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立岩真也「私が選んだ3冊・2007年の収穫本」
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わたしえらんだ3さつ・2007ねん収穫しゅうかくほん

立岩たていわ しん 200801 『ろん』2008-1
http://opendoors.asahi.com/ronza/


  たくさんのほんたのだろうが、わずかしからない。そしてそのなかによいほんはあったけれど、ここではいちさつだけにする。横塚よこつか晃一こういちははよ!ころすな』。1975ねんて、増補ぞうほばんが1981ねんほん再刊さいかん新版しんぱん増補ぞうほばんさんばいあつさになって刊行かんこうされた。以下いかは、2006ねん生活せいかつ書院しょいんなる出版しゅっぱんしゃげ、このしたかったほんした高橋たかはしあつしさんの宣伝せんでんぶんから。
 「日本にっぽんにおける障害しょうがいしゃ解放かいほう運動うんどう自立じりつ生活せいかつ運動うんどう内実ないじつ方向ほうこうせいおおきく転換てんかんした「あおしばかい」、その実践じっせん理論りろん支柱しちゅうだった脳性のうせいマヒしゃ横塚よこつか晃一こういちのこした不朽ふきゅう名著めいちょ。1981ねんすずさわ書店しょてんばん底本ていほんとし、収録しゅうろくだった横塚よこつかもの発言はつげん映画えいが『さようならCP』シナリオ、追悼ついとうぶん年表ねんぴょうなどを大幅おおはば補遺ほい、[…]決定けっていばんとして、ここに待望たいぼう復刊ふっかん
 「きながらでも、おや偏愛へんあいをけっばす」とって自立じりつ生活せいかつへとかい、「あってはならない存在そんざい」とされることの合理ごうりをもってただつづけて、人々ひとびとおおきな影響えいきょうあたえたその思想しそうは、自立じりつ意味いみ改竄かいざんされ、市場いちば経済けいざい優先ゆうせん主義しゅぎなかかすられようとする危機ききにあるいまこそ、オルタナティブな価値かち意識いしきえを目指めざすテキストとして、まれなければならない!」
  ほんはどんどんえていく。それはわるいことではない。のこすことは不可能ふかのうだし、可能かのうであっても、うっとおしい。それでものこってほしいものはある。わたしはこのほんのこればよいとおもうけれど、むろんべつひとはそうはおもわない。ただ、このほんはあってほしいとおもひとがいくらかいて、なんとか再刊さいかんして、いくらかれれば、しばらくはなんとか、といったところだ。高橋たかはしさんはそうおもって再刊さいかんして、行商ぎょうしょうしてっている。わたしはこのほんの「解説かいせつ」をかせてもらった。なにったものか、ずいぶん難儀なんぎしていた。
  なにかいたことがいてあるというほんではない。論理ろんり修辞しゅうじ駆使くしされているというのでもない。しかし論理ろんりてきではあり、また文章ぶんしょうれているともおもう。ずいぶんと単純たんじゅんなことしかいてないようにもおもえる。しかしその、ごく基本きほんてきなこととしては、なにかうべきことがあったのだろうか、ともおもう。わたしは、そのうえで、わたしが、あるいは学者がくしゃくこととしてはどんなことがあるだろうとおもってものをいてきたかもしれない。「このほんは、このほんがいらなくなるまで、まれるだろう。そしてそのときないだろう。しかしそれを悲観ひかんすることはない。」解説かいせつわりに、そんなこともいた。


 *『ろん』(http://opendoors.asahi.com/ronza/)に掲載けいさいされた文章ぶんしょう
◇2007/03/01書評しょひょう萱野かやのみのるじん『カネと暴力ぼうりょく系譜けいふがく』」,『ろん』2007-3:308-309 [りょう:20070122]
◇2007/09/01書評しょひょう小畑おばたきよしつよし近代きんだい日本にっぽんとマイノリティの<なま政治せいじがく>――シュミット・フーコー・アガンベンを中心ちゅうしんむ』」,『ろん』2007-9:310-311


UP:20071113 REV:1116(誤字ごじ訂正ていせい
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