田崎たさき史郎しろう、安倍あべ首相しゅしょうの“マスク2枚まい配布はいふ”を擁護ようごし批判ひはん続出ぞくしゅつ…「4枚まい6枚まいと増ふやしていける」

　新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいによるマスクの品薄しなうす状態じょうたいが続つづくなか、安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうは1日にち、政府せいふの対策たいさく本部ほんぶで全ぜん世帯せたい（約やく5000世帯せたい）に2枚まいずつ布ぬのマスクを配布はいふする方針ほうしんを表明ひょうめいした。

　安倍あべ首相しゅしょうは「布ぬのマスクは洗剤せんざいで洗あらうことで、再さい利用りようが可能かのうなことから、急激きゅうげきに拡大かくだいしているマスク需要じゅように対応たいおうするうえで、極きわめて有効ゆうこうだ」と説明せつめいしたが、費用ひようが「1枚まい200円えん程度ていど」（菅かん義よし偉えら官房かんぼう長官ちょうかん）、全ぜん世帯せたいに配布はいふすると単純たんじゅん計算けいさんで200億おく円えん以上いじょうかかることから、疑問ぎもんの声こえもあがっている。

　そんななか、安倍あべ首相しゅしょうと太ふといパイプを持もつ政治せいじジャーナリストの田崎たさき史郎しろう氏しが3日にち放送ほうそうのテレビ番組ばんぐみ『とくダネ！』（フジテレビ系けい）に出演しゅつえんし、今回こんかいの政策せいさくについて説明せつめいした。

　まず田崎たさき氏しは、「安倍あべ総理そうりの周辺しゅうへんで考かんがえて、政府せいふにマスク班はんってありましてね。40人にんぐらいの官僚かんりょうの方々かたがたが集あつまっているチームがあるんです。経済けいざい産業さんぎょう省しょうとか厚労省こうろうしょうとか総務そうむ省しょうで。そこで考かんがえ出だしたアイデアなんです」と背景はいけいを説明せつめい。さらに以下いかのように政策せいさくの意義いぎを強調きょうちょうした。

「1、2カ月かげつすれば4枚まい、6枚まいと増ふやしていけるんです。だから1、2カ月かげつ先さきの4枚まいか、今いまの2枚まいかという判断はんだんがひとつある。そもそも布製ぬのせいマスクは介護かいご施設しせつや障害しょうがい者しゃ施設しせつに配布はいふしまして、来週らいしゅうは小中学校しょうちゅうがっこうに配くばるんです。そこから一般いっぱんの方ほうに配くばっていくってことなんです」

「布製ぬのせいマスク、嫌いやだっていう方ほう、いらっしゃるかもしれないのですけど、サージカルマスクはまず医療いりょう機関きかんに渡わたさないといけない。医療いりょう機関きかんで足たりない状況じょうきょうを解消かいしょうしないといけない。今こんマスク需要じゅようが非常ひじょうに多おおくて、1人ひとり1カ月かげつに30枚まい使つかうとすると1億おく2000万まん人にんいますから36億おく枚まい必要ひつようなんですね。そういう需要じゅようが生しょうじているんです。需要じゅようを減へらす効果こうかを狙ねらっているんです」

　田崎たさき氏しの説明せつめいを受うけ、全国ぜんこく紙し記者きしゃは語かたる。

「確たしかに政府せいふは医療いりょう機関きかんに加くわえて、全国ぜんこくの小中学校しょうちゅうがっこう、高齢こうれい者しゃ施設しせつ、障害しょうがい者しゃ施設しせつなどにマスクを配布はいふする方向ほうこうで動うごいていますが、それは政府せいふの感染かんせん症しょう対策たいさくとしては“初歩しょほの初歩しょほ”であり、あまりにも動うごきが遅おそすぎます。医療いりょう機関きかんへの支援しえんについても、欧米おうべいでは大胆だいたんな人員じんいん投入とうにゅう策さくや多額たがくの資金しきん投入とうにゅうを打うっていますが、日本にっぽんでは目立めだった支援しえん策さくが聞きこえてきません。しびれを切きらした日本にっぽん医師いし会かいから、勝手かってに『医療いりょう危機きき的てき状況じょうきょう宣言せんげん』を発表はっぴょうされてプレッシャーを受うけるという始末しまつです。

　そもそも医療いりょう機関きかんなどへのマスク配布はいふと全ぜん世帯せたいへの配布はいふは、まったく別べつの話はなしで、たった2枚まいだけを200億おく円えん以上いじょうの税金ぜいきんを投入とうにゅうして配布はいふすることに意味いみがあるのかということで、世論せろんから批判ひはんを浴あびているわけです。感染かんせん症しょう対策たいさくの第一人者だいいちにんしゃである（神戸大学こうべだいがく病院びょういん感染かんせん症しょう内科ないか教授きょうじゅの）岩田いわた健太郎けんたろう医師いしをはじめ、多おおくの専門せんもん家かが今回こんかいの政策せいさくに疑問ぎもんを投なげかけているとおり、場当ばあたり的てきな印象いんしょうが否いなめません」

　また、厚労省こうろうしょう関係かんけい者しゃも「今回こんかいの首相しゅしょうの措置そちはどちらかというと、感染かんせん症しょう拡大かくだいに不安ふあんを抱だいている国民こくみんの皆みなさんに安心あんしんしてもらいたいとの考かんがえだったのではないかと思おもいます。マスクをすることで感染かんせん拡大かくだいを防ふせぐ意識いしきをもってもらいたいという意味いみもあると思おもいます」（2日にち付づけ当とうサイト記事きじより）と、国民こくみんの精神せいしん面めんを意識いしきした施策しさくとの認識にんしきを示しめしている。

「政府せいふ広報こうほう官かんじゃないよね」

　田崎たさき氏しといえば、安倍あべ首相しゅしょうとは頻繁ひんぱんに会食かいしょくなどを共ともにする関係かんけいで、メディアでも安倍あべ政権せいけんを擁護ようごする場面ばめんが多おおい論客ろんかくとしも知しられているが、『とくダネ！』の発言はつげんに対たいして、インターネット上じょうでは次つぎのような声こえが上あがっている。

「政府せいふ広報こうほう官かんじゃないよね」

「出演しゅつえんを見みた時ときから、きっと、アベノマスク支援しえんするのだろうと思おもったら、案あんの定じょう、この200億おく円えんも掛かかる、自己じこ満足まんぞくの政策せいさくを擁護ようご」

「スシロー、政権せいけん擁護ようごもいい加減かげんにせい」

「もう、この人ひと痛々いたいたしいよ…」

「この人ひともどうなのかな？　1～2ヶ月かげつでまた2枚まい配布はいふ？　マスクより先さきにしなくてはいけないこと　たくさんあるし、そんな悠長ゆうちょうなこと言いっている問題もんだいなのか？」

「さすがに庇かばいきれんだろうが……コメントに無理むりがあるぞ」

　田崎たさき氏しについては、3月26日にち付づけ当とうサイト記事きじで、同氏どうしが勤務きんむしていた時事通信社じじつうしんしゃ社員しゃいんの証言しょうげんとして、以下いか内容ないようを紹介しょうかいしていた。

「田崎たさきさんがかつて名乗なのられていた『時事通信社じじつうしんしゃ特別とくべつ解説かいせつ委員いいん』という役職やくしょくは、氏しが安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうと特別とくべつなパイプを持もっていることから、新設しんせつされた役職やくしょくといわれています。なにしろ現役げんえき記者きしゃ時代じだいから暇ひまがあれば首相しゅしょうと会食かいしょくしているくらい、良よい意味いみでも悪わるい意味いみでも『政権せいけんに食くい込こんでいる』人にんでした。

　特別とくべつ解説かいせつ委員いいんは社長しゃちょうと同おなじ68歳さい定年ていねんで、年齢ねんれいも他たの役員やくいんより上うえです。この役職やくしょくに田崎たさき氏しを就つけるにあたって会社かいしゃは給与きゅうよや報酬ほうしゅうを支給しきゅうしないものの、国会こっかい記者きしゃ会館かいかんのスペース使用しようや記者きしゃ証しょうなどの便宜べんぎ供与きょうよを行おこなってきました。この役職やくしょくをめぐっては社内しゃないでも賛否さんぴをめぐり激はげしい議論ぎろんになりましたが、2018年ねんに定年ていねん退職たいしょくされてからはその議論ぎろんも下火したびになりました。しかし、今いまもなお田崎たさき氏しは社内しゃないに相当そうとうな影響えいきょう力りょくを持もっています。基本きほん的てきに政治せいじ部ぶは花形はながたの部署ぶしょであり、田崎たさきさんに気きに入いられるか否ひかで、将来しょうらいのポストも変かわってきます。

　少すくなくとも、社内しゃないには明確めいかくに田崎たさきさんを支持しじするグループがあります。今いまでも政治せいじ部ぶには田崎たさきさんにメモを送おく稿こうしている記者きしゃもいます。田崎たさき氏しは今いまもハイヤーで国会こっかい記者きしゃ会館かいかんや政治せいじ家かの私邸していに乗のり付つけている姿すがたを見みかけます。『社長しゃちょうより偉えらい』と思おもっている若手わかても多おおいくらいですよ」

　いずれにしても、政府せいふが実効じっこう性せいのある対策たいさくを打うつことを願ねがいたい。

（文ぶん＝編集へんしゅう部ぶ）