新しん天皇てんのう、「民みんの父母ちちはは」になられる…即位そくいのお言葉ことばから、令れい和わが「安定あんていの時代じだい」になる予感よかん

写真しゃしん：AP/アフロ

　令れい和わの時代じだいを迎むかえた本日ほんじつ午前ごぜん、「剣けん璽等承継しょうけい（けんじとうしょうけい）の儀ぎ」「即位そくい後ご朝見ちょうけんの儀ぎ」が行おこなわれ、新しん天皇てんのうが即位そくいされたことを初はじめて国民こくみんにお示しめしになられた。

「即位そくい後ご朝見ちょうけんの儀ぎ」で新しん天皇てんのうは、安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうをはじめとする閣僚かくりょう、三権さんけんの長なが、全国ぜんこくの地方自治体ちほうじちたいの代表だいひょう者しゃら計けい266人にんの参列さんれつ者しゃを前まえに、「常つねに国民こくみんを思おもい、国民こくみんに寄より添そいながら、憲法けんぽうにのっとり、日本にっぽん国こく及および日本にっぽん国民こくみん統合とうごうの象徴しょうちょうとしての責務せきむを果はたす」とお言葉ことばを述のべられた。

　天皇てんのうが即位そくい後ご初はじめて国民こくみんに向むかって語かたられたそのお言葉ことばについて、麗澤大学れいたくだいがく教授きょうじゅで皇室こうしつ制度せいどに詳くわしい八木やぎ秀次しゅうじ氏しに解説かいせつしてもらった。

象徴しょうちょうの積極せっきょく的てき意義いぎ

　本日ほんじつ、5月1日にち、皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのうが皇位こういを継承けいしょうし、新しん天皇てんのうに即位そくいされた。それに伴ともない、元号げんごうも「令れい和わ」に替かわった。新しん天皇てんのうは静しずかに笑えみを浮うかべながら、落おち着ついて儀式ぎしきに臨のぞまれた。すでに風格ふうかくが備そなわっているようにお見受みうけした。長ながい皇太子こうたいしの時代じだいに、皇位こういを継承けいしょうすべく精神せいしん修養しゅうようされた賜物たまものだろう。

　新しん天皇てんのうは即位そくい後ご朝見ちょうけんの儀ぎで、皇位こういを継承けいしょうされたことを高たからかに宣言せんげんされるとともに、先帝せんていたる上皇じょうこう陛下へいかのご事績じせきに触ふれた後のち、「ここに、皇位こういを継承けいしょうするに当あたり、上皇じょうこう陛下へいかのこれまでの歩あゆみに深ふかく思おもいを致いたし、また、歴代れきだいの天皇てんのうのなさりようを心しんにとどめ、自己じこの研鑽けんさんに励はげむとともに、常つねに国民こくみんを思おもい、国民こくみんに寄より添そいながら、憲法けんぽうにのっとり、日本にっぽん国こく及および日本にっぽん国民こくみん統合とうごうの象徴しょうちょうとしての責務せきむを果はたすことを誓ちかい、国民こくみんの幸しあわせと国くにの一層いっそうの発展はってん、そして世界せかいの平和へいわを切せつに希望きぼうします」と述のべられた。

　天皇てんのうという重責じゅうせきを担になわれるに当あたって、「上皇じょうこう陛下へいかのこれまでの歩あゆみ」と「歴代れきだいの天皇てんのうのなさりよう」をお手本てほんになさるということだ。

　上皇じょうこう陛下へいかは、皇太子こうたいし時代じだいの昭和しょうわ61年ねん5月がつ26日にち、読売新聞よみうりしんぶんへの文書ぶんしょ回答かいとうで「天皇てんのうが国民こくみんの象徴しょうちょうであるというあり方かた」が「理想りそう的てき」であるとされた上うえで、その意義いぎを「天皇てんのうは政治せいじを動うごかす立場たちばにはなく、伝統でんとう的てきに国民こくみんと苦楽くらくをともにするという精神せいしん的てき立場たちばに立たっています。このことは、疫病えきびょうの流行りゅうこうや飢饉ききんに当あたって、民生みんせいの安定あんていを祈念きねんする後のち嵯峨天皇さがてんのう以来いらいの天皇てんのうの写経しゃきょうの精神せいしんや、また、『朕ちん、民みんの父母ちちははと為なりて徳とく覆おおうこと能のうず。甚はなはだ自みずから痛いたむ』という後のち奈良なら天皇てんのうの写経しゃきょうの奥書おくがきなどによっても表あらわされていると思おもいます」と述のべられた。

　新しん天皇てんのうも平成へいせい29年ねん2月がつ23日にち、57歳さいのお誕生たんじょう日び会見かいけんで次つぎのように述のべられた。

「昨年さくねんの8月がつ、私わたしは、愛知あいち県けん西尾にしお市しの岩瀬いわせ文庫ぶんこを訪おとずれた折おりに、戦国せんごく時代じだいの16世紀せいき中頃なかごろのことですが、洪水こうずいなど天候てんこう不順ふじゅんによる飢饉ききんや疫病えきびょうの流行りゅうこうに心しんを痛いためられた後のち奈良なら天皇てんのうが、苦くるしむ人々ひとびとのために、諸国しょこくの神社じんじゃや寺てらに奉納ほうのうするために自みずから写経しゃきょうされた宸翰しんかん（しんかん）般若心経はんにゃしんぎょう（はんにゃしんぎょう）のうちの一いち巻かんを拝見はいけんする機会きかいに恵めぐまれました。