希望きぼうの党とうに政権せいけん交代こうたいした際さいの想定そうていシナリオ…安倍あべ政権せいけんとの違ちがいは生うまれない可能かのう性せい

写真しゃしん：日刊現代にっかんげんだい/アフロ

　小池こいけ百合子ゆりこ東京とうきょう都知事とちじの希望きぼうの党とうの立たち上あげと代表だいひょう就任しゅうにんによる衆議院しゅうぎいん選挙せんきょへの殴なぐり込こみ、民進党みんしんとうの事実じじつ上じょうの解体かいたい、日本にっぽん維新いしんの会かいとの手打てうちなど、その素早すばやい動うごきは、イベントとしての選挙せんきょにおける「勢いきおい（風向かざむき）」の重要じゅうよう性せいを理解りかいしている“勝負しょうぶ師し・小池こいけ”の面目めんぼく躍如やくじょであろう。「しがらみ政治せいじからの脱却だっきゃく」という主張しゅちょうは、自民党じみんとうと地方ちほうが絡からむ利権りけんとの癒着ゆちゃく（原発げんぱつはその典型てんけい）を念頭ねんとうにおいており、都市とし部ぶでの圧勝あっしょうを狙ねらっている。日本にっぽん維新いしんの会かいとの大阪おおさかでの手打てうちも、都市とし圏けんでの早急そうきゅうな地固じがためであろう。戦たたかい方かたを知しっているといえる。まさに小泉こいずみ劇場げきじょう以来いらいの政治せいじ劇場げきじょうであり、菅かん（義ぎ偉えら官房かんぼう長官ちょうかん）校長こうちょうの“安倍あべ学芸がくげい会かい”よりおもしろい。

　東京とうきょう都議会とぎかい選挙せんきょが示しめしたように、今いまの自民党じみんとう一いち人にん勝がちの体制たいせいは有権者ゆうけんしゃの望のぞむところではなく、自民党じみんとうに代かわる選択肢せんたくしがあれば、票ひょうは流ながれると読よんでいる。国政こくせいはもともと小池こいけ氏しの視野しやに入はいっており、今年ことし2月がつの時点じてんで「希望きぼうの党とう」の名称めいしょうを特許庁とっきょちょうに商標しょうひょう出願しゅつがんしている。安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうの衆議院しゅうぎいん前倒まえだおし解散かいさんで、その動うごきが早はやまったわけである。
　
　来年らいねん12月がつの衆議院しゅうぎいん任期にんき満了まんりょうを待まてば、自民党じみんとうの議席ぎせきがかなり減へるのは目めに見みえており、安倍あべ内閣ないかくとしては都議とぎ選せんで示しめしたように、不人気ふにんきを極きわめる民進党みんしんとうが態勢たいせいを整ととのえる前まえに解散かいさん総そう選挙せんきょを行おこなうのは、議席ぎせき数すうは減へるかもしれないが任期にんき満了まんりょうでの選挙せんきょよりも傷きずは小ちいさいであろうと踏ふんで、解散かいさんに踏ふみきったわけである。

　これは、選挙せんきょ戦略せんりゃくとしては正ただしいといえる。これを大義たいぎのない解散かいさん総そう選挙せんきょというが、選挙せんきょは勝かってなんぼ、議員ぎいんは当選とうせんしてなんぼである。そもそも昨今さっこんの日本にっぽんの政治せいじに大義たいぎなどあるのであろうか。

　安倍あべ首相しゅしょうにとって誤算ごさんであったのは、小池こいけ氏しの果断かだんな動うごきであろう。ここまでの速はやい動うごきを自民党じみんとう幹部かんぶは想定そうていしていなかったのではないか。それは、小池こいけ氏し主導しゅどうの民進党みんしんとうの事実じじつ上じょうの解体かいたいである。これを前原まえはら誠司せいじ党首とうしゅの英断えいだんとするかどうかは置おいておくとして、民進党みんしんとうを党とうとして吸収きゅうしゅうするのではなく、議員ぎいん個人こじんとして希望きぼうの党とうに参加さんかさせる、つまり希望きぼうの党とう側がわが公認こうにんするかどうかを判断はんだんするというのは、踏ふみ絵えのごときと批判ひはんする向むきもある。

　しかし、現在げんざいの民進党みんしんとうの信頼しんらいのなさを考かんがえるに、党とうとして吸収きゅうしゅうしたのでは、負まけのイメージで希望きぼうの党とうの勢いきおい（目新めあたらしさ）が削そがれるので、正ただしい方法ほうほうであろう。この意味いみで、民進党みんしんとうの首相しゅしょう経験けいけん者しゃを受うけ入いれないというのも当然とうぜんであろう。

　加くわえて、「寛容かんような改革かいかく保守ほしゅ政党せいとうを目指めざす」と意味いみのわからないところもあるが、政党せいとうとして主義しゅぎ主張しゅちょうは重要じゅうようである。希望きぼうの党とうの基本きほんは保守ほしゅ政党せいとうなので、民進党みんしんとうのリベラル議員ぎいんを受うけ入いれないのは当然とうぜんであろう。現状げんじょうでも“ごった煮に感かん”は否いなめないが、もし民進党みんしんとうのリベラル派はまで受うけ入いれると、本当ほんとうに選挙せんきょに勝かつための烏合うごうの衆しゅう政党せいとうという印象いんしょうを持もたれてしまう。