星ほし系けいへの侵入しんにゅう者しゃ、原始げんし惑星わくせい系けい円盤えんばんを乱みだす

【2022年ねん1月がつ20日はつか すばる望遠鏡ぼうえんきょう／米国べいこく国立こくりつ電波でんぱ天文台てんもんだい】

「侵入しんにゅう者しゃ」が見みつかったのは、地球ちきゅうから約やく3700光年こうねんの距離きょりにある、おおいぬ座ざZ星ほしである。カナダ・ビクトリア大学だいがくのRuobing Dongさんたちの研究けんきゅうチームが、アルマ望遠鏡ぼうえんきょう、すばる望遠鏡ぼうえんきょう、米べい国立こくりつ電波でんぱ天文台てんもんだい（NRAO）のカール・ジャンスキー超ちょう大型おおがた電波でんぱ干渉かんしょう計けい（VLA）による観測かんそくで検出けんしゅつした。

生うまれたての恒星こうせいの周まわりで惑星わくせいが形成けいせいされているときに、侵入しんにゅうしてきた天体てんたいによって星ほし系けいがかき乱みだされることは、シミュレーションでは予期よきされていた現象げんしょうだったが、はっきりと観測かんそくされたのは初はじめてだ。

（左ひだり）おおいぬ座ざZ星ほしの原始げんし惑星わくせい系けい円盤えんばん。右みぎ下かに伸のびる尾おの延長えんちょう上じょうに、今回こんかい見みつかった天体てんたいがある。右みぎの画像がぞうを重かさね合あわせたもの。（右みぎ）上じょうから順じゅんに、すばる望遠鏡ぼうえんきょうがとらえた近赤外線きんせきがいせん、VLAがとらえたミリ波は、アルマ望遠鏡ぼうえんきょうがとらえた塵ちりの発はっするミリ波は、アルマ望遠鏡ぼうえんきょうがとらえた一酸化いっさんか炭素たんそ分子ぶんし（¹³CO）の発はっするミリ波は（提供ていきょう：ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), S. Dagnello (NRAO/AUI/NSF), NAOJ）

おおいぬ座ざZ星ほしはお互たがいの近ちかくを回まわる若わかい連れん星ぼしの周まわりに、惑星わくせいの材料ざいりょうとなる原始げんし惑星わくせい系けい円盤えんばんが形成けいせいされている星ほし系けいだ。時ときおり爆発ばくはつ的てきな増ぞう光こうを示しめすことが以前いぜんから知しられていて、2016年ねんに発表はっぴょうされた観測かんそく結果けっかでは円盤えんばんから細長ほそながく伸のびる尾おのような構造こうぞうが見みつかっている。今回こんかい見みつかった天体てんたいの位置いちは、連れん星ぼしから約やく5000天文てんもん単位たんい（太陽たいよう～地球ちきゅうの5000倍ばい、約やく6500億おくkm）離はなれた尾おの先さきだったことから、この構造こうぞうがが飛来ひらい天体てんたいによるものだと示唆しさされた。また、天体てんたいの重力じゅうりょくで円盤えんばんがかき乱みだされたため、円盤えんばんから連れん星ぼしへと物質ぶっしつが降ふり積つもりやすくなり、増ぞう光こうを引ひき起おこしているのだと考かんがえられる。

おおいぬ座ざZ星ほし系けいへ飛来ひらいして離はなれていく天体てんたいの想像そうぞう図ず。天体てんたいの重力じゅうりょくによって原始げんし惑星わくせい系けい円盤えんばんの一部いちぶが尾おのような構造こうぞうを形成けいせいしている（提供ていきょう：ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), B. Saxton (NRAO/AUI/NSF)）

今回こんかい観測かんそくされたような外部がいぶからの侵入しんにゅう者しゃは、思おもわぬ形かたちで若わかい恒星こうせいと惑星わくせい系けいの進化しんかに影響えいきょうを及およぼすかもしれない。「このような事象じしょうを研究けんきゅうすることで、私わたしたちの太陽系たいようけいがどのように発展はってんしてきたのか、過去かこの歴史れきしを知しることができます。新あたらしく形成けいせいされた星ほし系けいでこのような現象げんしょうが起おこるのを見みることで、『ああ、これは私わたしたちの太陽系たいようけいでずっと昔むかしに起おこったことかもしれない』と言いうのに必要ひつような情報じょうほうを得えることができるのです」（Dongさん）。