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太陽コロナの特殊なイオンを実験室で生成 - アストロアーツ
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太陽たいようコロナの特殊とくしゅなイオンを実験じっけん室しつで生成せいせい

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太陽たいようコロナの100万まん度どという超ちょう高温こうおん環境かんきょうで作つくられる特殊とくしゅなイオンが地上ちじょうの実験じっけん室しつで生成せいせいされ、スペクトルが計測けいそくされた。衛星えいせいによる観測かんそく結果けっかの分析ぶんせきに寄与きよすると期待きたいされている。

【2022年ねん3月がつ7日にち 電気通信大学でんきつうしんだいがく】

太陽たいよう大気たいきの最さい上層じょうそうにあたるコロナは、温度おんどが約やく100万まん度どにも達たっし、あらゆる原子げんしは電子でんしを引ひきはがされたイオンの状態じょうたいで存在そんざいしている。このような高温こうおん環境かんきょうでは、複数ふくすうの電子でんしをはぎ取とられた「多た価あたいイオン」が作つくられやすい。2006年ねんから運用うんようされている太陽たいよう観測かんそく衛星えいせい「ひので」の極端きょくたん紫外線しがいせん撮像さつぞう分光ぶんこう装置そうち（EIS）は、コロナに含ふくまれる多た価あたいイオンが発はっする短波たんぱ長ちょうの紫外線しがいせんをとらえることで、温度おんどや密度みつどなど太陽たいよう活動かつどうに関かんする重要じゅうような情報じょうほうを得えている。

しかし、観測かんそくされたスペクトルを正ただしく分析ぶんせきするには、そもそも多た価あたいイオンがどのような波長はちょうの紫外線しがいせんを発はっするかを理解りかいしていなければならない。そこで電気通信大学でんきつうしんだいがくの中村なかむら信行のぶゆきさんたちの研究けんきゅうチームは、太陽たいようコロナに存在そんざいする多た価あたいイオンを実験じっけん室しつで生成せいせいし、極端きょくたん紫外線しがいせんスペクトルを測定そくていした。地球ちきゅう上じょうの温度おんどではコロナの多た価あたいイオンは自然しぜん発生はっせいしないので、中村なかむらさんたちは電子でんしを閉とじ込こめて次々つぎつぎと電子でんしビームを衝突しょうとつさせることで電子でんしをはぎ取とる電子でんしビームイオントラップ（EBIT; Electron Beam Ion Trap）と呼よばれる装置そうちを建設けんせつし運用うんようしている。

YEBISU
多た価あたいイオン生成せいせい・捕獲ほかく装置そうち「YEBISU（Tokyo-EBIT）」（提供ていきょう：YEBISU Homepage）

今回こんかい中村なかむらさんたちが生成せいせいしたのは、アルゴン（Ar）原子げんしが持もつ18個この電子でんしのうち、13個こを剥はがしたAr13+（Ar XIV）という特殊とくしゅな多た価あたいイオンだ。Ar13+はコロナの中なかでも、太陽たいよう面めんの爆発ばくはつ現象げんしょうであるフレアが発生はっせいする活動かつどう領域りょういきに存在そんざいする。いくつかの密度みつどでスペクトルを計測けいそくした結果けっか、理論りろん値ちとよく一致いっちしていた。

Ar XIVのスペクトル
実験じっけんで取得しゅとくした多た価あたいイオンAr XIVのスペクトル（提供ていきょう：電気通信大学でんきつうしんだいがくリリース）

こうして測定そくていした多た価あたいイオンのスペクトルを「ひので」で観測かんそくすることで、フレアを含ふくむ太陽たいようコロナの活動かつどう的てきな領域りょういきを解読かいどくすることが可能かのうになり、コロナを高温こうおんに加熱かねつするメカニズムの解明かいめいにつながるデータが得えられると期待きたいされる。

研究けんきゅうチームは今後こんご、カルシウムの20個この電子でんしのうち14個この電子でんしを剥はがした Ca14+イオン（Ca XV）など、さらに高温こうおんの領域りょういきを調しらべる上うえで有用ゆうような多た価あたいイオンのスペクトルを調しらべたいとしている。

〈参照さんしょう〉

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