これは満場一致まんじょういっちになると信しんじている。作品さくひんとしてのクオリティはもちろん、知名度ちめいど、評価ひょうかの高たかさ含ふくめて、総合そうごう的てきに日本にっぽん漫画まんが史上しじょうの傑作けっさくの一ひとつでしょう。『ヒストリエ』も入いれたいところだが。一人ひとり一いち作さくということで。

★無限むげんの住人じゅうにん（沙すな村むら広明こうめい）

オタクマーケットにおける、90年代ねんだい後半こうはんのアフタヌーンのイメージは『ああっ女神めがみさまっ』『無限むげんの住人じゅうにん』の2つが強つよかったという記憶きおくがある。次つぎ作さく、『波なみよ聞きいてくれ』もむろん快かい作さくで、個人こじん的てきには『波なみよ聞きいてくれ』のほうが好すきだがアフタヌーンという雑誌ざっしにとっての重要じゅうよう度どという話はなしだと、まあ、順当じゅんとうに『無限むげんの住人じゅうにん』かな、と。

★げんしけん（木尾きお士し目め）

『げんしけん』がベスト 10に入はいるかどうかは評価ひょうか基準きじゅん次第しだいというところがあると思おもう。ヒット作さく以外いがいのところで、「アフタヌーン」雑誌ざっしブランドのコアとは何なにかと考かんがえると、サブカル系けいのマンガ表現ひょうげんの開拓かいたく者しゃですよね、ということだと思おもう（四季しき賞しょう含ふくめて）。そのブランドが熱心ねっしんな雑誌ざっし購読こうどく者しゃを育はぐくんできた雑誌ざっしであることは明あきらかで、その基準きじゅんで考かんがえると、本ほん作さくは順当じゅんとうに重要じゅうような作品さくひんかと思おもっている。

★おおきく振ふりかぶって（ひぐちアサ）

ひぐちアサは、『おお振ぶり』の前まえはもっと人間にんげん関係かんけいがたいへんそうな話はなしを書かいていて、ある意味いみそのときのほうが「いかにもアフタヌーンらしいマンガ」だったが、路線ろせん転換てんかんをしたのかなと思おもわれた、本ほん作さくがその後ごここまで大おおきくヒットするのは連載れんさいがはじまったときはちょっと想像そうぞうしていなかった。

少年しょうねんマガジンで連載れんさいがはじまったが、ほとんどの連載れんさいはアフタヌーン。幸村ゆきむら先生せんせいは『プラネテス』（モーニング連載れんさい）も代表だいひょう作さくとする人ひともいるとは思おもうが、順当じゅんとうに考かんがえたら、もう20年とし近ちかく連載れんさいしている『ヴィンランド・サガ』だろうかと思おもう。まあ、この作品さくひんがベスト 10に入はいるも、まあ順当じゅんとうか。

★百舌もず谷だにさん逆上ぎゃくじょうする（篠しの房ぼう六ろく郎ろう）

この作品さくひんがベスト 10かというのも、やや判断はんだんが割われるとは思おもうが、基本きほん的てきには木尾きお士し目め『げんしけん』とほぼ同おなじ観点かんてんから。篠しの房ぼう六ろく郎ろう作品さくひんであれば、個人こじん的てきには他たの作品さくひんも全部ぜんぶ入はいって良よいと思おもっているが、一ひとつ選えらぶなら、ヒット作さくの『百舌もず谷たにさん』になるだろうという判断はんだん。

★茄子なすび（黒田くろだ硫黄いおう）

黒田くろだ硫黄いおうの存在そんざい自体じたいが、若わかい漫画まんが読よみから忘わすれられつつある印象いんしょうがあるが、2000年ねん前後ぜんごにアフタヌーンを毎月まいつき買かっていた人間にんげんにとって、黒田くろだ硫黄いおうの存在そんざい感かんが圧倒的あっとうてきだったのは確たしかなことだったと思おもう。捻ねじくれたサブカルだったら「黒田くろだ硫黄いおうが好すき」とか言いうのは、ぜんぜん捻ねじくれてないチョイス過すぎて、言いうと恥はずかしいぐらいの存在そんざい感かんだった。宮崎駿みやざきはやお御大おんたいまで「このおもしろさが判わかる奴やつは本物ほんものだ」とか、はずかしい推薦すいせんの言葉ことばを帯おびに捧ささげ、ジブリ系けいのアニメーターである高坂こうさか希のぞみ太郎たろう監督かんとくによって作品さくひんの一部いちぶがアニメ化かもされた（制作せいさくはマッドハウス）。『大だい日本にっぽん天狗てんぐ党とう絵詞えことば』も衝撃しょうげき的てきな作品さくひんだったが、黒田くろだ硫黄いおうの存在そんざい感かんがもっとも強つよかった時期じきの作品さくひんということで挙あげればこれかと、思おもう。

★宝石ほうせきの国くに（市川いちかわ春子はるこ）

個人こじん的てきに市川いちかわ春子はるこはそんなにハマっていないのだけれども、客観きゃっかん的てきに見みて、支持しじの厚あつさ、連載れんさい期間きかん、メディア化か、受賞状しょうじょう況きょうなどから鑑かんがみて、この作品さくひんを入いれないわけにはいかないだろうということで。

★ブルー ピリオド（山口やまぐち つばさ）

近年きんねんの作品さくひんから一ひとつ選えらぶなら、まずこれですかね、という感かんがある。作品さくひん自体じたいも登場とうじょう時じに衝撃しょうげきを受うけたが、その後ごのヒットまでうまく繋つながり、人気にんき作さくに育そだって本当ほんとうに良よかった。

＜次点じてん＞

・蟲むし師し（漆原うるしばら友紀ゆき）　人ひとによっては、こっちを10選せんにいれる人ひとはけっこういるとは思おもう。筆頭ひっとう候補こうほ。

・ラブやん（田丸たまる浩史こうじ）

・BLAME!（弐に瓶びん勉つとむ）弐に瓶びん作品さくひんは10本ほん縛しばりがなければ、どっちかを入いれたいところ。個人こじん的てきに『BLAME!』はアフタヌーンのイメージが強つよい。

・シドニアの騎士きし（弐に瓶びん勉つとむ）同上どうじょう

・ハックス!（今井いまい哲也てつや）　今井いまい作品さくひんも一ひとつは入いれたいところだが…。

・なるたる（鬼頭おにがしら莫宏）　鬼頭おにがしら作品さくひんなら『ぼくらの』(IKKI)の方ほうが一般いっぱんに重要じゅうよう作さっか、ということで除外じょがい

・メダリスト（つるまいかだ）　最近さいきんの作品さくひんでブルーピリオド以外いがいにいれるならこれが筆頭ひっとうか。

・スキップとローファー（高松たかまつ美咲みさき）　最近さいきんの作品さくひんでの上位じょうい候補こうほ。

・勇いさむ午うま（赤名あかな修おさむ/真ま刈かり信二しんじ）　個人こじん的てきには大好だいすき。塩漬しおづけなど、ミームになるパワーがある作品さくひんだと思おもう。

・Spirit of Wonder（鶴田つるた謙二けんじ）　重要じゅうよう作品さくひんだとの認識にんしきはある

・EDEN（遠藤えんどう浩ひろし輝てる）　EDEN入いれる人ひともいるとは思おもうが、だいぶ意見いけん分わかれるかな、という印象いんしょう。

・臨死りんし!!江古田えこだちゃん（瀧波たきなみユカリ）

・砲ほう神かみエグザクソン（園田そのだ健一けんいち）

・GUN SMITH CATS（園田そのだ健一けんいち）

・青野あおのくんに触さわりたいから死しにたい（椎名しいなうみ）　

・ヨコハマ買かい出だし紀行きこう（芦あし奈野ひとし）

・天国てんごく大だい魔境まきょう（石黒いしぐろ正数せいすう）　

・フラジャイル病理びょうり医い岸きし京一きょういち郎ろうの所見しょけん（恵三けいぞう朗ろう/草水くそうず敏さとし）

・あっかんべェ一休いっきゅう（坂口さかぐち尚しょう）

・越後えちご荒川あらかわ堂どう夜話やわ（石坂いしざか和道かずみち）

・黄色きいろい本ほん（高野たかの文子ふみこ）

・来世らいせは他人たにんがいい（小西こにし明あきら日び翔しょう）

・ハトのおよめさん（ハグキ）

同一どういつ作家さっかの別べつ作品さくひんを入いれたので除外じょがい

・ヒストリエ（岩いわ明あきら均ひとし）　ごく順当じゅんとうに重要じゅうよう作品さくひんだとは思おもう。

・波なみよ聞きいてくれ（沙すな村むら広明こうめい）　同上どうじょう。

・大だい日本にっぽん天狗てんぐ党とう絵詞えことば（黒田くろだ硫黄いおう）

・あたらしい朝あさ（黒田くろだ硫黄いおう）

・四よん年生ねんせい（木尾きお士し目め）

・五ご年生ねんせい（木尾きお士し目め）

・ぢごぷり（木尾きお士し目め）

・空談くうだん師し（篠しの房ぼう六ろく郎ろう）

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まとめる作業さぎょうしてて思おもったが、

「あれ、これアフタヌーンじゃなくて、IKKIなんだっけ？」っていう記憶きおくの間違まちがいがけっこうあった。

2024-10-18追記ついき（ブコメ 対応たいおう）：

・『アンダーカレント』ふつうに意識いしきの外そとだったけど、雑誌ざっし買かってなかった時期じきに、単行本たんこうぼんで読よんだので、アフタヌーンという認識にんしきぜんぜんなかった。大変たいへん失礼しつれいいたしました。位置いち付つけ的てきに確かくかに入はいっておかしくない作品さくひんだと思おもう。

「・「ガロ」から「アックス」の境目さかいめだったから、ああいうテイストの避難ひなん地ちになってた印象いんしょう。」とのコメントも、なるほどと思おもったので確認かくにんしたら、ガロがほぼ休刊きゅうかんになったのが、97年ねん7月がつで、アックスが98年ねんなので、97年ねん～98年ねんスタートの作品さくひんということかな？ちょっとよくわかってない。

・植芝うえしば理一りいち『ディスコミュニケーション』が魅力みりょくのある作品さくひんだとは個人こじん的てきにも思おもうが、周囲しゅういでこの作品さくひんの話はなしてた人ひとほぼいなかったんだよね。観測かんそく範囲はんいの問題もんだいかとは思おもう。

・『大だい合作がっさく』について複数ふくすうコメントあり、扱あつかいどうすればいいんですかね…

・『神戸こうべ在住ざいじゅう』もコメント多おおめで、ここらへんも確かくかに好すきな人ひと多おおいですよね。

・『地雷じらい震ふるえ』(髙橋ツトム)の適切てきせつな位置いち付つけはあまりよくわかってない。読よんではいた。

・『カラスヤサトシ』『ワッハマン』も同様どうよう。

・『菫すみれ画が報ほう』はふつうに好すきだけど、こういう選せんのなかに入はいるような層そうの厚あつい評価ひょうか文脈ぶんみゃくってあるの…？

・『ワンダンス』を次点じてんぐらいには入いれてほしいとのこと。ちなみに、個人こじん的てきに好すきというだけだけで言いうと、次点じてんにも入いれなかったけど、『リンガフランカ』（滝沢たきざわ麻耶まや）は好すき。個人こじん的てきな気持きもちとしては清家きよいえ雪子ゆきことかも、もっと売うれてほしいなと思おもっている。

・五十嵐いがらし大介だいすけは、代表だいひょう作さくは『リトル・フォレスト』より、『海獣かいじゅうの子供こども』（IKKI）のほうなのかな？とぼんやり認識にんしきなので、入いれなかったけど、認識にんしきぼんやりしてる

・とよ田たみのるは、『『これ描えがいて死しね』』（ゲッサン）のほうが代表だいひょう作さくになるかなと思おもって、いれてない。

・冬ふゆ目め景けいは四季しき賞しょうデビューでアフタヌーン作品さくひん複数ふくすうあるが、『羊ひつじのうた』（コミックバーガー、コミックバーズ）『『イエスタデイをうたって』』（ビジネスジャンプ、グランドジャンプ）いずれも他誌たし

・四季しき賞しょう受賞じゅしょうしたデビュー作さくの衝撃しょうげきがすごかったという人ひとが、けっこういるのは完全かんぜんに同意どうい。四季しき賞しょうは、他誌たしの新人しんじん作家さっか向むけの賞しょうとは明あかりらかに位置いち付づけけが異ことなる賞しょうだと思おもう。

・あらためて思おもったが、アフタヌーン作品さくひんの評価ひょうか文脈ぶんみゃくはいろいろあって複雑ふくざつだな、と感かんじる。ブコメでも書かいていただいたが、アフタヌーンは、他たの雑誌ざっしよりも１０選せんとかやったら、合意ごういとりづらいのはそうだと思おもう。「これがヒット作さくです」的てきな基準きじゅんの外側そとがわに「この文脈ぶんみゃくではすげー評価ひょうかされてるし…！」というような文脈ぶんみゃくが、いろんな形かたちで存在そんざいしているので、合意ごういとりづらいところが、アフタヌーンの良りょうさなんじゃないかとは思おもっている。