不二家ふじや銀座ぎんざビル、「坪つぼ単価たんか2億おく円えん超ちょう」で売却ばいきゃくの真相しんそう…銀座ぎんざの不動産ふどうさんバブルが頂点ちょうてんへ

GINZA SIX（「Wikipedia」より／江戸えど村むらのとくぞう）

　不二家ふじやは「不二家ふじや銀座ぎんざビル」を11月末まつに売却ばいきゃくする。2017年ねん12月がつ期きに譲渡じょうと益えき190億おく円えんを特別とくべつ利益りえきとして計上けいじょうする。譲渡じょうと先さき、譲渡じょうと価格かかく及および帳簿ちょうぼ価格かかく（簿ぼ価か）については、譲渡じょうと先さきとの契約けいやくにより守秘しゅひ義務ぎむを負おっているとして公表こうひょうしていない。

　不二家ふじやのシンボルともいわれているビルは、中央ちゅうおう区く銀座ぎんざ6丁目ちょうめの一いち等地とうちにある。土地とち面積めんせきは297平方へいほうメートル。ビルは地上ちじょう8階かい、地下ちか2階かい。1～2階かいは洋菓子ようがし販売はんばい子会社こがいしゃ、ダロワイヨの本店ほんてん店舗てんぽ、3階かいに不二家ふじやの子会社こがいしゃが運営うんえいするレストランが入居にゅうきょしている。他たのフロアは空あき室しつだった。

　向むかいに複ふく合あい商業しょうぎょう施設しせつ「GINZA SIX（ギンザシックス）」が開業かいぎょうし、地価ちかが上あがり「売うりませんか」との打診だしんがあったという。

　国税庁こくぜいちょうがまとめた路線ろせん価か（2017年ねん1月がつ1日にち現在げんざい）によると、32年ねん連続れんぞくで日本一にっぽんいちとなった東京とうきょう都と中央ちゅうおう区く銀座ぎんざ5丁目ちょうめの鳩居堂きゅうきょどう前まえは、1平方へいほうメートル当あたりの価格かかくが4032万まん円えん。過去かこ最高さいこうだったバブル直後ちょくご（1992年ねん）の3650万まん円えんを上回うわまわった。銀座ぎんざ三越みつこし前まえや昨年さくねん9月がつに開業かいぎょうした「GINZA PLACE（銀座ぎんざプレイス）」前まえも鳩居堂きゅうきょどう前まえと同額どうがくだった。

　では不ふ二に家いえは不二家ふじや銀座ぎんざを1平方へいほうメートル当あたりいくらで売却ばいきゃくしたのか。譲渡じょうと価格かかくを公表こうひょうしていないため、譲渡じょうと益えき190億おく円えんで計算けいさんしてみよう。土地とち面積めんせきは297平方へいほうメートルなので、1平方へいほうメートル当あたり6397万まん円えんになる。鳩居堂きゅうきょどう前まえの路線ろせん価か4032万まん円えんを6割わり近ちかく上回うわまわる。譲渡じょうと価格かかくは坪つぼ単価たんかにして2億おく円えんをはるかに超こえる額がくと推定すいていできる。

「阪急電鉄はんきゅうでんてつは16年ねん8月がつにオンワードから銀座ぎんざ・並木なみき通どおりの一いち等地とうちを購入こうにゅうした。土地とち93坪つぼを135億おく円えんで取得しゅとくし、坪つぼ単価たんかは1.4億おく円えんとなり話題わだいになった。不二家ふじやの銀座ぎんざビルの坪つぼ単価たんかは、これをあっさり更新こうしんした。不二家ふじやは過去かこにも銀座ぎんざの土地とち・建物たてものを売却ばいきゃくしたことがある。不二家ふじやの埼玉さいたま工場こうじょうで消費しょうひ期限切きげんぎれ原料げんりょうの使用しようが発覚はっかくし、経営けいえいが悪化あっか。07年ねん3月がつ、東京とうきょう銀座ぎんざの本社ほんしゃビルの土地とち・建物たてものを米べいシティグループの関係かんけい会社かいしゃに135億おく円えんで売却ばいきゃくし、17年ねん3月がつ期き決算けっさんに125億おく円えんの特別とくべつ利益りえきを計上けいじょうした」（不動産ふどうさん業界ぎょうかい関係かんけい者しゃ）

　銀座ぎんざコリドー街がいに面めんした不二家ふじや本社ほんしゃの敷地しきち面積めんせきは267坪つぼ。1坪当つぼあたりの価格かかくは5000万まん円えん強きょう。この時ときも破格はかくの値段ねだんといわれた。今回こんかいの銀座ぎんざビルの譲渡じょうと価格かかくは、それの4倍ばい以上いじょうだ。

　銀座ぎんざの不動産ふどうさんバブルを象徴しょうちょうする出来事できごととして、長ながく記録きろくされることになろう。

山崎製やまさきせいパンの子会社こがいしゃとして再建さいけん

　07年ねん1月がつ、不二家ふじやは奈落ならくの底そこに突つき落おとされた。洋菓子ようがしに自社じしゃで定さだめる消費しょうひ期限切きげんぎれの原料げんりょうを使用しようしていたことが発覚はっかく。工場こうじょうの操業そうぎょう停止ていしや洋菓子ようがし店てんの休業きゅうぎょうに追おい込こまれ、07年ねん3月がつ期き、08年ねん3月がつ期きと連続れんぞくして巨額きょがくの営業えいぎょう赤字あかじに陥おちいった。「50年ねん以上いじょう愛あいされてきたペコちゃんを傷きずつけた」として創業そうぎょう家かの藤井ふじい林太郎りんたろう・6代目だいめ社長しゃちょうは引責いんせき辞任じにん。創業そうぎょう家か一族いちぞくは全員ぜんいん取締役とりしまりやくを退任たいにんし、同族どうぞく経営けいえいに終止符しゅうしふが打うたれた。

　この時とき、山崎製やまさきせいパンが不二家ふじやの救済きゅうさいに乗のり出だした。07年ねん、山崎製やまさきせいパンが第三者だいさんしゃ割当わりあて増資ぞうしを引ひき受うけ、持分もちぶん法ほう適用てきよう会社かいしゃに組くみ入いれた（当時とうじの出資しゅっし比率ひりつは35％）。08年ねんに不二家ふじやが実施じっしした第三者だいさんしゃ割当わりあて増資ぞうしも引ひき受うけ、山崎製やまさきせいパンの出資しゅっし比率ひりつは50％を超こえ、不二家ふじやは山崎製やまさきせいパンの連結れんけつ子会社こがいしゃとなった。現在げんざい、山崎製やまさきせいパンの出資しゅっし比率ひりつは53.93％（17年ねん6月がつ中間ちゅうかん決算けっさん時点じてん）。

　不二家ふじやは山崎製やまさきせいパンの傘下さんかで経営けいえい再建さいけんに取とり組くんでいる。16年ねん12月がつ期きは1円えんの配当はいとうを実施じっしし、3期きぶりに復配ふくはいした。17年ねん1～6月がつ期き中ちゅう間あいだ決算けっさんの売上うりあげ高だかは前年ぜんねん同期どうき比ひ2％増ぞうの515億おく円えん、営業えいぎょう利益りえきは69％減げんの2億おく円えん、純じゅん利益りえきは700万まん円えんの赤字あかじ（前年ぜんねん同期どうきは3100万まん円えんの黒字くろじ）だった。

　製菓せいか事業じぎょうが業績ぎょうせきを牽引けんいんしている。チョコチップクッキー「カントリーマアム」やチョコレート「ルック」など主力しゅりょくブランドがよく伸のび、同どう部門ぶもんの売うり上あげは331億おく円えん、セグメント営業えいぎょう利益りえき23億おく円えんをあげた。しかし、洋菓子ようがし事業じぎょうはいまだ水面すいめん下かに沈しずんだままだ。売上うりあげ高だかは174億おく円えんでセグメント営業えいぎょう利益りえきは7億おく円えんの赤字あかじだった。

　不ふ採算さいさんの洋菓子ようがし店舗てんぽの閉鎖へいさを進すすめ、17年ねん12月がつ期き（通期つうき）では黒字くろじを見込みこんでいる。同期どうきの全体ぜんたいの売上うりあげ高だかは前期ぜんき比ひ2％増ぞうの1060億おく円えん、営業えいぎょう利益りえきは7％増ぞうの27億おく円えん、当期とうき利益りえきは16％増ぞうの15億おく円えんを予想よそうしている。銀座ぎんざの土地とち・建物たてものの売却ばいきゃく益えき190億おく円えんは織おり込こまれていないため、今後こんご純じゅん利益りえきを大幅おおはばに上方かみがた修正しゅうせいすることになる。

　親会社おやがいしゃの山崎製やまさきせいパンは17年ねん12月がつ期きの連結れんけつ純じゅん利益りえきは前期ぜんき比ひ8％増ぞうの197億おく円えんを見込みこんでいたが、“不二家ふじや効果こうか”で、こちらも47億おく円えん増ぞうの244億おく円えん（前期ぜんき比ひ34％増ぞう）に上方かみがた修正しゅうせいした。普通ふつう配当はいとうを年とし20円えん（前期ぜんきは18円えん）と従来じゅうらい予想よそうから2円えん積づみ増ますほか、創業そうぎょう70周年しゅうねんの記念きねん配はい3円えんを含ふくめて年とし23円えん配当はいとうを予定よていしている。ペコちゃんが身みを切きって（＝不動産ふどうさんの売却ばいきゃく）親孝行おやこうこうをしたかいがあった。
（文ぶん＝編集へんしゅう部ぶ）