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Roemer, John E.[ジョン・ローマー]
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Roemer, John E.

ジョン・ローマー

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last update: 20190727

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翻訳ほんやくている著書ちょしょ

◆Roemer, John E. 1994 A Future for Socialism Harvard University Press=19970225 伊藤いとう まこと やく 『これからの社会しゃかい主義しゅぎ――市場いちば社会しゃかい主義しゅぎ可能かのうせい』,青木あおき書店しょてん,206+8p. 2400 ※
◆Roemer, John E. 1996 Theories of Distributive Justice Harvard University Press=20010320 木谷きたに しのぶ川本かわもと 隆史たかし やく 『分配ぶんぱいてき正義せいぎ理論りろん――経済けいざいがく倫理りんりがく対話たいわ』 木鐸ぼくたくしゃ,388p. 4000 ※
 cf.
 ・木谷きたにしのぶさんのホームページ
 http://www.agri.tohoku.ac.jp/agriecon/japanese/kankyo/kitani/index.htm
薮下やぶした 史郎しろう (監修かんしゅう)・須賀すか 晃一こういち若田部わかたべ あきらきよし (ちょ) 20060323 さい分配ぶんぱいとデモクラシーの政治せいじ経済けいざいがく東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ,280p. ISBN-10:4492313613 ISBN-13:978-4492313619 \3780 [amazon][kinokuniya]

著書ちょしょ論文ろんぶん

Roemer, John E. 1981 Analytical Foundation of Marxian Economic Theory Cambridge University Press
Roemer, John E. 1982 A General Theory of Exploitation and Class Harvard University Press
Roemer, John E. 1985 "Equality of Talent" Economics and Philosophy 1:151-181→Roemer [1994]
Roemer, John E. 1986 "Equality of Resources Implies Equality of Welfare" Quarterly Journal of Economics 101:751-784
Roemer, John E. 1986 "The Missmarriage of Bargaining Theory and Distributive Justice" Ethics 97:88-110
Roemer, John E. 1986 Value, Exploitation, and Class Harwood Academic Publishers
Roemer, John E. ed. 1986 Analytical Marxism Cambridge University Press ※
Roemer, John E. 1986 "Marxism:Studies in Marxisism and Social Thery", Cambridge. ※
Roemer, John E. 1987 "A Pubic Ownership Resolution of the Tragedy of Commons" Department of Economics Working Paper No. 295, University of California, Davis
Roemer, John E. 1987 "Egalitarianism, Responsibility, and Information" Economics and Philosophy 3:215-244→Roemer [1994]
Roemer, John E. 1988 "Axiomatic Bargaining Theory on Economic Environments" Journalof Economic Theory 45:1-31
Roemer, John E. 1988 Free to Lose: An Introduciton to Marxist Economic Philosophy Harvard University Press
Roemer, John E. 1989 "A Pubic Ownership Resolution of the Tragedy of Commons" Social Philosophy and Policy 6:74-92
Roemer, John E. & Silvestre, J. 1989 "Public Ownership: Three Proposala for Resource Allocation" Department of Economics Working Paper No. 307, University of California, Davis
Roemer, John E. & Silvestre, J. 1993 "The Proportional Solution for Economics with Both Private and Public Ownership" Journalof Economic Theory 59:426-444
Roemer, John E. 1993 "Distributing Health: The Allocation of Resolution of Resources by an International Agency" Nussbaum and Sen eds.[1993]
Roemer, John E. 1993 "A Pragmatic Theory of Responsibility for the Egalitarian Planner" Philosophy & Public Affairs 22:146-166
Roemer, John E. & Bardhan, P. eds. 1993 Market Socialism Oxford University Press
Roemer, John E. 1994 Egalitarian Perspective: Essays in Philosophical Economics Cambridge University Press, 356p. ※
Romer, John E. / Wright, Erik O. [ed] 1996 "Equal Shares: Making Market Socialism Work", Verso. ※
Roemer, John E. 1998 Equality of Opportunity, Cambridge: Harvard University Press. ※
後藤ごとう 玲子れいこ吉原よしはら 直毅なおき やくで勁草書房しょぼうより近刊きんかんとおかん?)予定よてい
Roemer, John E. 200601 『Democracy, Education, and Equality: Graz-Schumpeter Lectures』,Cambridge University Press,188p.  ISBN-10:0521609135 ISBN-13: 978-0521609135 3831 [amazon]

後藤ごとう 玲子れいこ 20020325 「ジョン・ローマー:機会きかい平等びょうどうアプローチと社会しゃかい保障ほしょう」,『海外かいがい社会しゃかい保障ほしょう研究けんきゅう』138:43-54

機会きかい平等びょうどう幸福こうふく平等びょうどう

 「かりに幸福こうふくもとめる機会きかい均等きんとうでなく、幸福こうふく平等びょうどう目的もくてきであるとすれば、とてつもなく費用ひようのかかる現実げんじつてき目的もくてき採用さいようしたひとびとに、社会しゃかい巨額きょがく基本きほん財源ざいげん提供ていきょうするようせまられるであろう。たとえばわたくしが、ひよわなスポーツマンなのに、徒歩とほでエベレスト山頂さんちょうにゆかなければ自分じぶん人生じんせい価値かちであるとしんじるにいたったとしよう。それには、その登山とざん旅行りょこう可能かのうとするために十分じゅうぶんなシェルパやその支援しえんひとびとをやとうのに、大量たいりょう資金しきんようするであろう。他方たほう幸福こうふくへの機会きかい均等きんとうもとめることは、幸福こうふくをひきだす穏当おんとうしょ目的もくてき選定せんていする責任せきにんをわたくしにすことになる。」(『これからの社会しゃかい主義しゅぎ』p.24)

 「かり(p.24)に、ひとびとが自由じゆう意志いしはたらかせることがなく、すべての行為こうい個人こじん統御とうぎょのおよばないしょ要因よういん起因きいんするのだとすれば、幸福こうふくへの機会きかい均等きんとう幸福こうふく均等きんとうへとする。しかし、だい部分ぶぶん社会しゃかい主義しゅぎしゃもそのひとびとも、意志いし発揮はっきする領域りょういきはあるものだとしんじており、それゆえまた「社会しゃかい主義しゅぎしゃのぞむもの」のリストのどこにも機会きかいという箇条かじょう挿入そうにゅうしておくことが大切たいせつなのである。」(『これからの社会しゃかい主義しゅぎ』pp.24-25)

■センについて

 「(選択せんたくによってもっと選好せんこうしているものをれることができるという)道具どうぐてき価値かちにとどまらず、センにとって複数ふくすう選択肢せんたくしからえらべる能力のうりょくそのものも価値かちをもつ。そ(p.219)してこの価値かち潜在せんざい能力のうりょくかたはば)のなかでの選択肢せんたくし範囲はんい反映はんえいされる。したがって、選択せんたく人々ひとびとにとって道具どうぐてき価値かち選択せんたくの「論証ろんしょうてき」かつ「象徴しょうちょうてき」な価値かち)をゆうするというスキャンロン(Scanlon[1988])の議論ぎろんとセンの立場たちばている。ひと潜在せんざい能力のうりょくへの関心かんしん達成たっせいされた機能きのうベクトルとのちがいをしめすために、断食だんじきちゅう裕福ゆうふくひと食物しょくもつかねのないえたまずしいひとくらべてみよう。この二人ふたり栄養えいよう状態じょうたいてんではおなじレベルにあるが、前者ぜんしゃ潜在せんざい能力のうりょく後者こうしゃよりおおきい。ここで重要じゅうようなのは潜在せんざい能力のうりょくちがいである。」(Roemer[1996=2001:119-220])

Scanlon, T.  1988 "The Significance of choice", S. McMurrin ed. The Tanner Lectures on Human Values. Vol 8, University of Utah Press.

 「分配ぶんぱいてき正義せいぎかんする処方箋しょほうせんとして厚生こうせい平等びょうどうにはすくなくともふたつの重大じゅうだい問題もんだい存在そんざいする。それは「安価あんか嗜好しこう」の問題もんだい(センのれいでは「虐待ぎゃくたいけてきた奴隷どれい」や「らされた主婦しゅふ」の問題もんだい)および高価こうか嗜好しこうである。このふたつの問題もんだいは、おな対象たいしょうふたつの側面そくめんからとらえたものではない。なぜなら、安価あんか嗜好しこうはそれが自発じはつてき陶冶とうやされたときにのみ、そして高価こうか嗜好しこう自発じはつてき陶冶とうやしたときにのみ問題もんだいになるからである。」(Roemer[1996=2001:274])

 「ここでセンの理論りろんたいするいつつの批判ひはんげておこう。(1)幸福こうふく機能きのうひとつとしてふくめることは、機能きのう指数しすう自己じこえがいていた厚生こうせい観念かんねんとの独立どくりつせい度合どあいよわめてしまう。」(Roemer[1996=2001:221-222])

 「分配ぶんぱいてき正義せいぎにとって重要じゅうようとなる優位ゆうい尺度しゃくどなかに、ひとのおかれた状態じょうたいしめなんらかの客観きゃっかんてき尺度しゃくど考慮こうりょれるべきであるのはたしかであろう。というのは、純粋じゅんすい主観しゅかんてき尺度しゃくどだけでは「らされた主婦しゅふ」の問題もんだい解決かいけつできそうもないからである。こうした見通みとおしのしたでは、センの機能きのう概念がいねんがもっとも期待きたいできるとおもわれる。ただし5しょうべたように、センとはちがって「幸福こうふく」のような主観しゅかんてき特徴とくちょうをもつものを機能きのうふくめないほうがよいとわたしかんがえている」(Roemer[1996=2001:355])

 「あるしゅ難問なんもんには正解せいかいがないとくとき、センは苦境くきょうえようとしているのだとかんじられてならない。科学かがくにおけるもうひとつの見方みかたは、こたえはあるがまだつけしていないという仮説かせつみとめることである。わたしは、分配ぶんぱいてき正義せいぎ理論りろんがこの仮説かせつ棄却ききゃくすべきほど進展しんてんしてはいないとかんがえている。」(Roemer[1996=2001:223])

■ドゥオーキンについて

 「無知むちのベールのしたでの保険ほけん市場いちばかんするドゥオーキンのんだ議論ぎろんは、賢明けんめいではあるが経済けいざいがく訓練くんれんけていない哲学てつがくしゃくるしみながら巧妙こうみょう経済けいざいがくてき着想ちゃくそう、つまり仮想かそうてき要求ようきゅう市場いちばをもつ経済けいざいでの均衡きんこうてんさい発見はっけんしたことによる産物さんぶつである。ドゥオーキンが「無知むちのベール」という用語ようご使つかわず、それに反論はんろんしていることもくわえておくべきだろう。しかし、わたしはこの用語ようごかれ提案ていあんつたえるのに都合つごういものとかんがえている」(Roemer[1996=2001:300])
 *ドゥオーキンのファイルでも引用いんよう

言及げんきゅう

立岩たていわしん自由じゆう平等びょうどう・4」での引用いんよう言及げんきゅう

ちゅう
☆01ホームページ(http://www.arsvi.com)「立岩たていわ」→「自由じゆう平等びょうどう」に文献ぶんけんリストやここでめて引用いんようした部分ぶぶんよりはなが引用いんようがある。
 以下いかでは、アナリティカル・マルキシズムの陣営じんえいぞくするひとについても言及げんきゅうするが、それはその全体ぜんたい批判ひはんすることではない。この学派がくはには非常ひじょう興味深きょうみぶかおおくの提起ていき主張しゅちょうがあるとわたしおもう。訳書やくしょとしてRoemer[1994a=1997][1996=2001]、その主張しゅちょう紹介しょうかい検討けんとうしている論集ろんしゅうとしてこうぞう松井まついへん[1999](巻末かんまつ外国がいこく文献ぶんけん日本語にほんご文献ぶんけんひょうがある)、紹介しょうかいとして松井まつい[2000]とう
☆02(3)(はちがつごう)3「自分じぶんのために、がとどくところ」。(1)(さんがつごうちゅう11も関連かんれんする。なお、ロールズの立論りつろん批判ひはんしてドゥオーキンがしめす「仮想かそうてき保険ほけん市場いちば」も基本きほんてき発想はっそうており、ローマーはそこに想定そうていされる初期しょき状態じょうたいを「うす無知むちのヴェール」とぶ(Roemer[1996=2001:284ff]、また吉原よしはら[1999:165-166]がRoemer[1994b]をあげて紹介しょうかい)。
☆03Dworkin[1981a]。Roemer[1996=2001:273ff]でも紹介しょうかいされ検討けんとうされている。「厚生こうせい主義しゅぎ(welfarism)」の問題もんだい松井まついみっつあげ、「安価あんか嗜好しこう」と「高価こうか嗜好しこう」とをだいだいさんにあげて解説かいせつしている(松井まつい[1999:142-143])。また吉原よしはらふた以外いがいに「攻撃こうげきてき嗜好しこう」を例示れいじしており(吉原よしはら[1999:173・ちゅう8])、松井まつい吉原よしわらともにセンの文献ぶんけん(Sen[1979]とう)をあげている。他者たしゃおとしめることで満足まんぞくるといった嗜好しこうをどうかんがえるかについて、本稿ほんこうでは主題しゅだいてきろんじないが、それにたいする基本きほんてき方向ほうこうしめしたとかんがえる。
☆04「手段しゅだんは、究極きゅうきょくてきにはなにのものによって評価ひょうかされるから、手段しゅだん評価ひょうかをその目的もくてきからまった独立どくりつおこなうことは容易よういではない。ジョン・ローマー…は、この関係かんけいたくみに利用りようした数学すうがくてき帰結きけつみちびき、それを…「資源しげん平等びょうどう厚生こうせい平等びょうどう意味いみする」と解釈かいしゃくした。この結果けっか精巧せいこう公理こうり集合しゅうごうもとづいているが、その背後はいごにあるアイデアは、資源しげん価値かちをその資源しげんすものからもとめようとするところにある。資源しげんは、それ自体じたい価値かちをつけられるものではないので、このような関係かんけいけるのはもっともなことである。最終さいしゅうてき目的もくてき厚生こうせいだけであるようなモデルをつくって、「資源しげん平等びょうどう厚生こうせい平等びょうどうさなければならない」というローマーの定理ていりみちびされる。」(Sen[1992=1999:124]、言及げんきゅうされている論文ろんぶんはRoemer[1986]。ドゥオーキンの主張しゅちょうとローマーの批判ひはん紹介しょうかいとして吉原よしはら[1999:167])
☆06ローマーはセンが幸福こうふく機能きのうふくめていることを指摘してきしてつぎのようにう。「分配ぶんぱいてき正義せいぎにとって重要じゅうようとなる優位ゆうい尺度しゃくどなかに、ひとのおかれた状態じょうたいしめなんらかの客観きゃっかんてき尺度しゃくど考慮こうりょれるべきであるのはたしかであろう。というのは、純粋じゅんすい主観しゅかんてき尺度しゃくどだけでは「らされた主婦しゅふ」の問題もんだい解決かいけつできそうもないからである。こうした見通みとおしのしたでは、センの機能きのう概念がいねんがもっとも期待きたいできるとおもわれる。ただし……センとはちがって「幸福こうふく」のような主観しゅかんてき特徴とくちょうをもつものを機能きのうふくめないほうがよいとわたしかんがえている」(Roemer[1996=2001:355]、このてんふくむセンにたいする批判ひはん紹介しょうかいとしてRoemer[1996=2001:220-223])。
 つまりローマーはセンの方向ほうこう徹底てっていしようとする。しかしこの方向ほうこうをそのまま肯定こうていできないことを本文ほんぶんべた。
☆09「分配ぶんぱいてき正義せいぎかんする処方箋しょほうせんとして厚生こうせい平等びょうどうにはすくなくともふたつの重大じゅうだい問題もんだい存在そんざいする。それは「安価あんか嗜好しこう」の問題もんだい(センのれいでは「虐待ぎゃくたいけてきた奴隷どれい」や「らされた主婦しゅふ」の問題もんだい)および高価こうか嗜好しこうである。このふたつの問題もんだいは、おな対象たいしょうふたつの側面そくめんからとらえたものではない。なぜなら、安価あんか嗜好しこうはそれが自発じはつてき陶冶とうやされたときにのみ、そして高価こうか嗜好しこう自発じはつてき陶冶とうやしたときにのみ問題もんだいになるからである。」(Roemer[1996=2001:274])
☆11にんにある資源しげん能力のうりょくも、個人こじんではどうにもできない部分ぶぶんだけではない。自分じぶん意図いとてきに、あるいは不注意ふちゅういこした事故じこによって障害しょうがいうことがある。またその原因げんいんはともかく、なおすこともできるかもしれない。あるいはなおらなくとも、ひとよりたくさん苦労くろうすれば、おなじだけでないにしても、それなりにできるようになることもある。ではそれはすべて自己じこ責任せきにんということになるだろうか。そんなことはない。寄与きよ過失かしつ度合どあいにおうじて徴収ちょうしゅう給付きゅうふりつたがえることは、事故じこまねくような不摂生ふせっせい不注意ふちゅうい抑止よくしするためとう手段しゅだんとしてはある程度ていど有効ゆうこうであるかもしれず、あってよいにしても、できることはなんでもすべきだとはならず、えらべることについては自分じぶんうべきだとはならないはずだ(cf.立岩たていわ[2001a])。ところがこんみてきた議論ぎろんではそうならない。
 たとえばローマーの議論ぎろんさきが、結局けっきょくひとつには機会きかい平等びょうどう教育きょういくであることもこのことにかかわる。2で引用いんようした部分ぶぶんつづ文章ぶんしょう以下いか。「かりに、ひとびとが自由じゆう意志いしはたらかせることがなく、すべての行為こうい個人こじん統御とうぎょのおよばないしょ要因よういん起因きいんするのだとすれば、幸福こうふくへの機会きかい均等きんとう幸福こうふく均等きんとうへとする。しかし、だい部分ぶぶん社会しゃかい主義しゅぎしゃもそのひとびとも、意志いし発揮はっきする領域りょういきはあるものだとしんじており、それゆえまた「社会しゃかい主義しゅぎしゃのぞむもの」のリストのどこにも機会きかいという箇条かじょう挿入そうにゅうしておくことが大切たいせつなのである。」(Roemer[1994a=1997:24-25])
 「機会きかい平等びょうどう」と「結果けっか平等びょうどう」については(5)(最終さいしゅうかい)で検討けんとうするが、問題もんだいは「機会きかい」と「結果けっか」のあいだなにがあるのかである。この登山とざん場合ばあい結果けっか登山とざんできることであるとして、登山とざんのための機会きかい平等びょうどうとはいったいどういうことだろう。登山とざんきんじられてはいないかもしれない。しかし資源しげんがなければ実際じっさいには登山とざんすることはできない。それは機会きかいあたえられていないということとちがうのだろうか。
☆14ではローマーがあげた登山とざん場合ばあいはどうか。まずこのれいがあまり現実げんじつてきでないようにおもわれる。それはひとつに自分じぶんおこなうことの意味いみかかわる。こんなことにまで社会しゃかいおうずるだろうかとおおくのひとおもうのは、登山とざんというものはやはり自分じぶんちからのぼることに意味いみがあるとわたしたちがおもっていることにもよるだろう。マラソンにしても、自分じぶんあしでどれほどをはしれるかがその意味いみとされる。べつ手段しゅだんによっても走行そうこうすることはできるが、そのときにはそれはべつあそびあるいは競技きょうぎとなる。やまのぼるのも同様どうようで、たとえばやまからの景色けしきるのがのぞみなら、ヘリコプターを使つかったほうらくで、そしていくらかはやすくもあるかもしれない。cf.(2)(がつごう)115ぺーじ

立岩たていわ しん也 2004 自由じゆう平等びょうどう岩波書店いわなみしょてん

1986 "Equality of Resources Implies Equality of Welfare", Quarterly Journal of Economics 101:751-784 <328>
1994a A Future for Socialism,Harvard Univ. Press=1997 伊藤いとうまことやく,『これからの社会しゃかい主義しゅぎ──市場いちば社会しゃかい主義しゅぎ可能かのうせい』,青木あおき書店しょてん <168,327,331>
1994b Egalitarian Perspective: Essays in Philosophical Economics, Cambridge Univ. Press <327>
1996 Theories of Distributive Justice, Harvard University Press=2001 木谷きたにしのぶ川本かわもと隆史たかしやく分配ぶんぱいてき正義せいぎ理論りろん──経済けいざいがく倫理りんりがく対話たいわ』,木鐸ぼくたくしゃ <327,328,329,330,332,333,340>
1998 Equality of Opportunity, Harvard University Press <337>

立岩たていわ しん也 2018 不如意ふにょい身体しんたい――やまい障害しょうがいとある社会しゃかい青土おうづちしゃ


UP:? REV:20030623,1217 20080915, 20180807, 20190727(いわ 弘泰ひろやす
アナリティカル・マルキシズム analytical marxism  ◇自由じゆう自由じゆう主義しゅぎ  ◇経済けいざいがく  ◇Core Ethics? /Core Sociology?WHO 
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