ダルビッシュが利用りようし話題わだいのメラトニン、効果こうかは？どこで手てに入はいる？

　アメリカ・フロリダ州しゅうのローンデポ・パークで開催かいさいされたワールドベースボールクラシック（WBC）2023決勝けっしょう戦せんで、日本にっぽんがアメリカを制せいし、3大会たいかいぶり3回かい目めの優勝ゆうしょうを果はたした。

　フロリダには、13時じ間あいだ余あまりの飛行機ひこうき移動いどうを経へての到着とうちゃくだったが、自主じしゅ練習れんしゅうも行おこない、選手せんしゅたちのテンションは決勝けっしょうに向むけて十分じゅうぶんに高たかまっていたようだ。

　実じつはダルビッシュ有ゆう投手とうしゅが、音声おんせいアプリで配信はいしんする「ダルビッシュの言いいたい放題ほうだい」の中なかで機内きないの様子ようすを明あかしたところ、一部いちぶで「メラトニン サプリ」が話題わだいになっている。

　ちなみに、ダルビッシュ投手とうしゅは、以下いかのように語かたっている。

「出発しゅっぱつ前まえに佐々木ささき（朗ろう希まれ）くんに『メラトニングミありますか？』と言いわれて、あげたら、フライトが始はじまってちょっとして、僕ぼくがトイレ行いくときに佐々木ささき君くんの横よこ通かよったら口くち開あけて爆ばく睡ねむしてて、メッチャ効きいてるやんって。到着とうちゃくしたら佐々木ささきくんが『めちゃくちゃ寝ねれました』とお礼れいにきて、これまで見みたことないようなうれしそうな顔かおしてた」

　つまり、メラトニンがWBCの日本にっぽん優勝ゆうしょうの一翼いちよくを担になったのだろうか。実際じっさいに、メラトニンにはどの程度ていどの誘さそえ眠ねむり効果こうかがあるのか、竹内たけうち内科ないか小児科しょうにか医院いいん院長いんちょうの五ご藤ふじ良りょう将はた医師いしに聞きいた。

「メラトニンは、脳のうの松まつ果はて体たいという箇所かしょから出でるホルモンで、眠気ねむけを催もよおすホルモンです。メラトニン分泌ぶんぴつは朝あさが低ひくく、夜よるに高たかくなり、睡眠すいみん・覚醒かくせいのリズムをコントロールします。メラトニンの分泌ぶんぴつがリズム良よく行おこなわれていれば体内たいない時計とけいが整ととのい、夜よるになると自然しぜんに眠ねむりに入はいることができるということになります」（五ご藤ふじ医師いし）

　日本にっぽんでは、メラトニンは医療いりょう用よう医薬品いやくひんであり、サプリメントとして販売はんばいすることはできない。しかし近年きんねん、時差じさぼけや不眠症ふみんしょうに有効ゆうこうという情報じょうほうがSNSなどで広ひろがり、個人こじん輸入ゆにゅうによってメラトニンのサプリメントを購入こうにゅうして使用しようする人ひとが増ふえている。

「海外かいがいではメラトニンサプリメントが一般いっぱん的てきに販売はんばいされており、健康けんこう食品しょくひんとして扱あつかわれています。その効果こうかについて、寝ねつきを良よくし、中途ちゅうと覚醒かくせいをなくして睡眠すいみん時間じかんを長ながくするなどと謳うたっているものが散見さんけんされますが、実際じっさいには効果こうかに個人こじん差さがあります。佐々木ささき投手とうしゅがメラトニングミを食たべて爆ばく睡ねむしたのは、『眠ねむれるはず』というプラセボ効果こうかと連日れんじつの試合しあいの疲労ひろうからとも考かんがえられます」（同どう）

　海外かいがいのメラトニンサプリメント の場合ばあい、初はじめての使用しよう時じには1mgから始はじめ、睡眠すいみんの30～60分ふん前まえに服用ふくようし、効果こうかを確認かくにんしてから徐々じょじょに増ふやしていくことが推奨すいしょうされているようだ。

　一方いっぽう、日本にっぽんでのメラトニンは医療いりょう用よう医薬品いやくひんであることから、その処方しょほうには制限せいげんがあるという。

「日本にっぽんではメラトニンを服用ふくようする場合ばあいは、医師いしの処方しょほうが必要ひつようとなります。しかし、日本にっぽんでメラトニンの保険ほけん適用てきようが認みとめられるのは、『小児しょうに期きの神経しんけい発達はったつ症しょうに伴ともなう入いれ眠ねむ困難こんなんの改善かいぜん』であり、6～15歳さいまでの小児しょうに期きに限定げんていされ、服用ふくようは寝ねる直前ちょくぜんのタイミングです。やはり、効果こうかは個人こじん差さがありますが、入いれ眠ねむまでの時間じかんは短縮たんしゅくされる傾向けいこうにあると思おもいます」（同どう）

　では、実際じっさいにメラトニンサプリを使用しようする場合ばあい、どのように取とり入いれるのがよいのか。

「メラトニンの効果こうかは個人こじん差さがあり、人ひとによっては睡眠すいみんの質しつを悪化あっかさせることもあります。また、過剰かじょうな摂取せっしゅや長期間ちょうきかんの使用しようは、副作用ふくさようを引ひき起おこす可能かのう性せいがあります。例たとえば、頭痛ずつうやめまい、悪夢あくむ、嘔吐おうとなどが報告ほうこくされています。メラトニンサプリメントを使用しようする場合ばあいは、医師いしの指導しどうのもと、適切てきせつな用量ようりょうと期間きかんを守まもることをお勧すすめします」（同どう）

　また、特定とくていの疾患しっかんや薬剤やくざいを使用しようしている人ひとは、メラトニンの使用しようによって健康けんこうに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがあるため、注意ちゅういが必要ひつようだ。

「てんかん、緑内障りょくないしょう、糖尿とうにょう病びょうの人ひとや鎮静ちんせい剤ざい、抗こううつ剤ざい（フルボキサミン）、抗菌こうきん剤ざい（ニューキノロン系けい）、高血圧こうけつあつ・不整脈ふせいみゃく（カルシウム拮抗きっこう剤ざい）、抗こう凝固ぎょうこ剤ざいを服用ふくようしている場合ばあいには、処方しょほうできない場合ばあいがありますので、サプリメントの場合ばあいでも医師いしに相談そうだんしてほしいと思おもいます。しかし、そういったリスクがない場合ばあいでは、メラトニンは依存いぞん性せいもない点てんが大おおきなメリットともいえ、時差じさボケや不眠ふみん時じに服用ふくようしてみることは、治療ちりょうの選択肢せんたくしの一ひとつだと思おもいます」（同どう）

　有名ゆうめいプロ野球やきゅう選手せんしゅが使つかっているからといって、安易あんいに真似まねして服用ふくようするのではなく、自身じしんの健康けんこうなどに考慮こうりょし、医師いしや薬剤師やくざいしに相談そうだんしてから使用しようすることが大切たいせつだろう。

（文ぶん＝吉澤よしざわ恵理えり／薬剤師やくざいし、医療いりょうジャーナリスト）