水俣病みなまたびょう 2020

“水俣病みなまたびょう患者かんじゃ認定にんてい運動うんどうの最前線さいぜんせんで闘たたかった緒方おがたは、なぜ、認定にんてい申請しんせいを取とり下さげ、加害かがい者しゃを赦ゆるしたのか？　水俣病みなまたびょうを「文明ぶんめいの罪つみ」として背負せおい直なおした先さきに浮うかび上あがる真しんの救済きゅうさいを描えがいた伝説でんせつ的てき名著めいちょ、待望たいぼうの文庫ぶんこ化か。”（https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309417844/）

“石牟礼いしむれ道子みちこさんの懇望こんぼうを受うけて、色川いろかわ大吉だいきち先生せんせいが「不知火しらぬい海かい総合そうごう学術がくじゅつ調査ちょうさ団だん」を結成けっせいされたのは、1976年ねん春はる。以来いらい、10年ねんの長ながきにわたり、各界かくかいの第一人者だいいちにんしゃともいうべき研究けんきゅう者しゃたちが不定期ふていきで水俣みなまたを訪おとずれ、その実態じったいを各かく方面ほうめんから調査ちょうさしていった。色川いろかわ先生せんせいは民衆みんしゅう史しの掘ほり起おこしをメインとされ、地元じもとの古老ころうや語かたり部べを何なん度どとなく訪問ほうもん、き取きとりを行おこない、それらの調査ちょうさ結果けっかを大学だいがくの紀要きようや学会がっかい誌しなどに発表はっぴょうした。それらのうち、いまでは入手にゅうしゅ困難こんなんな論考ろんこうを集成しゅうせいしたものが本書ほんしょである。40年ねん以上いじょうの月日つきひを経へても古ふるびない情熱じょうねつを帯おびた論考ろんこうに、混沌こんとんとした21世紀せいきの地平ちへいから学まなぶべき点てんは非常ひじょうに多おおい。”
“不知火しらぬい海かい民衆みんしゅう史し、ここに完結かんけつ――。 「不知火しらぬい海かい総合そうごう学術がくじゅつ調査ちょうさ団だん」の団長だんちょうとして不知火しらぬひ海うみ沿岸えんがんを調査ちょうさ。その成果せいかとして著あらわされた、水俣病みなまたびょう関連かんれんの入手にゅうしゅ困難こんなんな論考ろんこうを網羅もうら。『水俣みなまたの啓示けいじ』を補完ほかんする論説ろんせつ篇へん。総論そうろん的てき位置いちづけ。”

“不知火しらぬい海かい民衆みんしゅう史し、ここに有終ゆうしゅう――。 画期的かっきてき共同きょうどう研究けんきゅう『水俣みなまたの啓示けいじ』収載しゅうさいの「不知火しらぬい海かい民衆みんしゅう史し序説じょせつ」の元もととなった、不知火しらぬい海かい沿岸えんがんでの古老ころうたちへのききを集成しゅうせい。渚なぎさの語かたらいがよみがえるきき篇へん。各論かくろん的てき位置いちづけ。”

“橙だいだい書店しょてん発行はっこうの文芸ぶんげい誌し10号ごうです。10号ごうの区切くぎりとして、渡辺わたなべ京きょう二にさんが「『アルテリ』創刊そうかん始末しまつ」を書かいてくださいました。他たには、谷川たにがわ俊太郎しゅんたろうさんと石牟礼いしむれ道子みちこさんの空想くうそうの対たい詩し、石牟礼いしむれ道子みちこさんの「苦海くかい浄土じょうど」刊行かんこう直後ちょくごのインタビュー、初はつ登場とうじょうの岡田おかだ利とし規ただしさん、黒田くろだ征ただし太郎たろうさんのぬり絵えなどなど・・もりだくさん。もちろん、コロナ禍かであることも影響えいきょうしての一いち冊さつとなりました。ぬり絵えはぜひ切きり取とってお楽たのしみください。”

“九州きゅうしゅうはなぜ「こう」なのか。彼女かのじょら彼かれらはどのように抵抗ていこうし、反撥はんぱつしてきたのか。鹿児島かごしまの西南せいなん戦争せんそうを起点きてんに、水俣みなまた裁判さいばん、サークル村むら、筑豊ちくほう炭鉱たんこう、米べい騒動そうどう、はては神話しんわ世界せかいへと国道こくどう3号線ごうせんを北上ほくじょうしながら、国家こっかに抗あらがう民衆みんしゅうの諸相しょそうを描えがく地誌ちし的てき思想しそう史し。宮崎みやざき八郎はちろう、宮崎みやざき滔天とうてん、石牟礼いしむれ道子みちこ、緒方おがた正人まさと、谷川たにがわ雁かり、火野ひの葦平あしへいらの群像ぐんぞうから、《思想しそう／運動うんどうとしての九州きゅうしゅう》が浮上ふじょうする。”

“3月がつ13日にち、福岡ふくおか高裁こうさいで水俣病みなまたびょう「史上しじょう最悪さいあく」の判決はんけつがあった。胎児たいじ・幼児ようじ期き世代せだい8人にんによる水俣病みなまたびょう認定にんてい訴訟そしょうで「メチル水銀すいぎん曝露ばくろとの因果いんが関係かんけいは明あきらかではない」として8人にん全員ぜんいんの申請しんせいが棄却ききゃくされたのである。いったい水俣病みなまたびょうとは何なになのか。本書ほんしょでは水俣病みなまたびょう事件じけんがかかえる様々さまざまな問題もんだいの最前線さいぜんせんを紹介しょうかいする。”（https://genshobo.com/archives/9728）

“1956年ねんに公式こうしき発見はっけんされた水俣病みなまたびょう。その被害ひがいは、権力けんりょく構造こうぞうがからむ“社会しゃかい的てき食物しょくもつ連鎖れんさ”のなかで、漁業ぎょぎょうや漁民ぎょみんに向むかって濃縮のうしゅくされ続つづけてきた。現場げんばで自みずから調査ちょうさ・実証じっしょう研究けんきゅうを重かさねて実態じったいを明あきらかにし、その実態じったいを隠蔽いんぺいし再さい生産せいさんし続つづける権力けんりょく構造こうぞうをも分析ぶんせきする。水俣病みなまたびょうに関かんする政策せいさくの問題もんだい点てんを突つき、あるべき改革かいかくを提示ていじする野心作やしんさく。”

“〈水俣病みなまたびょう〉救済きゅうさい制度せいどの正体しょうたいをあぶり出だす資料しりょう193点てん。ひとりの男性だんせい（Y氏し、1980年ねん死去しきょ）が、1974年ねんに水俣病みなまたびょう認定にんてい申請しんせい、さらに1979年ねんの申請しんせい棄却ききゃく処分しょぶんからその棄却ききゃく処分しょぶん取消とりけしを求もとめて、行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさを請求せいきゅうした。｜1999年ねんに環境庁かんきょうちょうと熊本くまもと県けんから水俣病みなまたびょうと認定にんていされるまでの経過けいかと真相しんそう、責任せきにんの所在しょざいを明あきらかにする。従来じゅうらい、ブラックボックスとなっていたY氏しの審理しんりに関かんする環境庁かんきょうちょうと熊本くまもと県けんのやりとりを示しめす内部ないぶ資料しりょう(申入もうしいれ書しょ、診断しんだん書しょ、弁明べんめい書しょ、裁決さいけつ書しょ等とう)をすべて収録しゅうろく。1999年ねん1月がつ19日にち「環境庁かんきょうちょうは水俣病みなまたびょうをめぐる男性だんせいの行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさ請求せいきゅうにおいて、水俣病みなまたびょうと認みとめる裁決さいけつを遺族いぞくに交付こうふせず放置ほうちしていた」と報ほうじた新聞しんぶん記事きじがなければ政治せいじ決着けっちゃくの流ながれの中なかで、闇やみの中なかへ葬ほうむり去さられたままだった裁決さいけつ放置ほうち事件じけんを、いま再ふたたび問とい直なおす。誰だれのための救済きゅうさい制度せいどなのか。”（https://genshobo.com/archives/9459）

“国家こっか権力けんりょくや大だい企業きぎょうと闘たたかった水俣病みなまたびょう患者かんじゃの言葉ことばは、人ひとには狂くるわねばならない時ときがあるということを教おしえてくれた。｜「狂くるう」ことがことごとく排除はいじょされてしまう時代じだいだからこそ、狂くるうことを恐おそれなかった人ひとたちに憧あこがれを抱いだくのかもしれない。｜狂くるうことを恐おそれなかった人ひとたちが、また一人ひとり、また一人ひとりと、いなくなっていく。”（p.108）

“水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃの福祉ふくし救済きゅうさい施策しさくを研究けんきゅうする東京とうきょう大だい大学院だいがくいんの野澤のざわ淳史あつし・教育きょういく学がく研究けんきゅう員いん（39）＝社会しゃかい学がく＝が、新著しんちょ「胎児たいじ性せい水俣病みなまたびょう患者かんじゃたちはどう生いきていくか〈被害ひがいと障害しょうがい〉〈補償ほしょうと福祉ふくし〉の間あいだを問とう」＝写真しゃしん＝を出版しゅっぱんした。胎児たいじ性せい患者かんじゃらの生活せいかつを取とり巻まく課題かだいと補償ほしょう制度せいどの問題もんだい点てんを読よみ解といている。”／“野澤のざわ氏しは「『被害ひがいと障害しょうがい』『補償ほしょうと福祉ふくし』の境界きょうかいを厳密げんみつにしにくい問題もんだいは、発達はったつ障害しょうがいや学習がくしゅう障害しょうがいなどにも通つうじ、日常にちじょうの優生ゆうせい思想しそうも過去かこの問題もんだいではない」と水俣病みなまたびょうから学まなぶ意義いぎを強調きょうちょうしている。”

“熊本くまもと市しのくすのきクリニックの板井いたい八重子やえこ院長いんちょうが、84年ねんに茂しげ道地どうち区くと津奈木つなぎ町まち赤崎あかさき地区ちくの成人せいじん女性じょせいを対象たいしょうにしたき取きとり調査ちょうさで、不知火しらぬい海かい沿岸えんがんのメチル水銀すいぎんの濃厚のうこう汚染おせん時期じき（56〜68年ねん）に死産しざん・流産りゅうざんとなった異常いじょう妊娠にんしん率りつが高たかかったことを紹介しょうかい。”

“水俣病みなまたびょう患者かんじゃの渡辺わたなべ栄一えいいちさん（68）＝水俣みなまた市し＝が24日にち、原因げんいん企業きぎょうチッソとの補償ほしょう協定きょうていに基もとづく補償ほしょうランクが上あがったと明あきらかにした。支援しえん者しゃは、ランク変更へんこうによる増額ぞうがくが認みとめられない患者かんじゃがいる現状げんじょうを踏ふまえ、「病状びょうじょうに応おうじた変更へんこうは患者かんじゃの権利けんりだ」と強調きょうちょうした。”／“支援しえん者しゃの会かいは、他たの2人ふたりのランク変更へんこうも支援しえん。加藤かとうタケ子たけこ事務じむ局長きょくちょう（70）は「水俣病みなまたびょうは認定にんていされて終おわりじゃないと知しってほしい」と訴うったえた。似にたような症状しょうじょうで認みとめられないケースもあるとして、同委どういに対たいし、「判断はんだん基準きじゅんを示しめすべきだ」と求もとめた。”

“水俣病みなまたびょうの患者かんじゃ認定にんていを巡めぐる国くにの公害こうがい健康けんこう被害ひがい補償ほしょう不服ふふく審査しんさ会かいの口頭こうとう審理しんりが23日にち、熊本くまもと市しであり、審査しんさ請求せいきゅうした水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ互助ごじょ会かいの緒方おがた博文ひろぶみさん（63）＝水俣みなまた市し＝が汚染おせんされた魚さかなを多食たしょくしたかどうかについて、緒方おがたさん側がわと認定にんてい申請しんせいを棄却ききゃくした熊本くまもと県けんがそれぞれ主張しゅちょうした。”

“被験者ひけんしゃのうち7割わりにしか異常いじょうが検出けんしゅつできていない精度せいど不足ふそくや、医療いりょう機器ききで計測けいそくされたデータのみで診断しんだんしようとする姿勢しせいを踏ふまえ「客観きゃっかん性せいを盾たてにとることで、公衆こうしゅう衛生えいせい学がくに必要ひつようとされる調査ちょうさを、事実じじつ上じょう入いり口くちで拒否きょひしている」と指摘してき。主観しゅかん的てきな自覚じかく症状しょうじょうも含ふくめ、汚染おせん魚介ぎょかいの摂食せっしょく状況じょうきょうや他た原因げんいんの健康けんこう障害しょうがいなどの調査ちょうさを多数たすう例れいで実施じっしすることで、客観きゃっかん的てきに健康けんこう影響えいきょうを解明かいめいすることは可能かのうという。”

“水俣病みなまたびょうの胎児たいじ性せい患者かんじゃらと世代せだいが重かさなる水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ互助ごじょ会かいの7人にんが行政ぎょうせいによる患者かんじゃ認定にんていを求もとめた訴訟そしょうは21日にち、熊本くまもと地裁ちさいで被告ひこく側がわ証人しょうにんの尋問じんもんがあり、熊本くまもと県けん公害こうがい健康けんこう被害ひがい認定にんてい審査しんさ会かいの委員いいんと県けん幹部かんぶが審査しんさ会かいや検診けんしんの正当せいとう性せいを主張しゅちょうした。”

“ずっと封ふうじ込こめていた水俣みなまたの記憶きおく。40年余ねんよの歳月さいげつを経へて、語かたり始はじめた女性じょせいがいる。故こ・石牟礼いしむれ道子みちこさんの「苦海くかい浄土じょうど　わが水俣病みなまたびょう」を読よんだのは大学生だいがくせいの時とき。水俣病みなまたびょうが伝染でんせん病びょうだと恐おそれられていた当初とうしょ、商店しょうてんで小銭こぜにを受うけ取とってもらえなかった、恨うらみの言葉ことばがつづられていた。お金かねを受うけ取とらなかったのは母ははの店みせだ。知しらなかった――。”

“水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ救済きゅうさい法ほう（特措法とくそほう）に基もとづく国くにによる健康けんこう調査ちょうさに向むけ、国立こくりつ水俣病みなまたびょう総合そうごう研究けんきゅうセンター（国くに水すい研とげ、熊本くまもと県けん水俣みなまた市し）が取とり組くんでいる水俣病みなまたびょうの「客観きゃっかん的てきな診断しんだん法ほう」についての研究けんきゅう報告ほうこく会かいが11日にち、同市どうしであった。参加さんかした患者かんじゃ・被害ひがい者しゃ団体だんたいが「手法しゅほう確立かくりつ」の時期じき的てきなめどをただしたが、研究けんきゅう者しゃは明言めいげんしなかった。”／“この研究けんきゅうをめぐっては、患者かんじゃ側がわや水俣病みなまたびょうを研究けんきゅうしてきた医師いしらから「被験者ひけんしゃが（厳きびしい基準きじゅんのもとで認定にんていされた）『患者かんじゃ』に限かぎられており、広範こうはんな被害ひがいの切きり捨すてにつながる」「1人ひとりあたりの検査けんさ時間じかんが長ながく、大だい規模きぼ調査ちょうさに向むかない」との批判ひはんもある。”

“沿岸えんがん住民じゅうみんの健康けんこう調査ちょうさ実施じっしを求もとめてきた水俣病みなまたびょうの患者かんじゃ・被害ひがい者しゃ団体だんたいの関係かんけい者しゃらが参加さんかし、「手法しゅほう」の研究けんきゅうについての質問しつもんが相次あいついだ。”／“中山なかやま事務じむ局長きょくちょうは被害ひがい者しゃの高齢こうれい化かという実情じつじょうを踏ふまえて訴うったえた。「毎年まいとしこの地域ちいき（鹿児島かごしまを含ふくむ）では5千せん人にんの方ほうが亡なくなってなっており、そのことを本気ほんきで考かんがえていただかないと手遅ておくれになる」”

“水俣病みなまたびょうをめぐって国くにが実施じっしすることになっている水俣みなまた湾わん周辺しゅうへんの住民じゅうみんの健康けんこう調査ちょうさについて、国くにの研究けんきゅう機関きかんが、現在げんざい、開発かいはつ中ちゅうの検査けんさ方法ほうほうで7割わり余あまりの患者かんじゃの異常いじょうを確認かくにんできたと報告ほうこくしました。一方いっぽう、健康けんこう調査ちょうさの実施じっし時期じきなどは示しめされず、患者かんじゃ団体だんたいからは住民じゅうみんが高齢こうれい化かする中なか、開発かいはつを急いそぐよう求もとめる声こえが相次あいつぎました。”

“水俣病みなまたびょう被害ひがいの補償ほしょうを求もとめ続つづけた不知火しらぬひ海うみ沿岸えんがん出身しゅっしんのリーダーが、相次あいつぎ鬼籍きせきに入はいった。会員かいいん4千せん人にんを擁ようした被害ひがい者しゃ団体だんたい「水俣病みなまたびょう出水しゅっすいの会かい」会長かいちょうの尾上おがみ利夫としおさん＝享年きょうねん82。国くに、熊本くまもと県けん、原因げんいん企業きぎょうチッソの責任せきにんを明確めいかくにした「水俣病みなまたびょう関西かんさい訴訟そしょう」元もと原告げんこく団長だんちょうの川上かわかみ敏行としゆきさん＝享年きょうねん96。2人ふたりはそれぞれ「交渉こうしょう」と「訴訟そしょう」という異ことなる手法しゅほうで道みちを開ひらいた。”／“一徹いってつに訴訟そしょうを貫つらぬいた川上かわかみさん。あらゆるものを受容じゅようし、「実み」を追求ついきゅうした尾上おがみさん。理りと情じょう、とでも表現ひょうげんしようか。公式こうしき確認かくにんから64年ねんが経過けいかした水俣病みなまたびょう。2人ふたりの運動うんどうが相あいまって、この時期じきの被害ひがい救済きゅうさいを前進ぜんしんさせたと言いえる。”

“同どう研究けんきゅう会かいの医師いしらは今年ことし1月がつにも撤回てっかいを求もとめたが、まだ回答かいとうがないという。この日ひ会見かいけんした高岡たかおか滋しげる医師いし（協きょう立たてクリニック）は「会員かいいんの意見いけんを聴きかないまま出だされたもので、実際じっさいの患者かんじゃさんを診みて観察かんさつした事実じじつに基もとづいた見解けんかいが出だされていない」と批判ひはんした。｜オンラインで会見かいけんに参加さんかした同どう研究けんきゅう会かい代表だいひょうの門かど祐輔ゆうすけ医師いし（京都きょうと協きょう立たて病院びょういん）は「事実じじつに基もとづくのが科学かがくの出発しゅっぱつ点てん。診察しんさつをして事実じじつに基もとづいた見解けんかいではなく、撤回てっかいしていただかないと問題もんだいが残のこる。きちっと答こたえていただきたい」と述のべた。”

“会かいは1970年ねん6月がつ28日にち、東京とうきょう大だい工学部こうがくぶの大だい規模きぼ教室きょうしつに数すう百ひゃく人にんを集あつめて発足ほっそく。故こ川本かわもと輝夫てるおさんらが取とり組くんだ原因げんいん企業きぎょうチッソとの自主じしゅ交渉こうしょうや、その後ごの法廷ほうてい闘争とうそうなどを裏方うらかたとして支ささえ、現在げんざいも季刊きかん誌しの発行はっこうや水俣みなまたとの交流こうりゅうを続つづけている。”

“川上かわかみさんは1973年ねんに熊本くまもと県けんに最初さいしょの患者かんじゃ認定にんてい申請しんせいをしてから認定にんていを受うけるまで、80年代ねんだいに提訴ていそした関西かんさい訴訟そしょうでの勝訴しょうそを挟はさんで38年ねんもの歳月さいげつを要ようした。95年ねんの被害ひがい者しゃ救済きゅうさい策さく「最初さいしょの政治せいじ決着けっちゃく」に応おうじなかったのは、行政ぎょうせいの責任せきにんのあいまいさに加くわえ、認定にんてい患者かんじゃと被害ひがい者しゃとに「分断ぶんだん」されることに危機きき感かんを抱だいたためだったと、取材しゅざいで明あかした。「水俣病みなまたびょうは一ひとつ」との信念しんねんからだった。”

“水俣病みなまたびょう、三池みいけ争議そうぎ、エンタープライズ闘争とうそう−。｜激動げきどうの戦後せんご史しに刻きざまれた九州きゅうしゅうの出来事できごとを、西日本にしにほん新聞しんぶんのOBと現役げんえき記者きしゃが取材しゅざい体験たいけんを基もとに振ふり返かえる書籍しょせき「現場げんば」が刊行かんこうされた。参加さんかした47人にんは時ときに改あらためて現場げんばを訪おとずれ、再さい取材しゅざいを重かさねて「時代じだいの証言しょうげん」をつづった。”

“「原因げんいん不明ふめいの脳のう疾患しっかん患者かんじゃの発生はっせい」−。後ごに水俣病みなまたびょう公式こうしき確認かくにんとなる第一報だいいっぽうを保健所ほけんじょに届とどけたチッソ付属ふぞく病院びょういん長ちょう、細川ほそかわ一はじめ（はじめ）氏し（1901〜70）の死去しきょから半はん世紀せいき。患者かんじゃ家族かぞくが原因げんいん企業きぎょうチッソに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた裁判さいばんでの証言しょうげんは、曖昧あいまいにされようとした企業きぎょうの責任せきにんを明確めいかくにした。会社かいしゃ側がわでありながら、あえて不利ふりな証言しょうげんをした細川ほそかわ氏し。当時とうじの原告げんこく側がわ弁護べんご団だんが、あらためてその意義いぎを振ふり返かえった。”／“馬うま奈木弁護士べんごしは言いう。「細川ほそかわ先生せんせいが一ひとつ一ひとつ積つみ重かさねたように、行政ぎょうせいは今いまからでも不知火しらぬい海かいの魚さかなの回遊かいゆう実態じったいや流通りゅうつう経路けいろの把握はあくを進すすめ、住民じゅうみんの健康けんこう調査ちょうさをするべきだ」”

“歴史れきし家かで東京経済大学とうきょうけいざいだいがく名誉めいよ教授きょうじゅの色川いろかわ大吉だいきちさん（95）が、水俣病みなまたびょう研究けんきゅうの集大成しゅうたいせいとして「不知火しらぬひ（しらぬい）海うみ（かい）民衆みんしゅう史し」（揺籃ようらん（ようらん）社しゃ）を自費じひ出版しゅっぱんした。10年ねんに及およんだ水俣みなまた通がよい。そのきっかけは、作家さっかの故こ・石牟礼いしむれ道子みちこさんの涙なみだだった。”

“水俣病みなまたびょう被害ひがいの救済きゅうさい範囲はんいを広ひろげる判断はんだんが示しめされた関西かんさい訴訟そしょうの関連かんれん資料しりょうが熊本大くまもとだいに寄贈きぞうされることになり、保管ほかんしてきた研究けんきゅうグループとの間あいだで覚書おぼえがきが交かわされた。来年らいねん5月がつごろまでに熊本大くまもとだいに贈おくられ、整理せいりを終おえたものから順次じゅんじ公開こうかいされる。”

“佐藤さとう英樹ひでき原告げんこく団長だんちょう（65）＝水俣みなまた市し＝は「最高裁さいこうさいは過去かこにも、患者かんじゃ救済きゅうさいの門戸もんこを広ひろげる判断はんだんをしている。被害ひがい者しゃの現状げんじょうや医学いがく者しゃの経験けいけんを無視むしした二に審しん判決はんけつを覆くつがえしてくれると信しんじたい」と話はなした。”

“アジアやアフリカなどの発展はってん途上とじょう国こくは経済けいざい的てきな豊ゆたかさを求もとめ、工業こうぎょう化かを進すすめている。だが、規制きせいが緩ゆるいと環境かんきょうへの負荷ふかが高たかまり、国民こくみんの健康けんこうに影響えいきょうを及およぼしかねない。こうした国々くにぐにに対たいし、高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きに公害こうがい病びょうが相次あいついだ日本にっぽんが貢献こうけんできることの一ひとつが、有害ゆうがいな水銀すいぎんの規制きせいだ。関係かんけい機関きかんの施策しさくのみならず、公害こうがい病びょうの被害ひがい者しゃが自みずから惨禍さんかを訴うったえ、途上とじょう国こくの関係かんけい者しゃへの啓発けいはつに努つとめている。”

“水俣病みなまたびょう患者かんじゃの辛苦しんくと命いのちの尊厳そんげんを表現ひょうげんする一人ひとり芝居しばいで全国ぜんこくを行脚あんぎゃした、舞台ぶたい俳優はいゆうの故こ・砂田すなだ明あきらさん（1928〜93）の50年ねん前まえの日記にっきが見みつかった。集会しゅうかいや舞台ぶたいで朗読ろうどくした詩し「起おこり（た）ちなはれ」の原点げんてんがつづられていた。｜砂田すなださんは京都きょうと生うまれ。10代で上京じょうきょうして新しん劇界げきかいに入はいり、劇団げきだん・地球ちきゅう座ざを設立せつりつ。水俣病みなまたびょう患者かんじゃの生せいの尊厳そんげんを描えがいた作家さっかの故こ・石牟礼いしむれ道子みちこさんの「苦海くかい浄土じょうど（くがいじょうど）」（69年ねん）に衝撃しょうげきを受うけて患者かんじゃの支援しえんに身みを投とうじ、苦海くかい浄土じょうどをもとに創作そうさくした一人ひとり芝居しばい「天てんの魚さかな（いを）」で水俣病みなまたびょうを世よに問とうた。”

“水俣病みなまたびょうの患者かんじゃ・被害ひがい者しゃ団体だんたいなどでつくる「水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ・支援しえん者しゃ連絡れんらく会かい」は13日にち、施行しこうから11年ねんが過すぎた水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ救済きゅうさい法ほう（特措法とくそほう）に基もとづく住民じゅうみんの健康けんこう調査ちょうさについて、実施じっし時期じきや調査ちょうさのための「手法しゅほうの開発かいはつ」の内容ないようなどを問とう小泉こいずみ進すすむ次郎じろう環境かんきょう相しょうあての質問しつもん状じょうを郵送ゆうそうした。同日どうじつ、熊本くまもと県けん水俣みなまた市しで記者きしゃ会見かいけんを開ひらいて明あきらかにした。”／“同どう連絡れんらく会かいは会見かいけんで、健康けんこう調査ちょうさを直ただちに実施じっしするよう求もとめる声明せいめいも発表はっぴょう。声明せいめいでは「客観きゃっかん的てき診断しんだん手法しゅほう」について、「限定げんていされた一部いちぶ水俣病みなまたびょう認定にんてい患者かんじゃの研究けんきゅうをもって、『水俣病みなまたびょうを含ふくむメチル水銀すいぎん中毒ちゅうどくの客観きゃっかん的てきな診断しんだん方法ほうほう』とすることは、水俣病みなまたびょうの病態びょうたいからかけ離はなれたものにならざるを得えず『木きをみて森もりをみず』のそしりを免まぬかれることはできない」と批判ひはん。「新あらたに水俣病みなまたびょうの診断しんだん基準きじゅんに加くわえることなど到底とうてい許ゆるされるものではない」と主張しゅちょうしている。”

“水俣病みなまたびょう被害ひがい者しゃ・支援しえん者しゃ連絡れんらく会かいは13日にち、国くにに対たいし、水俣病みなまたびょう特措法とくそほうが定さだめた住民じゅうみん健康けんこう調査ちょうさの実施じっし時期じきや対象たいしょうなどを明確めいかくにするよう求もとめ、熊本くまもと県けん水俣みなまた市しで記者きしゃ会見かいけんした。｜小泉こいずみ進すすむ次郎じろう環境かんきょう相しょうが9月、今後こんご1〜2年ねんをめどに、健康けんこう調査ちょうさに用もちいる診断しんだん方法ほうほうの有効ゆうこう性せいを判断はんだんすると公表こうひょう。連絡れんらく会かいは「診断しんだん法ほうのめどが立たつなら、調査ちょうさ内容ないようも具体ぐたい的てきに検討けんとうされているはずだ」とし、詳細しょうさいを［…］”

“米国べいこくの写真しゃしん家かユージン・スミスさんとともに、1970年代ねんだいに熊本くまもと県けん水俣みなまた市しで活動かつどうし水俣病みなまたびょうを世界せかいに伝つたえた妻つまのアイリーン・美緒子みおこ・スミスさん（70）が3日にち、新潟にいがた市しで講演こうえんし、被害ひがい救済きゅうさいが進すすまない現状げんじょうを踏ふまえ「水俣病みなまたびょうは今いまが正念場しょうねんば。何なに十じゅう年ねんも前まえの影響えいきょうが今いまも続つづいていることを伝つたえなければいけない」と訴うったえた。”

“メチル水銀すいぎんで海うみが汚染おせんされ、水俣病みなまたびょうが発生はっせいした熊本くまもと県けん水俣みなまた市しに、40年ねん前まえに移うつり住すんだ。水銀すいぎん分析ぶんせきで精力せいりょく的てきな国際こくさい貢献こうけんを続つづけ、世界せかい的てき権威けんいと称しょうされたが、真実しんじつ追究ついきゅうのためには権威けんいをものともしない信念しんねんの人ひとだった。”

“　20日はつかに開館かいかんした県けんの「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい・原子力げんしりょく災害さいがい伝承でんしょう館かん」（双葉ふたば町まち）が語かたり部べに「特定とくていの団体だんたい」への批判ひはんなどを禁止きんししている。対象たいしょうは事故じこを起おこした東京電力とうきょうでんりょくや、防ふせげなかった国くにも含ふくまれるといい、同おなじように被害ひがい体験たいけんを語かたる各地かくちの語かたり部べにはどう映うつるのか。”

“小泉こいずみ進すすむ次郎じろう環境かんきょう相しょうは11日にちの閣議かくぎ後ご記者きしゃ会見かいけんで、水俣病みなまたびょう患者かんじゃの客観きゃっかん的てき診断しんだん方法ほうほうの開発かいはつについて今後こんご1〜2年ねんをめどに検討けんとうを行おこなう方針ほうしんを明あきらかにした。”／“公おおやけ健けん法ほうの患者かんじゃ認定にんていを得えるには、原則げんそく複数ふくすうの症状しょうじょうが必要ひつよう。また、メチル水銀すいぎん摂取せっしゅの客観きゃっかん的てきな裏付うらづけを求もとめられるなど、認定にんていのハードルが高たかいと指摘してきされてきた。このため、患者かんじゃや被害ひがい者しゃ団体だんたいは認定にんてい基準きじゅんの見直みなおしや被害ひがい全容ぜんようの解明かいめいを求もとめ、被害ひがい地域ちいきに居住きょじゅう歴れきのある住民じゅうみんらへの健康けんこう調査ちょうさを訴うったえてきた。”