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精神外科:ロボトミー…
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精神せいしん外科げか:ロボトミー…

精神せいしん障害しょうがい精神せいしん医療いりょう 

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つくはじめたばかりのぺーじです。しかし桐原きりはらさいろく貴重きちょう記録きろくにリンクされています。

ロボトミーについての言説げんせつ植村うえむらさくべつぺーじ)*
*このぺーじとどうけて、わせいくかはこれからかんがえます。

広告こうこく

『造反有理――精神医療現代史へ』表紙立岩たていわ しん也 2013/12/10 造反ぞうはん有理ゆうり――精神せいしん医療いりょう現代げんだいへ』青土おうづちしゃ,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

だいしょう 各種かくしゅ療法りょうほう、とくにロボトミーにたいするおそくになされた批判ひはん
  […]
 6 ロボトミー事件じけん裁判さいばん――概略がいりゃく
 7 (1)きたぜん病院びょういんロボトミー訴訟そしょう札幌さっぽろロボトミー事件じけん
 8 (2)名古屋なごやMロボトミー事件じけん
 9 (3)横手よこてきょうせい病院びょういんロボトミー事件じけん
 10 (4)弘前ひろさきロボトミー裁判さいばん
 11 ロボトミー殺人さつじん事件じけん
 12 ようやくこのときになされたこと

『現代思想』39-18(2011-12)表紙立岩たていわ しん也 2011/12/01 「社会しゃかいさき・14――連載れんさい 73」,『現代げんだい思想しそう』39-18(2011-12):22-33 資料しりょう
 臨時りんじ増刊ぞうかんごうとここすうかいについて▽3)補足ほそく横手よこてきょうせい病院びょういん事件じけんぜんきょう▽4)弘前ひろさきロボトミー裁判さいばんロボトミー殺人さつじん事件じけん
『現代思想』39-13(2011-9)表紙立岩たていわ しん也 2011/09/01 「社会しゃかいさき・11――連載れんさい 70」,現代げんだい思想しそう』39-13(2011-9):34-45 資料しりょう
 各種かくしゅ療法りょうほう/インシュリン療法りょうほうその経済けいざい/ロボトミー/不確ふたしかなかずとそのころ様子ようす
『生存学』3 表紙立岩たていわ しん也・天田あまだ しろかい 2011/03/25 生存せいぞん技法ぎほう生存せいぞんがく技法ぎほう――障害しょうがい社会しゃかい、その彼我ひが現代げんだい・1」生存せいぞんがく』3:6-90

*おおくりできます。天田あまだ論文ろんぶん(↓)収録しゅうろく『「ことなり」の力学りきがく――マイノリティをめぐる研究けんきゅう方法ほうほう実践じっせんてき課題かだい一緒いっしょでも(この場合ばあい1800+送料そうりょう実費じっぴ)。→生存せいぞんがく』3

「◇ロボトミー・安楽あんらく
立岩たていわ では、そういうひとたちをどう時代じだいきてきたはずのひと本当ほんとうっているかというとそうでもない。たとえば、たいひろしというのは、あるひとたちにとっては「ロボトミーやったわるやつわり」ということだったわけ。ぼくはそっちのほうにいたからわるやつって、とにかくそうだったんです。んだことない。非常ひじょう勉強べんきょうだったわけです。だからといって、いまちあげようとかそうはおもっていませんが、ただあらためてかれなな年代ねんだいいたものとかんでみると、とくに面白おもしろくはないんだけど、でもこのひとはこういうところにいて、こういうことをっていたんだなとかそういうことはいろいろわかるんですよね。そういう意味いみひと焦点しょうてんてるというのは、これからの研究けんきゅうとしてはけっこうありかなとおもっています。
天田あまだ だれかが調しらべてくれればいいなとおもうんですが、たいひろのロボトミーってはなしはそれこそむかし小澤おざわいさおほんでもたくさんてくるわけですよね(小澤おざわ[1974])。だけど、ロボトミー自体じたいがそもそも日本にっぽんでどのように「問題もんだい」になってきたのか、だれがどういう脈絡みゃくらくなか批判ひはんしていったのかというのはよくわからないんです。そもそもロボトミーがどのぐらいおこなわれていたのかもわからない。海外かいがいのことはもっとわかっていない。ちょっと調しらべてみましたが、いちきゅうさん年代ねんだいソ連それんにおいて心理しんりテストやロボトミーがどのように禁止きんしされていったのかなどについても資料しりょうはほとんどない(天田あまだ[2010c])。
 あるいは彼我ひがにおけるはん精神せいしん医学いがくと「ロボトミー問題もんだい」の関係かんけいはどうなのか。たとえば、クーパーはロボトミーの問題もんだいたいするつよ関心かんしんというか、それへの批判ひはんてき感覚かんかくがもともとあったとう。そうすると、「はん精神せいしん医学いがく」「精神せいしん医療いりょう批判ひはん」と「ロボトミー問題もんだい」ってやはりどっかでつながっている。イコールではないですけれども、つながっている。もちろん、その言説げんせつでは「病気びょうき社会しゃかいによってつくられる」みたいな「原因げんいんろん」がその主張しゅちょうのようにおもわれていきますから、一見いっけんすると、つながってないようにえますが、やはりどこかでつながっているのだろうとおもう。そんなことが調しらべられてよいとおもう。
立岩たていわ わからないですよね。だれがどこで、どのくらいやってたか、やられていたか、わからない。こちらの院生いんせいであり、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく教員きょういんでもあるすえあん民生たみおさん(近刊きんかん日本にっぽん精神せいしん看護かんご技術ぎじゅつ協会きょうかいすえやす民生みんせい[2010])は松沢まつざわ病院びょういんにもながくいたほうです。こん各地かくち精神せいしん病院びょういんをまわってふるひとはなしいてまわっているんですよ。それすごい面白おもしろいらしくて、このあいだ名古屋なごやかどこかの病院びょういんさん〇〇れいぐらいロボトミーをやっていた、そういうところがあるんだってみたいな。そこでやっていたひとっているわけだし、関係かんけいしゃっているんでしょうけども、そういうことがられてないです。
 全体ぜんたいとして、どこでどれだけやっていたのかはわかりようがない。わかりようがないんだけども、個別こべつにどこそこでいついつどれどれ、どんなかんじでやっていたかはある程度ていどわかるじゃないですか、断片だんぺんてきであっても。そのレベルでもうすこ事実じじつ解明かいめいされてもいい。言説げんせつにおいてロボトミーというのはどうあつかわれてきたのかということも。ぼくどう学年がくねんヤ島次郎じろうさん(著書ちょしょにヤ島[2001]とう)はしばらくまえから関心かんしんっているけども、はどうなんでしょうね。あと電気でんきショックのことも。京都きょうと文教大学ぶんきょうだいがく教員きょういんでこちらの修了しゅうりょうしゃでもある吉村よしむらさんの、このごろのより「ソフト」なかたちでのこの技術ぎじゅつ行使こうしについての論文ろんぶん吉村よしむら[2007])が貴重きちょうなものとしてありますが。
 よくわからないとえば、ナチスの安楽あんらくっていうか大量たいりょう殺人さつじんがあるでしょ。
 […]
立岩たていわ それは、さっきみたいななかくらいあるいは大変たいへん有名人ゆうめいじん言説げんせつっかけるのにくらべるとずっとむずかしい。素材そざいがね。だけどやりようがあるのであればね。
天田あまだ 素材そざいをきちんと調理ちょうりしないといけませんので。だけど、ロボトミー全体ぜんたいというよりはロボトミーにかかわったとされるたいひろでもそれ以外いがいひとでもよいのですが、一人ひとり照準しょうじゅんしてっかけていくということはできそうですが。それがどれほどの仕事しごとかはべつですが。
立岩たていわ たい人体じんたい実験じっけん事件じけんっていうのは、一方いっぽうそくが、ねんまえ手術しゅじゅつさがしてきてというか、東大とうだいなか批判ひはんして学会がっかい批判ひはんしてということがあって、それにかれ反論はんろんしている。その出来事できごとだって、それだけのボリュームはある。あれは結局けっきょくどうなのっていう評価ひょうかめぐはなしのこるから、最終さいしゅうてきにはむずかしいはなしだけど。でも、時代じだいてきにもなな年代ねんだい以降いこうはなしだから、実験じっけんおこなわれたのはずっとまえだけど、それがどう人々ひとびとにどうめられたか、あるいはどう利用りようされたのかということはける。だからどうなのよっていうもしないではないけれど。
 それからずっとさかのぼって、実際じっさい日本にっぽんでどうやっていたかとか、どうめられてきたのかっていうところはもっとむずかしい。でも、そっちのほう価値かち当然とうぜんあるわけです。そしてさっきのすえやすさんのはなしですが、はちさいとかのもと看護かんごとかそういうひといてまわると、けっこういろいろてくる。
 ナチスのはなしにもう一度いちどもどると[…]」(立岩たていわ天田あまだ[2011])

関連かんれん項目こうもく

だいだい人体じんたい実験じっけん批判ひはん(1971-)
きたぜん病院びょういんロボトミー訴訟そしょう(1973-)
名古屋なごやMさんロボトミー裁判さいばん(1973-)
横手よこてきょうせい病院びょういんロボトミー糾弾きゅうだん(1974-)
ロボトミー殺人さつじん事件じけん(1979)
弘前ひろさきロボトミー裁判さいばん(1980-)
精神せいしん医学いがく医療いりょう批判ひはん改革かいかく
ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ(ロぜんとも(1979-)
中田なかた 瑞穂みずほ
広瀬ひろせ 貞雄さだお
改造かいぞう
エンハンスメント

精神せいしん外科げか:ロボトミー…:米国べいこく

概説がいせつ初期しょき

◆「精神せいしん外科げか
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%A4%96%E7%A7%91

◆1938(昭和しょうわ13ねん)わがくにはじめてのロボトミー手術しゅじゅつ新潟大学にいがただいがく中田なかた 瑞穂みずほ
 (『東大とうだい病院びょういん精神せいしんの30ねん』 p.28?)
 「日本にっぽんでは1942ねん新潟にいがた医科いか大学だいがく新潟大学にいがただいがく医学部いがくぶ)の中田なかた瑞穂みずほによってはじめておこなわれ[3]」
 「[3]『東大とうだい病院びょういん精神せいしんの30ねん』 28ぺーじによると、「1938ねん昭和しょうわ13ねん新潟大学にいがただいがくロボトミー開始かいし中田なかた瑞穂みずほ)」とある。」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%A4%96%E7%A7%91

◆1947(昭和しょうわ22ねん松沢まつざわ病院びょういんでロボトミー。
国府台こうのだい病院びょういん桜ヶ丘さくらがおか保養ほよういん武蔵野むさしの病院びょういんなどでもあいついで実施じっしされる。1950(昭和しょうわ25ねん)にはロボトミー最盛さいせいむかえる。

◆1949 モニスとヘス、ノーベル生理学せいりがく医学いがくしょう受賞じゅしょう

 「エガス・モニス(Antonio Caetano de Abreu Freire Egas Moniz, 1874ねん11月29にち - 1955ねん12月13にち)は、ポルトガルの政治せいじ医者いしゃ神経しんけい)である。ポルトガル北部ほくぶ大西洋たいせいようがんのアベンカにまれた。ロボトミーという名前なまえられる精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ前頭葉ぜんとうよう切断せつだん手術しゅじゅつ精神せいしん疾患しっかん根本こんぽんてき治療ちりょうする目的もくてき考案こうあんした。これが功績こうせきとしてみとめられ、1949ねんにスイスの神経しんけい生理学せいりがくしゃヴァルター・ルドルフ・ヘスとともにノーベル生理学せいりがく医学いがくしょう受賞じゅしょうした。受賞じゅしょう理由りゆうは「あるしゅ精神病せいしんびょうたいする前頭葉ぜんとうようしろしつきり截術の治療ちりょうてき価値かちかんする発見はっけん」である。」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%B9

岡田おかだ 靖雄やすお 20020901 日本にっぽん精神せいしん医療いりょう医学書院いがくしょいん,274p. ISBN-10:4260118750 ISBN-13:978-4260118750 \7140 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「ロボトミーが(前頭葉ぜんとうようしろしつせつ中心ちゅうしんとする精神せいしん外科げか)が精神せいしんでさかんになったのは、1947ねんからで、そのころか<0205<ら外科医でなく精神科医によっておこなわれることもふえた(戦地で外科手術をこなしてきたことが、精神科医を大胆にした、という要因も指摘されている)。一時期はロボトミーが乱用されたいってもよく、他治療をほとんどうけていない患者にそれが適用されたり、また、ロボトミーされたといっても、骨にだけ痕があって脳が無傷な例もあちこちで経験された。」(岡田[2002:206])

西川にしかわ かおる 20101230 日本にっぽん精神せいしん障礙しょうがいしゃ政策せいさく考古こうこどう書店しょてん,342p. ISBN-10: 4874997570 ISBN-13: 978-4874997574 342p. [amazon][kinokuniya] ※ m. ps. ist.

「4)精神せいしん外科げか
(1)前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ(ロボトミー)
 のう外科げかてきおかせかさねくわえることによって、頑固がんこ精神病せいしんびょうしゃはん社会しゃかいてきあるいは社会しゃかいてきめんのぞき、すこしでも社会しゃかいてき適応てきおうせいおおさせようとすることが所謂いわゆる、ロボトミーを中心ちゅうしんとする精神せいしん外科げか目標もくひょうである。精神せいしん外科げかこころみは1890ねんにスイスのBurckhardtによってなされ6れい精神病せいしんびょう患者かんじゃ前頭葉ぜんとうようがわあたま頭頂とうちょうとう皮質ひしつ部分ぶぶんてき切除せつじょがおこなわれ、このたね手術しゅじゅつ可能かのうせい印象いんしょうづけられた。1935ねんなつにロンドンで開催かいさいされただいかい国際こくさい神経しんけい学会がっかいでは、前頭葉ぜんとうよう機能きのう問題もんだいがとりあげられ、Bricknerの前頭葉ぜんとうよう切除せつじょれい、Fulton and Jacobsenのさる前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ実験じっけん報告ほうこくとうがおこなわれた。ポルトガルのリスボン大学だいがく教授きょうじゅMonizは、すうねんまえからいていた精神せいしん外科げか着想ちゃくそうをこの学会がっかいによりさら確信かくしんした。1935ねん11月12にちにMonizは、Almeide Limaととも苦悶くもんつよ頑固がんこ初老しょろううつびょう患者かんじゃ手術しゅじゅつをおこない、この分野ぶんや開拓かいたく先鞭せんべんをつけた。Monizの方法ほうほうはFrontale Leukotomie(前頭葉ぜんとうようしろしつせつじゅつ)といわれぜん頭部とうぶ小骨こぼねあなから両側りょうがわ前頭葉ぜんとうようしろしつない少量しょうりょう無水むすいアルコールを注入ちゅうにゅうし、あるいははりさき仕掛しかけたはがねせんの蹄係の回転かいてんによってしろしつ数箇所すうかしょいて破壊はかい神経しんけい遮断しゃだんするものであった。128)
 その、Walter Freeman & James W.Wattsは、1936ねんにこの方法ほうほうをアメリカに移入いにゅうし、若干じゃっかん実用じつようてきじゅつしきあらため、Prefrontal Lobotomy(ぜん頭部とうぶ前頭葉ぜんとうようせつじゅつ)とした。この方法ほうほうにより初老しょろううつびょうをはじめ精神分裂病せいしんぶんれつびょう統合とうごう失調しっちょうしょう)、神経症しんけいしょう、その種々しゅじゅ精神病せいしんびょう適用てきようし600れい以上いじょう症例しょうれいをこなした。そ<0137の術式は、眼窩外線より3cm後方、顴骨弓上縁より6cm上方に小骨孔を作り硬脳膜を切開し鼻中隔膜剥離子(⇒剥はりっとうなし)を脳実質内に挿入し、冠状縫合の面で白質下に於いて白質のみを上下に充分切載する。このようにロボトミーは、世界各国に普及し始めた。ちなみに、1948年8月3日から7日までリスボン大学において、Monizが会長を務め、第1回国際精神外科学会を開催している。同学会は、日本、ドイツ及び旧ソ連を除く27カ国から200名以上の神経外科医及び精神神経科医が集まり、5,000例の手術例が報告された。さらに1949年にMonizは、ノーベル賞を受賞している。129)日本において最初に精神外科手術を施行したのは、新潟医科大学であった。

(2)施行しこうされた手術しゅじゅつ実態じったい
 新潟にいがた医科いか大学だいがく外科げかでは、次々つぎつぎ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ手術しゅじゅつかんする研究けんきゅう発表はっぴょうをおこなっている。ここでは、1940ねん以降いこう発表はっぴょう研究けんきゅう論文ろんぶん詳細しょうさい引用いんよう当時とうじ状況じょうきょうをみる。1941ねん中田なかた瑞穂みずほらは、「前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつによる観察かんさつ」130)を発表はっぴょうしている。この時点じてんで「かくのごとくしてぜん頭脳ずのう切除せつじょしたのは、しゅとして真性しんせい癲癇てんかん精神せいしん異常いじょうしゃとう少数しょうすう腫瘍しゅようれい総数そうすうやく50れいる」131)とすでに50れいもの手術しゅじゅつをおこなったことを公表こうひょうした。さらに「分裂ぶんれつびょうひね症例しょうれいではへんがわ切除せつじょでも両側りょうがわ切除せつじょでもいちじるしい好影響こうえいきょうきょうないが(中略ちゅうりゃく精神病せいしんびょう特殊とくしゅ症候しょうこうをあるてん好轉こうてんせしむる可能かのうせいについてはわれ々はまだあきらめてない」132)と意欲いよくべている。
 ついで 1942ねん板井いたいひだり次郎じろう新潟にいがた医大いだい外科げか)は、精神分裂病せいしんぶんれつびょう統合とうごう失調しっちょうしょう)5れいふくむ「前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ手術しゅじゅつ(52れい)による観察かんさつ」133)を発表はっぴょうしている。総括そうかつのなかで、いちがわ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ範囲はんいは、だい多数たすう皮質ひしつ運動うんどう中枢ちゅうすうから3〜5cmでぜん症例しょうれい平均へいきん切除せつじょりょうは70g(最大さいだい115g、最小さいしょう17g)であった。
 1942ねん中田なかたらは、「精神せいしん異常いじょうたいするのう手術しゅじゅつてき療法りょうほう」134)という論文ろんぶん発表はっぴょうしている。この論文ろんぶんなかまった治療ちりょうみちのない慢性まんせい分裂ぶんれつびょうたい両側りょうがわ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょをおこなったが「ほとんど無効むこうであった」135)と報告ほうこくしている。中田なかたは、「軽症けいしょう分裂ぶんれつびょうおよ分裂ぶんれつびょう以外いがい精神病せいしんびょうには、なおためしむべき手術しゅじゅつでないとかんがへるので1れいおこなってない」136)としている。同年どうねん前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ前頭葉ぜんとうようしろしつせつじゅついて」137)において中田なかたは、「西洋せいよう実施じっしされているしろしつ中心ちゅうしんしょうせつ−これをLobotomyとかLeucotomyとんでるわけであるが此の<0138<手術は全く無危険である事を吾々は数例に於て確認し得るに至った」138)と報告している。
 さら癲癇てんかん気質きしつしるあかり病的びょうてき興奮こうふんし、ときとして狂暴きょうぼうまたは沈鬱ちんうつ症状しょうじょうていする癲癇てんかん患者かんじゃ両側りょうがわしろしつせつをおこなったれいを「いちがわあるい両側りょうがわ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょうん手術しゅじゅつではいまかつられなかつたくらいに、ときとしては手術しゅじゅつ直後ちょくごから、おそくとも僅々数日すうじつのうちにあかりかに人柄ひとがら一変いっぺんし、快活かいかつとなり、はきはきしてて、連日れんじつ気難きむずかしかつたものがきゅうあいそうよくなつたり、近来きんらい親子おやこあいだ談話だんわもしなかつたといふ青年せいねんがにはかにしたしく父親ちちおや対坐たいざちとけて世間せけんばなしをするようになり、いままで出来できなかつた暗算あんざんきわめて容易よういまた正確せいかく出来できやうになつたとうんふやうな激変げきへんりをることが出来できた」139)と紹介しょうかいしている。そして将来しょうらい精神せいしん外科げかかく精神病せいしんびょうにも有効ゆうこうであるという示唆しさを「西洋せいようにおける最近さいきん成績せいせきによるとメランコリーとか躁鬱病そううつびょうとか神経質しんけいしつうんふような、比較的ひかくてき寛解かんかいする機会きかいのある病症びょうしょうでは勿論もちろんのこと、もっと難症なんしょうたる分裂ぶんれつびょうおいてさへもある程度ていど立派りっぱ成績せいせきるにいたりつたらしいてんは、あるい理由りゆうのあることかもれない」140)とべている。
 1942ねんしろたに敏男としお新潟にいがた医大いだい精神せいしん)・板井いたいひだり次郎じろう新潟にいがた医大いだい外科げか)は、「前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ患者かんじゃ癲癇てんかん)に施行しこうせるRorschach精神せいしん診断しんだんがくいて」141)を発表はっぴょうした。この論文ろんぶんでは癲癇てんかん患者かんじゃへの前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ心理しんりがく実験じっけんであるロールシャッハ(Rorschach)精神せいしん診断しんだんがく 註9)との関連かんれん報告ほうこくした。論文ろんぶん内容ないようは、「切除せつじょ前後ぜんこうおいてRorschachの個々ここ検査けんさぞういては変化へんかしたものがあるが少数しょうすうでありまた切除せつじょあらわぜん実験じっけんれいみとめられるとげんさま特有とくゆう検査けんさぞうられない」142)とするものであった。この論文ろんぶん癲癇てんかん患者かんじゃにとって前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつは、有効ゆうこうではないことを間接かんせつてき指摘してきしているともいえるが、しろだに積極せっきょくてき精神せいしん外科げか批判ひはんし、今後こんご手術しゅじゅつ中止ちゅうしうながすような論述ろんじゅつはしていない。
 さらに、中田なかたらは1943ねんしろしつせつじゅつ切除せつじょじゅつちがいなどを論述ろんじゅつしている。精神せいしん外科げかかんしては、その新潟にいがた医大いだい以外いがいでも疋田ひきた九州きゅうしゅう帝国ていこく大学だいがく医学部いがくぶ外科げか)らが精神分裂病せいしんぶんれつびょう統合とうごう失調しっちょうしょう)13れいふくむ19れい柳川やながわ北海道ほっかいどう帝国ていこく大学だいがく医学部いがくぶ精神せいしん)が精神分裂病せいしんぶんれつびょう統合とうごう失調しっちょうしょう)3れいふくむ7れい前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ報告ほうこくしている。143)<0139<

(3)前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ後遺症こういしょう
 板井いたい佐次郎さじろうは、1942ねんに「前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ手術しゅじゅつ(52れい)による観察かんさつ」144)において前頭葉ぜんとうようによる精神せいしん機能きのう変化へんかについて先行せんこう研究けんきゅう総括そうかつにもとづき、つぎのようにべている。前頭葉ぜんとうよう外傷がいしょう腫瘍しゅよう、その病変びょうへんれいしめ症状しょうじょうとしては、性格せいかく気質きしつ変化へんか憂鬱ゆううつ状態じょうたい刺激しげきせい悖徳はいとくしょう精神せいしん運動うんどう障害しょうがい)、自発じはつせい欠乏けつぼう運動うんどう亢進こうしん状態じょうたい、躁状態じょうたい注意ちゅうい集中しゅうちゅう困難こんなんとうげられている。これら種々しゅじゅ症状しょうじょうは「すべてある事象じしょう本質ほんしつてき把握はあくする能力のうりょく障礙しょうがい基礎きそとして、これよりてきしょうずる」。145)一方いっぽう前頭葉ぜんとうよう切除せつじょによる脱落だつらく状態じょうたいかんしては、かなりしるあきら精神せいしん機能きのう欠陥けっかんのこすという論者ろんしゃたいして脱落だつらく症状しょうじょうとしてみなすべきものはきわめて僅少きんしょうにすぎないと主張しゅちょうするものがある。しかし、その成績せいせきまった一致いっちしたというまでにはいたっていない。146)
 さらに、板井いたい佐次郎さじろうは、いちがわ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ脱落だつらく症状しょうじょうについては、切除せつじょのう左右さゆう如何いかわず「とく専門せんもんてきある特殊とくしゅ検査けんさほうでも創案そうあんして施行しこうせぬかぎり、従来じゅうらい精神せいしん機能きのう検査けんさほうしょうせられるものにっては、「なか々捉へかたい」147)とした。さらに、「平易へいい日常にちじょう生活せいかつとか、患者かんじゃじゅつまえに携って職業しょくぎょうというものは、術後じゅつごといえども大体だいたいわりなく遂行すいこうる。もし、変化へんかがあるとすればそれは複雑ふくざつ高等こうとう機能きのうたとえば対極たいきょく洞察どうさつし、重点じゅうてん把握はあく善処ぜんしょ能力のうりょく障礙しょうがいである。すなわち患者かんじゃ社会しゃかい従来じゅうらいことなった環境かんきょうにおかれた場合ばあいあるいはしん事態じたい直面ちょくめんしてあらたな判断はんだんなどの必要ひつようせまられた場合ばあいあるいは高等こうとう知的ちてき職業しょくぎょうたずさわる場合ばあいにおいて当惑とうわくしたり、失敗しっぱいかさねたりすることがあるような漠然ばくぜんとしたものであって(中略ちゅうりゃく両側りょうがわ切除せつじょれいにおいても同様どうようてはまる」148)としている。
 前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ手術しゅじゅつ施行しこうした52れい総括そうかつは、「いずれにしても前頭葉ぜんとうよう前半ぜんはん脱落だつらくによりては、術後じゅつご猥褻わいせつになるとか、諧謔かいぎゃくろうし、不道徳ふどうとくになるがごとちょあかり生還せいかんたせるものはいちれいもなかった。したがって、従来じゅうらい一般いっぱんしんぜられたやうな前頭葉ぜんとうよう病変びょうへんによる多彩たさいしるあきらしょ症候しょうこうは、すくなくともこれ前頭葉ぜんとうよう前半ぜんはんぜん脱落だつらくもっ説明せつめいすること出来できない」149)と結論けつろんづけている。その、1945ねんまでのあいだにロボトミーにかんする後遺症こういしょうふくめた研究けんきゅう報告ほうこく見当みあたらない。後遺症こういしょう問題もんだいげられるようになったのは、戦後せんご、ロボトミーのかずえ、おおきな後遺症こういしょうとして人格じんかく変化へんか問題もんだいされるようになってからである。しかし、それまでのあいだ、ロボトミーにたいするおもだった反論はんろんはなされることはなかった。

(4)前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ評価ひょうか
 1940ねんから1945ねんまでの期間きかんにおけるロボトミーの評価ひょうかかんしては、戦中せんちゅうという特殊とくしゅ状況じょうきょう考慮こうりょする必要ひつようがある。精神せいしんは、治療ちりょうさいしておおくの制限せいげんせられていたことはいうまでもない。その当時とうじ状況じょうきょうについて精神せいしん 註10)がつどかたった「戦中せんちゅう戦後せんご精神せいしん病院びょういんあゆみ」150)を検討けんとうすることでロボトミー評価ひょうか一助いちじょとしたい。戦争せんそうちゅう精神病せいしんびょうしゃ医療いりょうかんして当時とうじ状況じょうきょうたてせいじゅんは、つぎのようにべている。「治療ちりょうとして、はげしい症状しょうじょう患者かんじゃ興奮こうふん患者かんじゃ、あるいはこばめしょく患者かんじゃがあって、電気でんきショック療法りょうほうとかインシュリン・ショック療法りょうほうをやらなければならなかった。それから進行しんこう麻痺まひ患者かんじゃおおかったので、ねつ療法りょうほうをやらなきゃならなかった。そういうのかかる患者かんじゃさんが何人なんにんかいるために、それにをとられてあとは犠牲ぎせいになったということもありましょうね。だからそういったものがかたづいてきて、ようやくいまのようないろんな余裕よゆうのあるかんがえがてきたというふうにわたしおもいます」。151)これにたい本吉もとよしこうは、「1944〜1945ねんあるいは1946ねんごろはインシュリン・ショックなんかちょっとしかやれなかったんでしょう。くすりがありませんし、それから砂糖さとうがない」。152)さらに西尾にしお雄三郎ゆうさぶろうは、「わたし自分じぶんたちでつくったりしました。インシュリンの粉末ふんまつれてきて。そうじゃないと、うインシュリンというのは、きわめてよわくて表示ひょうじしてある単位たんいはあてにならない、うんとこう単位たんいでないとだめでした」153)と苦労くろうかたっている。
 戦中せんちゅうにおける精神せいしん無力むりょくかん戦後せんご積極せっきょくてき施行しこうされたロボトミーとの関連かんれんについて、つぎのようにべている。「結局けっきょく戦争せんそうときは、そういうふうに医療いりょう無力むりょくだったというんですが、そういう経験けいけんて、ロボぼくミーがはじまってきて、だんだんいろんなくわえていくことになりましたね」。154)すなわち、当時とうじ主流しゅりゅうであったインシュリン・ショック療法りょうほうは、戦時せんじ物資ぶっし不足ふそくのためインシュリン自体じたいはいらず、高価こうか治療ちりょうのためにおこなうことはできなかった。こうしたなかでロボトミーは、前頭葉ぜんとうよう手術しゅじゅつという方法ほうほうもちい、医師いし医療いりょう従事じゅうじしゃ労力ろうりょく治療ちりょう物資ぶっし必要ひつようとしないものとして脚光きゃっこう登場とうじょうした。このことをうらづけるかのように野瀬のせ清水しみずは、「当時とうじは、まだこう精神せいしんやくもなく、治療ちりょうとしてのたのみの電撃でんげき療法りょうほうを50かいも100かいも、ただかえすだけで、インシュリン・ショック療法りょうほうも、当時とうじ措置そち入院にゅういんりょう治療ちりょうだいとうまった支払しはらわず(中略ちゅうりゃく治療ちりょうという治療ちりょうには、なにでもいいからすがりつきたい我々われわれ気持きもちが、ときあた<0141<かも丁度導入され始めたロボトミーにタイミングが合い、しかもこれが経済的にもインシュリンに比べ我々医師の労力と汗のみで全く費用が要らないという点も、大いにロボトミーの全盛期を迎えた理由であった」155)と述べている。
 ロボトミーが本格ほんかくてき脚光きゃっこうびたのは、1945ねん以降いこうのことである。その理由りゆうひとつには、戦時せんじ体制たいせいした積極せっきょくてき精神病せいしんびょうしゃたいする治療ちりょうをおこなう必要ひつようがなかったことがかんがえられる。戦時せんじちゅう精神病せいしんびょうしゃは、病院びょういん焼失しょうしつにより自宅じたくもど家族かぞく保護ほごけざるをない状況じょうきょうにあった。さらにうんよく焼失しょうしつのがれた精神せいしん病院びょういん患者かんじゃたちも、食糧しょくりょう不足ふそくのため栄養失調えいようしっちょうによりいたものすくなくなかった。さらに医師いしは、戦地せんち出向でむ精神せいしん病院びょういんにはほとんどいなかった。これらの理由りゆうにより、ロボトミーは、治療ちりょうだい一線いっせん登場とうじょうすることはなかった。
 しかし、ロボトミーの研究けんきゅう治療ちりょうは、人格じんかく変化へんかという重大じゅうだい後遺症こういしょう兆候ちょうこうがうかがえたにもかかわらず継続けいぞくされた。後遺症こういしょう批判ひはんするに症例しょうれいととのわないなか中田なかたらは、一気いっき症例しょうれいすうをこなしていったといっても過言かごんではない。このような背景はいけいについて大津おおつただしてんは、つぎのようにべている。「だいいち慢性まんせい患者かんじゃ蓄積ちくせきまえにして、なに一挙いっきょ解決かいけつする手段しゅだんはないものかといったかんがかたあせりを共通きょうつうしてもっていた。だい反証はんしょうとなるデータがないからなにもいえないとする『客観きゃっかん主義しゅぎ』、および患者かんじゃ医師いしとしてよりも、研究けんきゅうのマテリアルとしてかんずる態度たいどがあった。だいさん神経しんけい病理びょうり精神せいしん病理びょうり生化学せいかがく云々うんぬんかれていたかく研究けんきゅうグループのあいだで、にくちばしをれるのがタブーのようなものであった」156)と当時とうじ医学いがくにおける研究けんきゅう至上しじょう主義しゅぎかえっている。
 ロボトミー推進すいしんろんしゃであった廣瀬ひろせ貞雄さだおは、1949ねんに「ロボトミーの効果こうか核心かくしん人格じんかく変化へんかにあるとすると、その施術しじゅつにあたって人道的じんどうてき立場たちばからの是非ぜひ一応いちおう問題もんだいになるとおもう。此のてんに就て我々われわれ実際じっさいてき感想かんそううならば、術後じゅつご相当そうとう期間きかんのち印象いんしょうでは、すくなくとも人格じんかく変化へんか実際じっさいてきな、社会しゃかいてき価値かちはそれほどひくくないようおもわれる。実際じっさい強迫きょうはく神経症しんけいしょう極端きょくたん拘泥こうでいはげしい状態じょうたいや、explosiveな精神病せいしんびょうしつ社会しゃかいてき実害じつがいおおきい状態じょうたい比較ひかくして、術後じゅつご相当そうとう期間きかんたロボトミーをけたひと人格じんかくが、実際じっさいてき社会しゃかいてき価値かちとしてたしてひくいとうんえるであろうか。ただってまれた性格せいかくから、多少たしょうきょう動的どうてきはなれるとうことは、主観しゅかんてき問題もんだいとして簡単かんたんには片付かたづけられぬこととおもうが、客観きゃっかんてき充分じゅうぶん症例しょうれいえらべば、術後じゅつご自覚じかく症状しょうじょうとして、自己じこ性格せいかく変化へんかをそれほど問題もんだいにせぬところからしても、人道的じんどうてきにもゆるされていとおもう」157)として<0142<いる。
 その廣瀬ひろせは1954ねんに「ロボトミー人格じんかく変化へんかというものは、非常ひじょう重大じゅうだいなもので、ひろ意味いみでの知能ちのう障碍しょうがいであり、見方みかたによっては人間にんげんせい喪失そうしつということにもなる」158) その廣瀬ひろせは1954ねんに「ロボトミー人格じんかく変化へんかというものは、非常ひじょう重大じゅうだいなもので、ひろ意味いみでの知能ちのう障碍しょうがいであり、見方みかたによっては人間にんげんせい喪失そうしつということにもなる」158)といままでの主張しゅちょうまった反対はんたい発言はつげんわり、人格じんかく変化へんかという後遺症こういしょう重大じゅうだいせいみとめた。廣瀬ひろせ言動げんどう変化へんかは、当時とうじのロボトミーを状況じょうきょうしめしているとかんがえられる。1975ねんになり吉田よしだ哲雄てつおは、「手術しゅじゅつ結果けっかとして可逆かぎゃくてき人格じんかく破壊はかいのちにおこるけいれん発作ほっさ、とくにその発作ほっさじゅうせき手術しゅじゅつ出血しゅっけつ手術しゅじゅつによる死亡しぼうは、いずれも重大じゅうだいです。そしてこのような重大じゅうだい手術しゅじゅつが、きわめて粗雑そざつ理論りろんにもとづいておこなわれてきた」159)と批判ひはんしている。
 このように中田なかたが1939ねん日本にっぽんではじめての前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ施行しこうしてから、一部いちぶ批判ひはんけながらも1949ねんまで、実際じっさいには積極せっきょくてき支持しじけて精神せいしん医学いがくなか推移すいいしたといえる。1971ねんにようやく石川いしかわきよしたいひろしをロボトミーによる人体じんたい実験じっけん当事とうじしゃとして暴露ばくろしたことをきっかけに本格ほんかくてき批判ひはんがはじまり、1973ねん特集とくしゅう 精神せいしん医療いりょう人体じんたい実験じっけん」160)において、さまざまな論文ろんぶん発表はっぴょうされロボトミー廃止はいし方向ほうこうかった。そしてロボトミー中止ちゅうしおおきな影響えいきょうおよぼしたのは、1975ねん日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかいである。その学会がっかい吉田よしだ哲雄てつおは、ロボトミーにたいする批判ひはんとして「人体じんたい実験じっけんてきせいからまをもちつつ、粗雑そざつ理論りろんにのっとって、手術しゅじゅつされる人々ひとびと抑圧よくあつしつつ強行きょうこうし、のう破壊はかいつうじて他人たにん人格じんかくえてこうとする精神せいしん外科げかは、あくまでも批判ひはんされるべきもの」161)と明確めいかくべている。しかし、日本にっぽんにおいては、1939ねん精神せいしん外科げか開始かいしされて以来いらい、1971ねんころまで、かなりのかずのロボトミーが実施じっしされていた。実施じっしすうについて正確せいかく数字すうじ公表こうひょうされていないため、事情じじょう把握はあく今後こんご課題かだいである。」(西川にしかわ[2010:137-143])

128)廣瀬ひろせ貞雄さだお『ロボトミー』医学書院いがくしょいん. 1951.1ページ
129)廣瀬ひろせ前掲ぜんけいしょ、1・2ページ
130)中田なかた瑞穂みずほ田中たなか憲二けんじ板井いたい佐次郎さじろう前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつによる観察かんさつ」『精神せいしん神経しんけいがく雑誌ざっしだい45かん だい5ごう. 1941.225-279ページ
131)中田なかた田中たなか板井いたい前掲ぜんけいしょ、257ページ
132)中田なかた田中たなか板井いたい前掲ぜんけいしょ、257ページ
133)板井いたいひだり次郎じろう前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ手術しゅじゅつ(52れい)による観察かんさつ精神せいしん神経しんけいがく雑誌ざっしだい46かん だい5ごう.
1942.225-279ページ
134)中田なかた瑞穂みずほ板井いたいひだり次郎じろう油木ゆき信一郎しんいちろう精神せいしん異常いじょうたいするのう手術しゅじゅつてき療法りょうほう」『精神せいしん神経しんけいがく雑誌ざっしだい46かん だい6ごう. 1942.383ページ
135)中田なかた板井いたい油木ゆき前掲ぜんけいしょ、383ページ
136)中田なかた板井いたい油木ゆき前掲ぜんけいしょ、384ページ
137)中田なかた瑞穂みずほ田中たなか憲二けんじ前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ前頭葉ぜんとうようしろしつせつじゅついて」『精神せいしん神経しんけいがく雑誌ざっしだい46かん だい6ごう. 1942.384-385ページ
138)中田なかた田中たなか前掲ぜんけいしょ、384ページ
139)中国ちゅうごく田中たなか前掲ぜんけいしょ、384-345ページ
140)中田なかた田中たなか前掲ぜんけいしょ、384-345ページ
141)じょうたに敏男としお板井いたいひだり次郎じろう前頭葉ぜんとうよう切除せつじょ患者かんじゃ癲癇てんかん)に施行しこうせるRorschach精神せいしん診断しんだんがくいて」『精神せいしん神経しんけいがく雑誌ざっしだい46かん だい6ごう. 1942.384ページ
142)いきだに板井いたい前掲ぜんけいしょ、385ページ
143)八木やぎつよしたいら田辺たなべすぐる日本にっぽん精神病せいしんびょう治療ちりょう金原かなはら出版しゅっぱん. 2002.132ページ
144)板井いたい前掲ぜんけいしょ、225-279ページ
145)板井いたい前掲ぜんけいしょ、234ページ
146)板井いたい前掲ぜんけいしょ、234ページ
147)板井いたい前掲ぜんけいしょ、235ページ
148)板井いたい前掲ぜんけいしょ、235ページ
149)板井いたい前掲ぜんけいしょ、278ページ
150)「(座談ざだんかい戦中せんちゅう戦後せんご精神せいしん病院びょういんあゆみ」『精神せいしん医学いがくだい14かん だい8ごう. 1972.688-703ページ
151)(座談ざだんかい前掲ぜんけいしょ、694ページ
152)(座談ざだんかい前掲ぜんけいしょ、694ページ
153)(座談ざだんかい前掲ぜんけいしょ、694ページ
154)(座談ざだんかい前掲ぜんけいしょ、695ページ
155)野瀬のせ清水しみず松山まつやま精神せいしん病院びょういんにおけるロボトミーの実態じったい」『精神せいしんけいだい77かん. 1975.559-562ページ(八木やぎつよしたいら田辺たなべすぐる日本にっぽん精神病せいしんびょう治療ちりょう金原かなはら出版しゅっぱん. 2002.152ページ)
156)大津おおつただしてん精神せいしん外科げか当時とうじ医療いりょう状況じょうきょうなど−」 『精神せいしんけいだい77かん. 1975.553ページ
157)はやしタ・廣瀬ひろせ貞雄さだお「ロボトミーにたいする批判ひはん」『のう神経しんけいだい5ごう. 1949.310ページ
158)廣瀬ひろせ貞雄さだお「ロボトミー人格じんかくぞうについて」『精神せいしんけいだい56かん. 1954.379ページ
159)吉田よしだ哲雄てつお精神せいしん外科げか歴史れきしてき展望てんぼう−」『精神せいしんけいだい77かん. 1975.550ページ
160)『精神せいしん医療いりょう東大とうだい精神せいしん医師いし連合れんごう.だい3かん だい1ごう. 1973
161)吉田よしだ前掲ぜんけいしょ、550-551ページ

吉岡よしおか 真司しんじ 19640715 「病院びょういんないでの治療ちりょう」,岡田おかだへん[1964:201-283]*
岡田おかだ 靖雄やすお へん 19640715 精神せいしん医療いりょう――精神病せいしんびょうはなおせる』,勁草書房しょぼう,452p. ASIN: B000JAFW54  980 [amazon] m.

 「精神せいしん外科げか治療ちりょう[…]  日本にっぽんでは、1942ねん昭和しょうわ17)ねん最初さいしょ報告ほうこくがなされた。しかし、本格ほんかくてきにおこなわれるようになったのは、戦後せんごの1947ねんからである。そして、これが導入どうにゅうされると、じゅつしき容易たやすさ・ショック療法りょうほう効果こうか不充分ふじゅうぶんさなどの理由りゆうから、たちまち、爆発ばくはつてき流行りゅうこうしたのである。もっとも、この傾向けいこうはわがくにだけでなく、世界せかいてき現象げんしょうでもあった。
 だが、病的びょうてき部分ぶぶんをとりのぞく脳外科のうげかとはちがって、精神せいしん外科げかでは、器質きしつてき変化へんかられない大脳だいのうに、外科げかてき損傷そんしょうくわえるのである。一方いっぽう大脳だいのう自体じたい生理せいり機能きのう複雑ふくざつで、あきらかにされていないことがおおい。だから、この手術しゅじゅつたいする反対はんたいは、当初とうしょより人道的じんどうてき医学いがくてき立場たちばからつよかったのである。たとえば、ソヴェトでは方針ほうしんとしてロボトミーはきんじられている。
 効果こうか一過いっかせいのことがあり、副作用ふくさようもおおい。手術しゅじゅつけた患者かんじゃは、一般いっぱん人間にんげん深見ふかみがなくなり、平板へいばんになる。社会しゃかいてきには適応てきおうできるようになっても、創造そうぞうせいその知的ちてき能力のうりょく低下ていかすることもおおい。後遺症こういしょうとしてけいれん発作ほっさがおこるものもすくなくない。
 以上いじょうのような理由りゆうから、分裂ぶんれつびょうたいする精神せいしん外科げかてき治療ちりょうは、かえって有害ゆうがいであるといわれてき、現在げんざい手術しゅじゅつはほとんどおこなわれなくなった。だが、今日きょう精神せいしん病院びょういん入院にゅういんしている患者かんじゃのなかには、のう手術しゅじゅつをやむなくおこなうものもまれにある。もちろん、それは分裂ぶんれつびょう患者かんじゃではない。それは爆発ばくはつてき衝動しょうどうてき暴行ぼうこうをくりかえす一部いちぶ精神病せいしんびょうしつしゃである。」(吉岡よしおか[1964:216])

はやし タ・廣瀬ひろせ 貞雄さだお 1949 「ロボトミーにたいする批判ひはん」,『のう神経しんけい』5

 「ロボトミーの効果こうか核心かくしん人格じんかく変化へんかにあるとすると、その施術しじゅつにあたって人道的じんどうてき立場たちばからの是非ぜひ一応いちおう問題もんだいになるとおもう。此のてんに就て我々われわれ実際じっさいてき感想かんそううならば、術後じゅつご相当そうとう期間きかんのち印象いんしょうでは、すくなくとも人格じんかく変化へんか実際じっさいてきな、社会しゃかいてき価値かちはそれほどひくくないようおもわれる。実際じっさい強迫きょうはく神経症しんけいしょう極端きょくたん拘泥こうでいはげしい状態じょうたいや、explosiveな精神病せいしんびょうしつ社会しゃかいてき実害じつがいおおきい状態じょうたい比較ひかくして、術後じゅつご相当そうとう期間きかんたロボトミーをけたひと人格じんかくが、実際じっさいてき社会しゃかいてき価値かちとしてたしてひくいとうんえるであろうか。ただってまれた性格せいかくから、多少たしょうきょう動的どうてきはなれるとうことは、主観しゅかんてき問題もんだいとして簡単かんたんには片付かたづけられぬこととおもうが、客観きゃっかんてき充分じゅうぶん症例しょうれいえらべば、術後じゅつご自覚じかく症状しょうじょうとして、自己じこ性格せいかく変化へんかをそれほど問題もんだいにせぬところからしても、人道的じんどうてきにもゆるされていとおもう」(はやし廣瀬ひろせ[1949:●]、)

広瀬ひろせ 貞雄さだお 1951 『ロボトミー――しゅとしてその適応てきおうに就て』,医学書院いがくしょいん,112p. ASIN: B000JBFUQE [amazon]
→cf. 大熊おおくま 一夫かずお[1973→1981:215]

 「ロボトミーは、かかる症状しょうじょうおこやすひともっと特徴とくちょうてき性格せいかく――見方みかたによっては相当そうとう価値かちのある性格せいかく傾向けいこう――を減殺げんさいすることになるから、慎重しんちょうにその発病はつびょう動機どうき環境かんきょう検討けんとうし、出来できかぎ精神療法せいしんりょうほうてき指導しどうおこたってはならない」(広瀬ひろせ[1951]、◎に引用いんよう

 「ようするに、病苦びょうく長年ながねんわたり、素質そしつてき要素ようそ相当そうとうおおきいとおもわれる場合ばあいかぎり、最後さいご手段しゅだんとしておこなうべきものであるとおもう」(広瀬ひろせ[1951]、◎に引用いんよう

 「将来しょうらいたいする顧慮こりょすくなく、そのそのおこせられた仕事しごと忠実ちゅうじつにするが、みずかすすんで先々さきざき計画けいかく綿密めんみつてたりすることもすくなく、たりばったりである。自己じこ反省はんせいすることがすくなく、こまった事態じたい直面ちょくめんしても、心底しんそこから深刻しんこくかんがえたり、なやんだりしない」(広瀬ひろせ[1951]、◎に引用いんよう大畑おおはた宮崎みやざき[2010:168]に引用いんよう

 「患者かんじゃはしばしばねんいてない。よくねむり、ゆめない、取越苦労とりこしぐろうもしなくなったとい、他愛たあいなくよくわらうが、当人とうにん以前いぜんのような喜怒哀楽きどあいらくじょういてないとしばしばうったえる。一般いっぱんそとからの刺戟しげき素直すなお許容きょようし、周囲しゅうい環境かんきょうから孤立こりつするようなことはない、平日へいじつすぎる日常にちじょう生活せいかつ他人たにん受動じゅどうてき円滑えんかつ接触せっしょくする。しかしなんとなくふかみがなく、情熱じょうねつけている」(広瀬ひろせ[1951]、◎に引用いんよう大畑おおはた宮崎みやざき[2010:168]に引用いんよう

http://gekkankiroku.cocolog-nifty.com/edit/2008/07/post_f4df.html

以下いかにも言及げんきゅう
 鈴木すずき あきひと 2006/05/25 「日本にっぽんのロボトミー」http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/35410266.html,『身体しんたい病気びょうき医療いりょう社会しゃかい研究けんきゅうしゃによる研究けんきゅう日誌にっしhttp://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/MYBLOG/profile.html

◆1951ねんがつ、「「精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ療法りょうほうとして各種かくしゅ精神せいしん治療ちりょう効果こうかのない荒廃こうはいした患者かんじゃをロボトミー、デアレクトミーなどの手術しゅじゅつによって意志いし疎通そつうせい恢復かいふくしたのち、その人間にんげんらしい生活せいかつしつけつくることを重要じゅうよう目的もくてきとして外科げか病棟びょうとう」が設置せっち」(国立こくりつ武蔵野むさしの療養りょうようしょの1955ねん年報ねんぽう藤澤ふじさわ[1972→1998:296]に引用いんよう

廣瀬ひろせ 貞雄さだお 1954 「ロボトミー人格じんかくぞうについて」,『精神せいしんけい』56

 「ロボトミー人格じんかく変化へんかというものは、非常ひじょう重大じゅうだいなもので、ひろ意味いみでの知能ちのう障碍しょうがいであり、見方みかたによっては人間にんげんせい喪失そうしつということにもなる」(廣瀬ひろせ[1954:379])

◆1957/03/20 厚生省こうせいしょう精神病せいしんびょう治療ちりょう指針ししん」を通達つうたつ精神せいしん外科げかを「治療ちりょうほう」として公認こうにん

◆「昭和しょうわよんねんごろから、不潔ふけつ行為こうい暴力ぼうりょく行為こういのため、保護ほごしつなかじこめられていた患者かんじゃたいして、のう手術しゅじゅつおこなうようになった。そして、のう手術しゅじゅつわった患者かんじゃさい教育きょういくするうごきがはじまった。のう手術しゅじゅつそのものにたいしては、後日ごじつ多方面たほうめんからの批判ひはん非難ひなんがあり、さんいちねんになって<0296<からは、ほとんど行われなくなったが、その時の動きが武蔵野診療所における「生活療法」の基礎である「生活指導」のきっかけとなったのは否定できない事である。」(国立武蔵野療養所の1960年の年報、藤澤[1972→1998:296-297]に引用)

◆1956ねん昭和しょうわ31ねん小林こばやし八郎はちろうによって生活せいかつ療法りょうほう(くらし療法りょうほう)」提唱ていしょうされる。
生活せいかつ療法りょうほうは、@生活せいかつ指導しどう(しつけ療法りょうほう)、Aレクレーション療法りょうほう(あそび療法りょうほう)、B作業さぎょう療法りょうほう(はたらき療法りょうほう)の3要素ようそからり、精神療法せいしんりょうほう身体しんたい療法りょうほう薬物やくぶつ治療ちりょう)となら治療ちりょうほうのひとつとして位置いちづけられた。またロボトミーののち療法りょうほうでもある。

 「開放かいほう運動うんどう基盤きばんにあった思想しそうとは、生活せいかつ療法りょうほうたいする批判ひはん精神せいしんであり、作業さぎょう療法りょうほう薬物やくぶつ療法りょうほうへの実践じっせんてき批判ひはんでした。
 生活せいかつ療法りょうほうとは、生活せいかつ指導しどうしょうするしつけを、入院にゅういん患者かんじゃ生活せいかつ隅々すみずみまで徹底てっていし、院内いんない適応てきおうはかろうとするものでした。生活せいかつ療法りょうほうはロボトミーののち療法りょうほうとしてスタートし、おりしも普及ふきゅうしはじめた薬物やくぶつ療法りょうほう後押あとおしされて全国ぜんこくてきひろまりました。あたりまえの生活せいかつとはかけはなれた環境かんきょう生活せいかつうばわれた環境かんきょうのもとで、ことこまかに日常にちじょう所作しょさ規制きせいされ矯正きょうせいされるのが生活せいかつ療法りょうほうだったのです。療法りょうほう対象たいしょうとされた患者かんじゃは、過剰かじょう院内いんない適応てきおうはから<0076<れ、結果として退院と院外の生活は遠のくばかりでした。
 昭和しょうわ30年代ねんだいから40年代ねんだいにかけて、増殖ぞうしょくつづける精神せいしん病院びょういん特徴とくちょうづけたのは生活せいかつ療法りょうほう思想しそうでした。」(浅野あさの[2005:76-77]*)
浅野あさの 弘毅こうき 20050625 統合とうごう失調しっちょうしょう快復かいふく――「いやしの」から』批評社ひひょうしゃ,メンタルヘルス・ライブラリー13,192p. ISBN: 4826504233 2100 [amazon][kinokuniya] ※ m.

浜田はまだ すすむ 19940506 しんをたがやす』岩波書店いわなみしょてん,シリーズきる,257p. ISBN-10: 4000038117 ISBN-13: 978-4000038119 2446 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「すでに最新さいしんのロボトミーもおこなわれていた。脳外科のうげかがやるのではない。普通ふつう精神せいしんがチョイチョイとあらって、頭蓋とうがいあなをあけ、のうにメスをつっこみ、まったさぐりで「このくらいでいいか」などといながら、実施じっしするのである。モーニッツがいちきゅうさんねんはじめたころは、慎重しんちょうであったようだ。適応症てきおうしょうもきちんとめて実施じっしし、その十分じゅうぶんにフォローしている。それがわがくに導入どうにゅうされ、大学だいがくからだい精神せいしん病院びょういんそして末端まったん精神せいしん病院びょういんへと流行りゅうこうしてゆく過程かていで、適応症てきおうしょう規準きじゅんもやりかたもきわめてズサンに、ただ患者かんじゃを「おとなしく<0083<させる手段」として手当たり次第に行われ出す。「もうかるから」と流行してゆく。
 わたしは、まえの「精神せいしん医療いりょう」の現実げんじつに、おおきな衝撃しょうげきをうけ、精神せいしんへのみちをいったんあきらめた。げようとした。しかしいまでもあの世界せかいわたしあたまいちきょく鮮烈せんれつのこっている。 「かぎうち世界せかい」は、わたしがかつてた「軍隊ぐんたい生活せいかつ世界せかい」、不条理ふじょうり世界せかいであった。わたしはそこにあるしゅ権力けんりょくしゃ」としてをおくことにおそれと戸惑とまどいをかんじたのである。」(浜田はまだ[1994:83-84])



◆19710327 東大とうだい医学部いがくぶたいひろし教授きょうじゅが20ねんまえった精神病せいしんびょう患者かんじゃへの手術しゅじゅつについて告発こくはつがなされる→だいだい人体じんたい実験じっけん批判ひはん

高杉たかすぎ すすむわれ 19710615 頭脳ずのう支配しはい――おそるべき精神せいしん医療いりょう実態じったいさんいち書房しょぼう,241p. ISBN-10: 4380710076 ISBN-13: 978-4380710070 \350 [amazon] m

 犯罪はんざいしゃのう手術しゅじゅつ
 「このようにじゅう三重みえ防壁ぼうへきによってまもられたのう防壁ぼうへきを、もし他人たにん自由自在じゆうじざいあつかうことができるなら、わたしたちの生命せいめいのありかたにまで他人たにん物理ぶつりてき介入かいにゅうできることになり、そして思想しそうたいしてまで物理ぶつりてき影響えいきょうおよぼすことが可能かのうになるだろう。
 だから、個人こじん肉体にくたいとくにそのなかでも肉体にくたい生命せいめい活動かつどうつかさどのうへの介入かいにゅうは、人権じんけん問題もんだいもっと根本こんぽんにかかわる問題もんだいなのである。したがって、それに介入かいにゅうできる自由じゆうだれにもない。
 だが、ぎゃくにいえば、だからこそ人間にんげんを、自分じぶん意思いしどおりに自由自在じゆうじざいあやつりたいとねがうもの国家こっか権力けんりょく権力けんりょく支配しはいしゃは、のう支配しはいのあのこの研究けんきゅう全力ぜんりょくをあげるのだ。」(高杉たかすぎ[1971:163])

 「これはもう、言葉ことばをかえていうならば、廃人はいじんということではないだろうか? 自我じが意識いしき破壊はかい、そして行方ゆくえのしれぬレール(それはどこへつながっているのか?)」のうえをノロノロはしつづける精神せいしん生活せいかつ廃疾はいしつしゃ人間にんげん自我じが破壊はかいさせる手術しゅじゅつ!」(p181)

 「病気びょうきなお廃人はいじん、それが治療ちりょう
 患者かんじゃ廃人はいじんしながらすすめられる「治療ちりょう」とは一体いったいなにであろうか。そのような手術しゅじゅつ一体いったい人間にんげんぜん生涯しょうがいいのちそのものの存否そんぴうようなかたちゆるされるのであろうか。ましてや歴史れきしほうむった亡霊ぼうれいごと手術しゅじゅつを、さまざまな名目めいもくした復活ふっかつさせて患者かんじゃ生涯しょうがいそのものを手玉てだまにとるようなことが、現在げんざいゆるされているのだろうか?
 のう前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ(ロボトミー)は、まさにこのような定説ていせつ確立かくりつした手術しゅじゅつであった。これはすくなくとも脳外科のうげか歴史れきし一端いったんひとならうたがうことのできない事実じじつである。」(高杉たかすぎ[1971:185])

大熊おおくま 一夫かずお 19730220 『ルポ・精神病せいしんびょうとう朝日新聞社あさひしんぶんしゃ,292p. ASIN: B000J9NFOU [amazon] ※ m→198108 朝日あさひ文庫ぶんこ,241p. ISBN-10: 4022602449 ISBN-13: 978-4022602442 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「「アル中あるちゅう電気でんきショック療法りょうほうでなおす」などという精神せいしん医学いがく教科書きょうかしょにもないようなことが、精神せいしんでジャンジャンおこなわれる――「ここが問題もんだいだ」とおおくのひとたちはおもうにちがいない。ところが、精神せいしん医療いりょう世界せかいでは、のうみそに電流でんりゅうとおして、人間にんげん変造へんぞうすることは、たいした問題もんだいにはならない。でんパチよりはるかに物騒ぶっそうなことが、じゅうねんほどまえには日常にちじょう治療ちりょうほうとしてまかりとおっていたのだ。そして今日きょうでも、少数しょうすうではあるがまだつづいている。それはのうにメスをれる手術しゅじゅつである。代表だいひょうてきなものに、ロボトミーがある。電気でんきショックもロボトミーも、程度ていどこそあれ、人間にんげんをボケさせ、おとなしくする、というてんかよっている。どちらも療法りょうほうとしてすたれてきたものの、とくに自殺じさつ企図きとしゃ効果こうかあり、とされて、いまだに使つかわれているてん共通きょうつうしている。」(大熊おおくま[1973:214-215])
 「ロボトミー手術しゅじゅつそのものも安全あんぜんではない。絶命ぜつめいもあるし、癇癪かんしゃく後遺症こういしょうなやまされることもある。手術しゅじゅつ廃人はいじんにされたために、決定的けっていてき退院たいいんできなくなって、鉄格子てつごうしなか余生よせいおくっているひとさがすのにそれほどほねれない。
 精神せいしん医学いがくは、のうはたらきについて、まだほんの一部いちぶしからない。なのに、そののう対象たいしょうとした手術しゅじゅつ方法ほうほうのみ実施じっしされる。」(大熊おおくま[1973:216)
 「「んじまえば病苦びょうくなし」ということわざがある。なぜ、こんな残酷ざんこく手術しゅじゅつが、今日きょうまでつづいているのか。かんがえてみれば不思議ふしぎなことだ。[…]
 しかし、ロボトミーという「治療ちりょう」とりはなせぬ“しん殺害さつがい”は、はじめから、すくなくとも日本にっぽんおこなわれはじめたころからは、ろうとおもえばることができたのだ。ロボトミーの結果けっか術後じゅつごにすぐる。きのうまでがつけられなかったものが、すぐにえるようになる、という具合ぐあいに。しろうとかんがえにも、ぞっとするはなしである。それが“西瓜すいかる”ごとくおこなわれたのである。」(大熊おおくま[1973:217])

◆1973 きたぜん病院びょういんでのロボトミー手術しゅじゅつ提訴ていそ→1978 札幌さっぽろ地裁ちさい原告げんこくがわ勝訴しょうそ→1996 札幌さっぽろ高裁こうさい和解わかい成立せいりつ

精神せいしん医療いりょうだい23-4  特集とくしゅう精神せいしん外科げか実態じったい精神せいしん医療いりょう編集へんしゅう委員いいんかい へん 19740517 岩崎いわさき学術がくじゅつ出版しゅっぱんしゃ,96p.

吉田よしだ 哲雄てつお東京とうきょう都立とりつ松沢まつざわ病院びょういん) 19740517 「ついで」,『精神せいしん医療いりょうだい23-4:1-3

 「精神せいしん外科げかとはなにであったか。また、なにであるのか。
 およそ人間にんげんのうにメスをくわえ、あるいははりとげいれ破壊はかいし、精神せいしんえようとする手術しゅじゅつは、かたち名称めいしょうはどうあれ、精神せいしん外科げかぞくする。これは脳腫瘍のうしゅようのようなめる組織そしき除去じょきょする手術しゅじゅつことなり、のう特定とくてい部分ぶぶん破壊はかいつうじてのう機能きのうえるという意味いみで、機能きのうてき脳外科のうげか一種いっしゅともよばれている。
 精神せいしん外科げか正当せいとうせいしんじてうたがわないものたちは、手術しゅじゅつじゅつしき工夫くふう手術しゅじゅつ適応てきおう確立かくりつ熱中ねっちゅうする。 しかし、精神せいしん外科げか是非ぜひ原則げんそくてきかんがえ、精神せいしん外科げか歴史れきしをたどるとき、わたしたちはたんなる医学いがく論争ろんそう没入ぼつにゅうしてはいられなくなるのである。 精神せいしん外科げか問題もんだいとは、手術しゅじゅつされるもの人間にんげんとしてうける仕打しう問題もんだいである。
 精神せいしん外科げか歴史れきしふるいが、事実じじつじょう創始そうししゃはMonizである。そしてかれ前頭葉ぜんとうようしろしつせつじゅつおこなったときのかんがかたは、けっして周到しゅうとう仮説かせつとはいえない。しかもその10ねんにこれをひきついでロボトミーとしてアメリカにひろめたFreeman とWatts のかんがかたは、Monizのそれと質的しつてきことなっている。
すなわち Monizは、症状しょうじょうとしての病的びょうてき思考しこうすことを目指めざした。かれはたとえば心気しんき念慮ねんりょ強迫きょうはく症状しょうじょうのような病的びょうてき思考しこうのうないにできのぼった特定とくていのシナプス結合けつごうによってしょうじているとかんがえた。そしてこの結合けつごうをになうしろしつ物理ぶつりてき破壊はかいすることによって症状しょうじょうすことをこころみた。
 このかんがえは広瀬ひろせによってすら無意味むいみだんじられた(1957ねん)し、井村いむら西丸にしまるによってもそれぞれ「論理ろんりてきされた定説ていせつとはいいにくい(1949ねん)」「あまりに簡単かんたんかんがかたである(1962ねん)」とひょうされている。
 ところで当時とうじから、「のう破壊はかいしながら人格じんかく変化へんかをおこすことなしに症状しょうじょうだけをすことが可能かのうであろうか」という当然とうぜん疑問ぎもんされていた。具体ぐたいてきには、たとえば手術しゅじゅつ強迫きょうはく症状しょうじょうえた場合ばあいでもそれは術後じゅつご人格じんかく変化へんか結果けっかではないかというのである。
 ところがFreeman や広瀬ひろせは、むしろ症状しょうじょうすとはいわず、手術しゅじゅつによる人格じんかく変化へんかこそが有効ゆうこうであるという、いわば居直いなおった立場たちば表明ひょうめいしている。すなわちFreemanらは、患者かんじゃひとつのかたよった状態じょうたいからもうひとつのべつかたよった状態じょうたいえ、そのため人格じんかく多少たしょうなりともえてしつ うところはあっても、社会しゃかいてき適応てきおうせいせばよいというのである。広瀬ひろせもこれにちかく、ロボトミーの効果こうか核心かくしん人格じんかく変化へんかにあると明言めいげんした。目的もくてきはやはり社会しゃかいてき適応てきおうせいをよくすることにあった。
 このように、適応てきおうせい尺度しゃくどとして人格じんかく変化へんか効果こうか核心かくしんとみなす立場たちばは、本質ほんしつてきに、じゅつしゃじゅつしゃ人格じんかく物理ぶつりりょくによって可逆かぎゃくてき支配しはいしようとする立場たちばである。
 ここで見逃みのがしてはならないのは、「おとなしくさせるためにはのう余計よけいほうがよい」という、のう破壊はかいによる人格じんかく廃絶はいぜつにむかう思想しそうがあり、そのごとくに実行じっこうされていたことである。その対象たいしょうとされたのは、しゅとしていわゆる「爆発ばくはつしゃ」や「興奮こうふんがた精神せいしん薄弱はくじゃくしゃ、てんかん<0001<患者」である。これはGoltzの除脳イヌの行動にヒントを得たといわれる前世紀のBurckhardtの「興奮患者」を「おとなしい患者」にするための皮質切除術の延長がロボトミーの領域にひそかに混入してきたものとみることができる。
 さて、精神せいしん外科げか代表だいひょうするじゅつしきであるロボトミーによる人格じんかく変化へんかは、さすがに批判ひはんしゃのみでなく実施じっししゃからも注目ちゅうもくされた。なかでもRylanderは1947ねんに、ロボトミーによって患者かんじゃしんから大切たいせつなものがうばられることを詳細しょうさい事実じじつにもとづいて指摘してきした。
 それ以来いらい実施じっししゃあいだでも、「なるべくちいさく、部位ぶい限定げんていしてる」という方向ほうこうしょうじたといわれている。すなわち、前頭葉ぜんとうようしろしつおおきく標準ひょうじゅんがたのロボトミーは、いまなお一部いちぶおこなわれてはいるが、大勢おおぜいとしてはすたれ、おびかい切除せつじょじゅつこうのう(こうは漢字かんじ)の皮質ひしつしろしつせつじゅつ、さらには定位ていいのう手術しゅじゅつとしての視床ししょう下部かぶあるいはひらたももかくせつじゅつなどが前面ぜんめんるにいたった。
 ところが、これらのより限局げんきょくてき手術しゅじゅつは、情動じょうどう行動こうどう調整ちょうせいするとしょうして、鎮静ちんせいのためにおこなわれる場合ばあいおおい。このように、じゅつしき近代きんだいされるのと同時どうじに、対象たいしょうがいわゆる「興奮こうふん患者かんじゃ」にしぼられてきていることは注目ちゅうもくあたいする。視床ししょう下部かぶたいする定位ていいのう手術しゅじゅつ実施じっししゃ一人ひとりは、「現代げんだい社会しゃかいなか精神せいしん外科げかめる位置いち重要じゅうようなものであり、なかでも、狂暴きょうぼうせいしめものたいする治療ちりょう意義いぎおおきい(関野せきの、1972ねん)」とい ている。そして現代げんだいじゅつしきは、のう深部しんぶ電極でんきょく定位ていいてき植込うえこみ、小型こがた電算でんさん操作そうさして行動こうどう制御せいぎょするところまできているのである。
 現代げんだい精神せいしん外科げか重点じゅうてんは、むしろ定位ていいのう手術しゅじゅつにうつりつつあるようにおもわれる。それではその依拠いきょする理論りろんはどのようなものであろうか。
 「定位ていいのう手術しゅじゅつはそもそも精神せいしん外科げかとして発達はったつした」という見解けんかいをもつ佐野さのは、「前頭葉ぜんとうよう連合れんごうはコンピューターのソフトウェアにあたり、それ以外いがいのうおよび神経しんけいけいはハードウェアに相当そうとうするとかんがえられる。ハードウェアにおかせかさねくわ薬物やくぶつ治療ちりょうしがたい精神せいしん症状しょうじょう行動こうどう異常いじょうなどを改善かいぜんしようというこころみはもとさるべきものとかんがえられる(1972ねん)」といい、かれらのいうところの「兇暴きょうぼうしょう」にたいして鎮静ちんせいてきのう手術しゅじゅつおこなっている。
 これは外観がいかんあたらしくみえるが、のう非常ひじょう単純たんじゅんした人間にんげん機械きかいろんてきかんがかたある。これでは到底とうてい、Monizの思想しそうわらえない。
 もとよりわたしたちは、理論りろん単純たんじゅんさをわらうことですませてはならない。精神せいしん外科げかがこのような 粗雑そざつ理論りろん依拠いきょしてまでおこなわれることこそをすえなければならない。このような理論りろんしかもたないままにのう破壊はかいすることが現実げんじつゆるされてきたのは、機械きかいろんてき局在きょくざいろんてき疾病しっぺいかんのなせるわざというのみでなく、「どうせ相手あいては“精神せいしん障害しょうがいしゃ”なのだから」という意識いしきささえられてのことであろう。
 精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ結果けっかとしての可逆かぎゃくてき人格じんかく破壊はかい痙攣けいれん発作ほっさ、とくにそのじゅうせき手術しゅじゅつ出血しゅっけつ手術しゅじゅつはいずれも重大じゅうだいである。しかも精神せいしん外科げか問題もんだいたんにその結果けっかにあるのみでなく、 その意図いと思想しそうせいにもある。
 人格じんかく廃絶はいぜつのための処置しょちとしての精神せいしん外科げか役割やくわりはむしろ明確めいかくである。
 一方いっぽう一応いちおう治療ちりょうとしてかんがえてみた場合ばあい治療ちりょうにしても実験じっけんてき色彩しきさいがきわめて濃厚のうこうである。ロボトミーの適応てきおう確立かくりつするためということで、いかにおおくの、さまざまな診断しんだんをつけられた人々ひとびと手術しゅじゅつされていることか。「(ロボトミーは)まんいち僥倖ぎょうこうをめざした手術しゅじゅつ中田なかた、1942ねん)」とか「分裂ぶんれつびょうたいしてたくこうありとはいえず、試験しけんだっしていない(内村うちむら、1948ねん)」ともいわれているのだ。
 また、精神せいしん外科げか目的もくてきは、治療ちりょうこころみというにしても治療ちりょうのみにあるとはいえない。むしろ、手術しゅじゅつ前頭葉ぜんとうようそののう機能きのう解明かいめいするのに役立やくだつという意味いみ期待きたいされ評価ひょうかされた形跡けいせきあきらかにある。1948ねんのリスボンでの国際こくさい精神せいしん外科げか学会がっかいについても、「あたかものう生理せいり実験じっけんにもすべき色彩しきさい濃化のうかしている(上村うえむら)」といわれている。このような学者がくしゃ風潮ふうちょう手術しゅじゅつ実施じっし<0003<に拍車をかけたことはうたがいない。最近の定位脳手術においても、たとえば視床内髄板破壊術の成果としての論文が、その治療効果よりもむしろ「内髄板の機能解剖について」(吉益、1972年)という形で結実している。
 さらに、ロボトミーがたい実験じっけんのような大脳皮質だいのうひしつ採取さいしゅ機会きかい提供ていきょうしたことは周知しゅうち事実じじつである。最近さいきんでも、熊本くまもと宮川みやがわ実験じっけんのように、ロボトミーとのうせいけんとのむすびつきもみられる。のうせいけんそのものも、精神せいしん外科げかきんえん行為こういとして十分じゅうぶん批判ひはんてき検討けんとうすべきだが、精神せいしん外科げかのもつ実験じっけんてき性格せいかくは、過去かこから現在げんざいにまでおよぶ重要じゅうよう問題もんだいてんひとつである。
 このような精神せいしん外科げかについての批判ひはんてき検討けんとう今日きょうまでどのようになされてきたであろうか。
 ある先人せんじんはいう。「当時とうじだれもがロボトミーをやっていた。一般いっぱん外科げかすらやっていた」と。あるいは「治療ちりょうほうでどうにもよくならなかった場合ばあい最後さいご手段しゅだんとしてったのだ」と。
 しかし、当時とうじロボトミーなどを積極せっきょくてき導入どうにゅうしたくにはイタリー、ブラジル、アメリカなどであり、ドイツ、ソ連それんはとりいれていない。精神せいしん外科げかけっして地球ちきゅうじょう精神せいしん医療いりょうをおおいつくしたわけではない。
 また日本にっぽんでも、「精神病せいしんびょう脳病のうびょうではない」という観点かんてんから精神せいしん外科げか否定ひていしていたもの、「のう人工じんこうてき可逆かぎゃくてき器質きしつ損傷そんしょうくわえてはならない」とする原則げんそくてき立場たちばもの精神せいしん医療いりょう現場げんばにいた。しかしこれらのこえおおやけのものとしてほとんどのこされていないのは残念ざんねんである。
 いずれにせよ、当時とうじはどうあれ、いまわたしたちは精神せいしん外科げか問題もんだい徹底的てっていてきにとりくむべきときをむかえているのである。
 最後さいごのうせいけんについていえば、のうせいけん精神せいしん外科げかよりものちになってさかんになった。それは、神経しんけい化学かがく電子でんし顕微鏡けんびきょうによる検索けんさく発達はったつ不可分ふかぶん神経しんけい化学かがく不可分ふかぶん傍点ぼうてん)である。また、のう外科げかてきおかせかさねくわえることにれたものにとっては、のうせいけんたいした問題もんだいではなくなってしまったようである。そして現在げんざい明確めいかく批判ひはん反省はんせいのないままに、諸国しょこく着々ちゃくちゃく実施じっしされている。その対象たいしょうおおくは、おそらくいわゆる痴呆ちほう患者かんじゃ精神せいしん薄弱はくじゃくしゃであり、とりわけ「がくよう患者かんじゃ」であろう。
 たしかに、1965ねんにチューリッヒでひらかれた国際こくさい神経しんけい病理びょうり学会がっかい一般いっぱん演題えんだいなかで、Biemondがのうせいけん倫理りんりてき法的ほうてき問題もんだいについてのべた。かれは、のあらゆる手段しゅだん診断しんだんがつかないときにのうせいけんによって診断しんだんすることはゆるされるという。そして条件じょうけんとして、ひろしはつせい進行しんこうせい疾患しっかんであること、同意どういるべきことなどをげている。これはどちらかといえば、のうせいけんをやりたいもの立場たちばである。しかし、かれとても、自分じぶん基準きじゅん普遍ふへん妥当だとうてきなものといってはいない。むしろ「いかなる場合ばあいにものうせいけんをしてはならない」という立場たちば存在そんざいみとめ、一定いってい敬意けいい表明ひょうめいしている。そしてそのときの会場かいじょうでは、治療ちりょう直接ちょくせつむすびつくのうせいけんのみがゆるされるという発言はつげんがあった。それ以後いごおそらくこれといった討論とうろんとぼしいままに現在げんざいいたったとおもわれる。
 のうせいけんについても、ひとひとつの具体ぐたいてき実例じつれい具体ぐたいてき実例じつれい傍点ぼうてん)をつうじてとりくむことがもっともみのりある方法ほうほうであろうし、現代げんだい精神せいしん医療いりょうにかかわるわたしたちの責務せきむでもあるとかんがえる。」(吉田よしだ[1974:3]、全文ぜんぶん引用いんよう下線かせん原文げんぶんでは傍点ぼうてんげられている文献ぶんけん対応たいおうした文献ぶんけんひょう原文げんぶんになし)

◆1974   だいかい全国ぜんこく精神せいしん障害しょうがいしゃ交流こうりゅう集会しゅうかい 於:東京とうきょう
 その全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだん結成けっせい
 決議けつぎ:「保安ほあん処分しょぶん新設しんせつ反対はんたい精神せいしん外科げか禁止きんしせよ、電気でんきショック療法りょうほうたいする患者かんじゃ拒否きょひけんあたえよ、自由じゆう入院にゅういん拡大かくだいせよ、今日きょう精神せいしん衛生えいせいほう体制たいせい反対はんたいする、優生ゆうせい保護ほごほうられる精神せいしん障害しょうがいしゃ差別さべつ反対はんたいする、通信つうしん面会めんかい自由じゆうけん承認しょうにんせよ」とう
 (http://popup.tok2.com/home2/nagano2/history.htm

ともかい へん 19740801 鉄格子てつごうしなかから――精神せいしん医療いりょうはこれでいいのか』うみしおしゃ,254p. ASIN: B000J9OWUQ \1500 [amazon] ※ m.

 「ロボトミー手術しゅじゅつ後遺症こういしょうなや
 退院たいいんするいちヶ月かげつまえに、医長いちょう先生せんせい先輩せんぱいぼう開業医かいぎょういいんれてかれて、ロボトミー手術しゅじゅつを、理由りゆうなくやるといわれたので、わたし絶対ぜったい手術しゅじゅつけないといいはったのですが、医長いちょう先生せんせい先輩せんぱいと、先生せんせい奥様おくさまもと看護かんご)を助手じょしゅとして、医長いちょう立合たちあいで強制きょうせいてき手術しゅじゅつされ、週間しゅうかん病院びょういん退院たいいんしました。
 いまになってかんがえてみると、人体じんたい実験じっけんをされたようにおもわれます。」(ともかいへん[1974:130])

◆1975 日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかい精神せいしん外科げか否定ひていする決議けつぎ

◆1975 秋田あきた横手よこてきょうせい病院びょういんたいし、Aささえかい(ロボトミーを糾弾きゅうだんしAさんを支援しえんするかい自主じしゅ交渉こうしょう闘争とうそう開始かいし

◆Illich, Ivan 1975 Medical Nemesis:The Expropriation of Health,Marion Boyars→1976 Limits to Medicine:Medical Nemesis:The Expropriation Of Health,with Calder & Boyars Ltd. London =19790130 金子かねこ 嗣郎つぎお やくだつ病院びょういん社会しゃかい――医療いりょう限界げんかい晶文社しょうぶんしゃ,325p. ASIN: B000J8JFJU [amazon] ※

 「ロボトミーをけた患者かんじゃは、いたみを強制きょうせいてきにとりあげられた極端きょくたんれいである。かれらは「家庭かていない病人びょうにん、あるいは家族かぞくのペットのレベルで適応てきおうしている」。ロボトミーをけた患者かんじゃいたみはかんじるが、それをなや能力のうりょくがない。」(Illich[1975→1976=1979:112])

◆1975 『カッコーのうえで』(One Flew Over The Cuckoo's Nest)公開こうかい

仙波せんば 恒雄つねお矢野やの とおる 19770310 精神せいしん病院びょういん――その医療いりょう現状げんじょう限界げんかい星和せいわ書店しょてん,345p. ASIN: B000J7TT42 3300 [amazon]※ m. i05.

 だいろくしょう くすり・作業さぎょう・レクリェーション
 「やがてさん〇〜ねん服用ふくようすることになれば、その結果けっか精神せいしん外科げかにおけるロボトミー批判ひはんごとく、薬物やくぶつ療法りょうほう批判ひはんをうける時期じきるであろうとかんがえる。
 ゆえに、薬物やくぶつ必要ひつよう時期じき比較的ひかくてき短期間たんきかん)には十分じゅうぶん吟味ぎんみしつつ使用しようし、つね症状しょうじょうわせて、できるだけ最小限さいしょうげんりょう使つかうことに医師いしつよ関心かんしんをもっていな ければならない。長期ちょうきにわたり、薬物やくぶつ治療ちりょう指針ししん許可きょか範囲はんいであるからといって、安心あんしんして大量たいりょう薬物やくぶつ使用しようすることはつつしむべきである。」(仙波せんば矢野やの[1977:156])

◆1979 ロボトミー殺人さつじん事件じけん

◆1979/05/13 赤堀あかほりちゅう闘委とういニュース』だいごう赤堀あかほり中央ちゅうおう闘争とうそう委員いいんかい

 「新潟大にいがただい精神せいしん糾弾きゅうだんたたか
  新潟にいがた赤堀あかほりさんとともたたかかい
 […]
 わたしにかけられた攻撃こうげきわたしだけではありません。いまもなお全国ぜんこく各地かくち精神病せいしんびょうしゃといわれる同胞どうほうだいなりしょうなりのかたちきているのです。このいかりをわたしたちはどこへうったえたらよいのでしょうか。新潟大学にいがただいがくいまもなお「暴力ぼうりょく行為こうい必要ひつようあく」とし学会がっかいでも決議けつぎされている面会めんかい通信つうしん自由じゆうにもみとめずにいるのです。またあの悪名あくめいたかいロボトミーを日本にっぽんはじめておこない、ロボトミーのメッカともいわれた大学だいがくです。そしていまほこらしげに「脳外科のうげかでは世界せかいてきレベル」とっていますが、そのかげにはすうれない精神病せいしんびょうしゃ犠牲ぎせいになっていることを、わすれてはならないとおもいます。」

◆1979/06 全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース(連絡れんらく会議かいぎ報告ほうこく

 「だいよんかい集会しゅうかい
 六月ろくがつきゅうじゅうにち名古屋なごやおこなわれただいよんかい全国ぜんこく精神せいしん障害しょうがいしゃ交流こうりゅう集会しゅうかいについて、つぎのような意見いけん感想かんそうがだされました。これらをふまえて、総括そうかつをしていきたいとおもいます。
 […]
六月ろくがつじゅうにち交流こうりゅう集会しゅうかい
 医師いし医療いりょうへのいかりと患者かんじゃいたみで、この集会しゅうかい本来ほんらいあるべき姿すがたといえる。「てよかった。」というひとおおかった。だいさんかい集会しゅうかいのように一方いっぽうてきでなく、ロボトミー被害ひがいしゃ生々なまなましいこえけて討論とうろんがもりあがりよかった。しかし、政治せいじりょくよわい。提起ていきそく決議けつぎをやるべきで、ロボトミー問題もんだいがでて、ロボトミー決議けつぎをとるべきだった。」

◆ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ(ロぜんとも) 1979/10/25 『ロボトミー徹底てってい糾弾きゅうだんだい1ごう

◆1979/09/30 ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ(ロぜんとも結成けっせい

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』197911

 「(4)「ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこくども会議かいぎ」の加入かにゅうについて
ロボトミー糾弾きゅうだんそう全国ぜんこくてき結合けつごうをかちとり、精神せいしん外科げか廃絶はいぜつをめざしてたたかいつづける「ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ」(ロぜんとも)の結成けっせいが9月30にち東京とうきょう南部なんぶ労政ろうせい会館かいかんひらかれました。それで、「やまいしゃ集団しゅうだん加入かにゅうすることになりました。
精神せいしん外科げかは、のう破壊はかいして、精神せいしんをかえることは医療いりょうではないこと、また人体じんたい実験じっけん要素ようそつよいこと、そして、本人ほんにん同意どういがあってもゆるされないことは、このあいだ論議ろんぎのなかで確認かくにんされてきましたが、いまだに厚生省こうせいしょうは、治療ちりょう指針ししんから精神せいしん外科げかをはずしていないことを徹底的てっていてき追求ついきゅうしてゆかなければなりません。
ロボトミー廃絶はいぜつにむけて、こう!
(5) 本年ほんねん9がつ27にち東京とうきょう小平こだいらで、脳外科のうげかつまははころされた事件じけんがあった。警察けいさつは、この事件じけんたんなる強盗ごうとう殺人さつじん事件じけんとしてかたづけようとしている。
 しかし、真実しんじつは、桜ヶ丘さくらがおか保養ほよういんのロボトミー医師いし藤井ふじい謄に、じゅつしゃ正義せいぎ復讐ふくしゅうをしたことにある。わたしたちは殺人さつじん否定ひていするが、Aさんが藤井ふじい殺意さついをいだき、実行じっこうしようとしたことは、じつに、ロボトミーじゅつしゃ正当せいとう行為こういならない。わたしたちはこの事件じけんちぎりおこりとして、桜ヶ丘さくらがおか保養ほよういんぼつ医療いりょうをはじめとする実態じったい暴露ばくろしなければならない。
 今後こんご、「やまいしゃ集団しゅうだん保安ほあん処分しょぶん動向どうこうとにらみあわせて、Aさんの支援しえん方向ほうこう追求ついきゅうしてゆきたいとおもいます。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』197912

「ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎへの加入かにゅうについて
 精神せいしん外科げか廃絶はいぜつにむけて学習がくしゅうかいち、要請ようせい質問しつもんとうちながら正式せいしき加入かにゅうすることが決定けっていされました。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198001

 「だいかい全国ぜんこく集会しゅうかいについて
 昨年さくねんろくがつじゅうにちだいよんかい全国ぜんこく集会しゅうかいつづき、情勢じょうせいをみきわめ、そして患者かんじゃあいだのより共通きょうつうした課題かだい設定せっていし、だいかい集会しゅうかい今秋こんしゅうをメドにおこなうことを目標もくひょうにしています。
 テーマは、だいよんかい集会しゅうかい会場かいじょうにあふれんばかりにおこなわれた精神せいしん医療いりょうたいする告発こくはつ(ロボトミー、電気でんきショックとう)のながれをいま一度いちどはっきり確認かくにんし、精神せいしん病院びょういんたいする告発こくはつ現行げんこう精神せいしん医療いりょう告発こくはつをテーマにすえたいとおもいます。それは、ちょんやまいしゃにとって成熟せいじゅく犯罪はんざいてき精神せいしん医療いりょう実体じったい暴露ばくろし、患者かんじゃサイドにたった医療いりょうをとりもどそうとしていくためのものであり、ちょんやまいしゃ普遍ふへんてき課題かだいとして設定せっていしていきたいとおもいます。くわえて精神せいしん医療いりょう良否りょうひは、わたしたち生活せいかつもと労働ろうどうもとめていくため前提ぜんていてき条件じょうけんであり、またしかし、きるためのネックとして認識にんしきするからです。
 以上いじょう、これらのいちきゅうはちねん方針ほうしんのもとに運動うんどうをすすめていくことかたられました。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198004

「5がつ6にち 青森あおもりけん弘前ひろさきでSさんのロボトミー糾弾きゅうだん裁判さいばん闘争とうそうがありました。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198005

日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかい 報告ほうこく

だい76かい日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかい総会そうかいが、5月23にちから25にちまで浜松はままつ市民しみん会館かいかんおこなわれました。わたしたち全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんあか中央ちゅうおう闘争とうそう委員いいんかい島田しまだ事件じけん対策たいさく協議きょうぎかい静岡しずおかあかさんとともたたかかい仙台せんだいあかさんとたたかかい新潟にいがたあかさんとともたたかかい支援しえん共闘きょうとうのもとに、10めい参加さんかしました。

[…] 24にち午後ごご総会そうかいは、定足数ていそくすうたっせずまたも集会しゅうかいとなりました。総会そうかいでは「やまいしゃ集団しゅうだんからうったえるビラ(同封どうふう)を配布はいふしました。
この集会しゅうかいでは保安ほあん処分しょぶん反対はんたいする決議けつぎなどがおこなわれました。
そしてあか問題もんだい委員いいんかいから、あかさんとの文通ぶんつう面会めんかい継続けいぞくしていることや、パネルヒーター設置せっち要求ようきゅう署名しょめい活動かつどうおこなっていることなどが報告ほうこくされました。この署名しょめい会場かいじょう多数たすうあつめられました。アムネスティ・インターナショナルからは、死刑しけい残酷ざんこく刑罰けいばつであり、死刑しけい廃止はいしかんする署名しょめい協力きょうりょくするよううったえがありました。
またロボトミー被害ひがいしゃからは、裁判さいばん支援しえんもとめるアピールがおこなわれました。」

全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』1980.6

 「「やまいしゃ集団しゅうだんはん医療いりょうとしてのロボトミー廃絶はいぜつにむけロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ(ロぜんとも)に共闘きょうとう参加さんかしていますが、ロぜんともからパンフ「悪魔あくまのメス、ロボトミーをほうむれ」創刊そうかんごう出版しゅっぱんされました。必要ひつようほう下記かきのところへもうんでください。
削除さくじょ
伊藤いとうあきらしんじかた ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198007

「B なながついちいちにちロボトミー裁判さいばん訴訟そしょう名古屋なごや地裁ちさい)が、結審けっしんじゅうがつよんにち判決はんけつがでることになりました。じゅうがつよんにち判決はんけつにはできるだけおおくの仲間なかま名古屋なごや地裁ちさい結集けっしゅうしていぬこう。
C ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこくども会議かいぎかい大会たいかいに「やまいしゃ集団しゅうだんとしてアピールをおくりました。
D 青森あおもりけん弘前ひろさきロボトミー訴訟そしょういぬいているSさんと支援しえんしゃが、ロぜんともかい大会たいかい帰途きと事務じむきょくおとずれました。そして、裁判さいばん現状げんじょう問題もんだいてん・また青森あおもり運動うんどうなどをはなしあい交流こうりゅうふかめました。」

◆ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこく共闘きょうとう会議かいぎ(ロぜんとも) 1980/08/01 『ロボトミー徹底てってい糾弾きゅうだんだい6ごう
 全文ぜんぶん掲載けいさいしています。

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198007

「B なながついちいちにちロボトミー裁判さいばん訴訟そしょう名古屋なごや地裁ちさい)が、結審けっしんじゅうがつよんにち判決はんけつがでることになりました。じゅうがつよんにち判決はんけつにはできるだけおおくの仲間なかま名古屋なごや地裁ちさい結集けっしゅうしていぬこう。
C ロボトミー糾弾きゅうだん全国ぜんこくども会議かいぎかい大会たいかいに「やまいしゃ集団しゅうだんとしてアピールをおくりました。
D 青森あおもりけん弘前ひろさきロボトミー訴訟そしょういぬいているSさんと支援しえんしゃが、ロぜんともかい大会たいかい帰途きと事務じむきょくおとずれました。そして、裁判さいばん現状げんじょう問題もんだいてん・また青森あおもり運動うんどうなどをはなしあい交流こうりゅうふかめました。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』1980.9

0のかい(愛知あいち)
[…]
10月24にち 名古屋なごや地裁ちさいでのロボトミーM訴訟そしょう判決はんけつ公判こうはん闘争とうそう参加さんかします。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198102

ロボトミーはがいこつあなをあけて人間にんげん喜怒哀楽きどあいらく意志いしをつかさどる大脳だいのうしろしつ手術しゅじゅつで、精神せいしん外科げかひとつとして精神病せいしんびょうの「治療ちりょう」としておこなわれてきたものです。
しかし、ロボトミーをうける対象たいしょうしゃである我々われわれは、その手術しゅじゅつそのものや、あるいは後遺症こういしょうなど直接的ちょくせつてきらされず、強制きょうせいてきにやられてきました。
本来ほんらい医療いりょう原則げんそくからみれば、医学いがく本人ほんにん利益りえき」のためにあるべきものを否定ひていし、秘術ひじゅつしゃ社会しゃかいてきに「おとなしく」させる社会しゃかい防衛ぼうえいろん立場たちばからおこなわれてきたことが事実じじつです。
我々われわれにとってロボトミーは否定ひていすべき「治療ちりょうほう」とかんがえます。
はそうした本人ほんにん利益りえきむすびつかない危険きけん手術しゅじゅつをされ、いまもその後遺症こういしょうなやみ、ロボトミーされたことを不当ふとう医療いりょう行為こういとして1973ねん名古屋なごや地裁ちさいうったえをおこしました。
本年ほんねん3月さんがつにち、この裁判さいばん判決はんけつがでます。わたしたちは「病者びょうしゃ」の利益りえきにつながらない、ロボトミーを糾弾きゅうだんするたたかいに注目ちゅうもくし、廃絶はいぜつをめざす立場たちばにおいて判決はんけつ公判こうはん闘争とうそう参加さんかしましょう。
日時にちじ 3月さんがつにち午前ごぜん10
場所ばしょ 名古屋なごや地裁ちさい民事みんじかいだい法廷ほうてい
判決はんけつまえにデモがおこなわれますので、デモの参加さんかしゃ同日どうじつ、930ふんライオンパーク
大津おおつきょう)に結集けっしゅうしてください。」

◆『全国ぜんこく精神病せいしんびょうしゃ集団しゅうだんニュース』198205

 「☆ロボトミー裁判さいばん
 いちなな Aさんのロボトミー裁判さいばんが、東京とうきょう地裁ちさいおこなわれました。(だいじゅうよんかい)Aさんのロボトミー不当ふとう裁判さいばんがすでに時効じこう門前払もんぜんばらいをしようと意図いとする訴訟そしょう指揮しきであったと報告ほうこくがありました。」

佐藤さとう 友之ともゆき 1984 『ロボトミー殺人さつじん事件じけん――いまかされる精神せいしん病院びょういん恐怖きょうふ』,ローレル書房しょぼう,259p. ISBN-10: 4795231125 ISBN-13: 978-4795231122 [amazon][kinokuniya] ※ m. ps.

秋元あきもと なみ留夫とめお 19850523  迷彩めいさい道標どうひょう――評伝ひょうでん日本にっぽん精神せいしん医療いりょう ,NOVA出版しゅっぱん,290p. ISBN-10: 4930914191 ISBN-13: 978-4930914194 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ m. ut1968.

 「南雲なぐもわたしあての書簡しょかんは、かれもまたはやし精神せいしんてき弟子でしのひとりであり、その伝統でんとう発展はってんさせる気概きがいいていることをしめしているとおもう。
 ≪[…]戦後せんごロボトミーが流行りゅうこうしたときのう傷害しょうがいかさねると一貫いっかんして反対はんたいされ、事実じじつ岡山おかやまではいちれい手術しゅじゅつれいがありません。戦後せんごあいだもないころおかだい病院びょういん精神せいしん個室こしつ暖房だんぼうまったことにいかりをはっせられ、自分じぶん年末ねんまつのボーナスをあて、暖房だんぼう確保かくほしたとのことです(金光かねみつ婦長ふちょうはなし)。岡山大学おかやまだいがく学長がくちょうをやめられたとき退職たいしょくきん大学だいがくまえ大通おおどおりの両側りょうがわ銀杏いちょう並木なみきをうえられたことも有名ゆうめいはなしです。≫(昭和しょうわろくじゅうねんいちがつじゅうななにちづけ著者ちょしゃあて書簡しょかん一部いちぶ)」(秋元あきもと[1985:283])

大熊おおくま 一夫かずお 19870401 精神せいしん病院びょういんはなし――このくにまれたるの不幸ふこういちばんごえしゃ,278p. ISBN-10: 4891881615 ISBN-13: 978-4891881610  1545 [amazon] ※ m.

 「その薬剤やくざい使用しようりょうもすさまじい。たとえばロボトミーされるまえのSさんは、いちにちにクロールプロマジンよん〇ミリ、セレネース〇ミリ、アタラックスミリ、ホリゾンじゅうミリという多量たりょうこう精神せいしんやくつよ精神せいしん安定あんていざい)をまされていた。これは、もしわたしたちがんだらこしけてヘロへロになる分量ぶんりょうである。また「入院にゅういん患者かんじゃがこっそりてたクスリで水洗すいせん便所べんじょがつまったこともある」と証言しょうげんする看護かんごもいる。」(大熊おおくま[1987:136‐137])

◆19880207 精神せいしん衛生えいせいほう撤廃てっぱい全国ぜんこく連絡れんらく会議かいぎ 精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ象徴しょうちょうされる精神せいしん医学いがく差別さべつせい」について

笠原かさはら よしみたけただし 建一けんいち風祭かざまつり はじめ へん 19910425 必修ひっしゅう 精神せいしん医学いがく 改訂かいていだいはん南江堂なんこうどう,362p. ISBN-10: 4524248064 ISBN-13: 978-4524248063 7500 [amazon][kinokuniya] ※ m.

だい4へん 治療ちりょうほう
 身体しんたいてき治療ちりょう 稲見いなみ まことあきら三浦みうら さだすなわち 263-283
  B.その身体しんたいてき療法りょうほう
   「5.精神せいしん外科げか療法りょうほう
 1935ねんにモニス Moniz, A. E. によってはじめられた。前頭葉ぜんとうようあいだのうとの神経しんけい連絡れんらく外科げかてき遮断しゃだんすることによって前頭葉ぜんとうよう脱落だつらく症状しょうじょうこさせる。前頭葉ぜんとうようしろしつきり截術 frontal lobotomy やしろしつ切除せつじょじゅつ lobectomy などがあるが、外科げかてきおかせかさねによる人格じんかく水準すいじゅん低下ていかいちじるしく、結果けっか一様いちようでないために、わがくにではおこなわれなくなった。」稲見いなみ三浦みうら[283])

◆Valenstein, Elliot S. 1998 Blming the Brain: The Truth About Drugs and Mental Health , Free Press,a division of Simon&Schuster,Inc.=20080212 功刀くぬぎひろし監訳かんやく中塚なかつか公子きみこやく精神せいしん疾患しっかんのう病気びょうきか?――こう精神せいしんやく科学かがく虚構きょこう,みすず書房しょぼう,325+xiv p. ISBN-10: 4622073617 ISBN-13: 978-4622073611 4410 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「前頭葉ぜんとうようロボトミーの先駆せんくしゃだったウォルター・フリーマンらはクロルプロマジンの効果こうかを「化学かがくてきロボトミー」とぶこともあった。前頭葉ぜんとうようロボトミーとクロルプロマジンによる治療ちりょうほうが、困難こんなん患者かんじゃ制御せいぎょするのに交互こうご利用りようされた。」(Valenstein[1998=2008:34])

八木やぎ つよしたいら田辺たなべ すぐる 19990724 精神病せいしんびょう治療ちりょう開発かいはつ思想しそう――ネオヒポクラティズムの系譜けいふ星和せいわ書店しょてん,271p. ISBN-10:4791104005 ISBN-13:978-4791104000 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ m

 だい1 近代きんだい医学いがくひかりかげ
  だい1しょう 近代きんだい医学いがく基本きほん思想しそう
  だい2しょう 近代きんだい医学いがく精神病せいしんびょうしゃ
   1,17世紀せいき隔離かくり監禁かんきん 
   2,18世紀せいき拷問ごうもんてき治療ちりょう
   3,19世紀せいき治療ちりょうニヒリズム
   4,20世紀せいき前半ぜんはん原因げんいん療法りょうほう
    (1)ロボトミー

風祭かざまつり もと 20010530 『わがくに精神せいしん医療いりょうかんがえる』日本にっぽん評論ひょうろんしゃ,292p. ISBN-10: 4535981906 ISBN-13: 978-4535981904 2920 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「(6)精神せいしん外科げか療法りょうほう(ロボトミー)
 ロボトミー(前頭葉ぜんとうようせつじゅつ)は、ポルトガルのモニス(Moniz,E.)がいちきゅうさんねんに、苦悶くもんつよ初老しょろううつびょう患者かんじゃ両側りょうがわ前頭葉ぜんとうようしろしつ切断せつだん、あるいは無水むすいアルコールを注入ちゅうにゅうして精神せいしん症状しょうじょういちじるしい臨床りんしょうてき改善かいぜんみとめ、また、いちきゅうさんろくねん米国べいこくのフリーマン(Freeman,W.)が方法ほうほうをやや簡易かんいした前頭葉ぜんとうようきりさいじゅつ(Prefrontal lobotomy)を開始かいしし、ぜん世界せかい各種かくしゅ精神せいしん障害しょうがい治療ちりょうもちいられるようになった。いちきゅうよんはちねんはちがつにリスボンでだいいちかい国際こくさい精神せいしん外科げか学会がっかい開催かいさいされたが、当時とうじぜん世界せかいからやく〇〇〇れい手術しゅじゅつれい報告ほうこくされたという。いちきゅうよんきゅうねんにはモニスにノーベルしょう授与じゅよされた。
 わがくにではいちきゅうさんきゅうねんごろから脳外科のうげか中田なかたにより前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ前頭葉ぜんとうようせつじゅつ追試ついしおこなわれた。終戦しゅうせんに、この治療ちりょうほう精神せいしん領域りょういき注目ちゅうもくび、いちきゅうねんだいよんかい精神せいしん神経しんけい学会がっかい宿題しゅくだい報告ほうこくまでにやく〇〇〇れい手術しゅじゅつおこなわれた。しかし、わがくに当時とうじ指導しどうてき精神せいしん精神せいしん外科げかには批判ひはんてきで、松沢まつざわ病院びょういん〇〇れい以上いじょう患者かんじゃにorbital leucotomyをおこなってモノグラフ『ロボトミー』をあらわした広瀬ひろせ(2)も「脳髄のうずいのような複雑ふくざつ精緻せいち器官きかんたいして種々しゅじゅ外科げかてきおかせかさねおこない、先天的せんてんてきあるいは後天的こうてんてきけた機能きのう再生さいせいするということも、また病的びょうてき亢進こうしんした機能きのう正常せいじょうもどこともまずかんがえられない。ようは、精神せいしん機能きのう全体ぜんたい平衡へいこう調和ちょうわ歪曲わいきょくもとづく精神せいしん症状しょうじょう目標もくひょうとして手術しゅじゅつおこない、一部いちぶ機能きのう破壊はかい減退げんたいせしめ、あたらしい平衡へいこう状態じょうたい招来しょうらいして症状しょうじょう軽減けいげんあるいは消失しょうしつはかる」とこの治療ちりょうほう目的もくてきべている。<0088<
 松沢まつざわ病院びょういん経験けいけんでは、頑固がんこ妄想もうそうがた分裂ぶんれつびょう有効ゆうこうであったが、広瀬ひろせはそのじゅつしき工夫くふうし、むしろ難治なんじせいのうつびょう強迫きょうはく神経症しんけいしょう有効ゆうこうであるとしたが、こう精神せいしん薬療やくりょうほう導入どうにゅうとともにおこなわれなくなってしまった。」(風祭かざまつり[2001:88-89])

坂口さかぐち 志朗しろう  20020325 「精神せいしん障害しょうがいしゃと「こころをむ」ひとびと」,川上かわかみへん[2002:403-465]*
川上かわかみ たけし へん 20020325 戦後せんご日本にっぽん病人びょうにん農村のうそん漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい,804+13p. 804+13p. ISBN-10: 4540001698 ISBN-13: 978-4540001697 \12600 [amazon][kinokuniya] ※ h01 ms

 「いちきゅうよんななねん松沢まつざわ病院びょういん開始かいしされたロボトミーは、またたくまに全国ぜんこく精神せいしん病院びょういんにひろがり、ねんには精神せいしん外科げか日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかい宿題しゅくだい報告ほうこくとしてげられ、戦後せんご一時期いちじきはその全盛期ぜんせいきであった(12)。[…]しかしねんごろよりこう精神せいしんやく使つかわれるようになると、その効果こうか顕著けんちょであったこともあって、ロボトミーはそのマイナスのめん人格じんかく変化へんかをともなうのう障害しょうがい存在そんざいあきらかにされて批判ひはんにさらされ、急速きゅうそく治療ちりょうほうとしての生命せいめいうしなった。それだけこう精神せいしんやく精神せいしんやまい治療ちりょうをもたらしたといえる。こう精神せいしんやくによる薬物やくぶつ療法りょうほうは、それまでの治療ちりょうほうくら手軽てがるで、しかも効果こうかあらわれやすかっただけに、安易あんい投与とうよ大量たいりょう療法りょうほうむすびつくことにもつながり、薬物やくぶつ一般いっぱん共通きょうつうする弊害へいがいすことにもなった。しかし、それまで「なおせない」として医学いがくてき対象たいしょうそとかれていた精神せいしんやまいを、「なおせる」可能かのうせいがあるものとして、治療ちりょうへの積極せっきょくてきみをしたてんで、<0408<向精神薬の導入は画期的なできごとであった。」(坂口[2002:408-409])

長野ながの 英子えいこ 2002/05/06 「ハンスト宣言せんげん

 「[…]わたしはこうした当事とうじしゃ(=「触法しょくほう精神せいしん障害しょうがいしゃ」とラベリングされた同胞どうほうきの議論ぎろん一切いっさいみとめない。
 桜庭さくらば章司しょうじさんを「肝臓かんぞう検査けんさ」とだましてロボトミーしたのはだれか?」[…]」

◆ばびっち佐野さの 2002/10/26 「旅人たびびとさん、ロボトミーのやりかたいろいろです。」  『地上ちじょう旅人たびびと』 http://mental.hustle.ne.jp/log/log1zw.html

 「ロボトミー手術しゅじゅつ(Lobotomy):1935ねん、ポルトガルの神経しんけいモーニスによって創始そうしされた。アメリカでもてはやされた。前頭葉ぜんとうよう機能きのうかんして生理学せいりがくてき臨床りんしょう医学いがくてき観察かんさつかさね、はじめは前頭葉ぜんとうようしろしつない無水むすいアルコールを注入ちゅうにゅう神経しんけい線維せんい凝固ぎょうこさせることをこころみたが、ついでしろしつきり截器(ロイコトーム)をもちいて手術しゅじゅつおこなった。その根拠こんきょには「神経しんけい細胞さいぼうシナプス」理論りろんがあり、神経しんけい線維せんい密集みっしゅうしている前頭葉ぜんとうようしろしつ手術しゅじゅつによって破壊はかいすることにより、神経しんけいインパルスのチャンネルをえることにより症状しょうじょう軽快けいかいねらった。その大脳だいのう半球はんきゅう剔除じゅつみぎひだり半球はんきゅう外套がいとう全部ぜんぶのぞく)、ロベクトミー(Lobectomy:大脳だいのう前頭葉ぜんとうようがわあたまなどだい部分ぶぶん切除せつじょ)、ロイコトミー(Leucotomy:大脳だいのうしろしつ吸引きゅういんする)、トペクトミー(Topectomy:大脳皮質だいのうひしつ一部いちぶ切除せつじょ)、定位ていいのう手術しゅじゅつ大脳だいのうかくはり電極でんきょく挿入そうにゅう電気でんきてき焼灼しょうしゃく破壊はかいする)とう発展はってんした。わがくにでは1942ねん新潟大学にいがただいがく外科げかがく教授きょうじゅ中田なかた瑞穂みずほによって最初さいしょのロボトミーがおこなわれ、学会がっかい報告ほうこくされたが精神せいしん関心かんしんかなかった。精神せいしん病院びょういんにおいては昭和しょうわ22ねん松沢まつざわ病院びょういんにおいて広瀬ひろせ貞雄さだおによっておこなわれた。しかし、わがくにでロボトミーが流行りゅうこうしたのは戦後せんごである。これはモニツがその業績ぎょうせきたいしてノーベルしょう受賞じゅしょうした(1949)ことに触発しょくはつされ、また戦後せんご混乱こんらんなか物資ぶっし不足ふそくによりインシュリンショック療法りょうほうおこなうのも困難こんなん電気でんきショック療法りょうほう節電せつでんのため電気でんきしていた時代じだいだったため精神せいしん外科げか流行りゅうこうした。広瀬ひろせはロボトミーを改良かいりょうし orbito-ventromedial undercutting を開発かいはつ昭和しょうわ22ねんより15ねんにわたり 468れい報告ほうこくしている。生存せいぞんしゃ309れいで114れい退院たいいんうち76れい就職しゅうしょく家事かじ従事じゅうじしている。精神せいしん外科げか療法りょうほう問題もんだいされるようになったのは東大とうだい教授きょうじゅだいひろ過去かこ業績ぎょうせきたいして人体じんたい実験じっけんだと東大とうだい講師こうし石川いしかわきよし朝日新聞あさひしんぶん告発こくはつしたことにはっする。これはあかレンガがわ石川いしかわたい教授きょうじゅのあらさがしをするというてい次元じげんのものであったが精神せいしん神経しんけい学会がっかい影響えいきょうをもたらした。このとき、ナチス・ドイツの人体じんたい実験じっけんさばいたニュールンベルグ裁判さいばん判決はんけつ(1947.8)ちゅうの10原則げんそく引用いんようされた。1964ねんにはヘルシンキ宣言せんげんにより精神せいしん外科げか衰退すいたいし、現在げんざいはほとんどおこなわれていない。」

ふう 春樹はるき 2003/05/20 「ロボトミー」http://psychodoc.eek.jp/abare/lobotomy.html,『サイコドクターあばれたびhttp://psychodoc.eek.jp/abare/index.html

 「とうサイトのアクセスログをていると、かならず1にちに2、3にんくらいのりで「ロボトミー」で検索けんさくしてくるひとがいる。みんな、そんなにロボトミーのことをりたいんでしょうか。
 ロボトミーについてはこれまでにも、だいたいのところは私家しかばん精神せいしん医学いがく用語ようご辞典じてんのロボトミーのこうにまとめてあるのだけど、今回こんかいは、そのときあまりれなかった日本にっぽんのロボトミー情報じょうほうについていてみよう。
 日本にっぽんはじめてロボトミーがおこなわれたのは1942ねん昭和しょうわ17ねん)。新潟にいがた医大いだい外科げか中田なかた瑞穂みずほ教授きょうじゅだそうだ。当時とうじはあんまり精神せいしんからの反応はんのうはなかったらしいが、戦後せんごになるとアメリカ医学いがく影響えいきょうさかんにおこなわれるようになる。日本にっぽんのロボトミーの第一人者だいいちにんしゃである広瀬ひろせ貞雄さだおが1954ねん昭和しょうわ29ねん)にいた論文ろんぶん「ロボトミー人格じんかくぞうについて」によれば「著者ちょしゃ昭和しょうわ22ねん以来いらい360れい各種かくしゅ症例しょうれいにロボトミーをおこない、手術しゅじゅつ前後ぜんこう精神せいしん状態じょうたい変化へんか仔細しさい観察かんさつし」てきたそうだ。7ねんで360れい広瀬ひろせ医師いしだけでも1ねんで50れい以上いじょうということになりますね。なんでも、日本にっぽんちゅうでロボトミーをけた患者かんじゃすうは、だいたい3まんにん〜12まんにんくらいになるとか。統計とうけいとってなかったんですかね。はばありすぎ。
 なお、この論文ろんぶんには、実際じっさいにロボトミー手術しゅじゅつけた症例しょうれいがたくさんっているが、だいたい以前いぜん紹介しょうかいしたれいたりったりなのでここでは紹介しょうかいしません。かわりに、ロボトミー肯定こうていである広瀬ひろせ貞雄さだお先生せんせい言葉ことば引用いんようしておこう。

 「我々われわれ今日きょうまでの現実げんじつてき経験けいけんとしては、ロボトミーは臨床りんしょうてき有用ゆうようがた利器りきであり、従来じゅうらい療法りょうほうではどうしても病状びょうじょう好転こうてんたすことができず、社会しゃかいてきにも危険きけんのあったものがロボトミーによって社会しゃかいてき適応てきおうせい回復かいふくし、あるい看護かんごじょうにも色々いろいろ困難こんなんのあったものが看護かんごやすくなるというような場合ばあいをしばしば経験けいけんしている」

 「精神せいしん病院びょういんないに、はなはだしくなやみ、また狂暴きょうぼう患者かんじゃれられているということは、戦争せんそう犯罪はんざいやアルコール中毒ちゅうどく惨害さんがい以上いじょう一般いっぱん社会しゃかい良心りょうしんにとっておおきな汚点おてんであるとし、このような患者かんじゃがロボトミーですくわれることを肯定こうていする議論ぎろんもある。1952ねんマ法王まほうおうPiusXIIは、その個人こじん幸福こうふくのために手段しゅだんのないかぎ肯定こうていさるべきだという意味いみ声明せいめいをした」

 なお、この広瀬ひろせ先生せんせいも、ロボトミーによって患者かんじゃ性格せいかく変化へんかし、環境かんきょうへの積極せっきょくてき関心かんしん感受性かんじゅせいり、内省ないせいしたり将来しょうらい予測よそくして行動こうどうする能力のうりょく低下ていかすることはみとめてます。でも、それ以上いじょうにプラスの変化へんかほうおおきい、と広瀬ひろせ先生せんせいうのですね。
 さて、当初とうしょから批判ひはんこえおおかったロボトミーは、薬物やくぶつ療法りょうほう発達はったつ人権じんけん意識いしきたかまりにともない、1960年代ねんだい後半こうはんから徐々じょじょ下火したびになっていく。しかし、一部いちぶ病院びょういんではその手術しゅじゅつつづき、日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかいで「精神せいしん外科げか否定ひていする決議けつぎ」が可決かけつされてロボトミーがようやく完全かんぜん過去かこのものとなったのは、1975ねんのことである。

 そして、だれもがロボトミーをわすった1979ねん、ある衝撃しょうげきてき事件じけんこっている。都内とないぼう病院びょういん勤務きんむする精神せいしんつま母親ははおや刺殺しさつされたのである、やがて逮捕たいほされた犯人はんにんは、1964ねんこの医師いしにロボトミー手術しゅじゅつけた患者かんじゃだった。かれは、手術しゅじゅつでもうばうことのできないほどのにくしみを15年間ねんかんいだきつづけ、そしてついにそのうらみをらしたのである。
 ロボトミーがおおきな話題わだいになったのはおそらくこのときが最後さいご。そしてロボトミーは歴史れきしやみえていった。しかしいまも、かつてロボトミー手術しゅじゅつけた患者かんじゃたちは精神せいしん病院びょういんおくしずかにときをすごしている。そうした患者かんじゃたちについても、すでにいた。 」

◆Slater, Lauren 2004 Opening Skinner's Box: Great Psychological Experiments of the Twentieth Century, W W Norton & Co Inc, 256p. ISBN-10: 0393050955 ISBN-13: 978-0393050950(ハードカバー)[amazon][kinokuniya](ペーパーバック: 2005 W W Norton & Co Inc; Reprintばん, 288p. ISBN-10: 0393326551 ISBN-13: 978-0393326550 [amazon][kinokuniya])=20050831 岩坂いわさか あきら やくしん実験じっけんできるか――20世紀せいき心理しんりがく実験じっけん物語ものがたり紀伊國屋きのくにや書店しょてん,405p. ISBN-10: 4314009896 ISBN-13: 978-4314009898 2400+ [amazon][kinokuniya] ※ m. ps.

◆El-Hai, Jack 2005 The Lobotomist: A Maverick Medical Genius and His Tragic Quest to Rid the World of Mental Illness,New York: Wiley,368p. ISBN-10: 0470098309 ISBN-13: 978-0470098301 [amazon][kinokuniya]=20090723 岩坂いわさか あきら やく  『ロボトミスト――3400かいロボトミー手術しゅじゅつおこなった医師いし栄光えいこう失墜しっつい ,ランダムハウス講談社こうだんしゃ,496p ISBN-10: 4270005165 ISBN-13: 978-4270005163 2940 [amazon][kinokuniya] ※ ps. m. e04.
cf.
児玉こだま 真美まみ 2008/01/25 「ロボトミー被害ひがいしゃ手記しゅき出版しゅっぱん
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/31092352.html

◆Dully, Howard ; Fleming, Charles 2007 My Lobotomy: A Memoir, Three Rivers Press→2008 ペーパーバックばん,Broadway, 304p. ISBN-10: 0307381277 ISBN-13: 978-0307381279 [amazon][kinokuniya]=20091130 平林ひらばやし さち やく『ぼくののうかえして――ロボトミー手術しゅじゅつ翻弄ほんろうされたある少年しょうねん物語ものがたり ,WAVE出版しゅっぱん,400p. ISBN-10: 4872904443 ISBN-13: 978-4872904444 1900+ [amazon][kinokuniya] ※ m. ps.

児玉こだま 真美まみ 2008/01/25 「ロボトミー被害ひがいしゃ手記しゅき出版しゅっぱん
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/31092352.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2008/01/25

児玉こだま 真美まみ 2008/02/04 「こう精神せいしんやくはロボトミーとそれほどちがわない?」
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/31793112.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2008/02/04

ぬでじま 次郎じろう 2008/02/07 「のう科学かがく精神せいしん外科げか歴史れきしまなび、研究けんきゅう倫理りんりを」
 『毎日新聞まいにちしんぶん』2008ねん2がつ7にち東京とうきょう夕刊ゆうかん
 http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/40161729.html全文ぜんぶん引用いんよう

 「のう研究けんきゅうへの関心かんしんたかまっている。どもの教育きょういくから高齢こうれいしゃ認知にんち能力のうりょくアップまで、様々さまざま応用おうよう期待きたいせられていることが背景はいけいにある。ビデオやゲームによる刺激しげきのうにどのような変化へんかをもたらすか計測けいそくする様子ようすを、にする機会きかいえた。
 そうしたなか、昨年さくねんはちがつのう損傷そんしょう患者かんじゃのう電極でんきょく電気でんき刺激しげきあたえたら、意識いしき状態じょうたい改善かいぜんしたとの報告ほうこく話題わだいになった。ゲームをさせるくらいならまだしも、電気でんき刺激しげきおかせかさね度合どあいがふかく、そこまでしていいのかと不安ふあんになる。
 こののう深部しんぶ刺激しげき(DBS)という医療いりょう技術ぎじゅつは、疼痛とうつう(とうつう)やパーキンソンびょう治療ちりょうにすでに使つかわれており、精神せいしん疾患しっかんにも応用おうようされているものだ。実用じつようはじまったいちきゅうろく年代ねんだいまつからなな年代ねんだいには、行動こうどう精神せいしん制御せいぎょにつながると問題もんだいにされたが、その臨床りんしょう現場げんばでの普及ふきゅうすすみ、論議ろんぎ対象たいしょうにならなくなった。ヒトゲノム研究けんきゅうがもたらす倫理りんり問題もんだい関心かんしん集中しゅうちゅうし、そのかげかくれてしまったかんがある。
 わたしは、ゲノムやクローン研究けんきゅうには倫理りんりがうるさくわれるのに、のう研究けんきゅうにはさほどわれないのを不思議ふしぎおもってきた。ひと尊厳そんげんにかかわるといったら、DNA配列はいれつ解析かいせきよりのうへの介入かいにゅうのほうがよほど脅威きょういではないか。たとえば、教育きょういく効率こうりつたかめるためにどもののうにどういうはたらきかけをすればいいかを研究けんきゅうする計画けいかくがある。こうした実験じっけんがどこまで、どのような条件じょうけんゆるされるか、のう科学かがく研究けんきゅう倫理りんり確立かくりつ急務きゅうむになっている。
 そこでわたし重要じゅうようだとおもうのは、精神せいしん外科げか歴史れきし現在げんざい問題もんだいである。悪名あくめいたかいロボトミーを代名詞だいめいしとする精神せいしん外科げかは、のう科学かがく倫理りんりではほとんどげられることがない。いまのう科学かがくには関係かんけいないむかしはなし、というかんじだ。だが調しらべていくと、精神せいしん外科げか勃興ぼっこう(ぼっこう)と衰退すいたいが、そのときどきののう研究けんきゅうむすびついて、現在げんざい先端せんたん治療ちりょうにもつながっていることがかる。のう深部しんぶ刺激しげき基盤きばん技術ぎじゅつ定位ていいのう手術しゅじゅつによる電極でんきょくみ)は、ロボトミー手術しゅじゅつ改良かいりょうこころみからまれてきたものなのである。
 じゅうきゅう世紀せいきまつ以来いらい今日きょうまで、のう科学かがくちからそそいできた焦点しょうてんひとつに、大脳だいのう前頭まえがしら前野まえのがくおくのあたり)の研究けんきゅうがある。精神せいしん外科げかは、いちきゅうさん年代ねんだいから年代ねんだいにかけて、その研究けんきゅう結果けっかもとづいて手術しゅじゅつ個所かしょめられておこなわれ、手術しゅじゅつ結果けっかのう研究けんきゅうにデータを提供ていきょう知見ちけん蓄積ちくせきされるという歴史れきしがあった。前頭まえがしら前野まえのとそのさらにおく大脳だいのうもと底部ていぶとのつながりを切断せつだんすれば、精神病せいしんびょうなどを治療ちりょうできるとかんがえられたのである。そうして臨床りんしょうれいかさねられた結果けっか手探てさぐりでおおきくのうるロボトミーはすたれ、わりに、位置いちりょう局限きょくげんする定位ていいのう手術しゅじゅつ開発かいはつされた。その手法しゅほう機能きのうてき神経しんけい外科げかという分野ぶんや別個べっこ展開てんかいし、いまいたっている。
 のう基礎きそ研究けんきゅうのう手術しゅじゅつ臨床りんしょうとは、表裏一体ひょうりいったいすすんできた。そしていまでもなお、前頭まえがしら前野まえの大脳だいのうもと底部ていぶのつながりかたからないことがおおく、仮説かせつとめ(とど)まっている。その仮説かせつもとづいて、精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ欧米おうべい少数しょうすう拠点きょてん中心ちゅうしんおこなわれつづけており、精神せいしん疾患しっかん治療ちりょうほうとして見直みなおうごきがてきている。のう研究けんきゅうすすめば、どこをればいいか確実かくじつかるようになるとの期待きたいもある。
 このように精神せいしん外科げか歴史れきしのう科学かがく現在げんざいにつながっていて、将来しょうらいにも影響えいきょうあたえるだろう。だからきちんとっておく必要ひつようがある。長年ながねん一流いちりゅう研究けんきゅうしゃ相手あいてにしながら、のういま未知みち部分ぶぶんおおく、人間にんげん本質ほんしつろうとするうえで不可思議ふかしぎ対象たいしょうだ。それに見合みあったかしこ(おそ)れと謙虚けんきょさを、研究けんきゅうしゃと、研究けんきゅう成果せいか享受きょうじゅする一般人いっぱんじんがいかにふかいだつづけられるかが、今後こんごのう研究けんきゅうしつ左右さゆうするだろう。精神せいしん外科げか過去かこ現在げんざいは、そのための格好かっこう教材きょうざいになるとおもう。(ぬでしま・じろう=生命せいめい倫理りんり政策せいさく研究けんきゅうかい共同きょうどう代表だいひょう)」(全文ぜんぶん

◆2008/02/17 「精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ復活ふっかつどもの未来みらい
 http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/40161729.html
 『精神せいしん犯罪はんざいう』
 http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55

 「れい事件じけんがこんなことになっているとはりませんでした。

服役ふくえきちゅうけんみとめず 仙台せんだい地裁ちさい受刑じゅけいしゃ請求せいきゅう棄却ききゃく
 宮城みやぎ刑務所けいむしょ仙台せんだい若林わかばやし)で服役ふくえきちゅうおとこ(79)が自殺じさつさまたげられない権利けんりけん」の確認かくにんと、刑務所けいむしょ自殺じさつみとめないことにたいする160まんえん損害そんがい賠償ばいしょうくにもとめた訴訟そしょう判決はんけつで、仙台せんだい地裁ちさいは15にちおとこ請求せいきゅう棄却ききゃくした。
 おとこ長期ちょうき服役ふくえきによる身体しんたい不調ふちょううったえ、「きていても仕方しかたがない」などと主張しゅちょうしていたが、近藤こんどう幸康ゆきやす裁判官さいばんかんは「けんみとめられる憲法けんぽう法律ほうりつじょう根拠こんきょはない。身体しんたい状態じょうたい刑務所けいむしょ処遇しょぐうじょうきょうにかかわらずけん根拠こんきょはなく、請求せいきゅう前提ぜんていく」と指摘してきした。
 おとこは1979ねんがつのうぜん頭部とうぶうすくはぎ脳外科のうげか手術しゅじゅつ(チングレクトミー)で後遺症こういしょうとなったことをうらみ、主治医しゅじいだった東京とうきょう小平こだいら精神せいしんたくで、医師いしつま義母ぎぼ殺害さつがい強盗ごうとう殺人さつじんざいなどにわれ、いちしん東京とうきょう地裁ちさい八王子はちおうじ支部しぶしん東京とうきょう高裁こうさいとも無期むき懲役ちょうえきをいいわたした。最高裁さいこうさいは96ねん11がつおとこ上告じょうこく棄却ききゃくし、判決はんけつ確定かくていした。
河北新報社かほくしんぽうしゃ 2008ねん02がつ15にち金曜日きんようび

 さっしのほうはすぐに気付きづいたことでしょう。れい事件じけんとは、かの有名ゆうめいな「ロボトミー殺人さつじん事件じけん」です。この受刑じゅけいしゃ男性だんせいは、加害かがいしゃであると同時どうじ精神せいしん医療いりょう被害ひがいしゃでもあります。詳細しょうさいは「ロボトミー殺人さつじん事件じけん」で検索けんさくしてください。おそろしい背景はいけいがわかるでしょう。
 結局けっきょく画期的かっきてき」と散々さんざんもてはやされた、ロボトミーに代表だいひょうされる精神せいしん外科げか手術しゅじゅつなにをもたらしたのでしょうか?その画期的かっきてき治療ちりょうは、殺人さつじんしゃし、「きていても仕方しかたがない」とかんがえるひとつくしたのです。なんだか現在げんざいにもおな構図こうずられませんか?精神せいしん医療いりょうにおいて「画期的かっきてき」とわれたものを調しらべてみるとよいでしょう。
 さて、この精神せいしん外科げか手術しゅじゅつ過去かこのものでしょうか?
 最近さいきんこんな記事きじもありました。

 [ヤ島[2008]の全文ぜんぶん引用いんようりゃく

 じつは、上記じょうき記事きじにもあるとおり、この精神せいしん外科げか手術しゅじゅつかたちえて復活ふっかつしてきています。電気でんきけいれん療法りょうほうが、麻酔ますいおこなう「修正しゅうせいがた電気でんきけいれん療法りょうほう」として復活ふっかつしているのとおなじです。これらは、医学いがくてきよそおいによって以前いぜん残虐ざんぎゃくせいかくされ、よりれられやすいようなかたちになっていますが、じつは、どのように作用さようするのかなどのメカニズムはほとんど解明かいめいすらされていないのです。

日本にっぽんでも本格ほんかくてきうごはじめたようです。2008ねん1がつ25・26にちだい47かい日本にっぽん定位ていい機能きのう神経しんけい外科げか学会がっかい浜松はままつひらかれました。
http://www.congre.co.jp/stereo2008/
このなかで、外科げかてき手術しゅじゅつ精神せいしん疾患しっかん応用おうようしようとするみが発表はっぴょうされています。
特別とくべつ企画きかく 精神せいしん領域りょういき疾患しっかんたいするのう深部しんぶ刺激しげき療法りょうほう
15:05 〜 18:45
座長ざちょう名古屋大学なごやだいがく脳神経のうしんけい外科げか吉田よしだ  じゅん
  (和歌山大学わかやまだいがく脳神経のうしんけい外科げか板倉いたくら  とおる
特別とくべつ講演こうえん
L1 難治なんじ精神せいしん障害しょうがいたいするDBS 治療ちりょうの、浜松はままつ医大いだいにおけるマニュアル作成さくせいこころ
金沢大学かなざわだいがく大学院だいがくいんのう情報じょうほう病態びょうたいがく 神経しんけい精神せいしん医学いがく さん邉義ゆう
特別とくべつ講演こうえん
L2 Experiences of cingulotomy and deep brain stimulation for intractable obsessive compulsive disorders
Yonsei University College of Medicine Jin Woo Chang
特別とくべつ講演こうえん
L3 Deep Brain Stimulation: The New Neurosurgery for Depression
Toronto Western Hospital, University of Toronto Andres M. Lozano
指定してい発言はつげん1:精神せいしんから
浜松医科大学はままついかだいがく精神せいしん医学いがく講座こうざ もり 則夫のりお
指定してい発言はつげん2:脳神経のうしんけい外科げかから
日本にっぽん大学だいがく医学部いがくぶ 脳神経のうしんけい外科げか へん山容さんよういち

 やはり浜松医科大はままついかだいがからんでいました。どうやら、浜松医科大学はままついかだいがく精神せいしん医学いがく教授きょうじゅおもどおりにことはこんでいるようです。というのも、この浜松医科大はままついかだいもり則夫のりお教授きょうじゅは、浜松医科大学はままついかだいがく公開こうかい講座こうざ「よりよくきる」でこのような発言はつげんをしていたからです。
いま、われわれ精神せいしん脳外科のうげか先生せんせいかた勉強べんきょうかいひらき、「のう深部しんぶ刺激しげきする慢性まんせい電極でんきょくのう留置りゅうちしてはどうか」を研究けんきゅうしています。これは、2,3ねんまえからアメリカで開始かいしされた治療ちりょうほうで、わがくににも導入どうにゅうする必要ひつようがあるのではないかと検討けんとうしています。
 しかし、日本にっぽんでは、心臓しんぞうのうにさわることにたいして抵抗ていこうかんがあるので、相当そうとう時間じかんがかかるかとおもいます。ただ、わたし予測よそくでは、50ねんには、のうにマイクロチップをれて刺激しげきして健康けんこうたも治療ちりょうほうは、たくさんのひと普通ふつうっているとおもいます。この勉強べんきょうかいは、その出発しゅっぱつてんかんがえています。(2005ねん11がつ20日はつか静岡しずおか新聞しんぶん朝刊ちょうかんより)
 一部いちぶ精神せいしんにとって究極きゅうきょく目的もくてきとは、患者かんじゃたいする完全かんぜんなコントロールです。人間にんげんをラジコンのようにうごかしたいのでしょうか。のう電極でんきょくみ、電気でんき刺激しげきのぞましい行動こうどうをとらせるというのは、はん世紀せいき以上いじょう実験じっけんかえされてきた究極きゅうきょくの「治療ちりょう」なのでしょう。
 わたしがこのうごきを警戒けいかいする理由りゆうがあります。この教授きょうじゅが、くに多額たがく補助ほじょきんして支援しえんしている「どものこころの発達はったつ研究けんきゅうセンター」の中心ちゅうしん人物じんぶつだからです。このセンターの設立せつりつ趣旨しゅしについて、この教授きょうじゅ説明せつめいしているページがあります。
http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/psy/Kodomo/
 近年きんねんどものこころの危機ききさけばれ,その対応たいおう社会しゃかいてき急務きゅうむになっております。このような社会しゃかい状況じょうきょうけ,大阪大学おおさかだいがく医学部いがくぶ浜松医科大学はままついかだいがく連携れんけい融合ゆうごう事業じぎょうとして「どものこころの発達はったつ研究けんきゅうセンター」が2006ねん4がつ新設しんせつされました。ほんセンターでは,だい1に,どものこころの危機きき分子生物学ぶんしせいぶつがくレベルで解明かいめいし,あらたな治療ちりょうやくへの発見はっけんへとつなげる研究けんきゅう展開てんかいしてまいります。だい2に,ほんセンターはのう画像がぞう遺伝子いでんし研究けんきゅう連携れんけいというあらたな学問がくもん領域りょういきそうし,未踏みとう領域りょういき挑戦ちょうせんいたします(金沢大学かなざわだいがくとの協力きょうりょく予定よていしています)。だい3に,どものこころの危機きき顕現けんげんするまえに,その兆候ちょうこう察知さっちして,早期そうき心理しんりてき介入かいにゅうおこなうための手法しゅほう開拓かいたくしてまいります。
 ちなみに、このセンターは、国内こくないはつのADHD治療ちりょうやく「コンサータ」を発売はつばいしたヤンセンファーマと連携れんけいしています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/027/siryo/07030513/034.htm
 上記じょうきセンターの目的もくてきだい1をればその理由りゆう納得なっとくできるでしょう。
 このセンターは、くに発達はったつ障害しょうがい政策せいさくかぎとなる施設しせつです。ここの研究けんきゅうどもの将来しょうらい左右さゆうするとっても過言かごんではありません。しかし、このセンターはどこにかっていくのでしょうか?どものこころをくすりでコントロールし、最終さいしゅうてきにはマイクロチップと電気でんきショックでおもどおりにあやつっていくのでしょうか?
 みなさんは、このような精神せいしんどもののうを、ひいてはどもの未来みらいあづけられますか?」(全文ぜんぶん

◆2008/05/26 "Brain Pacemakers Tested For Depression"
 The USA TODAY, May 26, 2008
 http://www.usatoday.com/news/health/2008-05-27-brain-pacemakers_N.htm

児玉こだま 真美まみ 2008/05/28 「DBSうつびょう応用おうようへ」
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/38995682.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2008/05/28

◆2008/05/28 "Monkey’s brain controls robot arm"
 BBC, May 28, 2008
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7423184.stm

児玉こだま 真美まみ 2008/05/30 「ヘンだよ、のう研究けんきゅうのプライオリティ」
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/39073163.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2008/05/30

ひがし中須なかす 恵子けいこ呉大学くれだいがく看護かんご学部がくぶ) 2008 「歴史れきし精神せいしんさわがいしゃ処遇しょぐう―――鹿児島かごしまけん公立こうりつ病院びょういん場合ばあい」,『看護かんごがく統合とうごう研究けんきゅう 』10-2: 59-63
 http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/handle/harp/7295
 http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/7295/1/v10-02-06.pdf

入院にゅういん患者かんじゃ処遇しょぐう
1.鹿児島かごしま県立けんりつ鹿児島かごしま病院びょういん精神せいしんぶんいん12)
 *「創立そうりつじゅう周年しゅうねん記念きねん座談ざだんかいじゅうねん回顧かいこして」を筆者ひっしゃがまとめて整理せいりした
 鹿児島かごしま県立けんりつ鹿児島かごしま病院びょういん精神せいしんぶんいんは,病院びょういんうらがすぐ海岸かいがん松林まつばやしがあり,まさに白砂青松はくさせいしょう<0061<という場所にあった。佐藤は職員の構成について「事務職員が2人で,警察部の管轄下でしたから,巡査あがりの人が1人と県病院から来た人が1人…。それと小使いさんというのが1人,その他には炊事に男の人が1人と女の人が3人くらい…」と語っている。
 また,精神せいしんぶんいん当初とうしょから勤務きんむしていた看護かんご婦長ふちょう徳永とくながサダ看護かんご職員しょくいんについて「看護かんごじんが3にん看護かんごが3にんぐらい…」とかたっている。
 入院にゅういん患者かんじゃほとんどが精神分裂症せいしんぶんれつしょうげん統合とうごう失調しっちょうしょう)と診断しんだんされたものめ,そのそううつびょう進行しんこう麻痺まひ診断しんだんけたものであり,病院びょういんから患者かんじゃむかえにくこともおおかった。[…]
 当時とうじ治療ちりょうは,睡眠すいみん療法りょうほうとマラリア療法りょうほう主流しゅりゅうであった。また,手術しゅじゅつしつがあり,ロボトミーが日常にちじょうてきおこなわれており,実施じっし件数けんすう精神せいしんぶんいん移転いてんまでにやく300れい以上いじょうであった。[…]
2.鹿児島かごしま県立けんりつ鹿児島かごしま保養ほよういん12)
 *「鹿児島かごしま県立けんりつ鹿児島かごしま保養ほよういん創立そうりつじゅう周年しゅうねん記念きねん」を筆者ひっしゃがまとめて整理せいりした。
 1943(昭和しょうわ18)ねんがつきゅう重富しげとみむらげん姶良あいらまち)に用地ようちやく21,637m2,病床びょうしょうすう150しょう完成かんせいした。すべての資材しざい海軍かいぐんからの提供ていきょうであった。[…]
 治療ちりょうは,こう精神せいしんやくはい直前ちょくぜん薬物やくぶつ睡眠すいみんざいぐらいのものであり,電気でんきショック療法りょうほう主体しゅたいであった。ニックネームで,「エレキじょう」などとばれる電気でんきショックのスイッチをせんもん看護かんごがいた。
 ロボトミー治療ちりょうは1955年代ねんだいにかけて積極せっきょくてきおこなわれ,年間ねんかん150れい実施じっししたとしもある。1951ねん赴任ふにんした医師いし佐保さほたけし彦氏はロボトミーについて「いまあれをやると,それこそ問題もんだいでしょうが,あの当時とうじにはもうがなかった…病院びょういんでもほとんどやっていたようです。いちばん最後さいご昭和しょうわ33ねんごろでしょうか」とかたった。[…]<0062<」
12)佐藤さとうみきただし座談ざだんかいじゅうねん回顧かいこして.鹿児島かごしま県立けんりつ鹿児島かごしま保養ほよういん創立そうりつじゅう周年しゅうねん記念きねん:p.77,1982.

◆2009/03/25 "For Babies & Toddlers Suffering From Seizures, Surgery Found To Be Safe"  The Medical News Today, March 25, 2009
 http://www.medicalnewstoday.com/releases/143480.php

児玉こだま 真美まみ 2009/03/26 「「3さい以下いかの、てんかんの手術しゅじゅつ安全あんぜんかつ有効ゆうこう」とカナダの研究けんきゅうしゃ
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/50776832.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2009/03/26

◆2009/05 Jane Qiu, "Epilepsy surgery: challenges for developing countries"  the Lancet Neurology, Volume 8, Issue 5, Pages 420-421, May 2009
 http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2809%2970096-1/fulltext

児玉こだま 真美まみ 2009/04/21 「てんかん手術しゅじゅつはコスト効率こうりつよいから途上とじょうこくひろめましょう」とLancetに」
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/51548345.html
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2009/04/21

◆2009/11/26 "Surgery for Mental Ills Offers Both Hope and Risk"
 The NYT, November 26, 2009
 http://www.nytimes.com/2009/11/27/health/research/27brain.html?_r=2&th&emc=th

児玉こだま 真美まみ 2009/11/29 「「強迫きょうはくせい障害しょうがい、うつびょう肥満ひまんにも」DBSなど“実験じっけんてきのう手術しゅじゅつ”」
 『Ashley事件じけんから生命せいめい倫理りんりかんがえる』
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/archive/2009/11/29
 http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57161836.html

◆2010/03/05 「のう組織そしき摘出てきしゅつ事件じけん
 http://blog.m3.com/yonoseiginotame/20100305/4

天田あまだ しろかい 20101120 「思想しそう政治せいじ体制たいせいについて――ソ連それんにおける精神せいしん医学いがく収容しゅうようしょについての覚書おぼえがき」,山本やまもと高橋たかはしへん[2010:13-65]*
山本やまもと たかし高橋たかはし 慎一しんいち へん 20101120 『「ことなり」の力学りきがく――マイノリティをめぐる研究けんきゅう方法ほうほう実践じっせんてき課題かだい生存せいぞんがく研究けんきゅうセンター報告ほうこく14,408p.

 「ソ連それんにおける精神せいしん医学いがくシステムと刑罰けいばつシステムの関係かんけいは1977ねん10がつに「シャンジュ」掲載けいさいされた、フーコー、D・クーパー、J.P・ファイユ、M.O・ファイユ、M・ゼッカとの対話たいわかこまれる狂気きょうき」にしめされている(Foucault 1994f=2000: 459-499)。
 最初さいしょにフーコーは「精神せいしん医学いがく医学いがくてき機能きのう警察けいさつ機構きこう本来ほんらいてき抑圧よくあつ機能きのう」という「ふたつのまったことなる機能きのう」がかさなりときがあるという理解りかいただしくなく、この「ふたつの機能きのうはじめから一体いったいのものでしかなかった」のであり、「最初さいしょから、精神せいしん医学いがく社会しゃかい秩序ちつじょ構成こうせいする機能きのうたらんとする目的もくてきっていた」(Foucault 1994f=2000: 460-461)とう。  そして、こうした「社会しゃかい秩序ちつじょ構成こうせいする機能きのうたらんとする目的もくてき」をもつ精神せいしん医学いがくは、ソ連それんにおいては「だつ精神せいしん医学いがく」と「さい精神せいしん医学いがく」のしとせめぎごういをつうじて形成けいせいされていったことが――「はん精神せいしん医学いがく」の旗手きしゅとしてられるクーパーからのげかけに呼応こおうするかたちでのフーコーの回答かいとうによって――しめされる。
 1930年代ねんだいのソヴィエト連邦れんぽうでは「だつ精神せいしん医学いがく」にかう運動うんどうがあり、心理しんりテストやロボトミー手術しゅじゅつ法律ほうりつ禁止きんしされていたのだが、それがスターリンの支配しはいのもとで次第しだいにひっくりかえされてしまい、戦後せんごふたた心理しんりテストやロボトミーが実行じっこうされるようになった――とはえ、西欧せいおう諸国しょこくほどは普及ふきゅうせず、戦後せんご西欧せいおう諸国しょこくとりわけアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいて政治せいじてき目的もくてきのために実践じっせんされたロボトミーの実践じっせん(かつてのデルガドの装置そうちよりははるかに進展しんてん洗練せんれんされた実践じっせん)はほとんどおこなわれなかった☆11――、と言及げんきゅうする。
 このように1940年代ねんだい以前いぜんソ連それんにおいては精神せいしん医学いがく様々さまざま制約せいやく――だつ精神せいしん医学いがく運動うんどうふくむ――がかけられていたが、1945ねん以降いこう急速きゅうそく精神せいしん医学いがく人口じんこう膾炙かいしゃしていく。こうした「さい精神せいしん医学いがく」の運動うんどうはパブロフの研究けんきゅうなどに代表だいひょうされる「反射はんしゃ理論りろん」の受容じゅようおおきく関係かんけいしている。反射はんしゃ理論りろんは1945ねん以降いこう〜1965ねんにおいてソ連それん精神せいしん医学いがく受容じゅようした唯一ゆいいつ思想しそうてきな「バックグランド」であったのだが――それ以外いがい知見ちけんすべてイデオロギーてき観念論かんねんろん主義しゅぎてき非理ひりせい主義しゅぎてきとみなされていた――、その反射はんしゃ理論りろん受容じゅようされるまえの「だつ精神せいしん医学いがく」には、1930年代ねんだい〜1940年代ねんだいソ連それんにおいて支配しはいてきであった2つのテーマがふか関係かんけいしている、とフーコーはかたる☆12。
 だいいちのテーマは、「自然しぜんはそれ自体じたいぜんであり、それを悪化あっかさせるものは歴史れきしてき経済けいざいてき社会しゃかいてき疎外そがいからやってる」というものであり、だいのテーマは「自然しぜん加工かこうするのは人間にんげん仕事しごとであり、また人間にんげんはそうすることができる」というものであった。いわば「自然しぜんくしえぬぜんせい、そして自然しぜん漸進ぜんしんてき加工かこうできる可能かのうせい」というじゅう言説げんせつこそがソ連それんの「イデオロギー・セット」(Foucault 1994f=2000: 466-467)であったのだ。  この「じゅうのテーマ」から、「【1】人間にんげん(の身体しんたい)をふく自然しぜんはそれ自体じたいぜんであるが、それを『狂気きょうき』というかたち悪化あっかさせるのは歴史れきしてき経済けいざいてき社会しゃかいてき疎外そがいによるものである。『狂気きょうき』が歴史れきしてき経済けいざいてき社会しゃかいてき疎外そがいをもたらす資本しほん主義しゅぎ体制たいせいによってつくされるとすれば、ソヴィエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわこく連邦れんぽうに『狂人きょうじん』はいない。いるとすれば、それはそのもの資本しほん主義しゅぎ体制たいせいどくされていることによる。【2】そして、人間にんげん(の身体しんたい)をふくめた『自然しぜん』を加工かこうするのは人間にんげん仕事しごとであり、人間にんげんはそうすることができるからして、ただしい『啓蒙けいもう』によってその『狂気きょうき』をなくすことが目指めざされるべきである」というテーゼがみちびかれることになる。その意味いみからすれば、ロボトミーとはまさに「(人間にんげん身体しんたいという)自然しぜん切除せつじょすること」であり、「(人間にんげん身体しんたいという)自然しぜんそのものを人間にんげんちから変革へんかくすることをあきらめる」(Foucault 1994f=2000: 467)ことだ。したがって、ぜんたる自然しぜん切除せつじょすることは「自然しぜんそれ自体じたい人間にんげんちから変革へんかくすることの断念だんねん」であり、「人間にんげん敗北はいぼく」となる。ここにおいてロボトミーは禁止きんしされ、「だつ精神せいしん医学いがく」の運動うんどう形成けいせいされていく☆13。うなれば、外科げか手術しゅじゅつ薬学やくがく技術ぎじゅつ狂気きょうきなおすことは「人間にんげん敗北はいぼく」である。その「人間にんげん敗北はいぼく」にれては、きたるべき世界せかい秩序ちつじょ形成けいせいする「啓蒙けいもう場所ばしょ」たるソヴィエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわこく連邦れんぽう存在そんざい意義いぎをまさに宙吊ちゅうづりにすることであり、許容きょようされないものであったのだ。
 ところが、スターリンはこれを文字通もじどおりひっくりかえした。「監獄かんごく政治せいじ」を徹底てっていさせたのだ。スターリニズムのもとで強制きょうせい収容しゅうようしょがねかれると同時どうじに、その恐怖きょうふ政治せいじてきな「恐怖きょうふ循環じゅんかんせい」ゆえに、スターリニズムにおいて「狂気きょうき」は「転覆てんぷく」をこす「危険きけん存在そんざい」となる。スターリンにとっては「政治せいじはん」であれ「普通ふつうはん」であれ「狂人きょうじん」であれ、つねみずからをおびやかす危険きけん存在そんざいになるのだ。そして、だれもが「危険きけん存在そんざい」になりるという意味いみで「危険きけん潜在せんざいせい可能かのうせい」をはらものになっていくのである☆14。
 こうして1930年代ねんだいソ連それんだつ精神せいしん医学いがく運動うんどう形成けいせいしてきたテーゼは、スターリニズムのテーゼ「【1】人間にんげん(の身体しんたい)をふく自然しぜんはそれ自体じたいぜんであるが、それを『狂気きょうき』というかたち悪化あっかさせるのは歴史れきしてき経済けいざいてき社会しゃかいてき疎外そがいによるものである。労働ろうどう価値かちそこなう『狂気きょうき』が歴史れきしてき経済けいざいてき社会しゃかいてき疎外そがいをもたらす資本しほん主義しゅぎ体制たいせいによってつくされるとすれば、ソヴィエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわこく連邦れんぽうに『狂人きょうじん』はいないのだ。いてはならないのだ。くわえて、政治せいじはん普通ふつうはん狂人きょうじんソ連それん政治せいじ経済けいざい体制たいせい転覆てんぷくする可能かのうせいがあるという意味いみでは『危険きけん存在そんざい』であり、かれおんならは隔離かくり収容しゅうようされなければならない。だれであれ、『危険きけん存在そんざい』は収容しゅうようしょ収監しゅうかんされなければならない。【2】そうした『危険きけん存在そんざい』を消去しょうきょすることこそがあらたな世界せかい未来みらい秩序ちつじょつくすのだ」といったものに変容へんようしていくことになる。
 しかしながら、スターリンとくに1958ねんのフルシチョフ講演こうえん前後ぜんごになると、スターリン時代じだいのように「危険きけん存在そんざい」とみなされる誰彼だれかれを「強制きょうせい収容しゅうようしょ」に隔離かくりしていくのではなく、強制きょうせい収容しゅうようしょ開放かいほうすると同時どうじに、はん体制たいせいひとたちを「精神せいしん医学いがく精神せいしん病院びょういん)」によって包囲ほういしていくようになるのだ。いわば「さい精神せいしん医学いがく」であり、スターリン時代じだいの「監獄かんごく政治せいじ」との対比たいひ表現ひょうげんすれば「精神せいしん病院びょういん政治せいじ」が遂行すいこうされていく。西欧せいおう諸国しょこくほど普及ふきゅうしなかったとはえ、ロボトミーも再開さいかいされていく。パブロフの研究けんきゅうなどに代表だいひょうされる反射はんしゃ理論りろん広範こうはん受容じゅようされていき、ルイセンコやミチューリン主義しゅぎなどにもがれていく。しかしながら、このように反射はんしゃ理論りろん背景はいけいにした「さい精神せいしん医学いがく」の展開てんかいは、かつてスターリニズム体制たいせいでは「収容しゅうようしょ」に隔離かくり収容しゅうようしてきた「危険きけん存在そんざい」を、「精神せいしん病院びょういん」に包囲ほうい収容しゅうようするだけであった。くわえて、戦後せんごソ連それんにおいても「犯罪はんざいしゃ監獄かんごくに、精神病せいしんびょうしゃ精神せいしん病院びょういんに」といった制度せいど設計せっけいにはなっておらず、「政治せいじはん」と「普通ふつうはん」の区別くべつ消失しょうしつしたままであり、政治せいじはん普通ふつうはんであれ、精神病せいしんびょうしゃであれ、それらは「社会しゃかい全体ぜんたい人民じんみん財産ざいさん社会しゃかい主義しゅぎしゃ生産せいさんぶつ政治せいじたいたいする侵害しんがい」(Foucault 1994f=2000: 74)として位置いちづけつづけたのである。そしてその内部ないぶではソルジェニーツィンの「普通ふつうはん」への屈折くっせつした敵意てきい憎悪ぞうおられるようないやしくも滑稽こっけい群像ぐんぞうげきりなされていったのだ。」

立岩たていわ しん也 2010/11/01 「社会しゃかいさき・1――連載れんさい 60」,『現代げんだい思想しそう』38-13(2010-11):28-39 資料しりょう

 「その秋元あきもとのちいだのがだい〔うてな〕ひろしたいひろし)であり、かれ東大とうだい闘争とうそう展開てんかいしたひとたちからの攻撃こうげきにされされることになる。いちきゅうろくはちねんじゅういちがつ主任しゅにん教授きょうじゅ不信任ふしんにんいちきゅうなないちねんさんがつねんまえおこなった精神病せいしんびょう患者かんじゃへのロボトミー手術しゅじゅつ人体じんたい実験じっけんだったと告発こくはつされることになる。その告発こくはつたいする全面ぜんめんてき反論はんろんは、自伝じでんであるだい[1993]にある。」(この記述きじゅつ正確せいかくではない)

立岩たていわ しん也 2011/03/01 「社会しゃかいさき・5――連載れんさい 64」,『現代げんだい思想しそう』39-3(2011-3):16-27 資料しりょう

 「☆04 […]「べつ用事ようじで」とはなんであったか正確せいかくにはおぼえていないのだが、そのころから、わたしつとさき大学院だいがくいん精神せいしん障害しょうがい精神せいしん医療いりょうのことを研究けんきゅうしようという大学院生だいがくいんせいえていた(その成果せいか一部いちぶ生存せいぞんがくだいごう掲載けいさいされる)。たとえばロボトミーや電気でんきショック療法りょうほう薬物やくぶつ療法りょうほうがどのようになされめられたのか、過去かこしるした医療いりょうしゃたちがいたものからひろってきてならべてみるのもひとつやっておいてよいことであるとおもい、わたし自身じしんもそうした書籍しょせきをいくつかたってみたことをしているとおもう(そうした引用いんようしゅうは、まだおおくは貧弱ひんじゃくなものではあるが、わたしたちのHPにある)。」

立岩たていわ しん也 2013/12/10  造反ぞうはん有理ゆうり――精神せいしん医療いりょう現代げんだいへ』青土おうづちしゃ,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

 だいしょう 各種かくしゅ療法りょうほう、とくにロボトミーにたいするおそくになされた批判ひはん
  3 ロボトミー
  6 ロボトミー事件じけん裁判さいばん――概略がいりゃく
  7 (1)きたぜん病院びょういんロボトミー訴訟そしょう札幌さっぽろロボトミー事件じけん
  8 (2)名古屋なごやMロボトミー事件じけん
  9 (3)横手よこてきょうせい病院びょういんロボトミー事件じけん
  10 (4)弘前ひろさきロボトミー裁判さいばん
  11 ロボトミー殺人さつじん事件じけん
  12 ようやくこのときになされたこと

  12 ようやくこのときになされたこと
 「(1)手術しゅじゅつ過去かこのものではない。あたらしくあらわれてきた、(おおむね、介入かいにゅうする部位ぶいをより特定とくていした、という意味いみで)より洗練せんれんされた、とされる手術しゅじゅつしてっているのではない。精神せいしん外科げかたいする公然こうぜん批判ひはんがなされるのは、いちきゅうろく年代ねんだいまつはじまる日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかいの「学会がっかい改革かいかくとう医療いりょうたいする反省はんせい批判ひはんが――それ以前いぜんから様々さまざまな「改革かいかく」のこころみはなされながらも――はじまって以後いごのことである。その手術しゅじゅつおこなったひとたちのなかにもその問題もんだいせいはやくから指摘してきしていたひとたちはいた。だが、そんなことをいながら、みずから(率先そっせんして)つづけてきたりしたのでもある。その件数けんすうっていったのだろうが――ただどのぐらいがなされ、どれだけっていったのか、結局けっきょくはわかっていない――、最初さいしょ訴訟そしょうがなされた手術しゅじゅつななさんねんに、つぎのはろくきゅうねんになされたものだった。そして、制度せいどてきにも精神せいしん外科げか依然いぜんとして公認こうにんされたものとしてあり、現在げんざいでもそのこと自体じたいわっていない。まずそれを確認かくにんしておく。
 いちきゅうななねんよんがついちにち厚生省こうせいしょうは、省内しょうない組織そしきである中央ちゅうおう社会しゃかい保険ほけん医療いりょう協議きょうぎかい決定けっていけて、「精神病せいしんびょう治療ちりょう指針ししん」をしめした。[…]」

◆****/**/** http://horror.4.tool.ms/239/

http://goodbrains.net/brain/shikumi3.html

 「ロボトミー手術しゅじゅつという言葉ことばみみにしたことがありますか? 1950年代ねんだいからのじゅうすう年間ねんかん世界中せかいじゅうさかんにおこなわれた、前頭葉ぜんとうよう削除さくじょ手術しゅじゅつのことです。
 こう精神せいしんやくがなかった時代じだい精神病せいしんびょう治療ちりょうほうとしてじゅうすう年間ねんかんになんと5まんにんもの患者かんじゃがこのロボトミー手術しゅじゅつけました。そもそもこの手術しゅじゅつは、「チンパンジーの前頭葉ぜんとうようったらおとなしくなった」という動物どうぶつ実験じっけんからかんがえられたもので、当初とうしょは「精神病せいしんびょう患者かんじゃ症状しょうじょう改善かいぜんされた」とされました。
 ところが、ロボトミー手術しゅじゅつ重大じゅうだい問題もんだいこしました。手術しゅじゅつけたひとたちが、感情かんじょう行動こうどうめんでさまざまなトラブルをこしたのです。それはつぎのような、人間にんげんらしくきていくうえでの致命ちめいてきなダメージでした。
外界がいかいたいして関心かんしん無頓着むとんじゃくになった
注意ちゅういりょくがなくなり、反応はんのうせいとぼしくなった。
状況じょうきょう理解りかいしたり、推理すいりしたりすることが困難こんなんになった
場所ばしょをわきまえないあさはかな言動げんどうおおくなった
我慢がまんができなくなり、おのれ感情かんじょうのままに行動こうどうするようになった
 ロボトミー手術しゅじゅつけた患者かんじゃのこうしたダメージから、前頭葉ぜんとうようたす役割やくわりがわかってきたのです。
 これとたことですが、戦争せんそうのう損傷そんしょうけたひと研究けんきゅうも、さまざまな部位ぶいでののう機能きのうをつきとめることに貢献こうけんしました。のう科学かがく進歩しんぽかげには、過去かこおおくの犠牲ぎせいしゃ存在そんざいすることを、わたしたちはわすれてはならないでしょう。」

http://maedafamily.com/seisaku/jfkjr.htm

 「ケネディ悲劇ひげきにん犠牲ぎせいしゃ
 う”ケネディ悲劇ひげき犠牲ぎせいしゃはこれで8にんとなる、最初さいしょ犠牲ぎせいしゃはローズマリー・ケネディ(大統領だいとうりょうのすぐいもうと写真しゃしんみぎはし彼女かのじょ精神せいしんてき若干じゃっかん異常いじょうがあり、ちちパトリック・ケネディによってロボトミー手術しゅじゅつけさせられ廃人はいじん同様どうようとなった」

http://mblg.tv/jdsalinger/entry/39/
 http://mblg.tv/jdsalinger/

ロボトミー 11がつ19にち 10:49
 lobotomy
 lobo- (前頭葉ぜんとうようがわあたまなどの「」) -tomy (切除せつじょ)
 こめかみのあたりにちいさなあなをあけ、そのなかほそし、手探てさぐりでえんえがくようにぐりぐりとうごかして前頭葉ぜんとうようしろしつ切断せつだんする手術しゅじゅつのこと。1930年代ねんだい当時とうじ、うつびょう不安ふあん神経症しんけいしょう効果こうかがあるとされ、さかんにおこなわれた。日本にっぽんでのロボトミー手術しゅじゅつすう正確せいかく統計とうけいっておらず、3〜12まんけんはばひろ返答へんとうとなっている。(前頭葉ぜんとうようとは思考しこう創造そうぞうなど、もっと人間にんげんらしい知的ちてき活動かつどう支配しはいする部分ぶぶんわれているが、現在げんざいでも正確せいかくにどのような機能きのうった場所ばしょかということについてはいまだによくわかっていない。)
 1935ねん、チンパンジーのロボトミー手術しゅじゅつおこなったところ性格せいかくがおとなしくなったと発表はっぴょう同年どうねんポルトガルのエガス・モニスがロボトミー手術しゅじゅつはじめてひとおこない、精神分裂病せいしんぶんれつびょう患者かんじゃ(現在げんざい統合とうごう失調しっちょうしょう)の素行そこうなおったこと普及ふきゅう安全あんぜんせいよりも治療ちりょう効果こうか重視じゅうしされ、ノーベルしょう受賞じゅしょうまでされる。
 しかし実際じっさいのところ、ロボトミーをけたひとは、たしかに性格せいかく感情かんじょううえでの顕著けんちょ変化へんかしめしてはいたが、それはうつびょう患者かんじゃ楽天的らくてんてき空虚くうきょ爽快そうかいかんをいだくようになったり、多弁たべんくだらないことをいうようになったりしたことで病状びょうじょう改善かいぜんされたようにえただけであったと、いまでは解釈かいしゃくされている。
 それどころか生活せいかつ態度たいど節度せつどがなくなり犯罪はんざい行為こういめるものもあれば、さらに意欲いよくとぼしくなり、外界がいかいのできごとにたいして関心かんしん無頓着むとんじゃくになるなどの症状しょうじょう報告ほうこくされ、さらにこう精神病せいしんびょうやく開発かいはつされるようになったこともあり、1970年代ねんだい以降いこう、ロボトミーはほとんどおこなわれていない。
 手術しゅじゅつかんしても100%安全あんぜんであるとの保証ほしょうはなく(手探てさぐりで、「大体だいたいこのあたりだろう」とおもわれる部分ぶぶんをなんとなく切除せつじょしていたのだから当然とうぜんである)、資料しりょうによってまちまちだがやく4〜6%の死亡しぼうれいがあったようだ。
 こうなるとロボトミー手術しゅじゅつおこなわれたひと被害ひがいしゃばれ、廃人はいじんした家族かぞくをみて反対はんたい運動うんどうこり、ノーベルしょうしをうったえる人々ひとびとる。資料しりょうによっては本人ほんにん許可きょかなく手術しゅじゅつおこなった事例じれいもあり、日本にっぽんのロボトミー殺人さつじん事件じけん衝撃しょうげきのこした。
 (あるスポーツライターが些細ささいないざこざをこし警察けいさつつかまったさい精神せいしん鑑定かんてい異常いじょうがあると診断しんだんされ精神せいしん病院びょういん強制きょうせい入院にゅういん肝臓かんぞう検査けんさ理由りゆう全身ぜんしん麻酔ますいをかけ、勝手かってにロボトミー手術しゅじゅつおこなわれたとされる。その術後じゅつご同意どういしょにサインすること条件じょうけん退院たいいんしたが、それから15年間ねんかん、スポーツライターとしてのちからうしなわれ、しょく転々てんてんとしながら精神せいしんうらみをつのらせる。そしてついに精神せいしんつま母親ははおや刺殺しさつするという事件じけん発展はってんした)
 ケネディー大統領だいとうりょういもうとのローズマリーや女優じょゆうのフランシス・ファーマーも本人ほんにん許可きょかなくロボトミー手術しゅじゅつをされ、施設しせつ点々てんてんとする生涯しょうがいおくったとされている。
 ロボトミー手術しゅじゅつ悲惨ひさんさをえがいた映画えいが「カッコーのうえで One Flew Over The Cuckoo's Nest」が1975 ねん公開こうかいされ、アカデミーしょう主要しゅよう 5 部門ぶもん作品さくひんしょう監督かんとくしょう主演しゅえん男優だんゆうしょう主演しゅえん女優じょゆうしょう脚色きゃくしょくしょう)を独占どくせんした。」

http://x51.org/x/05/08/1413.php

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かずについて

世界せかい

◆「いちきゅうよんはちねんはちがつにリスボンでだいいちかい国際こくさい精神せいしん外科げか学会がっかい開催かいさいされたが、当時とうじぜん世界せかいからやく〇〇〇れい手術しゅじゅつれい報告ほうこくされたという。」(風祭かざまつり[2001:88])

◆「ちなみに、1948ねんがつにちから7にちまでリスボン大学だいがくにおいて、Monizが会長かいちょうつとめ、だいかい国際こくさい精神せいしん外科げか学会がっかい開催かいさいしている。どう学会がっかいは、日本にっぽん、ドイツおよきゅうソ連それんのぞく27カ国かこくから200めい以上いじょう神経しんけい外科医げかいおよ精神せいしん神経しんけいあつまり、5,000れい手術しゅじゅつれい報告ほうこくされた。」(西川にしかわ[2010:137]、文献ぶんけんとしてあげているのは廣瀬ひろせ[1951:1-2])

米国べいこく

◆「いちきゅうよんきゅうねん、モニスがロボトミーの手法しゅほう確立かくりつたいしてノーベルしょう受賞じゅしょうした時点じてんで、米国べいこくないおこなわれたロボトミー手術しゅじゅつまんれいだった。[…]ある試算しさんによると、いちきゅうさんろくねんからいちきゅうななはちねんまでのあいだにおこなわれたロボトミー手術しゅじゅつ合計ごうけいさんまん〇〇〇れいだったという。モニスのノーベルしょう受賞じゅしょうのころがロボトミーの最盛さいせいで、いちきゅうねん以降いこう急速きゅうそく減少げんしょうしていく。いちきゅう年代ねんだいには薬理やくりがくまれて、そこからさまざまな恩恵おんけいられるようになったことと、ロボトミー治療ちりょうたいしてたかまりつつあった一般いっぱん疑念ぎねんとがあいまって、ロボトミーは一変いっぺん凋落ちょうらくへのみちをたどる。」(Slater[2004=2005:364])

 「ロボトミーは全米ぜんべいちゅうひろく、はや普及ふきゅうしていった。フリーマンの指導しどうけたなんじゅうにんという医師いしたちが、みずか手術しゅじゅつをおこなうようになった。施術しじゅつすう公式こうしき記録きろくのこされていないがが、フリーマンはそのキャリアにおいて合計ごうけいさん〇〇にん施術しじゅつしたとわれる。また、かれ指導しどうした医師いしたちの施術しじゅつすうよんまんけん以上いじょうとされる。
 やがてフリーマンのロボトミー手術しゅじゅつ支持しじしゃ減少げんしょうはじめた。いちきゅう年代ねんだい初頭しょとうには、以前いぜんとして一般いっぱんてき手術しゅじゅつとみなされていたものの、長期ちょうきてきなメリットが疑問ぎもんされるようになっていた。そしていちきゅうよんねんべい食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)がこう精神せいしんやくクロルプロマジンを認可にんか。」(Dully & Fleming[2007,2008=2009])

日本にっぽん

◆「1941ねん中田なかた瑞穂みずほらは、「前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつによる観察かんさつ」130)を発表はっぴょうしている。この時点じてんで「かくのごとくしてぜん頭脳ずのう切除せつじょしたのは、しゅとして真性しんせい癲癇てんかん精神せいしん異常いじょうしゃとう少数しょうすう腫瘍しゅようれい総数そうすうやく50れいる」131)とすでに50れいもの手術しゅじゅつをおこなったことを公表こうひょうした。」

◆「わがくにではいちきゅうさんきゅうねんごろから脳外科のうげか中田なかたにより前頭葉ぜんとうよう切除せつじょじゅつ前頭葉ぜんとうようせつじゅつ追試ついしおこなわれた。終戦しゅうせんに、この治療ちりょうほう精神せいしん領域りょういき注目ちゅうもくび、いちきゅうねんだいよんかい精神せいしん神経しんけい学会がっかい宿題しゅくだい報告ほうこくまでにやく〇〇〇れい手術しゅじゅつおこなわれた。しかし、わがくに当時とうじ指導しどうてき精神せいしん精神せいしん外科げかには批判ひはんてきで、松沢まつざわ病院びょういん〇〇れい以上いじょう患者かんじゃにorbital leucotomyをおこなってモノグラフ『ロボトミー』をあらわした広瀬ひろせ(2)も[…]」(風祭かざまつり[2001:88])

◆1980/08/01 『ロボトミー徹底てってい糾弾きゅうだんだい6ごう

 「いちまんにんよんまんにんといわれる精神せいしん外科げかじゅつしゃ



 「なんでも、日本にっぽんちゅうでロボトミーをけた患者かんじゃすうは、だいたい3まんにん〜12まんにんくらいになるとか。統計とうけいとってなかったんですかね。はばありすぎ。」(佐野さの[2003])

文献ぶんけん(まだごく一部いちぶ

秋元あきもと なみ留夫とめお 19850523 迷彩めいさい道標どうひょう――評伝ひょうでん日本にっぽん精神せいしん医療いりょう,NOVA出版しゅっぱん,290p. ISBN-10: 4930914191 ISBN-13: 978-4930914194 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ m. ut1968. [70]
天田あまだ しろかい 20101120 「思想しそう政治せいじ体制たいせいについて――ソ連それんにおける精神せいしん医学いがく収容しゅうようしょについての覚書おぼえがき」,山本やまもと高橋たかはしへん[2010:13-65] [70]
浅野あさの 弘毅こうき 20050625 統合とうごう失調しっちょうしょう快復かいふく――「いやしの」から』批評社ひひょうしゃ,メンタルヘルス・ライブラリー13,192p. ISBN: 4826504233 2100 [amazon][kinokuniya] ※ m.
◆Dully, Howard ; Fleming, Charles 2007 My Lobotomy: A Memoir, Three Rivers Press→2008 ペーパーバックばん,Broadway, 304p. ISBN-10: 0307381277 ISBN-13: 978-0307381279 [amazon][kinokuniya]=20091130 平林ひらばやし さち やく『ぼくののうかえして――ロボトミー手術しゅじゅつ翻弄ほんろうされたある少年しょうねん物語ものがたり,WAVE出版しゅっぱん,400p. ISBN-10: 4872904443 ISBN-13: 978-4872904444 1900+ [amazon][kinokuniya] ※ m. ps. [70]
◆El-Hai, Jack 2005 The Lobotomist: A Maverick Medical Genius and His Tragic Quest to Rid the World of Mental Illness,New York: Wiley,368p. ISBN-10: 0470098309 ISBN-13: 978-0470098301 [amazon][kinokuniya]=20090723 岩坂いわさか あきら やく  『ロボトミスト――3400かいロボトミー手術しゅじゅつおこなった医師いし栄光えいこう失墜しっつい,ランダムハウス講談社こうだんしゃ,496p ISBN-10: 4270005165 ISBN-13: 978-4270005163 2940 [amazon][kinokuniya] ※ ps. m. e04. [70]
藤野ふじの 邦夫くにお藤井ふじい ヤヨイ 20061005 裁判さいばん事例じれいまな精神せいしん看護かんご倫理りんり責任せきにん精神せいしん看護かんご出版しゅっぱん,197p. ISBN-10: 4902099896 ISBN-13: 978-4902099898 3000+ [amazon][kinokuniya] ※ m. m10h1973h.
浜田はまだ すすむ 19940506 しんをたがやす』岩波書店いわなみしょてん,シリーズきる,257p. ISBN-10: 4000038117 ISBN-13: 978-4000038119 2446 [amazon][kinokuniya] ※ m. [70]
◆―――― 200012 わたし精神分裂病せいしんぶんれつびょうろん医学書院いがくしょいん,244p. ISBN-10: 4260118528 ISBN-13: 978-4260118521 3150 [amazon][kinokuniya] ※ m. [70]
はやし タ・廣瀬ひろせ 貞雄さだお 1949 「ロボトミーにたいする批判ひはん」,『のう神経しんけい』5 [70]
ひがし中須なかす 恵子けいこ呉大学くれだいがく看護かんご学部がくぶ) 2008 「歴史れきし精神せいしんさわがいしゃ処遇しょぐう―――鹿児島かごしまけん公立こうりつ病院びょういん場合ばあい」,『看護かんごがく統合とうごう研究けんきゅう 』10-2: 59-63 [70]
 http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/handle/harp/7295
 http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/7295/1/v10-02-06.pdf
広瀬ひろせ 貞雄さだお 1951 『ロボトミー――しゅとしてその適応てきおうに就て』,医学書院いがくしょいん,112p. ASIN: B000JBFUQE [amazon] [70]
廣瀬ひろせ 貞雄さだお 1954 「ロボトミー人格じんかくぞうについて」,『精神せいしんけい』56 [70]
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UP: 20110627 REV:20110731, 0803, 04, 06, 07, 08, 09, 13, 29, 0902, 12, 20130917, 1227, 28
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