日本電産にほんでんさんショック…“鉄壁てっぺき”経営けいえいに変調へんちょう、中国ちゅうごく経済けいざい低迷ていめいだけじゃない世界せかい的てき構造こうぞう変化へんかの衝撃しょうげき

　現在げんざい、国内こくないモーター大手おおての日本電産にほんでんさんが不安定ふあんていな収益しゅうえき環境かんきょうに直面ちょくめんしている。その一方いっぽう、同社どうしゃは電気でんき自動車じどうしゃ（EV）向むけの駆動くどうモーターの需要じゅよう拡大かくだいを取とり込こむために、生産せいさん能力のうりょくの増強ぞうきょうを重視じゅうししている。世界せかい経済けいざいの先行さきゆき不透明ふとうめい感かんが高たかまるなかで、同社どうしゃのEV部門ぶもんへの積極せっきょく投資とうしが奏功そうこうするか否ひか今後こんごの展開てんかいが注目ちゅうもくされる。

　一般いっぱん的てきには、企業きぎょうを取とり囲かこむ経済けいざい環境かんきょうが良よくない場合ばあい、企業きぎょう経営けいえい者しゃが先行さきゆきのリスクを警戒けいかいし設備せつび投資とうしなどを手控てびかえることは当然とうぜんの経営けいえい判断はんだんといえる。現在げんざい、世界せかい的てきにそうした考かんがえを持もつ企業きぎょうは少すくなくない。米べい中ちゅう貿易ぼうえき摩擦まさつなどに影響えいきょうされ、自動車じどうしゃや半導体はんどうたいや工作こうさく機械きかいなどの分野ぶんやを中心ちゅうしんに設備せつび投資とうしは減少げんしょうしている。

　その一方いっぽう、市況しきょうが悪化あっかする状況じょうきょう下かで他社たしゃが設備せつび投資とうしに慎重しんちょうななか、リスクを管理かんりしつつ生産せいさん能力のうりょくを拡大かくだいさせることができれば、将来しょうらいの市況しきょう反転はんてんをとらえてライバルよりも有利ゆうりに受注じゅちゅうを獲得かくとくし業績ぎょうせきの拡大かくだいを実現じつげんできる。これまでも日本電産にほんでんさんは、変化へんかにあわせて買収ばいしゅうや設備せつび投資とうしを行おこない、自社じしゃの競争きょうそう力りょくを高たかめてきた。今後こんご、その経営けいえい姿勢しせいが同社どうしゃの持続じぞく的てきな事業じぎょう展開てんかいにどう影響えいきょうするか注目ちゅうもくしたい。

日本電産にほんでんさんが直面ちょくめんする中国ちゅうごく経済けいざいの減速げんそく

　昨年さくねん秋あき以降いこう、中国ちゅうごく経済けいざいの想定そうてい外がいの減速げんそくに直面ちょくめんした日本電産にほんでんさんは、2019年ねん3月がつ期きの業績ぎょうせき見通みとおしを下方かほう修正しゅうせいした。その影響えいきょう度合どあいは、日本電産にほんでんさんの永守ながもり重信しげのぶ会長かいちょうが「尋常じんじょうでない変化へんか」と評ひょうするほど大おおきかった。2020年ねん3月がつ期きの第だい1四半期しはんきの営業えいぎょう利益りえきは前年ぜんねんから約やく39％減少げんしょうした。第だい2四半期しはんきまでの累計るいけいでみると営業えいぎょう利益りえきは前年ぜんねんから35％減げんだ。

　中国ちゅうごく経済けいざいの減速げんそくは予想よそうを上回うわまわるほど大おおきい。その背景はいけいには、中国ちゅうごく経済けいざいが成長せいちょうの限界げんかいを迎むかえていることがある。中国ちゅうごく政府せいふによる景気けいき刺激しげき策さくにもかかわらず、経済けいざい成長せいちょう率りつが上向うわむく兆きざしは見みられない。本年ほんねん7～9月がつ期き、中国ちゅうごくの実質じっしつGDP成長せいちょう率りつは前年ぜんねん同期どうき比ひ6.0％にまで落おち込こんだ。他たの経済けいざい指標しひょうも同様どうようだ。日本電産にほんでんさんにとって、中国ちゅうごくは売上うりあげ高だかの20％以上いじょうを占しめる最大さいだいの市場いちばである。また、アジア地域ちいきでの売うり上あげは全体ぜんたいの50％程度ていどを占しめる。中国ちゅうごく経済けいざいの動向どうこうは、同社どうしゃの業績ぎょうせきに無視むしできない影響えいきょうを与あたえる。