三井物産みついぶっさんの凋落ちょうらく、巨額きょがく赤字あかじの元凶げんきょう・資源しげんに拘泥こうでい…伊藤いとう忠ただし、商社しょうしゃトップ奪取だっしゅで全ぜん社員しゃいんに特別とくべつ賞与しょうよ

三井物産みついぶっさん・安永やすなが竜夫たつお社長しゃちょう（ロイター/アフロ）

　総合そうごう商社しょうしゃ業界ぎょうかいは、ここ数すう年ねん大おおきく動うごいている。まず、各社かくしゃが公表こうひょうした2017年ねん3月がつ期きの最終さいしゅう利益りえきの見通みとおしを見みていただきたい。達成たっせいの確かく率りつは、過去かこの実績じっせきなどから独自どくじに予測よそくしたものだ。

※以下いか、順位じゅんい、企業きぎょう名めい、税引ぜいびき後ご利益りえき、達成たっせいの確かく率りつ（％）、（　）内ないの伸のび率りつは16年ねん3月がつ期きとの比較ひかく

（1）伊藤忠商事いとうちゅうしょうじ、3500億おく円えん（45.6％増ぞう）、90
（2）三菱商事みつびししょうじ、2500億おく円えん（黒字くろじ転換てんかん）、90
（3）三井物産みついぶっさん、2000億おく円えん（黒字くろじ転換てんかん）、50
（4）住友商事すみともしょうじ、1300億おく円えん（74.7％増ぞう）、30～40
（5）丸紅まるべに、1300億おく円えん（約やく2倍ばい）、50以下いか
（6）豊田通商とよたつうしょう、700（黒字くろじ転換てんかん）、85
（7）双そう日び、400（9.5％増ぞう）、70

　16年ねん3月がつ期き決算けっさんで発表はっぴょう記者きしゃ会見かいけんした伊藤忠商事いとうちゅうしょうじの岡おか藤ふじ正広まさひろ社長しゃちょうは、「勝負しょうぶは今期こんき（17年ねん3月がつ期き）」と語かたり、連覇れんぱに強つよい意欲いよくを示しめした。3月がつ下旬げじゅん、三菱商事みつびししょうじ、三井物産みついぶっさんが赤字あかじに転落てんらくすることが判明はんめいした時点じてんで、追加ついかの減損げんそん処理しょりを決きめたのも連覇れんぱの確かく率りつを上あげるためといっていい。

　岡おか藤ふじ氏しは「（会計かいけいの）ルールに従したがって損失そんしつを計上けいじょうしているが、まだ使つかえる家具かぐを処分しょぶんしたような感かんじだ」と述のべている。これは17年ねん3月がつ期きに最終さいしゅう利益りえきで首位しゅいを死守ししゅするための政治せいじ的てきな決断けつだんといえる。突発とっぱつ的てきな事件じけんが起おこらない限かぎり、3000億おく円えん台だいの利益りえきは確保かくほできそうだ。3000億おく円えんであれば、前期ぜんき比ひ25％増ぞうとなる。16年ねん3月がつ期きは、当初とうしょ見込みこみ3300億おく円えんから2403億おく円えんにまで最終さいしゅう利益りえきを落おとしているのだから、来期らいきは楽らくに3000億おく円えんを達成たっせいできるだろう。問題もんだいは3500億おく円えんをクリアできるかどうかにかかってくる。

　岡おか藤ふじ氏しは「初はじめて総合そうごう商社しょうしゃで首位しゅいになった場合ばあい、全ぜん社員しゃいんに臨時りんじの賞与しょうよを支給しきゅうする」と約束やくそくした。臨時りんじに賞与しょうよが出でるのは、12年ねん3月がつ期きに純じゅん利益りえきが3000億おく円えんの大台おおだいに乗のって以来いらいのことになる。利益りえき首位しゅいになるのは歴史れきし的てき快挙かいきょである。ただ、当初とうしょ考かんがえていた賞与しょうよ（額がく）の半分はんぶん程度ていどの金額きんがくに抑おさえるという。半額はんがくにするのは「他た商社しょうしゃが厳きびしい決算けっさんを強しいられている中なかで、伊藤忠いとうちゅうだけが浮うかれているような印象いんしょうを世間せけんに与あたえるのはよろしくない」と判断はんだんしたからだ。