■注
1) ただこうして主題を限定しても本稿に盛れる情報量は限られている.ホームページ<生命・人間・社会>(仮称) http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/TATEIWA/1.HTM(→arsvi.comhttp://www.arsvi.com)によって補うことにする.以下で※(計27個)のついている語・文献についての情報(文献の一部については全文)が掲載されている.なお,寺本の本来の主題は,知的障害のある人を「支援する」ということ(の困難)について考察することであり,寺本[1997]で論じられている.また,立岩による「自己決定」についての検討は立岩[1997]でなされている.
2) スウェーデン※における知的障害者に関わる動向については柴田・尾添[1992],河東田[1992].(セルフ・)アドヴォカシー※については高嶺[1993],橋本[1996].
3) この団体の前身は,1950年に発足した全米精神遅滞児育成会(the National Association of Parents and Friends of Mentally Retarded Children)という精神遅滞児の親の会である.その後National Association for Retarded Childrenと名称を変更,1991年にはAssociation for Retarded Citizens=ARCとなった.
4) 1984年に行なわれた別の調査によると,米国※とカナダ※で,5000人以上の知恵遅れの人々がセルフヘルプ/セルフアドヴォカシーの運動に関わっていた.そして,この調査で, 152のセルフアドヴォカシー・グループが24の州とブリティッシュ・コロンビアに存在していたことがわかっている.(Browning & Rhodes[1984])
5) 知的障害※に関係する全国的な組織として,(社)日本ダウン症協会(http://infofarm.cc.affrc.go.jp/~momotani/dowj1.html)※,(福)全日本手をつなぐ育成会※,(社)日本精神薄弱者福祉連盟※,(社)精神発達障害指導教育協会※,等.「全日本手をつなぐ育成会」は精神薄弱の子供を持つ親を主体とする全国団体.社会福祉法人.1952年創立.各都道府県と一部の市で結成されている会を単位とする連合体である.もと全日本精神薄弱者育成会,1995年5月に現在の名称に改名した(cf.注11).
6) 活動内容などについて多田[1995].「さくら会」結成の経緯などは河東田[1993]を参照.勉強会の報告としてさくら会[1995].元気のでる本の出版記念パーティーのようすはふれあい交流通信[1995b].
7) ノーマライゼーションの現在シンポ実行委員会[1992]に当時メンバーだったコニー・マルチネズ(Connie Martinez)と支援者のバーバラ・ブリーズ(Barbara May Brease)の講演が掲載されている.他にマルチネズ氏の生活について石毛[1992]. 8) その年末の『季刊福祉労働』61号に,数名の当事者がこの会議で発表したことを報告している.また,堤[1994-1995]の報告もある.
9) ダニエルは,1988年カリフォルニア州ストックトン市にあるピープルファースト・ストックトンを組織.1991年,州発達障害者諮問委員会当事者委員になる.1995年,当事者委員をはじめとした有志によって,障害者が自己決定・自己主張できるための支援やそのための情報提供などを目指してPartners in Consultingというグループを結成.キャシーはカリフォルニア州の全州組織であるピープルファースト・オブ・カリフォルニアの専属の支援者.この交流事業の報告書が出ている(全国自立生活センター協議会※[1996]).また,自立生活支援会議の報告として佐々木[1995]八木[1995]林[1995].ダニエル・メドウズへのインタビューとして荒井[1996]がある.
10) わかば会について牧野[1995],梅本[1995].札幌みんなの会について木村[1995],花崎[1995].ともの会についてはともの会[1996],河野[1995b].その他,「すてっぷクラブ」について伊藤[1995],田波[1995].「川崎住吉ふれあい会」の自治活動「たから島」について田部井[1995],「千葉ふれあいの会」について神薄弱(児)者の自立支援と権利擁護に関する研究会[1996:89-151].「横浜市グループホーム連絡会入居者部会」について(原田[1995]).「ともの会」(群馬)について斉藤[1995].
11) 徳島での決議を受けて,数回,当事者代表と理事会が話し合いをもった末,育成会の理事会で決定された.名称変更に関する当事者の関わりについては河東田[1996:127].
12) 支援者側の動きでは支援者相互の学習会がある。自立生活センター※(cf. 立岩[1995])の中では,ヒューマンケア協会※が,1993年度に「知的障害者のためのコミュニティ・サポート・プログラムの研究」として,河東田氏や武蔵野障害者総合センターの柴田洋弥氏,民間通勤寮の高橋寮の人々らを講師に数回の学習会を行なっている.1994年には,ヒューマンケア協会の境屋うらら氏(著書に境屋[1992])が中心となり「知的な障害を持つ人をより良くサポートするための勉強会」を開いた.大阪のノーマライゼーション研究会※も,1993,1994年度にかけ,合同研究において「知的障害者の自立とファシリテーター」と題した研究集会を3回開いている.また,1995年の自立支援会議に刺激された支援者が中心となり,1995年末から月1回の割合でカリフォルニアの状況についての学習会が行われている(林[1995:134][1996:98]).1996年3月には全日本育成会が本人活動支援者セミナーを開いた.このときの報告書として全日本手をつなぐ育成会[1996b].
■文献表 荒井摂子 1996 「インタビュー ダニエル・メドウズ 一人ひとりがスーパースター」,『季刊福祉労働』70:8-11 浅井麻里 1995 「ゆうあい会ができるまで――東京都育成会・本人部会」,元気のでる本編集委員会[1995:130-1] 安積純子・尾中文哉・岡原正幸・立岩真也 1995 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学増補・改訂版』,藤原書店 浅輪田鶴子 1996 「全体会シンポジウム」,『手をつなぐ』1996-2:34-7
Browning,Thorin and Rhodes 1984 "A National Profile of Self-Help Self-AdvocacyGroups of People with Mental Retrdation", Mental Retardation22-5 藤原勇治 1995 「本人活動を通して変わっていく人たち」,『手をつなぐ』1995-12:12
ふれあい交流通信 1995a 「自分らしく生きるために ともに笑顔で語り合おう」,『手をつなぐ』1995-5:22-23
――――― 1995b 「さくら会出版記念パーティー」,『手をつなぐ』1995-8:22
――――― 1995c 「安心して町に暮らしつづけたい――第5回グループホームセミナー・シンポジウムIより」,『手をつなぐ』1995-8:22-23 元気のでる本編集委員会編 1992 『私たちにも言わせて ぼくたち私たちのしょうらいについて――元気のでる本』,全日本精神薄弱者育成会
――――― 1993 『私たちにも言わせて ゆめ と きぼう――元気のでる本』,全日本精神薄弱者育成会
――――― 1995 『私たちにも言わせて 希望へのスタート――元気のでる本』,全日本精神薄弱者育成会
――――― 1996 『私たちにも言わせて もっと2――元気のでる本』,全日本手をつなぐ育成会 花崎三千子 1995 「100パーセント本人の活動」,『手をつなぐ』1995-12:7
――――― 1996 「第8分科会本人部会――意見発表と話し合い」,『手をつなぐ』1996-2:27-9 原田美恵子 1995 「にゅうきょしゃ ぶかいの かつどう」,『手をつなぐ』1995-6:20 橋本義郎 1996 『権利と行為の社会学――セルフ=アドボカシー実践のために』,
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Hutchinson, Peggy and McGill, Judith 1992 Leisure, Integration and Community, Leisurability Publications 石毛 えい子 1992 「知的障害をもつコニーさんの自立生活」,『季刊福祉労働』54:134-137
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――――― 1997 「ピープル・ファースト」,『ノーマライゼーション』1997-5:30 石曽根直子他 1995 「座談会「援助者について話そう」」,『手をつなぐ』1995-12:16-17 伊藤彰子 1995 「すてっぷクラブのこと」,元気のでる本編集委員会[1995:124-5] 河東田博※ 1992a 『スウェーデンの知的しょうがい者とノーマライゼーション――当事者参加・参画の論理』,現代書館
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Longhurst, Nancy Anne 1994 The Self-Advocacy Movement by People with Developmental Disabilities : A Demographic Study and Directory of Self-Advocacy Groups in the United States, AAMR 牧野星子 1995 「わかば会について」,元気のでる本編集委員会[1995:110-3] 牧野星子・名達健司・前川 みどり 1996 「雪まつりシンポジウム'96」,『手をつなぐ』1996-4:20-21 松本裕子 1995 「大阪・なかま会」,元気のでる本編集委員会[1995:140-3] 峰友信介 1995 「支えあって地域で暮らすために」,『手をつなぐ』1995-12:15 光増昌久 1995 「仲間と語る」,『手をつなぐ』1995,10:20-21 溝渕裕子 1996 「ピープルファースト準備会の感想」,『障害者による復活・救援活動』4:7 鍋島康秀 1995 「なかま会ができた「わけ」」,『手をつなぐ』1995-12:13 鍋島康秀・八木雅弘 1995 「全国知的障害者交流集会報告」,『季刊福祉労働』66:118-122
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ピープルファーストはなし合おう会編 1996 『もっともっと!ピープルファースト――「東京で・話し合おう会」と「ようこそ!ダニエル」の報告書』,ピープルファーストはなし合おう会 定藤丈弘・岡本栄一・北野誠一編 1993 『自立生活の思想と展望――福祉のまちづくりと新しい地域福祉の創造をめざして』,ミネルヴァ書房 斎藤明子 1993 「キャピトル・ピープル・ファーストのリーダーたちとの会合」,『季刊福祉労働』61:40-47
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William, Paul & Shoultz, Bonnie 1982 We Can Speak for Ourselves: Self-Advocacyby Mentally Handicapped People, Indiana University Press
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『季刊福祉労働』61 1993 特集:話の祭典・知的障害者[ピープル・ファースト]の国際会議,現代書館※
『季刊福祉労働』71 1996 特集:権利擁護――障害者・高齢者・子ども,現代書館
*文献表等含め,40字×(40行×12頁+23行)=50.3枚
The emergence and expansion of self-help/self-advocacy groups by
people with intellectual disabilities
TATEIWA Shin'ya *
TERAMOTO Akihisa **
* 信州大学医療技術短期大学部
School of Allied Medical Sciences, Shinshu University
**東京都立大学大学院社会学研究科
Dept. of Sociology, Tokyo Metropolitan University
Keywords : self-help group(セルフヘルプ・グループ), self-advocacy(セルフ・アドボカシー), people with intellectual disability(知的障害者), self determination(自己決定), social movement(社会運動)
People with intellectual disabilities have organized by themselves and take an action in various sphere. They organize, for example, for improving their living condition, advocating their rights, working as a community member, or enjoying leisure. We examined the activities by people with intellectual disabilities and how it has expanded.