的どうてきな形容けいようではないのだ、静的せいてきな形容けいようなのだ。瀬戸内せとうちの海うみの島々しまじまの姿すがたに見立みたてたとは予想よそう外がいだったな。
岩いわ海うみというより、草原そうげんの羊ひつじと言いったほうが似合にあっていると思おもうがどうだろうね。

はさん箱ばこ岩がん、ここからちょっとでウェルカム岩がん、岩いわの陰かげに小学校しょうがっこうのウェルカム標識ひょうしきがあるのですよ。
いつのまにか、ネットの表現ひょうげんでは、この岩いわをウェルカム岩がんというのが当あたり前まえになってしまった。最初さいしょは呼よび名ななど無なかったのにね。
ガイドブックでは反転はんてんして右みぎの谷たにへ向むかうもんです。そうじゃない、尾根おねそのままを進すすもうとしているのですよ。
道みちはある。測量そくりょう杭くいがあって、地質ちしつ調査ちょうさ株式会社かぶしきがいしゃのマークが打うち込こんである。尾根おね道どう、マークをたどればええ。
道みちがええのはここまで、測量そくりょう杭くいは右みぎの山腹さんぷくへ降おりて行いっている。ここから先さきは踏ふみ跡あとがあるような、その踏ふみ跡あとは獣ししの踏ふみ跡あとかもしれないような。
丹念たんねんに稜線りょうせんを歩あるこうぜ。障害しょうがい物ぶつがあって迂回うかいしなきゃならなくても、必かならずもとの稜線りょうせんの中心ちゅうしんに戻もどろうぜ。
何なん度ども岩場いわばがあって、急激きゅうげきな激げき下くだりを降おりていかなきゃならない。
間あいだ違ちがって左右さゆうの山腹さんぷくへコースアウトしないように戒いましめながら、なおかつ、楽らくなコースを選えらぶように足取あしどりに注意ちゅういしなきゃならない。
そのような道みちのコースで不安ふあんはないか、当然とうぜんの質問しつもんです。お答こたえします。
GPSを見みながら歩あるいていました。登のぼった道みちと平行へいこうに歩あるいていると判わかっているし、この先さきで合流ごうりゅうするのが予想よそうできるので、平静へいせいに歩あるいていました。

磁石じしゃくと地形ちけい図ずだけで歩あるくとしたら、どこを歩あるいているか見当けんとうもつかなくなって、パニックになっていたかもしれません。
なんとかなるだろう、歩あるいてみよう、あなたがそう考かんがえるなら自己じこ責任せきにん、奨すすめはしません、それでも敢あえて、というひとだけ行いって下ください。
だんだんと、伐採ばっさい地ちが近ちかづいてくる。あそこへ降おりれば、もう稜線りょうせん歩あるきはしなくてもすむ。
やっと抜ぬけ出でた。
伐採ばっさい地ちの様子ようすを眺ながめるに、ここは見みたことがあるぞ、伐採ばっさい地ちを進すすむか林道りんどうを進すすむか、迷まよったところじゃないか。
伐採ばっさい地ちの作業さぎょう道どうを歩あるいて、道みちが消きえたから引ひき返かえしたのだが、その消きえた先さきへ抜ぬけ出でてきたのだ。
やれやれ、やっと林道りんどうまで戻もどってきた。やっぱりちゃんとした道みちはええなぁ。
ほっこりと油断ゆだんしたせいか、谷たに向むこうへの山道さんどうの分岐ぶんきを行いき過すぎてしまった。分岐ぶんき点てんに特徴とくちょうがないから、戻もどりの道みちは要注意ようちゅういだね。
ま、ええか。このまま林道りんどうを歩あるけばどこに出でるのだろう。
谷たに沿ぞいに歩あるいて、土木どぼくの会社かいしゃの資材しざい置おき場ばのようなところに出でたぞ。橋はしがあって、橋はしに名前なまえが書かいてなくて、なんちゅう名前なまえかわからない。

石いし地蔵じぞうの長屋ながやがある。一軒家いっけんやのが乳にゅう地蔵じぞう、長屋ながやのが八はち十じゅう八はちヶ所かしょ地蔵じぞうと言いうんだそうな。
あとは県道けんどうをぽくぽく歩あるいて登のぼる。駐車ちゅうしゃしたところは峠とうげの上うえだ、坂道さかみちが始はじまる先端せんたんのところだ。せっせせっせと歩あるくしかないさ。
さぁて、戻もどったぞ。
この、水永みずながからのコース、変化へんかがあって面白おもしろい。とりわけ、伐採ばっさい地ちでどう歩あるくかコース取とりを考かんがえるところなど、他たでは類例るいれいがないね。

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