揉もめる家庭かていの3割わりが遺産いさん1000万まん円えん以下いか…「ウチは関係かんけいない」と思おもう人ひとほど考かんがえるべき相続そうぞくの話はなし

　年末年始ねんまつねんし、実家じっかで過すごした方ほうも多おおいことでしょう。家族かぞく団だんらんは楽たのしいものですが、一方いっぽうで両親りょうしんの老おいや衰おとろえを目まの当あたりにして「ウチの親おやももう年としだな……」と実感じっかんすることも。

「しわが増ふえたな」
「足元あしもとがおぼつかなくなっているな」
「物忘ものわすれがひどくなってるな」
「ちょっとしたことで怒いかりっぽくなっているな」

　そんな親おやの姿すがたを見みると、ちょっと切せつない気持きもちになりますよね。

　けれども、感傷かんしょう的てきになるだけではすまない「現実げんじつ」を見据みすえる必要ひつようがあります。いずれ親おやが亡なくなることを想定そうていして、「相続そうぞく」について考かんがえなくてはならないのです。

■日本人にっぽんじんの9割わり以上いじょうは遺言ゆいごんを書かかない

「相続そうぞく？　ウチは資産しさん家かじゃないし関係かんけいないよ」
「家族かぞく仲なかもいいし、後々あとあと話はなせばいいよ」

　こう思おもって何なにも考かんがえず、対策たいさくを打うっていなかった結果けっか、大だいトラブルを抱かかえてしまう家族かぞくが多おおいと語かたるのは『プロが教おしえる　相続そうぞくでモメないための本ほん』（アスコム）の著者ちょしゃで、「一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん　相続そうぞく終おわり活かつ専門せんもん協会きょうかい」の代表だいひょう理事りじを務つとめる江幡えはた吉昭よしあきさん。

　江幡えはたさんはこれまで、3,000件けんを超こえる相続そうぞくを手掛てがけてきた相続そうぞくのプロフェッショナルです。社会しゃかいの高齢こうれい化かなどを背景はいけいに、相続そうぞく争あらそいは年々ねんねん増ふえています。家庭かてい裁判所さいばんしょの統計とうけいによると、ここ7年ねんで23％も増ふえているのです。

　こうした相続そうぞく争あらそいを、最近さいきんでは「争そう族ぞく（あらそうぞく）」と呼よび、テレビのワイドショーや週刊しゅうかん誌し等とうで話題わだいになっています。また、争そう族ぞくの3割わり以上いじょうが、遺産いさんの額がくが1,000万まん円えん以下いかという統計とうけいもあり、決けっして資産しさん家かだけの話はなしでもありません。

　江幡えはたさんによると、争そう族ぞくを防ふせぐ最もっとも効果こうか的てきな方法ほうほうは「早はやめの準備じゅんび」と「良よい遺言ゆいごん」を作つくること。言いうまでもなく、親おやが亡なくなった後のちで遺産いさんを分割ぶんかつしようとするとモメやすいもの。親おやが健在けんざいで意思いしがハッキリしているうちに、親おやと子こが思おもいを共有きょうゆうすることこそ重要じゅうよう。その意思いし表示ひょうじのための重要じゅうようなツールが「遺言ゆいごん」なのです。

　ただ、日本人にっぽんじんの9割わり以上いじょうが「遺言ゆいごん」を書かかないそう。それも争そう族ぞくが増ふえている一ひとつの要因よういんだと江幡えはたさんは指摘してきします。

■「モメない遺言ゆいごん」にはコツがある

「良よい遺言ゆいごん」の条件じょうけんはまず、法的ほうてきに認みとめられたものであること。いま流行りゅうこうのエンディングノートは、争そう族ぞくを解決かいけつするツールとはなり得えません。

　また、正式せいしきな遺言ゆいごんの書式しょしきには、付言ふげん事項じこうという項目こうもくがあり、そこには親おやの想おもいを記しるすことができます。そこに、なぜこうした内容ないようの遺言ゆいごんを残のこすのか、納得なっとくのいく説明せつめいをすることが争そう族ぞくを防ふせぐポイントの一ひとつです。また、争そう族ぞくになりやすそうな事項じこうについては、書かき方かたによって遺言ゆいごんの効力こうりょくをより強つよめることもできるとのこと。

　江幡えはたさんによれば、仲なかの良よかった兄弟きょうだいや家族かぞくが、相続そうぞくをきっかけに絶縁ぜつえん状態じょうたいになったり、10年ねん以上いじょうも口くちをきかない状況じょうきょうに陥おちいることも珍めずらしくないようです。

　年末年始ねんまつねんしで、家族かぞくのありように想おもいを馳はせたかたは、ぜひ、本書ほんしょを通とおして相続そうぞくについて考かんがえ、学まなんでみてはいかがでしょうか。
（新刊しんかんJP編集へんしゅう部ぶ）

※本ほん記事きじは、「新刊しんかんJP」より提供ていきょうされたものです。