1日にち15分ふん。イライラを劇的げきてきに解消かいしょうする「歩行ほこう禅ぜん」とは

※画像がぞう:『歩あるくだけで不調ふちょうが消きえる 歩行ほこう禅ぜんのすすめ』（KADOKAWA刊かん）

　仕事しごとがうまくいかない、家族かぞくとの関係かんけいがギクシャクしている、何なにかと他人たにんと自分じぶんを比くらべては「自分じぶんはなんて不幸ふこうなんだ」と嘆なげいてしまう。日々ひびの生活せいかつでためたイライラや不満ふまんを解消かいしょうできず、心しんがふさぎがちになっていませんか。

　そんな人ひとに実践じっせんしてほしいのが、ウォーキングと瞑想めいそうを組くみ合あわせた「歩行ほこう禅ぜん」というメソッドです。
　前向まえむきになり、それまで悩なやんだり苦くるしんでいた状況じょうきょうをプラスに捉とらえられるようになるという歩行ほこう禅ぜん。その中身なかみはどのようなものなのでしょうか。

■歩行ほこう禅ぜんを思おもいついたきっかけはG1サミット

　このメソッドを提唱ていしょうするのは、慈眼寺じがんじ住職じゅうしょくの塩しお沼ぬま亮あきら潤うるおさん。「1日にち48キロメートルの山道さんどうを1000日間にちかん歩あるき続つづける」という過酷かこくさから、1300年間ねんかんでわずか1人にんしか成功せいこうしたことのなかった修行しゅぎょう「大峯おおみね千せん日にち回かい峰みね行こう」の、2人ふたり目めの達成たっせい者しゃとなったお坊ぼうさんです。

　では塩しお沼ぬまさんは、どのような経緯けいいで「歩行ほこう禅ぜん」を思おもいついたのでしょうか。きっかけとなったのが、彼かれ自身じしん、会議かいぎのメンバーとして参加さんかした、2016年ねんのG1サミットでした。

　サミット開催かいさいにあたり、主催しゅさい者しゃから「参加さんか者しゃ向むけのアクティビティを何なにか考かんがえてほしい」と頼たのまれた塩しお沼ぬまさん。サミットの会場かいじょうが沖縄おきなわだったことも手伝てつだい、「大だい自然しぜんのなかで頭あたまと心しんと身体しんたいがリフレッシュできるようなものがいいのでは」と思おもい立たち、「ネイチャー・ウォーク」なるものを提案ていあんします。

　ちなみに、そのとき実施じっしされたネイチャー・ウォークとは、以下いかのようなものでした。

・約やく1.5キロメートル先さきの岬みさきまで、行いきも帰かえりも同おなじ道どうを使つかってウォーキングで往復おうふくする
・行いきは、人生じんせいのなかで懺悔ざんげしなければならないことを思おもいつくだけ思おもい出だし、心しんのなかで「ごめんなさい」と唱うたえながら歩あるく
・帰かえりは、人生じんせいのなかで感謝かんしゃすべきことをできるだけたくさん思おもい浮うかべ、心しんのなかで「ありがとう」と唱うたえながら歩あるく
・歩あるいているときは、絶対ぜったいに人ひととしゃべらない
・ウォーキングから戻もどってきたら、25分ふんほど坐禅ざぜんを組くみ、自分じぶんと向むき合あう

　そして塩しお沼ぬまさんは、ネイチャー・ウォークの参加さんか者しゃから、「歩あるきながらだと、素直すなおに反省はんせいすることができるとわかった」「相手あいてを責せめなくなった。誰だれかのせいにしていた自分じぶんが恥はずかしくなった」といったポジティブな声こえを数多かずおおく寄よせられます。

　この経験けいけんを通とおして、修行しゅぎょう僧そうという限かぎられた人ひとたちだけでなく、広ひろく一般いっぱんの人ひとにとっても、「歩あるくこと」が人生じんせいにプラスの気きづきをもたらすのではないかと思おもうようになった塩しお沼ぬまさん。

　そこで、ネイチャー・ウォークをより手軽てがるなものにし、日常にちじょう的てきに実践じっせんするためのメソッドとして「歩行ほこう禅ぜん」が編あみだされたのです。

■毎日まいにちのルーティンにしさえすれば、1日にちトータル15分ふんでOK

　では、ネイチャー・ウォークと比くらべて、歩行ほこう禅ぜんはどんなところが、より手軽てがるなのでしょうか。

　大おおきな違ちがいは、歩あるく距離きょりや時間じかんを自由じゆうに設定せっていしてよい点てん。塩しお沼ぬまさんによると、毎日まいにちルーティン化かしさえすれば、行いきと帰かえり、それぞれ5分ふんほどで充分じゅうぶんだといいます。同様どうように、坐禅ざぜんを組くむ時間じかんも5分ふん～10分ふんでOKだそう。

　歩あるいている間あいだは人ひととしゃべらないようにする、姿勢しせいや呼吸こきゅうを一定いっていに保たもつためにだらだら歩あるかずリズミカルにやや速はやめに歩あるく、といった最低限さいていげんのルールはあるものの、日々ひびの習慣しゅうかんとして無理むりなく取とり入いれられる内容ないようといえます。

　ただ、実際じっさいに歩行ほこう禅ぜんをしてみると、さまざまな「これでいいの？」が出でてくるのも事実じじつ。

　『歩あるくだけで不調ふちょうが消きえる 歩行ほこう禅ぜんのすすめ』（KADOKAWA刊かん）のなかでは、そういった疑問ぎもんにも、塩しお沼ぬまさんが一ひとつひとつ答こたえています。