最近は少し暖かくなってきたとはいえ、まだまだ朝は寒く寝起きはつらいですよね。そんな時、「朝に温かい1杯のコーヒーがあれば、なんとか起きられる」という方も多いのではないでしょうか。
確かに、コーヒーには朝の目覚めを促進させるカフェインが多く入っているので、目覚めには有効です。ただし、少しだけ飲む時間に注意しなければ、知らない間にあなたの目覚めが悪くなっている可能性があります。
まず、人は目覚めると体温が上昇し、覚醒ホルモンである「コルチゾール」が分泌されて体が自然に覚醒状態に入っていきます。
もう少し正確にいうと、実は目覚める前から睡眠ホルモン(メラトニン)が減少し、コルチゾールが増えて起きる準備が始まっています。そして、今回のテーマであるコーヒーを飲むとコルチゾールの分泌を促進してくれるので、目覚めがさらに良くなるのです。
これだけを聞くと「やっぱりコーヒーは目覚めに良い」ということになります。ところが、起きて1時間以内にコーヒーを飲むと、自然にコルチゾールを分泌する能力が低下して、コーヒーを飲まないと目覚めにくくなってしまいます。したがって、朝目覚めてから1時間以内はコーヒーに頼らないのが賢明のようです。
反対に1時間を超えると「コーヒーを飲むゴールデンタイム」になり、朝の覚醒が長く続くので、おすすめの時間帯になります。
ちなみに、「コーヒーを飲むゴールデンタイム」は午後にももう1回あります。それは、“午後の眠気”から覚める14時から16時の間です。この時間にコーヒーを飲むと夕方と夜の前半までは覚醒状態が持続します。
ぜひコーヒーをうまく活用して、午前も午後もスッキリした状態で仕事ができることを願っております。
コーヒーは体に悪い?1日4杯までは死亡リスクを低減させる効果
ところで、よく「コーヒーは目覚めには良いが、体に悪いのではないか」という質問を頂きます。
これはおそらく以前、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機構(IARC)が、コーヒーを「ヒトに対する発がん性が疑われる」というカテゴリーに分類していたことが原因だと思われます。
しかし、今ではIARCは「発がん性を示す証拠はない」と、先の見解を否定しているだけでなく、さまざまな信用できる研究機関が「コーヒーは健康に良い」とのデータを公表しています。
わかりやすい事例として、日本の国立がん研究センターがホームページで出しているデータでは、コーヒーは1日4杯までなら「飲めば飲むほど良い」ことがわかってきています。
がんに関してはさほど効果はないものの、4大死因である「心疾患」については、コーヒーを1日3~4杯飲むことで死亡リスクが0.64まで低下します。同じく4大死因である「脳血管疾患」「呼吸器系疾患(肺炎など)」も、1日3~4杯飲むことで、同様に4割くらい死亡リスクを低減させるという、驚くべきデータが出ています。
ですから、コーヒーは1日4杯までで、時間帯に気をつければ健康にも良く、最強の覚醒ツールとして活用できるというわけなのです。
(文=角谷リョウ/パフォーマンスコーチ)