渡邉わたなべ元もとワタミ会長かいちょう、参院さんいん選せん公示こうじ前まえに会社かいしゃ経費けいひで選挙せんきょ活動かつどうまがいの疑うたがい

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　7月がつ21日にちの投開票とうかいひょうに向むけ、参議院さんぎいん選挙せんきょの戦たたかいの火蓋ひぶたが切きって落おとされた。日本にっぽん維新いしんの会かいから出馬しゅつばしたアントニオ猪木いのき氏しなど、今回こんかいも異色いしょくの立候補りっこうほは数多かずおおいが、中なかでも自民党じみんとうの全国ぜんこく比例ひれい代表だいひょう候補こうほとなったワタミの創業そうぎょう者しゃで元もと会長かいちょうの渡辺わたなべ美樹みき氏しほど話題わだい性せいの高たかい候補者こうほしゃはいないだろう。

「ブラック企業きぎょう大賞たいしょう2012」で市民しみん賞しょうに輝かがやいたワタミは、渡辺わたなべ氏しの経営けいえい手法しゅほう、経営けいえい姿勢しせいなどからブラック性せい豊富ほうふな関連かんれん企業きぎょうの実態じったいまで、さまざまな話題わだいを振ふり撒まいている。その渡辺わたなべ氏しが、参院さんいん選せんにあたって早はやくもブラック性せいを発揮はっきしている。

　渡辺わたなべ氏しは6月がつ13日にちにワタミの取締役とりしまりやく会長かいちょうを辞任じにんし、参議院さんぎいん選せんに立候補りっこうほしたのだが、ワタミ会長かいちょうの在任ざいにん中ちゅうの5月がつにワタミの株主かぶぬしに対たいして、選挙せんきょ運動うんどうまがいの私信ししんを送付そうふしていた。それもワタミの便箋びんせんとワタミの封筒ふうとうを使つかって。

「ワタミ株式会社かぶしきがいしゃ株主かぶぬしの皆様みなさまへ」と題だいされたこの私信ししんでは、渡辺わたなべ氏しは冒頭ぼうとうで、「既すでにマスコミ報道ほうどう等とうでご存ぞんじかも知しれませんが、私わたし、渡辺わたなべ美樹みきはこの度たび、自民党じみんとうの全国ぜんこく比例ひれい代表だいひょう候補こうほとして公認こうにんされました。ここでその経緯けいいについて、ご説明せつめい申もうし上あげたいと思おもいます」としている。

　都知事とちじ選せんに挑戦ちょうせんした際さいの心境しんきょう、その後ごの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう支援しえんへの関かかわり、都知事とちじ選せんと東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう支援しえんを通つうじて得えた経験けいけん、そして新あらたな思おもいについて切々せつせつと述のべている。そして、その結果けっかとしての参議院さんぎいん選せんへの挑戦ちょうせんについて、「安倍あべ総理そうりからのお誘さそい、そして私わたしの決意けつい……」として書かき連つらねている。

　その内容ないようは、「第だい二に次じ安倍あべ内閣ないかくが発足ほっそくし、安倍あべ総理そうりより声こえをかけていただきました。（中略ちゅうりゃく）実体じったい経済けいざいを成長せいちょうさせること、そして被災ひさい地ちや都知事とちじ選せんで聞きいた悲痛ひつうな声こえへ応こたえることが私わたしの使命しめいと思おもい、新あらたな挑戦ちょうせんを決断けつだんしました」とし、「今回こんかいの挑戦ちょうせんにあたり、私わたしの29年間ねんかんのすべてをこの日本にっぽん国こくの経営けいえいにぶつけることを約束やくそくします。そして、政治せいじの目的もくてきである“国民こくみんの幸しあわせ”を必かならずや実現じつげんすることを約束やくそくします」と述のべている。

　最後さいごに、「今回こんかいの突然とつぜんの表明ひょうめいにより、皆様みなさまに於おかれましてはご不安ふあん・ご心配しんぱいをお掛かけしましたことを心しんよりお詫わび申もうし上あげますと共ともに、今後こんごともワタミグループに対たいし、倍旧ばいきゅうのご理解りかいとご支援しえんを心しんよりお願ねがい申もうし上あげ、取とり急いそぎ書中しょちゅうにてご挨拶あいさつとさせていただきます」と結むすんだ。

　この渡辺わたなべ氏しのあいさつ文ぶんは、確たしかに同氏どうしの参院さんいん選せんへの立候補りっこうほに対たいする思おもいを熱あつく、感動かんどう的てきに描えがいたものではある。しかし、そこに描えがかれた思おもいは、ブラック企業きぎょう2012で市民しみん賞しょうという不名誉ふめいよな称号しょうごうを得えた企業きぎょうの経営けいえい者しゃ、さらには、その後ごに明あきらかになった数々かずかずの関連かんれん企業きぎょうにおけるブラック性せいとは、余あまりにも相容あいいれないものだ（詳くわしくは記事きじ末まつの画像がぞう参照さんしょう）。これだけ、国くにを思おもい、国民こくみんを思おもい、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい者しゃを思おもう気持きもちのある経営けいえい者しゃの企業きぎょうが、何故なぜ、ブラック企業きぎょうの代表だいひょうとなるのか、渡辺わたなべ氏しの言葉ことばに偽善ぎぜん的てきな臭においを感かんじてしまう所以ゆえんでもあろう。

　その上うえ、いくら参議院さんぎいん選挙せんきょの立候補りっこうほ届とどけ出で前まえとはいえ、ワタミ会長かいちょうという立場たちばを利用りようし、ワタミという私企業しきぎょうの株主かぶぬしに対たいして、ワタミの便箋びんせん・封筒ふうとうを使つかい、ワタミの経費けいひで郵便ゆうびん代だいを支払しはらい、選挙せんきょ運動うんどうまがいの“私信ししん”を送おくりつける行動こうどうは、いかがなものなのだろうか。

　確たしかに選挙せんきょ違反いはんには該当がいとうしないのだろうが、そこには渡辺わたなべ氏し個人こじんとして「政治せいじの目的もくてきである“国民こくみんの幸しあわせ”を必かならずや実現じつげんすることを約束やくそくします」という政治せいじ理念りねんとはあまりにも異質いしつなブラック性せいを感かんじてしまう。

　サイト上じょうでは、渡辺わたなべ氏しを当選とうせんさせない呼よびかけを行おこなっているものが数々かずかず出でている。
（文ぶん＝鷲尾わしお香こう一いち／ジャーナリスト）

※渡辺わたなべ氏しが株主かぶぬし宛あてに送付そうふした手紙てがみ全文ぜんぶん。※クリックすると拡大かくだいします※クリックすると拡大かくだいします