電力でんりょく“余剰よじょう”問題もんだいが深刻しんこく化か…国くに、原発げんぱつ再さい稼動かどうで太陽光たいようこう発電はつでん事業じぎょう者しゃの退場たいじょうを推進すいしん

原子力げんしりょく発電はつでん所しょ（「Getty Images」より）

　九州きゅうしゅう一いち円えんが好天こうてんに恵めぐまれた1月がつ3日にち。九州電力きゅうしゅうでんりょくは午前ごぜん9時じから午後ごご4時じにかけて、太陽光たいようこう発電はつでんの再生さいせい可能かのうエネルギー事業じぎょう者しゃに一時いちじ的てきな発電はつでん停止ていしを指示しじする出力しゅつりょく制限せいげんを実施じっしした。地元じもとの西日本にしにほん新聞しんぶんは、1月がつ3日にち付づけ記事きじでこう報ほうじた。

「最大さいだい制限せいげん量りょうは35万まんキロワットだった。同日どうじつ朝あさ時点じてんに想定そうていしていた最大さいだい制限せいげん量りょう63万まんキロワットを大おおきく下回したまわった。出力しゅつりょく10万まんキロワット以上いじょうの太陽光たいようこう発電はつでん事業じぎょう者しゃが対象たいしょうとなった。

　正月しょうがつ三さんが日にちの再さいエネの本格ほんかく的てきな出力しゅつりょく制御せいぎょは初はじめて。昨年さくねん11月がつ11日にち以来いらい約やく2カ月かげつぶり、9回かい目め。風力ふうりょく発電はつでんでの実施じっしは見送みおくった。3日にち朝あさ時点じてんの想定そうていより最大さいだい制限せいげん量りょうが少すくなかったのは、需要じゅようが増加ぞうかしたことなどが理由りゆう。

　九きゅう電でんで出力しゅつりょく制限せいげんが相次あいついでいる背景はいけいには、九きゅう電でんが原発げんぱつ4基きを再さい稼働かどうしている事情じじょうもある」

原発げんぱつ4基きの再さい稼働かどうで出力しゅつりょくは414万まんキロワット増ふえた

　なぜ、全国ぜんこくに先駆さきがけ、九州きゅうしゅうで出力しゅつりょく制限せいげんが起おきたのか。ありていにいえば、「原発げんぱつが再さい稼働かどうしたから、太陽光たいようこう発電はつでんは要いらない」ということだ。

　九州きゅうしゅうは日照ひでりに恵めぐまれている。東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ事故じこ後ごの2012年ねんに再生さいせいエネの固定こてい価格かかく買かい取とり制度せいど（FIT）が始はじまると、太陽光たいようこう発電はつでんの規模きぼがそれまでの7倍ばい超ちょうになった。九きゅう電でんの送電そうでん網もうにつながる太陽光たいようこう発電はつでん所しょの設備せつび容量ようりょうは826万まんキロワット（18年ねん11月時点じてん）。夏なつの需要じゅようのピーク（約やく1600万まんキロワット）の半分はんぶんに当あたる。

　再さいエネがこれほどまで普及ふきゅうしたのか、と手放てばなしで喜よろこべる状況じょうきょうではない。電力でんりょくの供給きょうきゅうは常つねに需要じゅようと一致いっちさせる必要ひつようがあるからだ。太陽光たいようこうはあらかじめ定さだめた量りょうの供給きょうきゅうが難むずかしく、好天こうてんで発電はつでん量りょうが急増きゅうぞうすれば需給じゅきゅうバランスが崩くずれ、昨年さくねん9月がつに北海道ほっかいどうで起おきたような広域こういきでの停電ていでんにつながる可能かのう性せいがある。

　九きゅう電でんは昨夏さくなつまでに川内かわうち原発げんぱつ（鹿児島かごしま県けん薩摩さつま川内せんだい市し）と玄海げんかい原発げんぱつ（佐賀さが県けん玄海げんかい町まち）の計けい4基き（414万まんキロワット）を再さい稼働かどうさせた。原発げんぱつは小刻こきざみな出力しゅつりょく調整ちょうせいが技術ぎじゅつ的てきに難むずかしいため、国くにのルールで発電はつでんがもっとも優先ゆうせんされる。

　原発げんぱつが再さい稼働かどうした分ぶん、供給きょうきゅうを抑おさえなければ需給じゅきゅうバランスが崩くずれ、大だい規模きぼ停電ていでんに陥おちいる懸念けねんが強つよまる。それを避さけるには、供給きょうきゅうを削けずらなければならない。九きゅう電でんは火力かりょく発電はつでん所しょの出力しゅつりょくを落おとしたほか、管内かんないで消費しょうひできない電力でんりょくを関西電力かんさいでんりょくなどに融通ゆうずうしてきたが、それも限界げんかいに達たっした。