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アレルギーについて | 食物アレルギー - アレルギーポータル
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アレルギーについて

おもなアレルギー疾患しっかん

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食物しょくもつアレルギー

特徴とくちょうについて

食物しょくもつアレルギーは、ある特定とくていものべたり、れたりしたのちにアレルギー反応はんのうがあらわれる疾患しっかんです。
食物しょくもつアレルギーの原因げんいんとなる物質ぶっしつであるアレルゲンは、おもものふくまれるタンパク質たんぱくしつです。乳幼児にゅうようじの5~10%、学童がくどう以降いこうでは1~3%が食物しょくもつアレルギーとかんがえられています。どものころ食物しょくもつアレルギーは、おおくが成長せいちょうともな徐々じょじょ原因げんいん食物しょくもつべられるようになります(「たいせい獲得かくとく」といいます)。一方いっぽうで、大人おとな食物しょくもつアレルギーは、たいせい獲得かくとくしにくく、原因げんいん食品しょくひん継続けいぞくてき除去じょきょ必要ひつようなことがおおいとかんがえられています。

新規発症の原因食物
食物しょくもつアレルギー診療しんりょうガイドライン2021 より

症状しょうじょうについて

食物しょくもつアレルギーの症状しょうじょう皮膚ひふや、呼吸こきゅう消化しょうかなど身体しんたいのさまざまな臓器ぞうきにあらわれます。およそ90%に皮膚ひふ症状しょうじょう、およそ30%に呼吸こきゅう症状しょうじょう粘膜ねんまく症状しょうじょうみとめられます。

皮膚ひふ症状しょうじょう:かゆみ、じんましん、むくみ、発赤はっせき湿疹しっしんなど
呼吸こきゅう症状しょうじょう:くしゃみ、鼻水はなみずはなづまり、せき息苦いきぐるしさ、ゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん)など
粘膜ねんまく症状しょうじょう充血じゅうけつれ、なみだ、かゆみなど、くちなかくちびるした違和感いわかんれなど
消化しょうか症状しょうじょう下痢げり嘔吐おうと血便けつべんなど
神経症しんけいしょうじょう頭痛ずつう元気げんきがなくなる、意識いしきもうろうになるなど

これらの症状しょうじょうは、ひとつだけがあらわれる場合ばあいもあれば、きゅう複数ふくすう臓器ぞうき症状しょうじょうがあらわれることもあります(「アナフィラキシー」といいます)。アナフィラキシーの症状しょうじょうに、さらに血圧けつあつ低下ていか意識いしき障害しょうがいなど急激きゅうげき全身ぜんしん症状しょうじょう進行しんこうする場合ばあいを「アナフィラキシーショック」とび、生命せいめい危険きけんにまでおよぶことがあります。

特殊とくしゅ食物しょくもつアレルギー

(1)食物しょくもつ依存いぞんせい運動うんどう誘発ゆうはつアナフィラキシー
ある特定とくていものべたあとに運動うんどうをしてアナフィラキシーがしょうじる病気びょうきです。特定とくていものべただけでは症状しょうじょうきずに、特定とくていものべたあとに運動うんどうをすると症状しょうじょうがあらわれるという特徴とくちょうがあります。ただし、特定とくていもの運動うんどうわせでかならしょうじるわけではなく、生活せいかつ環境かんきょう体調たいちょう、ストレスなどの変化へんか関与かんよするとかんがえられています。食事しょくじをして30ふん~4あいだ運動うんどうをすると、呼吸こきゅう困難こんなんやめまい、嘔吐おうと、じんましんなど、アナフィラキシーの症状しょうじょう出現しゅつげんします。

(2)口腔こうくうアレルギー症候群しょうこうぐん
ある特定とくてい果物くだもの野菜やさいなどをべるとくち周囲しゅうい発赤はっせき口腔こうくうないれ、のどのいたみや違和感いわかんなどがしょうじる病気びょうきです。症状しょうじょうがあらわれても、おおくは食後しょくごしばらくすると自然しぜん軽快けいかいします。この病気びょうき果物くだものなま野菜やさいふくまれるアレルゲンが、口腔こうくうない粘膜ねんまくれてこる反応はんのうで、体内たいないのIgE抗体こうたい関係かんけいしています。症状しょうじょうこすアレルゲンは、植物しょくぶつ病原菌びょうげんきん感染かんせん傷害しょうがい、ストレスからまもるための生体せいたい防御ぼうぎょとして誘導ゆうどうされるタンパク質たんぱくしつで、小腸しょうちょう到達とうたつするまえこわれるためおも口腔こうくうない反応はんのうきます。花粉かふんしょうやラテックスアレルギーのあるひと注意ちゅういしてください(「花粉かふんしょう」の項目こうもく参照さんしょうしてください)。

重症じゅうしょうについて

食物しょくもつアレルギーでは、あらわれる臓器ぞうき症状しょうじょうつよさで重症じゅうしょう分類ぶんるいされます。「軽症けいしょう」は皮膚ひふ症状しょうじょう部分ぶぶんてき消化しょうか症状しょうじょうよわく、元気げんきがなくなる程度ていどです。「中等ちゅうとうしょう」では皮膚ひふ症状しょうじょう全身ぜんしんひろがり、がまんできないほどのかゆみや、かる息苦いきぐるしさや、眠気ねむけがあらわれる場合ばあいがあります。「重症じゅうしょう」では全身ぜんしん症状しょうじょうがあらわれ、つよ腹痛はらいた嘔吐おうとかえし、便びん失禁しっきんや、ぐったりして意識いしき消失しょうしつする場合ばあいがあります。重症じゅうしょうでは生命せいめい危険きけんもあるため、すぐにアドレナリンというくすり注射ちゅうしゃして治療ちりょうをします。

診断しんだんについて

食事しょくじべたのちなんらかの症状しょうじょうたときに、食物しょくもつアレルギーをうたがいます。とくに、はじめてべたときに症状しょうじょうることがおおく、そのおな食品しょくひんべるとくりがえ症状しょうじょうます。
原因げんいんもの特定とくていするには、医師いし実際じっさいべた食品しょくひん内容ないよう確認かくにんし、血液けつえき検査けんさ特異とくいてきIgE抗体こうたい検査けんさによって確認かくにんすることで推測すいそくすることができます(「アレルギーの検査けんさについて」や下段げだんの※を参照さんしょうしてください)。確定かくてい診断しんだんをするためには、病院びょういん実際じっさいにその食品しょくひんをごくわずかのりょうべてみて症状しょうじょうがあらわれるかどうかを確認かくにんする「食物しょくもつ経口けいこう負荷ふか試験しけん」という検査けんさ必要ひつようです。
食物しょくもつ経口けいこう負荷ふか試験しけんは、ときにはおもあつ症状しょうじょう出現しゅつげんすることもあるため、病院びょういん十分じゅうぶん準備じゅんびととのえて、できるだけ安全あんぜん実施じっしする必要ひつようがある検査けんさです。そのため、すべての病院びょういんでは検査けんさ実施じっしできないため、かかりつけ先生せんせい相談そうだんし、実施じっしできる病院びょういん紹介しょうかいしてもらいましょう。自宅じたくためしにべてみることは非常ひじょう危険きけんなので、絶対ぜったいにやめましょう。

診断について

血液けつえき検査けんさだけで食物しょくもつアレルギーの確定かくてい診断しんだんはできません
血液けつえき検査けんさ特異とくいてきIgE抗体こうたいみとめられても(陽性ようせいであって)も、食物しょくもつ経口けいこう負荷ふか試験しけんべることができた場合ばあい食物しょくもつアレルギーではないため、特異とくいてきIgE抗体こうたい検査けんさだけでは診断しんだん確定かくていすることができません(特異とくいてきIgE抗体こうたい検査けんさ陽性ようせいとなってもべて症状しょうじょうない場合ばあい除去じょきょをする必要ひつようはありません)。

治療ちりょうについて

食物しょくもつアレルギーでは、症状しょうじょうないように原因げんいんとなる食品しょくひん除去じょきょする「除去じょきょ療法りょうほう」と、症状しょうじょうてしまったときに症状しょうじょう改善かいぜんさせる治療ちりょうがあります。

(1)除去じょきょ療法りょうほう
原因げんいんとなるもの除去じょきょをすることです。たとえば、たまごアレルギーの場合ばあいは、たまごべないように除去じょきょをします。お菓子かしなどの加工かこうひんふくまれる場合ばあいもあるため、食品しょくひん表示ひょうじをしっかりと確認かくにんしてたまごふくまれていない食品しょくひんえらびます。

食物しょくもつアレルギーの患者かんじゃさんでも、食品しょくひんによっては少量しょうりょうべても症状しょうじょうない、加熱かねつするなど調理ちょうりをしたらべても症状しょうじょうがあらわれないひともいます。これらは食物しょくもつ経口けいこう負荷ふか試験しけんにて確認かくにんして、必要ひつよう最小限さいしょうげん除去じょきょをすることが可能かのうです。
また、食物しょくもつ除去じょきょをする場合ばあいとく複数ふくすう食物しょくもつのアレルギーがある場合ばあいには栄養えいようがバランスよくれなくなる場合ばあいもあります。このような場合ばあいは、バランスよく栄養えいようおぎなうために管理かんり栄養士えいようしさんから指導しどうけましょう。

(2)症状しょうじょうがあらわれたときの治療ちりょう
それぞれの臓器ぞうきについて症状しょうじょう程度ていどわせて治療ちりょうおこないます。じんましんやかゆみにたいしては、こうヒスタミンやくせきやゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん)にたいしては、気管支きかんし拡張かくちょうやく吸入きゅうにゅうなどをおこないます。症状しょうじょうじゅうあつしで、全身ぜんしんおよ急速きゅうそく進行しんこうするアナフィラキシーではアドレナリンの筋肉きんにく注射ちゅうしゃ必要ひつようになります。
アナフィラキシーがきたことがある患者かんじゃさんは、日常にちじょう生活せいかつでアナフィラキシー反応はんのうしょうじたときに自分じぶん治療ちりょうやく(アドレナリン)を注射ちゅうしゃすることのできるアドレナリン自己じこ注射ちゅうしゃやく(エピペン®)の処方しょほうけることができます。この場合ばあい使つかかたをしっかりと医師いし薬剤師やくざいしならい、注射ちゅうしゃ仕方しかた間違まちがえないようにしなければなりません(「アナフィラキシー」の項目こうもく参照さんしょうしてください)。

(3)食品しょくひん表示ひょうじについて

食品表示について

食品しょくひん表示ひょうじほうによりアレルギー表示ひょうじ義務ぎむづけられています(あらかじめはこふくろ包装ほうそうされた加工かこう食品しょくひん、カン・ビンめの加工かこう食品しょくひん)。

かなら表示ひょうじされる8品目ひんもく:えび、かに、くるみ、小麦こむぎ、そば、たまごちち落花生らっかせい(ピーナッツ)
表示ひょうじすすめられている20品目ひんもく:アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉ぎゅうにく、ごま、さけ、さば、大豆だいず鶏肉とりにく、バナナ、豚肉ぶたにく、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

ただし、店頭てんとうはかりされる食品しょくひんやその包装ほうそうされる食品しょくひん注文ちゅうもんしてつくられる弁当べんとうなどでは表示ひょうじされないので注意ちゅういする必要ひつようがあります。また、「たまご」と表示ひょうじされていてもさかなたまご爬虫類はちゅうるいたまご昆虫こんちゅうたまご対象たいしょうがいで、「小麦こむぎ」と表示ひょうじされていても大麦おおむぎライ麦らいむぎ、はとむぎなどは対象たいしょうがい、「ちち」と表示ひょうじされていても山羊やぎちちなどは対象たいしょうがい、「えび」と表示ひょうじされていてもしゃこるい、おきあみるいなどは対象たいしょうがいとなるなど、注意ちゅうい必要ひつようです。

消費しょうひしゃちょうHP「アレルギー表示ひょうじかんする情報じょうほう
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

(4)食物しょくもつアレルギーと乳児にゅうじのアトピーせい皮膚ひふえんについて
乳児にゅうじ食物しょくもつアレルギーはアトピーせい皮膚ひふえん合併がっぺいすることがおおく、アトピーせい皮膚ひふえん原因げんいん食物しょくもつであるとかんがえるひとがいますが、ふたつは別々べつべつ病気びょうきであり、食物しょくもつアレルギーをあかちゃんのおよそ4にんに1にんはアトピーせい皮膚ひふえんではありません。しかしながら、一部いちぶ乳児にゅうじで、アトピーせい皮膚ひふえん特定とくていもの悪化あっかすることがありますので、このような場合ばあい医師いしかなら相談そうだんしてください。

(5)食物しょくもつアレルギーの予防よぼう免疫めんえき治療ちりょう経口けいこう免疫めんえき療法りょうほう)について
食物しょくもつアレルギーを予防よぼうする研究けんきゅうべてすこしずつらしていく経口けいこう免疫めんえき療法りょうほう研究けんきゅうすすめられていますが、あくまでも研究けんきゅうレベルであり、まだ確立かくりつしてはいません。インターネットなどのあやまった情報じょうほうまわされないで、医師いし指導しどうまもってください。

食物しょくもつアレルギーについてくわしくはこちら

(日本にっぽんアレルギー学会がっかいWebサイトへ)
https://www.jsa-pr.jp/html/sickness.html#allergy-syokumotsu