槲風呂山

東城とうじょう、帝釈たいしゃく、槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）

地図ちずを見みていて発見はっけんしたんですよ。
庄原しょうばら市域しいきで割わりと近ちかくに、風呂ふろ山さんという名前なまえの山やまがある。旧きゅう東城とうじょう町内ちょうないに槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）、旧きゅう総領そうりょう町内ちょうないに鷹志風呂山たかしぶろやま（たかしぶろやま）、こいつは行おこなって確たしかめなくちゃね。
まず槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）へと出でかけたんですよ。その日ひは４月がつの４日にちでした。あろうことか、雪ゆきの降ふる日ひでした。
こんなに雪ゆきが降ふったんじゃ、下草したくさは雪ゆきで濡ぬれてびっしょりになってしまう。山やまに入はいらず、どこから入いれるかロケーションの確認かくにんだけにしとこう。
あれから２週間しゅうかん以上いじょう経過けいかするぜ。もう雪ゆきが降ふることもないだろう。槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）へ行いってみようじゃないか。

国広くにひろ山さんの近ちかくなんですよ。北きたに帝釈始終たいしゃくししゅうという地域ちいきがある。そこの始終しじゅう郷きょうという集落しゅうらくを目指めざすんですよ。
どこか駐車ちゅうしゃできそうな余地よちはないかな。おばあさんがいた、聞きいてみよう。すみませんが、槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）へはここから入はいっていけますか。
この谷たにの途中とちゅうに仕事しごと道どうの桟道さんどうがありますね。そこから槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）へは行いけますか。
あんたぁ、山やまへ何なにしに行いくんね、山登やまのぼりかい。うちの娘むすめも広島ひろしまで山やまの会かいに入はいってのぉ、世話せわを焼やきよるんよの。娘むすめも登のぼったことがあるがのぉ。
槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）、あれはうちの山やまよの。ええよ、登とうりんさい。丸太まるた橋きょうが朽くちとるけぇの、真まん中なかを通とおっちゃいけんよ、端はしを通つうりんさい。
駐車ちゅうしゃ場所ばしょはのぉ、集会しゅうかい所しょの前まえへ置おいてもええよ。昼間ひるまは使つかうこともないけ、つかえる（Ｗブッキングする）こともないじゃろ。

すみませぇん、お願ねがいします。
４月がつの雪ゆきの日ひ、道路どうろを往復おうふくして取とり付つきを探さぐったんだが、入いれそうなのは一いち箇所かしょしか見みつからなかった。そこを試ためしてみよう。
集落しゅうらくからすぐに道みちの分岐ぶんきがある。山裾やますその道みちと谷間たにまの道みち、広島ひろしま県けん自然しぜん歩道ほどうの標識ひょうしきがあるところなんですよ。
谷たにへ進すすむと、森もり道後山どうごやま、そりゃ方向ほうこうとしては間違まちがいはないけれど、途中とちゅう省略しょうりゃくが甚はなはだしいじゃないか。森もり小奴可おぬかと近ちかい目標もくひょうを案内あんないしてほしいもんだね。
分岐ぶんきから２００メートルも歩あるいたころ、谷川たにがわに橋はしが架かかっているのが見みえる。横よこ板ばんは朽くちているかもしれない。丸太まるたは大丈夫だいじょうぶのようだ。
橋はしを渡わたって支ささえ谷だにへ入はいる。ゴム管かんを引ひっ張ぱってあるが、谷たにの水みずを飲のみ水みずに引ひいているんだね。

よく見みると、取水しゅすい口こうは空中くうちゅうに浮ういている。別べつの水源すいげんを利用りようしているので、ここの水みずは使つかわなくなったのだ。
岩場いわばが狭せばまって桟道さんどうを敷しいてある、この咽喉いんこうの部分ぶぶんを越こえると傾斜けいしゃは緩ゆるやかになってくる。
何なん度どか谷たにを渡わたらなきゃならない。橋はしの残骸ざんがいがあるので、ここが渡わたる箇所かしょだなと判断はんだんがつく。
道みちは笹ささとイバラで歩あるきにくいのなんの。昔むかし々は道みちだったのだが、もう使つかわなくなって何なに十じゅう年ねんも経たっているのだろうな。
小屋こやが見みえてきた。おばあさんが言いっていたな、小屋こやがまだ残のこっとるけぇの、昔むかしはたんぼを作つくっていたもんよ。話はなしに聞きいたとおりだよ。
小屋こやの後うしろにたんぼがある。いや、昔むかしはたんぼだった跡あとがある。湿地しっち帯たいのままだったら始末しまつが悪わるいが、乾かわいているから歩あるき易やすい。

谷たには、たんぼの方向ほうこうと別べつの谷たにとに別わかれているが、歩あるき易やすいのはたんぼの方向ほうこうだね。自然しぜんと、こっちへ歩あるくことになる。
小屋こやの残骸ざんがいと橋はしがある。この橋はしは朽くちていて足あしを乗のせるのは止とめたほうがええな。水辺みずべに下おりて橋はしを使つかわないようにしよう。
この先さきは、谷たにが二ふたつに分わかれている。どっちの谷たにを行いけばええのだろうか。
えい、判わからんときには中央ちゅうおう突破とっぱ、尾根おねに取とり付つこう。どうせどこかで尾根おねに乗のらなきゃならないのだ。
ここからはぐんぐんと傾斜けいしゃを稼かせいで登のぼっていくよ。道みちはあるような、ないような、下生したばえが薄うすいから自由じゆうにコースを選えらんで歩あるける。
乗のり越こえてコブ、また乗のり越こえてコブ、尾根おねの傾斜けいしゃをまっすぐに突つき進すすんでいく。

木きにつかまって体からだを引ひき上あげながら進すすむのだが、横よこを見みると傾斜けいしゃが４５度どだね。
やっと稜線りょうせんまで出でてきたぞ。降おりる時ときもこの道みちを帰かえるのだからポイントを確認かくにんしとこう。でも、印象いんしょうに残のこるポイントがなんにもないんだよね。
稜線りょうせんの先さきに峰みねの頭あたまが見みえる、そこが槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）の頂上ちょうじょうだと思おもうよ。
吊つり尾根おねになっていて尾根おねがたわんでいる。石いしが累々るいるいとあって雰囲気ふんいきを醸かもし出だしているなぁ。
さぁ、着ついた。ここが槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）の頂上ちょうじょう、三角さんかく点てんだ。
山頂さんちょうを見回みまわすと、古ふるい山やま標しるべが２枚まい、今いまではもう、字じが消きえてしまっている。古ふるい時代じだいに登のぼった痕跡こんせきが残のこっているね。

これからは草木くさきが繁しげる時期じき、今いまでも若葉わかばが萌もえてきているのだが、春はるから夏なつの時期じきに登のぼるのはオススメしない。
晩秋ばんしゅうから冬ふゆ、早春そうしゅんまでが時期じきでしょうね。谷たに筋すじ、たんぼ跡あとの周囲しゅういにイバラが邪魔じゃまをする、これが無なければ楽らくなんだけどね。
元もとの道みちを帰かえろう。
稜線りょうせんを忠実ちゅうじつに戻もどること、ええ加減かげんに方向付ほうこうづけて下おりて行いくと、どこへ抜ぬけるか判わからないからね。
麓ふもとに民家みんかが見みえる。帝釈山中たいしゃくやまなかの集落しゅうらくなんだろうな。その後うしろの山やまは飯山いいやまだろうと思おもう。多飯おおいいが辻山つじやまではないと思おもう。シルエットが違ちがうもの。
木きの枝えだに邪魔じゃまされてはいるが、国広くにひろ山さんが見みえる。国広くにひろ山さんはずっと車道しゃどうが頂上ちょうじょうまで続つづいている、登のぼってはみたが、そんなに魅力みりょくのある山やまではなかったね。

でもね、国広くにひろ山さんに登のぼったから、槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）に登のぼる気きになったんですよ。
ちょっと待まった、ＧＰＳを確認かくにんしよう。ここが斜面しゃめんを登のぼりきったポイントらしい。このまま稜線りょうせんを進すすんではいけない。ここで山腹さんぷくへと曲まがるのだ。
登のぼるときの尾根おねの付つけ根ねは確たしかに尾根おねだった。稜線りょうせんからは、尾根おねには見みえない、べったりとした山腹さんぷくに見みえる。
どこで曲まがるか、分岐ぶんきのポイントが平凡へいぼんだから困こまるよね。
あとは一気いっき一気いっきの下くだりだね。コブがあってさらにコブ。これだ、これだ、この道みちだ、と下おりて行いく。
尾根おねの付つけ根ねまで降おりてきた。炭焼すみやき窯かまの跡あとがあって、横目よこめで見みながら下おりて行いく。

あとは谷たにに沿そって進すすんで行いけばええ。
谷たにの出口でぐちで丸太まるた橋きょうを渡わたる、びくびくしながらも、大丈夫だいじょうぶ、じゅうぶん荷重におもに耐たえる丸太まるただ。安心あんしんして渡わたればええ。
集落しゅうらくが見みえてきた、もとの集会しゅうかい所しょの前まえまで戻もどったぞ。
槲かしわ風呂ふろ山さん（かしわぶろやま）、かたっぽだけでは評価ひょうかできないなぁ。鷹志風呂山たかしぶろやま（たかしぶろやま）、ここにも登のぼって、両方りょうほうの風呂ふろ山さんを味あじわってから、判定はんていしたいねぇ。
そうだった、そうだった、そもそも、槲かしわとは一体いったい何なになのだ、という疑問ぎもんが残のこっているでしょう。槲かしわとはね、柏かしわと同おなじ意味いみなんだそうです。
柏かしわの木きは見当みあたらなかったが、全部ぜんぶ自然しぜん林りんでしたね。昔むかし々は柏かしわの森もりだった、そういうことなのかなぁ。

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