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安田 真之「学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題――日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察」
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安田やすだ 真之まさゆき学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだい――日本福祉大学にほんふくしだいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんがかりとしての考察こうさつ

障害しょうがい学会がっかいだいかい大会たいかい 於:立命館大学りつめいかんだいがく
20090926-27
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報告ほうこく要旨ようし

安田やすだ 真之まさゆき立命館大学りつめいかんだいがく大学院だいがくいん先端せんたん総合そうごう学術がくじゅつ研究けんきゅう
 「学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだい――日本福祉大学にほんふくしだいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんがかりとしての考察こうさつ

  ほん報告ほうこくでは、100めい以上いじょう障害しょうがい学生がくせい在籍ざいせきし、全国ぜんこくてきにもそのみが注目ちゅうもくされてきた日本福祉大学にほんふくしだいがく以下いかにちぶくしるす)における障害しょうがい学生がくせい支援しえん状況じょうきょうげ、学生がくせいによる無償むしょうのボランティア活動かつどう中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだいあきらかにする。
 報告ほうこくしゃは2009ねん3がつまでにちぶく在籍ざいせきし、障害しょうがい学生がくせいとして様々さまざま支援しえんけてきた一方いっぽう支援しえん活動かつどうになとしても活動かつどうしてきた。にちぶくにおいては、支援しえん必要ひつようとする障害しょうがい学生がくせいみずか支援しえんしゃさがし、必要ひつよう支援しえん依頼いらいすることが原則げんそくとなっている。点訳てんやく音訳おんやく・パソコンテイク、ビデオ教材きょうざい字幕じまくけといった障害しょうがい学生がくせい支援しえんしょ活動かつどう大半たいはん学生がくせいによる無償むしょうのボランティア活動かつどうによってになわれており、学内がくない設置せっちされた「障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンター」を中心ちゅうしんに、大学だいがくもそういった学生がくせいによるしょ活動かつどう支援しえんしている。しかしそのなかで、障害しょうがい学生がくせいは、支援しえん量的りょうてき質的しつてき不十分ふじゅうぶんさ、不安定ふあんてい流動的りゅうどうてき支援しえん履修りしゅうする授業じゅぎょう選択せんたく制限せいげんといった深刻しんこく課題かだい直面ちょくめんしており、そのような状況じょうきょう慢性まんせいしている。また支援しえん活動かつどうにな学生がくせいは、慢性まんせいてき支援しえんしゃ不足ふそくのなかでの過剰かじょう負担ふたん、「ボランティア」が原則げんそくであるにもかかわらず支援しえんことわることができないといった課題かだい直面ちょくめんしている。それらしょ課題かだいされる背景はいけいには、支援しえん必要ひつようとする多数たすう障害しょうがい学生がくせい学内がくない学生がくせいのみで支援しえんすることの限界げんかいせい学業がくぎょう支援しえん活動かつどう両立りょうりつ限界げんかいせい支援しえん大半たいはん友人ゆうじん関係かんけいたす精神せいしんもとづいておこなわれていることとうげることができる。また、今日きょうぶく障害しょうがい学生がくせい支援しえんみのおおくは、支援しえん活動かつどうとおしたまなびあい・そだちあい、すなわち、「福祉ふくししん」や「しんのバリアフリー」、障害しょうがい学生がくせい自立じりつちから涵養かんようといったことが重視じゅうしされるあまり、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくするものとはかならずしもなっていない。
  以上いじょうまえ、ほん報告ほうこくでは、無償むしょうのボランティアを中心ちゅうしんとする障害しょうがい学生がくせい支援しえん障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを十分じゅうぶん充足じゅうそくないことをしめしたうえで、障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな主体しゅたいとその役割やくわりのありかたについて検討けんとうする。

報告ほうこく原稿げんこう

学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだい――日本福祉大学にほんふくしだいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんがかりとしての考察こうさつ
安田やすだ 真之まさゆき立命館大学りつめいかんだいがく大学院だいがくいん先端せんたん総合そうごう学術がくじゅつ研究けんきゅう) 20090926-27
障害しょうがい学会がっかいだい6かい大会たいかい 於:立命館大学りつめいかんだいがく

はじめに
 全国ぜんこくやく半数はんすう大学だいがくなんらかの障害しょうがいのある学生がくせい在籍ざいせき1)しているとされている今日きょう高等こうとう教育きょういく機関きかんにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん注目ちゅうもくされてきている。障害しょうがい学生がくせい在籍ざいせきする大学だいがくのなかには、障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンターとう障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわるせんもん部署ぶしょ設置せっちし、障害しょうがい学生がくせい支援しえん積極せっきょくてきところ徐々じょじょられるようになってきた。今日きょうかく大学だいがくおこなわれている障害しょうがい学生がくせい支援しえん状況じょうきょうると、実施じっしされている支援しえん内容ないよう支援しえん活動かつどうにな費用ひよう負担ふたんとう、その仕組しくみは多様たようである。
 ほん報告ほうこくでは、そういった大学だいがくのなかから、100めい以上いじょう障害しょうがい学生がくせい在籍ざいせきし、全国ぜんこくてきにもそのみが注目ちゅうもくされてきた日本福祉大学にほんふくしだいがく以下いかにちぶくしるす)における障害しょうがい学生がくせい支援しえん2)状況じょうきょうげ、学生がくせいによる無償むしょうのボランティア活動かつどう中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだいあきらかにする。
 報告ほうこくしゃは2005ねん4がつから2009ねん3がつまでにちぶく在籍ざいせきし、障害しょうがい学生がくせいとして、教材きょうざい点訳てんやくをはじめとする様々さまざま支援しえんけてきた一方いっぽう、ビデオ教材きょうざい字幕じまくけをはじめとする障害しょうがい学生がくせい支援しえん実践じっせんになとして活動かつどうしてきた。また、2007年度ねんどおよび2008年度ねんどには、美浜みはまキャンパスにある障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンターにおいて、障害しょうがい学生がくせい支援しえんかんするしょ活動かつどう運営うんえい補助ほじょとうおこな学生がくせいスタッフとして活動かつどうした。
 ほん報告ほうこくでは、まず、学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとしたぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん概要がいようべる。つぎ報告ほうこくしゃ実際じっさい直面ちょくめんしてきた障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわる課題かだいのうち、支援しえん量的りょうてき不足ふそく障害しょうがい学生がくせいみずからが支援しえんしゃさがすことにかかわる問題もんだいうばわれるまなびの主体性しゅたいせいについて詳述しょうじゅつする。つづいて、それらしょ課題かだいされる要因よういんとして、学生がくせい生活せいかつ支援しえん活動かつどう両立りょうりつ限界げんかいせい学生がくせい流動りゅうどうせいの2てんげたうえで、にちぶくにおいて学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえんすすめられる背景はいけいについてべる。最後さいごに、障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな主体しゅたいとその役割やくわりという観点かんてんから、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくしうる支援しえんのありかたについて検討けんとうする。

1.にちぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん概要がいよう
 にちぶくは、愛知あいちけんにある4ねんせい私立しりつ大学だいがくである。美浜みはま半田はんだ名古屋なごやの3キャンパスをゆうし、社会しゃかい福祉ふくし経済けいざい福祉ふくし経営けいえい国際こくさい福祉ふくし開発かいはつども発達はったつ健康けんこう科学かがく情報じょうほう社会しゃかい科学かがくかく学部がくぶおよ通信つうしん教育きょういく設置せっちされ、また社会しゃかい福祉ふくしがく医療いりょう福祉ふくしマネジメント、国際こくさい社会しゃかい開発かいはつ福祉ふくし経営けいえい人間にんげん環境かんきょう福祉ふくし社会しゃかい開発かいはつかく研究けんきゅう設置せっちされている。通信つうしん教育きょういくおよ大学院だいがくいんのぞぜん学生がくせいすうは5351めいである。そのうち障害しょうがい学生がくせいが145めい在籍ざいせきしており、さらにそのなかで94めい障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンターに登録とうろくしている3)
現在げんざい障害しょうがい学生がくせい支援しえん活動かつどうのほとんどは学生がくせい無償むしょうのボランティアでになっている4)。その活動かつどう大変たいへん活発かっぱつであり、学内がくないには、点訳てんやく音訳おんやく、パソコンテイク、ビデオ教材きょうざい字幕じまくとうおこなうサークル(以下いか支援しえん団体だんたいしるす)が組織そしきされ、それぞれおおきな役割やくわりになっている。支援しえん団体だんたいは、障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンターをとおして教員きょういん障害しょうがい学生がくせいから支援しえん依頼いらいけ、それらに組織そしきてき対応たいおうしている。一方いっぽう肢体したい不自由ふじゆう学生がくせい生活せいかつ介助かいじょとう学生がくせいによる活動かつどう組織そしきされていない活動かつどう中心ちゅうしんに、友人ゆうじん関係かんけいもとづく個人こじんてき支援しえんおおおこなわれている。
 障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわる学内がくない機関きかんとしては、1998ねん設置せっちされた障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンター(以下いか支援しえんセンターとしるす)がある。現在げんざい支援しえんセンターでは、ノートテイク・パソコンテイク・手話しゅわ通訳つうやく・ビデオ教材きょうざい字幕じまくけ・点訳てんやく音訳おんやく肢体したい不自由ふじゆう学生がくせい生活せいかつ介助かいじょとう支援しえん活動かつどう推進すいしんとその環境かんきょう整備せいびんでいる。また、障害しょうがい学生がくせい奨学しょうがくきん支給しきゅう障害しょうがい学生がくせい支援しえんボランティアの要請ようせいおよびボランティア登録とうろく制度せいど運営うんえい受講じゅこう支援しえん奨励しょうれい制度せいど運営うんえい障害しょうがい学生がくせい支援しえんかんするオリエンテーションの実施じっし学内がくない施設しせつ点検てんけん支援しえんセンター利用りようしゃ懇談こんだんかい実施じっしとう事業じぎょう5)おこなっている。また、障害しょうがい学生がくせい直面ちょくめんする勉学べんがく生活せいかつじょうしょ問題もんだい障害しょうがい学生がくせい教員きょういん直面ちょくめんする障害しょうがい学生がくせい支援しえんかんする課題かだいとう相談そうだん対応たいおう窓口まどぐちともなっている。
 なんらかの支援しえん必要ひつようとする障害しょうがい学生がくせいは、みずか支援しえんしゃさがし、必要ひつよう支援しえん依頼いらいすることが原則げんそくとされている。支援しえんセンターは支援しえん活動かつどうそのものをおこな機関きかんとはなっておらず、支援しえん活動かつどう側面そくめんから支援しえんし、支援しえん活動かつどう必要ひつよう環境かんきょう整備せいびするとともに、障害しょうがい学生がくせいみずか支援しえんるためのしょ活動かつどう支援しえんする役割やくわりになっている。
 このように、にちぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんは、おも学生がくせいによる活発かっぱつなボランティア活動かつどうによってになわれており、支援しえんセンターをはじめとする大学だいがく組織そしきがそれらインフォーマルな活動かつどう側面そくめんから支援しえんすることにより、障害しょうがい学生がくせい大学だいがく生活せいかつささえている。にちぶくは、その前進ぜんしんである中部ちゅうぶ社会しゃかい事業じぎょう短期大学たんきだいがくとして1953ねんひらけがくした当初とうしょから障害しょうがいのある学生がくせいれてきた。学生がくせい教職員きょうしょくいんによるインフォーマルな支援しえんは、ひらきがく当初とうしょからつづいている、にちぶく特徴とくちょうてき伝統でんとうでもある6)

2.直面ちょくめんする課題かだい
 一方いっぽう、こうした活発かっぱつみがおこなわれるなかにあっても、障害しょうがい学生がくせい深刻しんこく課題かだい直面ちょくめんつづけている状況じょうきょうがある。ここでは、報告ほうこくしゃ障害しょうがい学生がくせいとして直面ちょくめんしてきた課題かだい中心ちゅうしんべる。

(1)支援しえん量的りょうてき不十分ふじゅうぶん
 まず、支援しえん量的りょうてき不十分ふじゅうぶんさについて、授業じゅぎょう使用しようされる教材きょうざいかかわる報告ほうこくしゃ状況じょうきょうれいべる。報告ほうこくしゃにちぶくにおいて4年間ねんかん履修りしゅうした授業じゅぎょうのうち、テキストが指定していされていた科目かもくは30科目かもくであった。そのうち、大学だいがく費用ひよう負担ふたんにより当該とうがい書籍しょせき点訳てんやくされたものは2科目かもくであり、大学だいがく組織そしき教員きょういんとおして当該とうがい書籍しょせきのテキストデータをることができたものは7科目かもくであった。そののものについては、点字てんじ図書館としょかんとう利用りようできる媒体ばいたい書籍しょせき所蔵しょぞうされているものとうのぞき、報告ほうこくしゃ自身じしん7)必要ひつようおうじて点訳てんやく音訳おんやく・テキストデータ以下いか点訳てんやくとうしるす)を依頼いらいするひとしなんらかの対応たいおう8)をしなければならなかった。にちぶくには学内がくない点訳てんやくサークル・音訳おんやくサークルがあるが、それらサークルに所属しょぞくする学生がくせい人数にんずうでは、書籍しょせきのようにりょう膨大ぼうだいなものの点訳てんやくとう対応たいおうすることが困難こんなんであった。少量しょうりょうのものであっても、語学ごがく理数りすうけいのものを中心ちゅうしんに、学生がくせいのスキルでは、教材きょうざいとして活用かつようするに十分じゅうぶんしつ点訳てんやくとうおこなうことが困難こんなんである場合ばあいおおくあった。そこでおも学外がくがい団体だんたい依頼いらいすることとなるが、おおくの視覚しかく障害しょうがいしゃから多数たすう依頼いらいけている学外がくがい団体だんたい状況じょうきょう考慮こうりょすると、一人ひとりで1多数たすう書籍しょせき点訳てんやくとう依頼いらいすることは困難こんなんであった。さらに作業さぎょうには一定いってい時間じかんがかかることから、依頼いらいしても作業さぎょう授業じゅぎょうわないとかんがえられたものもおおくあった。そのため、実際じっさい点訳てんやくとう依頼いらいすることができたものは、おおむ授業じゅぎょう開始かいしすうヶ月かげつまえ使用しようすることが確定かくていしているものにかぎられ、30科目かもくちゅう8科目かもくのテキストについては、みずか利用りようできる媒体ばいたいのものを入手にゅうしゅすることができなかった9)

(2)みずか支援しえんしゃ確保かくほすることによる負担ふたん
 つぎに、障害しょうがい学生がくせいみずか必要ひつよう支援しえんしゃ確保かくほすることにかんする課題かだいについてべる。にちぶくにおいては、多数たすう学生がくせい障害しょうがい学生がくせい支援しえん活動かつどうになっている10)ものの、在籍ざいせきするすべての障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくするにはいたっていない。支援しえんにな学生がくせい慢性まんせいてき不足ふそくするなかで、障害しょうがい学生がくせいみずからに必要ひつよう支援しえんにな確保かくほするための活動かつどう奔走ほんそうする様子ようす日常にちじょうてきられた。
 にちぶく入学にゅうがくした障害しょうがい学生がくせいのうち、報告ほうこくしゃふくなんらかの支援しえん必要ひつようとする学生がくせいは、入学にゅうがく直後ちょくご新入生しんにゅうせい対象たいしょうとしたオリエンテーションにおいて登壇とうだんする機会きかいがあった11)。そこで、支援しえん必要ひつようとする障害しょうがい学生がくせい大半たいはんが、ともに入学にゅうがくしたどう学部がくぶ学科がっか学生がくせいたいして自己じこ紹介しょうかいおこない、支援しえんへの協力きょうりょくびかけていた。また報告ほうこくしゃふくめ、支援しえん必要ひつようとする障害しょうがい学生がくせいは、必要ひつよう支援しえん確保かくほするため、日常にちじょうてきに、友人ゆうじんとう身近みぢか学生がくせい支援しえん依頼いらいしたり、学生がくせい支援しえんしゃさがしの協力きょうりょくもとめたり、所属しょぞくしているサークルとうのメンバーにたいして支援しえんへの協力きょうりょくびかけたりと、多様たよう手段しゅだん駆使くしして支援しえんしゃ確保かくほまなければならなかった。なかでも聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせいがノートテイカーの確保かくほ奔走ほんそうせざるをない状況じょうきょう深刻しんこくであった。ノートテイカーが慢性まんせいてき不足ふそくするなか、まい学期がっきはじめには、かぎられたノートテイカーの確保かくほをめぐって、一部いちぶ学生がくせいから「ノートテイカーのうばい」としょうされるほどの熾烈しれつたたかいがひろげられていた。このように、必要ひつよう支援しえんしゃみずかさがすという原則げんそくのもとで、必要ひつよう支援しえんけることができないリスクをわされたぶく障害しょうがい学生がくせいは、みずからの大学だいがく生活せいかつ確立かくりつするために、障害しょうがい学生がくせいして多大ただい負担ふたんいられていた。

(3)うばわれるまなびの主体性しゅたいせい
 障害しょうがい学生がくせいのなかには、みずからが履修りしゅうしたい、あるいは履修りしゅうしなければならない授業じゅぎょうよりも、支援しえんけられる、あるいはけやすい授業じゅぎょう優先ゆうせんして履修りしゅうしているものがいた。報告ほうこくしゃは、おな授業じゅぎょう視覚しかく障害しょうがい学生がくせい受講じゅこうするかか、必要ひつよう資料しりょう文献ぶんけん利用りよう可能かのう媒体ばいたい入手にゅうしゅできるかかといったことが、履修りしゅうする科目かもく決定けっていするうえでの重要じゅうよう要素ようそとなったことがすくなからずある。前者ぜんしゃは、みずか支援しえんしゃ確保かくほできなかったり、確保かくほした支援しえんしゃ欠席けっせきしたりした場合ばあいであっても、視覚しかく障害しょうがい学生がくせい確保かくほした支援しえんしゃから必要ひつよう支援しえんることが可能かのうであったためである。また後者こうしゃは、一定いっていのまとまったニーズがあれば、支援しえん団体だんたいたいする点訳てんやくとう依頼いらいおこないやすく、そういったものについては優先ゆうせんてき作業さぎょうすすめられる傾向けいこうにあったためである。
 一方いっぽう聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせい状況じょうきょうると、ある聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせい特定とくてい授業じゅぎょうでのノートテイカーを確保かくほした場合ばあい聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせいも、確実かくじつにノートテイクをけることができる当該とうがい授業じゅぎょうあつまるということがあった12)前項ぜんこうべたように、ノートテイカーが慢性まんせいてき不足ふそくするぶくでは、まい学期がっきのはじめ、ノートテイカーの確保かくほをめぐる聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせい熾烈しれつたたかいがひろげられていた。そういったなかで、みずからのノートテイカーを個別こべつ確保かくほすることは、聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせいにとっておおきな負担ふたんなのである。
 このように、障害しょうがい学生がくせいが、みずからが履修りしゅうしたい、あるいは履修りしゅうしなければならない授業じゅぎょうかならずしも履修りしゅうできていないという実態じったいがあった。友人ゆうじん関係かんけいによる支援しえんが「たりまえ」となっていたぶくにおいて、学生がくせいあいだでのこういった履修りしゅう科目かもく調整ちょうせいは、障害しょうがい学生がくせいにとって「ごく普通ふつうのこと」であった。そういったなかで、障害しょうがい学生がくせい時間割じかんわりは、必要ひつよう支援しえんけることができないリスクを軽減けいげんするものとして規定きていされる側面そくめんゆうすることがあったとかんがえられる。

3.課題かだい要因よういん背景はいけい
 では、こういった深刻しんこく課題かだいはなぜされ、慢性まんせいしているのであろうか。ここでは、障害しょうがい学生がくせい支援しえんおも学生がくせいボランティアがになっていることに着目ちゃくもくしてかんがえてみたい。

(1)学生がくせい生活せいかつ支援しえん活動かつどう両立りょうりつ限界げんかいせい
 まず、支援しえんにな学生がくせいがその支援しえん活動かつどうみずからの学生がくせい生活せいかつ両立りょうりつさせることの限界げんかいせいげることができる。にちぶく学生がくせいおおくは、進級しんきゅうするにしたがって学生がくせい生活せいかつ多様たよう多忙たぼうする傾向けいこうにある。進級しんきゅうするにしたがってかく専門せんもん分野ぶんやごと授業じゅぎょう細分さいぶんされ、授業じゅぎょう難易なんい上昇じょうしょうする。また3ねん〜4ねんには、学外がくがい長期間ちょうきかん実習じっしゅうおこなったり、就職しゅうしょく活動かつどう卒業そつぎょう研究けんきゅう資格しかく試験しけん受験じゅけん勉強べんきょうとうわれるようになる。こうした状況じょうきょうのなかで、障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわる学生がくせいは、進級しんきゅうしたがって相対そうたいてき減少げんしょうする傾向けいこうがある。報告ほうこくしゃが1ねんくらべて2ねん以降いこう支援しえんしゃ確保かくほ苦労くろうすることとなったのも、そのためであろう。
 学生がくせい生活せいかつ多忙たぼう時期じきは、障害しょうがい学生がくせい多忙たぼうとなり、おおくの支援しえん必要ひつようとなる。一方いっぽう障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわる学生がくせい多忙たぼうとなり、徐々じょじょ障害しょうがい学生がくせい支援しえんかかわることが困難こんなんになる。よって、学生がくせいのみで支援しえんになっている現状げんじょうにおいては、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズがえるほど、その支援しえんにな不足ふそくするという状況じょうきょう慢性まんせいしているとかんがえられる。

(2)学生がくせい流動りゅうどうせい
 また、支援しえんにな学生がくせいえず流動りゅうどうすることも、これらの課題かだい要因よういんであるとかんがえられる。学生がくせい大学だいがく在籍ざいせきするのは原則げんそくとして4年間ねんかんである。そのなかで、学生がくせい障害しょうがい学生がくせい支援しえんしょ活動かつどう積極せっきょくてきむことのできる機関きかんきわめてかぎられていることは、前項ぜんこうべた学生がくせい生活せいかつ状況じょうきょうからもあきらかである。そのかぎられた期間きかんのなかで、学生がくせい障害しょうがい学生がくせい支援しえん必要ひつよう十分じゅうぶんなスキルを獲得かくとくすることはけっして容易よういではない。なかにはたか支援しえんスキルを獲得かくとくする学生がくせいもいるが、そういった学生がくせいも、ほどなく障害しょうがい学生がくせい支援しえんだい一線いっせん退しりぞき、卒業そつぎょうしていくことになる。このように、えず流動りゅうどうする学生がくせいのみで支援しえんになっている現状げんじょうにおいては、量的りょうてきにも質的しつてきにも十分じゅうぶん一定いってい水準すいじゅん支援しえん安定あんていてき継続けいぞくてき実施じっしすることが困難こんなんであるとかんがえられる。

(3)学生がくせい無償むしょうのボランティアで障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな意義いぎ
 そもそもにちぶくにおいては、なぜ学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえんおこなわれているのであろうか。その背景はいけいとしては、「障害しょうがい学生がくせいも、障害しょうがい学生がくせいも、教職員きょうしょくいんも、ともにまなそだちあう」という障害しょうがい学生がくせい支援しえん理念りねん重視じゅうしされていることをげることができる。報告ほうこくしゃにちぶくへの入学にゅうがく以来いらい様々さまざま困難こんなん直面ちょくめんしつつも、周囲しゅういおおくの学生がくせいたすけられながら大学だいがく生活せいかつおくってきた。入学にゅうがく当初とうしょ障害しょうがい学生がくせいから距離きょりかれることもあったが、報告ほうこくしゃから積極せっきょくてき学生がくせいとコミュニケーションをとり、そのなかでみずからの障害しょうがい状況じょうきょう説明せつめいし、必要ひつよう支援しえんもとめていった。入学にゅうがく当初とうしょ自分じぶんはボランティアはしたことがないので」と報告ほうこくしゃとのかかわりに消極しょうきょくてきだった障害しょうがい学生がくせいたちは、いつしか「自分じぶんいまなに特別とくべつなボランティアをしているという意識いしきはない」とべるようになった。そうしてかれらは、報告ほうこくしゃなんらかの支援しえん必要ひつようとするときに大変たいへん有効ゆうこう支援しえんをしてくれる、貴重きちょう存在そんざいとなっていったのである。
 障害しょうがい学生がくせい支援しえんとおして、障害しょうがい学生がくせい障害しょうがいたいする理解りかいふかめ、「しんのバリアフリー」や「たす精神せいしん」、「福祉ふくししん 」といったものを涵養かんようする。その一方いっぽうで、みずからの大学だいがく生活せいかつにおける自己じこ実現じつげんのためにみずかかんが行動こうどうするという、障害しょうがい学生がくせいちからはぐくむ。これが、にちぶくにおける、ともにまなそだちあう障害しょうがい学生がくせい支援しえん構図こうずである13)
 このように、にちぶく障害しょうがい学生がくせい支援しえんにおいては、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズにもとづく対応たいおうとはことなる、いわば教育きょういくてきなねらいがあるとされ、そのなかで学生がくせいボランティアによる障害しょうがい学生がくせい支援しえん活発かっぱつおこなわれている。
 しかし、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズへの対応たいおうにおいて、支援しえんになすべ学生がくせいボランティアでなければならないという必然ひつぜんせいはない。支援しえんとおしたまなびあいやそだちあいを否定ひていするものではないが、それらは障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズへの対応たいおうという障害しょうがい学生がくせい支援しえん本来ほんらい目的もくてきたすなかで副次的ふくじてきされる効果こうかであったとしても、学生がくせいボランティアによる障害しょうがい学生がくせい支援しえん必然ひつぜんするものではない。げんに、学生がくせいボランティアに依存いぞんした障害しょうがい学生がくせい支援しえん仕組しくみのなかで、慢性まんせいてき支援しえんしゃ不足ふそくやそれにともな様々さまざま課題かだいされてきている。よって、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを十分じゅうぶん充足じゅうそくするためには、学生がくせいボランティアに依存いぞんしない仕組しくみやそのありかたについて検討けんとうする必要ひつようがあるであろう。

4.障害しょうがい学生がくせい支援しえん主体しゅたい役割やくわり
 最後さいごに、これまでにべた課題かだいやその背景はいけいまえ、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくしうる支援しえんのありかたについて、障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな主体しゅたい役割やくわり着目ちゃくもくして検討けんとうすることとしたい。

(1)にちぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん主体しゅたい役割やくわり
 青木あおきは、「大学だいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんにかかわるサービスを、@具体ぐたいてきだれ提供ていきょうするのかということと、Aだれが(供給きょうきゅう・コーディネートに)責任せきにんをもつのかということと、Bだれ費用ひよう負担ふたん責任せきにんをもつのかという問題もんだいは、それぞれけてかんがえてもよいし、おなじでなくてはならない必然ひつぜんせいはない」14)指摘してきしている。にちぶく障害しょうがい学生がくせい支援しえん状況じょうきょうると、@はだい部分ぶぶん障害しょうがい学生がくせい無償むしょうのボランティアでになっている。Aについては一部いちぶ例外れいがいのぞきそれをにな主体しゅたい明確めいかくである。Bについては、一部いちぶ大学だいがく負担ふたんする場合ばあいもあるが、原則げんそくとして費用ひよう負担ふたん発生はっせいしない仕組しくみとなっており、発生はっせいした場合ばあい障害しょうがい学生がくせい本人ほんにん負担ふたんすることもある。
 これまでべてきたように、にちぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんは、障害しょうがい学生がくせいみずか必要ひつよう支援しえんしゃ確保かくほすることが原則げんそくとされているが、その活動かつどう慢性まんせいてき支援しえんしゃ不足ふそくのなかで困難こんなんきわめている。では、必要ひつよう支援しえんしゃ確保かくほし、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを安定あんていてき継続けいぞくてき充足じゅうそくしうる仕組しくみを、どのようにかんがえていけばよいであろうか。

(2)支援しえん活動かつどう直接的ちょくせつてきにな
 ここで重要じゅうようとなる視点してんは、「障害しょうがいしゃまなぶことは権利けんりであり、その権利けんり保障ほしょうする義務ぎむは、大学だいがくにとどまらず社会しゃかいにある」15)ということである。すなわち、障害しょうがい学生がくせい支援しえんすべてを大学だいがくになうのではなく、社会しゃかい全体ぜんたいになうものとしてとらえることである。
 そのうえで、まず支援しえん活動かつどう直接的ちょくせつてきになについてかんがえてみたい。支援しえんしゃ慢性まんせいてき不足ふそくしているぶくは、大学だいがく比較ひかくしてぜん学生がくせいめる障害しょうがい学生がくせい割合わりあいたかい。また、3.でべたように、学生がくせいのみで障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくしうる十分じゅうぶん支援しえんおこなうことは困難こんなんであるとかんがえられる。よって、支援しえん活動かつどう直接的ちょくせつてきになかんしては、学内がくないにとどまらず、学外がくがいからも確保かくほすることが必要ひつようであろう。しかしにちぶくにおいては、もっとおおくの学生がくせい在籍ざいせきする美浜みはまキャンパスをはじめ、障害しょうがい学生がくせい支援しえんにないうる機関きかん人材じんざい大学だいがく周囲しゅういすくないという状況じょうきょうがある。したがって、学外がくがいから支援しえんしゃをどのように確保かくほするかについては検討けんとうしなければならない。今日きょう学内がくないにおいて活発かっぱつっている支援しえんしゃ要請ようせいみを地域ちいきへと展開てんかいし、学外がくがいにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな人材じんざいとう育成いくせいおこなうといったことも、かんがえられるであろう。

(3)支援しえん調整ちょうせい(コーディネート)と費用ひよう負担ふたん
 つぎに、支援しえん調整ちょうせい費用ひよう負担ふたんについてである。個々ここ障害しょうがい支援しえん内容ないようによってことなるが、一般いっぱんに、障害しょうがい学生がくせい支援しえんしょ活動かつどう学外がくがい機関きかん依頼いらいすると、無償むしょうのサービスである場合ばあいのぞいて多額たがく費用ひよう必要ひつようとなる。そこで、大学だいがく学外がくがい機関きかん支援しえん依頼いらいすると、費用ひよう大学だいがく負担ふたんしなければならないという認識にんしきがあるとするならば、それが障害しょうがい学生がくせい支援しえんにな学生がくせいによる無償むしょうのボランティアに限定げんていし、障害しょうがい学生がくせい支援しえん調整ちょうせいすることを障害しょうがい学生がくせい本人ほんにんもとめるひとつの要因よういんともなっていることがかんがえられる。
 しかし、大学だいがく障害しょうがい学生がくせいへの支援しえん調整ちょうせいする責任せきにんうことは、それにかかる費用ひよう負担ふたんする責任せきにんをも同時どうじうことを意味いみするものではない16)。なぜなら、障害しょうがい学生がくせい大学だいがくまなぶことを権利けんりとして認識にんしきし、その権利けんり保障ほしょうする役割やくわりひろ社会しゃかいにあるという立場たちばてば、すべての費用ひよう大学だいがくのみが負担ふたんすることがかならずしも適当てきとうではないとかんがえられるからである。
 よって、障害しょうがい学生がくせい支援しえん必要ひつよう費用ひようについては、それを社会しゃかい役割やくわりとして、公的こうてき負担ふたんしていく仕組しくみを整備せいびすることが必要ひつようであろう。そういった費用ひよう負担ふたん仕組しくしには、大学だいがくは「支援しえん調整ちょうせいける=費用ひようがかかる」という認識にんしきから脱却だっきゃくすることができず、障害しょうがい学生がくせい支援しえん調整ちょうせいする(コーディネートする)ことに積極せっきょくてきになることも困難こんなんであろう。さらに、多数たすう障害しょうがい学生がくせい在籍ざいせきするぶくにおいては、学生がくせいによる無償むしょうのボランティアに依存いぞんした支援しえんから脱却だっきゃくすることもむずかしいであろう。ただしここで、費用ひよう負担ふたん公的こうてきにな仕組しくみの整備せいびが、学生がくせいボランティアに依存いぞんした障害しょうがい学生がくせい支援しえんのなかでされているしょ課題かだい容認ようにん意味いみしないことは、強調きょうちょうしておかなければならない。

おわりに
 ほん報告ほうこくでは、報告ほうこくしゃ在籍ざいせきしていたぶくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん状況じょうきょうがかりとして、学生がくせいボランティアを中心ちゅうしんとした障害しょうがい学生がくせい支援しえん課題かだいについて検討けんとうした。にちぶくにおいては、学生がくせいボランティアによる障害しょうがい学生がくせい支援しえん活発かっぱつおこなわれているが、報告ほうこくしゃはそのなかで様々さまざま課題かだい直面ちょくめんしてきた。それら課題かだいおおくは、支援しえん活動かつどうにな学生がくせいボランティアにかぎられていることにともな課題かだいであったとえる。学生がくせいボランティアのみで障害しょうがい学生がくせい支援しえんになうことには、学生がくせい生活せいかつかかわってしょうじる特有とくゆう困難こんなんがある。そういったなかで、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズを充足じゅうそくしうる支援しえん実現じつげんするには、すべてを学内がくない簡潔かんけつさせるような仕組しくみとどまらず、障害しょうがい学生がくせい支援しえんひろ社会しゃかい役割やくわりらえたうえで、そのありかた検討けんとうし、かく方面ほうめん必要ひつようはたらきかけをおこなっていくことが必要ひつようである。
 最後さいごに、障害しょうがい学生がくせい支援しえんとおしたまなびあい・そだちあいについてふれておきたい。にちぶくにおいては障害しょうがい学生がくせい支援しえんとおしたまなびあい・そだちあいが重視じゅうしされている。そのことによって、すでべたように、障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズがりにされている実態じったいがある。それにして問題もんだいであるのは、そのまなびあいやそだちあいのなかで涵養かんようされるものが、みずか積極せっきょくてき行動こうどうすることによって困難こんなん対応たいおう自己じこ実現じつげんをする、まなおおきボランティア活動かつどう障害しょうがい学生がくせい大学だいがく生活せいかつささえうるといった、きわめて貧困ひんこん自立じりつかん障害しょうがいかんであるということである。そういった自立じりつかん障害しょうがいかんのもとでは、障害しょうがいしゃ直面ちょくめんする様々さまざましょ課題かだい環境かんきょう社会しゃかいてき文化ぶんかてき文脈ぶんみゃくかず、その結果けっか貧困ひんこん自立じりつかん障害しょうがいかんさい生産せいさんされつづけることとなるであろう。最高さいこう学府がくふである大学だいがくから巣立すだった学生がくせいたちは多方面たほうめん活躍かつやく社会しゃかいになっていく。大学だいがくにおける「障害しょうがい」をい、障害しょうがい学生がくせい支援しえん充実じゅうじつさせることによって、障害しょうがい学生がくせい支援しえんけながら自立じりつした大学だいがく生活せいかつおくることのできる環境かんきょう整備せいびすることは、大学だいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえんニーズの充足じゅうそくにとどまらない、おおきな社会しゃかいてき意義いぎゆうするとえよう。

ちゅうおよ文献ぶんけん
1)日本にっぽん学生がくせい支援しえん機構きこう,2008,『平成へいせい19年度ねんど(2007年度ねんど大学だいがく短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこうにおける障害しょうがい学生がくせい修学しゅうがく支援しえんかんする実態じったい調査ちょうさ結果けっか報告ほうこくしょ日本にっぽん学生がくせい支援しえん機構きこう
2)にちぶくは、日本にっぽん学生がくせい支援しえん機構きこうが2006ねん10がつ開始かいしした「障害しょうがい学生がくせい就学しゅうがく支援しえんネットワーク」の拠点きょてんこうとなっている。
3)以下いか参照さんしょう
日本福祉大学にほんふくしだいがく,「ざい学生がくせいすう」,http://www.n-fukushi.ac.jp/01/0103.htm,2009ねん9がつ21にち現在げんざい
日本福祉大学にほんふくしだいがく,「障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンター」,http://www.n-fukushi.ac.jp/shiencenter/index.htm,2009ねん9がつ21にち現在げんざい
4)大学だいがく主催しゅさいのオリエンテーションやガイダンスへの手話しゅわ通訳つうやく派遣はけん必修ひっしゅうのクラスせい科目かもく教科書きょうかしょ点訳てんやくとう一部いちぶ大学だいがく費用ひよう負担ふたんによりおこなわれているものもある。また、障害しょうがい学生がくせい奨学しょうがくきん支給しきゅうというかたちで、障害しょうがいにより学習がくしゅうじょう特別とくべつようした費用ひよう一部いちぶ大学だいがくにな制度せいどもある。
5)日本福祉大学にほんふくしだいがく,「障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンター」,前掲ぜんけい
6)木戸きど利秋としあき,2007,『日本福祉大学にほんふくしだいがく歴史れきしだい10こう(オンデマンド講義こうぎ資料しりょう).
7)おな書籍しょせき点訳てんやくとう依頼いらいする視覚しかく障害しょうがい学生がくせいがいるばあい、分担ぶんたんして学外がくがい団体だんたい依頼いらいすることもあった。
8)スキャナとOCRソフトウェアを活用かつようして自力じりきむ、したしい友人ゆうじん部分ぶぶんてきんでもらうといった対応たいおうをすることもあった。
9)このほかに、ごく少数しょうすうであるが、点訳てんやくとうおこなっても当該とうがい書籍しょせき活用かつよう報告ほうこくしゃにとって有益ゆうえきでないと判断はんだんし、点訳てんやくとう依頼いらいおこなわなかったものがある。
10)例年れいねん200めい以上いじょう学生がくせい障害しょうがい学生がくせい支援しえんセンターにボランティアとして登録とうろくしているほか、ボランティア登録とうろくおこなわずに支援しえん活動かつどうおこなっている学生がくせい非常ひじょうおおい。
11)例年れいねんすべての新入生しんにゅうせい対象たいしょうとして学部がくぶべつおこなわれるオリエンテーションの一環いっかんとして、支援しえんセンターの進行しんこうにより、障害しょうがい学生がくせい支援しえんかんするオリエンテーションがおこなわれている。
12)おな授業じゅぎょう聴覚ちょうかく障害しょうがい学生がくせい複数ふくすう履修りしゅうする場合ばあい、ノートテイクの内容ないようをモニターにうつすシステムを利用りようすることとうにより、かぎられたノートテイカーでノートテイクによる情報じょうほう保障ほしょうおこなうことができる。
13)2003年度ねんどに、にちぶく申請しんせいした「学生がくせいとともにすすめる障害しょうがい学生がくせい支援しえん障害しょうがい学生がくせいとともにぜん学生がくせい成長せいちょうしあう教育きょういくシステム−」が、文部もんぶ科学かがくしょう特色とくしょくある大学だいがく教育きょういく支援しえんプログラム」に採択さいたくされた。
14)青木あおきまき太朗たろう,2007,「大学だいがくにおける障害しょうがい学生がくせい支援しえん現在げんざい――障害しょうがい学生がくせい支援しえん研究けんきゅう実践じっせん整理せいり覚書おぼえがき――」『NIME研究けんきゅう報告ほうこく』33,p.20.
15)同上どうじょう論文ろんぶん,p.21.
16)同上どうじょう

作成さくせい
UP:20090904 REV:20090921
全文ぜんぶん掲載けいさい  ◇障害しょうがい学会がっかいだい6かい大会たいかい  ◇障害しょうがい学会がっかいだい6かい大会たいかい報告ほうこく要旨ようし
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