羽田空港はねだくうこう、関空かんくうのように冠水かんすいで機能きのう停止ていしに陥おちいる可能かのう性せいは？

羽田空港はねだくうこう（「Wikipedia」より／ZS-ZWE）

　台風たいふう第だい21号ごうの襲来しゅうらいにより9月がつ4日にち、関西国際空港かんさいこくさいくうこうは高潮こうちょうによって冠水かんすいし、機能きのう停止ていしに陥おちいった。海うみに面めんしている羽田空港はねだくうこうは、大型おおがた台風たいふうによって同おなじような事態じたいになることはないのだろうか。航空こうくう経営けいえい研究所けんきゅうじょの稲垣いながき秀夫ひでお主席しゅせき研究けんきゅう員いんに聞きいた。

「関西国際空港かんさいこくさいくうこうは何なにもない海うみを埋うめ立たてた人工じんこう島とうです。用地ようち確保かくほと航空こうくう路ろの設定せっていのため選定せんていの過程かていで泉州せんしゅう沖おきが選えらばれたわけですけれど、海底かいていが軟弱なんじゃくな地盤じばんで土木どぼく技術ぎじゅつ上じょうかなり難むずかしい埋うめ立たてとなり、関係かんけい者しゃは建設けんせつ工事こうじの段階だんかいから地盤じばん沈下ちんかに悩なやまされました。開港かいこう後ごも地盤じばん沈下ちんかが進すすみましたが、これまで沈下ちんかが落おち着ついたという報告ほうこくは聞きかれません。

　国土こくど交通省こうつうしょうは、運航うんこうの安全あんぜんのために各かく空港くうこうへの飛行ひこうに必要ひつような諸しょ情報じょうほうを発信はっしんし、タイムリーに更新こうしんしています。空港くうこうの標高ひょうこう情報じょうほうもその一ひとつです。先日せんじつの台風たいふうで冠水かんすいした関西国際空港かんさいこくさいくうこうⅠ期き島とうの滑走かっそう路ろは長ながさが3500メートルあり、標高ひょうこうは、最低さいていが1.4メートルで最高さいこうが4.0メートルとなっています。一方いっぽう、気象庁きしょうちょうが発表はっぴょうしている関空かんくう島とうまわりの潮位ちょういの変化へんかを見みると、満潮まんちょう時じには潮位ちょういが平均へいきん水位すいいから60～70センチ上昇じょうしょうしますので、通常つうじょうでも満潮まんちょう時じには一番いちばん低ひくい標高ひょうこう1.4メートルの箇所かしょは、水面すいめん上じょう70～80センチの位置いちにあるわけです。こういう客観きゃっかん的てきな数字すうじを見みると、今後こんごも台風たいふうの低てい気圧きあつや南風みなみかぜに伴ともなう高潮こうちょうにより空港くうこう内ないが冠水かんすいするのは、想定そうていの範囲はんいだと考かんがえられます。」

高潮こうちょうのときには潮位ちょういは200センチから300センチに至いたることがあるから、今後こんごも台風たいふうによって、関西国際空港かんさいこくさいくうこうは冠水かんすいする恐おそれがあるということになる。
　
　では、羽田空港はねだくうこうには、そのような危険きけん性せいはあるのだろうか。

「羽田空港はねだくうこうには4本ほんの滑走かっそう路ろがありますが、標高ひょうこうが一番いちばん低ひくい、第だい1旅客りょかくターミナルと国際線こくさいせんターミナルの間あいだにある滑走かっそう路ろ。これは標高ひょうこう3.7メートルから6.2メートルとなっています。その他たの滑走かっそう路ろも5メートルから10メートル程度ていど、ないしはそれを上回うわまわる標高ひょうこうを保たもっています。したがって高潮こうちょうによって冠水かんすいする可能かのう性せいはきわめて低ひくいと思おもわれます。

　羽田空港はねだくうこうのリスクとしては、集中しゅうちゅう豪雨ごううによる多摩川たまがわ下か流域りゅういきの氾濫はんらんが予想よそうされます。多摩川たまがわの増水ぞうすいにより下した流域りゅういきが氾濫はんらんした場合ばあい、多摩川たまがわに隣接りんせつする羽田空港はねだくうこうでは、国際線こくさいせんのエリアにある最低さいてい標高ひょうこう3.7メートルの滑走かっそう路ろ周辺しゅうへんが冠水かんすいする危険きけん性せいはあるのかもしれません。ただし、他たの滑走かっそう路ろもありますので、仮かりに起おこったとしても、機能きのう停止ていしは限定げんてい的てきかつ一時いちじ的てきなもので、致命ちめい的てきなダメージにはならないと思おもわれます。南海なんかい地震じしんの津波つなみの影響えいきょうも考かんがえられますが、東京とうきょう湾内わんないの津波つなみの被害ひがい予測よそくは聞きいたことがありません。」