タクシーで道みちの間あいだ違ちがえ指摘してき→運転うんてん手しゅに逆上ぎゃくじょうされ道みちに置おき捨すて…運営うんえい会社かいしゃは回答かいとう拒絶きょぜつ

「タクシーに道中どうちゅうで置おき捨すてされた」という衝撃しょうげき的てきな投稿とうこうがSNSで話題わだいになっている。乗客じょうきゃくの主張しゅちょうによると、横柄おうへいな接客せっきゃくや指示しじと違ちがう道みちを走行そうこうされたうえ、それを指摘してきすると逆上ぎゃくじょうされたという。渦中かちゅうのタクシー会社かいしゃに取材しゅざいすると、「話はなすことは何なにもない」と拒絶きょぜつされた。

　６月がつ８日にち、Ｘ上うえに「拡散かくさん希望きぼう」として、あるタクシーを利用りようした客きゃくが「行いき先さきを伝つたえたら舌打したうち」「何故なぜか違ちがう道みちを走行そうこうし始はじめて、それを指摘してきしたら逆上ぎゃくじょう」「挙句あげくの果はてに乗車じょうしゃ拒否きょひ→道中どうちゅうに置おき捨すてをされた」との投稿とうこうがあった。その投稿とうこうには当該とうがいタクシーの画像がぞうと共ともにタクシー会社かいしゃ名めい、運転うんてん手しゅ名めいも記載きさいされていた。

　行先いきさきを伝つたえただけで舌打したうちされるという接客せっきゃくや、指示しじと違ちがう道みちを走行そうこうされるのは、乗客じょうきゃくからすれば容認ようにんしがたいところだろう。そのうえ、置おき捨すてされたとあれば、大おおいに問題もんだいがある。詳細しょうさいを聞きくため、Business Journal編集へんしゅう部ぶは名指なざしされたタクシー会社かいしゃへ取材しゅざいを申もうし込こんだ。

　ところが、「なぜ取材しゅざいに応おうじなければならないのか」「話はなすことは何なにもない」「（SNSに投稿とうこうした）乗客じょうきゃくとは話はなしをしている」として、取材しゅざいは拒否きょひされた。そこで、東京とうきょう都内とないで営業えいぎょうしているタクシーの運転うんてん手しゅに、今回こんかいのやり取とりから感かんじることを聞きいた。

「今回こんかいの投稿とうこうは、乗客じょうきゃく側がわの主張しゅちょうしかなく、実際じっさいにどのようなやりとりがあったか不明ふめいなので、コメントは難むずかしいです。ただ、どのような経緯けいいがあっても、舌打したうちする対応たいおうはあり得えませんし、指示しじと違ちがう道みちを走行そうこうするのは問題もんだいがあります。不慣ふなれな道みちであれば間違まちがえることもありますが、それを指摘してきされて逆上ぎゃくじょうするというのも、ドライバーとしては問題もんだいです。その後ご、お客きゃくを乗のせ続つづけることを拒否きょひしていることから、かなり激はげしい口論こうろんになったことが予想よそうされます」

トラブルの多おおくは乗客じょうきゃく側がわにあり

　この投稿とうこう主ぬしのことではないが、タクシー運転うんてん手しゅと乗客じょうきゃくのトラブルは古ふるくから絶たえずあり、その多おおくは乗客じょうきゃく側がわの態度たいどにあるという。

「詳細しょうさいな調査ちょうさデータがあるわけではありませんが、トラブルの7～8割わりは乗客じょうきゃく側がわに問題もんだいがあるといわれています。いわゆるカスハラ（カスタマーハラスメント）です。私わたしもかなりきつい言葉ことばを浴あびせられた経験けいけんが多々たたあります。たとえば、行先いきさきを聞きいただけで『とりあえず早はやく（クルマを）出しゅっせよ』と喧嘩けんか口調くちょうで言いわれたり、『お前まえは運転うんてんしか脳のうがないんだろう』『社会しゃかいの底辺ていへんの仕事しごとをしている』などと罵倒ばとうされることもあります。多おおくは酔よっぱらっているので、き流きながすようにしていますが、無視むしされたと感かんじるのか、さらに怒おこる方ほうもいますね」

　そのようなカスハラがあった場合ばあい、どのように対処たいしょしているのだろうか。

「昨今さっこん、多おおくのタクシー会社かいしゃでカスハラを行おこなう乗客じょうきゃくへの対応たいおうを検討けんとうしています。弊社へいしゃでは、マニュアルもありますし、カスハラ対策たいさくの講習こうしゅうも行おこなっています。多おおくは乗客じょうきゃく側がわに問題もんだいがあるとはいえ、人間にんげん対たい人間にんげんなので、コミュニケーションの取とり方かた次第しだいで大おおきなトラブルに発展はってんすることを防ふせげるケースもあります。それでも暴言ぼうげんや暴行ぼうこうがあった場合ばあい、その後ごの乗車じょうしゃを拒否きょひし、車内しゃないに設置せっちしているドラレコ映像えいぞうを元もとにして慰謝いしゃ料りょう請求せいきゅうを行おこなうなど毅然きぜんとした対応たいおうを行おこなう、というのが会社かいしゃの指針ししんです」

　会社かいしゃが「カスハラ客きゃくは乗車じょうしゃ拒否きょひしてもいい」「暴言ぼうげん・暴行ぼうこうがあれば法的ほうてき措置そちを取とる」との方針ほうしんを明確めいかくにしていれば、運転うんてん手しゅは安心あんしんできるだろう。5月22日にちには、東京とうきょう都とが全国ぜんこくで初はじめてとなるカスハラ防止ぼうし条例じょうれいの制定せいていに向むけた方針ほうしんを発表はっぴょうした。そこには「著いちじるしい迷惑めいわく行為こうい」を「何人なんにんもしてはならない」と規定きていするだけで罰則ばっそく規定きていもないため、実効じっこう性せいに疑問ぎもんの声こえはあるが、“カスハラ”を法令ほうれいによって定義ていぎすることで一定いっていの線引せんひきがなされる点てんにおいて意義いぎはあるのだろう。

冒頭ぼうとうのトラブルは運転うんてん手しゅ側がわに非ひか

　ちなみに冒頭ぼうとうのSNSに投稿とうこうされたトラブルについては、解決かいけつしたようだ。続つづきの投稿とうこうで、「解決かいけつした」として会社かいしゃ側がわと和解わかいしたことを明あきらかにした。会社かいしゃ側がわから受うけた説明せつめいは、「ドラレコが動うごいていなかったので確認かくにんできなかった」としつつも、「ほか乗務じょうむ員いんからの聴取ちょうしゅで運転うんてん手しゅにも問題もんだいがありそうだった」と、運転うんてん手しゅ側がわの非ひを認みとめ、さらに運転うんてん手しゅが当時とうじ飲酒いんしゅしていた可能かのう性せいがあったとして「当面とうめんは謹慎きんしん処分しょぶん」にしたという。

　本来ほんらい、始業しぎょう前まえに営業えいぎょう所しょで動作どうさ確認かくにんするドラレコが作動さどうしていなかったことや、無線むせん以外いがいの機器ききが作動さどうしていなかったことから、運転うんてん手しゅが意図いと的てきに止とめていた可能かのう性せいも視野しやに入いれつつ、再発さいはつ防止ぼうしとして「営業えいぎょう所しょで全体ぜんたい的てきに指導しどうを行おこなった」という。

　タクシーは密室みっしつになるため、トラブルが起おこった際さいに事実じじつ関係かんけいを確認かくにんするには、ドラレコの映像えいぞうが必須ひっすになる。決けっしてカスハラ対策たいさくに役立やくだつというだけではなく、乗客じょうきゃく側がわにとっても運転うんてん手しゅの接客せっきゃく態度たいどやサービス提供ていきょう内容ないようを証明しょうめいするためにも有用ゆうようだ。タクシーはドラレコを確実かくじつに作動さどうさせておいてほしい限かぎりである。

（文ぶん＝Business Journal編集へんしゅう部ぶ）