ベース・レジストリの政策せいさく効果こうかと課題かだい

行政ぎょうせい手続てつづきの煩雑はんざつさを解消かいしょうし、デジタル社会しゃかいの基盤きばんを築きずくために導入どうにゅうを推進すいしんしている「ベース・レジストリ」。その効果こうかが期待きたいされる一方いっぽうで利用りよう促進そくしんには多おおくの課題かだいが山積さんせきしています。

デジタル庁ちょうは2024年ねん9月がつ25日にち、「デジタル関係かんけい制度せいど改革かいかく検討けんとう会かい（第だい7回かい）」を開催かいさい。この中なかで、ベース・レジストリの利用りよう促進そくしんに向むけた課題かだいについても議論ぎろん・検討けんとうを行おこなっています。

今回こんかいは、ベース・レジストリの仕組しくみや政策せいさく効果こうかを整理せいりし、その普及ふきゅうを妨さまたげる要因よういんなどを挙あげながら、ベース・レジストリについて利用りよう者しゃ視点してんもいれて取とり上あげたいと思おもいます。

ベース・レジストリとは

ベース・レジストリは、政府せいふが構築こうちくを進すすめている「公的こうてき基礎きそ情報じょうほうデータベース」の一環いっかんです。このデータベースは、法人ほうじん情報じょうほうや不動産ふどうさん情報じょうほう、住所じゅうしょや所在地しょざいちなど、多おおくの手続てつづきに必要ひつようとなる基本きほん情報じょうほうを一元いちげん管理かんりし、行政ぎょうせい手続てつづきのデジタル化かを推進すいしんするものです。

法人ほうじんベース・レジストリ、不動産ふどうさん登記とうきベース・レジストリ、アドレスベース・レジストリなどがあり、データの正確せいかく性せいと一貫いっかん性せいを高たかめることで、国民こくみんの利便りべん性せい向上こうじょうと行政ぎょうせい運営うんえいの効率こうりつ化かが図はかられるとしています。

現行げんこうの行政ぎょうせい手続てつづきにおいて、申請しんせい者しゃは複数ふくすうの書類しょるいを揃そろえる必要ひつようがあり、その都度つど同おなじ情報じょうほうを記載きさいしなければならないという煩雑はんざつなプロセスが存在そんざいします。

ベース・レジストリは、このような手続てつづきの重複じゅうふくを解消かいしょうし、一度いちど入力にゅうりょくした情報じょうほうを様々さまざまな手続てつづきに横断おうだん的てきに利用りようできるようにすることで、手間てまを大幅おおはばに削減さくげんされることが期待きたいされています。

ベース・レジストリの政策せいさく効果こうかについて

ベース・レジストリの政策せいさく効果こうかは、これまでもあげてきたように、行政ぎょうせい手続てつづきの簡素かんそ化かと行政ぎょうせい運営うんえいの効率こうりつ化かに大おおきく貢献こうけんすることが期待きたいされています。

たとえば、法人ほうじんベース・レジストリにより、法人ほうじん登記とうき情報じょうほうを利用りようした申請しんせいが自動的じどうてきに行おこなわれるようになり、書類しょるい添付てんぷの手間てまが削減さくげんされます。これは、申請しんせい者しゃにとっての利便りべん性せいを高たかめるだけでなく、行政ぎょうせい側がわにおいても処理しょりコストを削減さくげんする効果こうかがあります。

さらに、不動産ふどうさん登記とうきベース・レジストリを活用かつようすることで、登記とうき事項じこうの確認かくにんがオンラインで可能かのうとなり、これまで数日すうじつを要ようした手続てつづきが数すう分ふんで完了かんりょうすることもできるようになります。

また、政策せいさく効果こうかは定量ていりょう的てきにも示しめされています。たとえば、法人ほうじんベース・レジストリの導入どうにゅうにでは、2026年ねんには国民こくみん側がわでは、年間ねんかん約やく5.8億おく円えん、2030年ねんには約やく150億おく円えんのコスト削減さくげんが見込みこまれています。このように、ベース・レジストリは長期ちょうき的てきに見みても、大幅おおはばなコスト削減さくげんと手続てつづきの効率こうりつ化かを実現じつげんすることが期待きたいされています。

出典しゅってん：デジタル庁ちょう デジタル関係かんけい制度せいど改革かいかく検討けんとう会かい（第だい7回かい） 2024.9.25

ベース・レジストリの利用りよう促進そくしんに向むけた課題かだい

その一方いっぽうで、ベース・レジストリの導入どうにゅうにはいくつかの課題かだいがあります。データの正確せいかく性せいと最新さいしん性せいを保たもつためには、継続けいぞく的てきなデータの更新こうしんが不可欠ふかけつです。

中なかでも不動産ふどうさんや住所じゅうしょに関かんする情報じょうほうは頻繁ひんぱんに変更へんこうされるため、その都度つどデータが最新さいしんの状態じょうたいであることが求もとめられます。適切てきせつに行おこなわれなければ、国民こくみんが不正確ふせいかくな情報じょうほうを元もとに手続てつづきを行おこなうリスクが高たかまり、結果けっかとしてシステム全体ぜんたいの信頼しんらい性せいが損そこなわれる可能かのう性せいがあります​。

また、システム間あいだのデータ連携れんけいも重要じゅうような課題かだいです。異ことなるシステムが相互そうごにデータを正確せいかくかつ効率こうりつ的てきにやり取とりできるようにするためには、統一とういつされたデータフォーマットや通信つうしんプロトコルが必要ひつようです。

しかし、現在げんざいのところ、すべての行政ぎょうせい機関きかんがこの標準ひょうじゅんに対応たいおうしているわけではなく、データ連携れんけいがスムーズに行おこなわれない場合ばあいがあります。この課題かだいを解決かいけつするためには、各かく機関きかん間あいだでのデータ連携れんけいのルールや基準きじゅんを統一とういつすることが求もとめられています​。

文字もじ規格きかくに係かかる課題かだいへの対応たいおう方針ほうしん（案あん）について

データの連携れんけいにおいて、重要じゅうような課題かだいの一ひとつが文字もじ規格きかくです。データベース間あいだでの文字もじ化ばけが発生はっせいすると、正確せいかくなデータのやり取とりができなくなり、行政ぎょうせい運営うんえいが非ひ効率こうりつ的てきになる可能かのう性せいがあります。

現在げんざい、登記とうきデータに関かんする文字もじ規格きかくの標準ひょうじゅん化かが進すすめられており、これにより異ことなるシステム間あいだでのデータ連携れんけいが円滑えんかつに行おこなわれることが期待きたいされています。具体ぐたい的てきには、行政ぎょうせい事務じむ標準ひょうじゅん文字もじ（MJ+）をベースに、すべてのシステムで対応たいおうする文字もじ規格きかくを統一とういつする方針ほうしんが検討けんとうされています。

出典しゅってん：デジタル庁ちょう デジタル関係かんけい制度せいど改革かいかく検討けんとう会かい（第だい7回かい） 2024.9.25

地図ちずデータの提供ていきょうに関かんする検討けんとう（案あん）について

また、住所じゅうしょデータの整備せいびも進行しんこう中ちゅうです。地方ちほう公共こうきょう団体だんたいと連携れんけいし、最新さいしんの地図ちずデータを提供ていきょうすることで、手続てつづきの効率こうりつ化かを図はかることが目的もくてきです。町まち字じ情報じょうほうの整備せいびは重要じゅうような要素ようそであり、これにより申請しんせい者しゃが手て入力にゅうりょくで住所じゅうしょを記入きにゅうする手間てまが軽減けいげんされ、申請しんせいのスピードが向上こうじょうします。さらに、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいがデータの最新さいしん性せいを保持ほじすることで、行政ぎょうせい手続てつづき全体ぜんたいの正確せいかく性せいが担保たんぽされることになります。

出典しゅってん：デジタル庁ちょう デジタル関係かんけい制度せいど改革かいかく検討けんとう会かい（第だい7回かい） 2024.9.25

今後こんごの展開てんかい

今後こんごの展望てんぼうとして、2025年ねん夏なつまでに「公的こうてき基礎きそ情報じょうほうデータベース整備せいび改善かいぜん計画けいかく」が策定さくていされる予定よていです。

出典しゅってん：デジタル庁ちょう デジタル関係かんけい制度せいど改革かいかく検討けんとう会かい（第だい7回かい） 2024.9.25

本ほん計画けいかくに基もとづき、各種かくしゅベース・レジストリのシステム整備せいびが進すすみ、さらに多おおくの分野ぶんやで利用りようが広ひろがっていくことが期待きたいされています。法人ほうじんや不動産ふどうさん、住所じゅうしょに関かんするデータがシステム間あいだでリアルタイムに更新こうしん・共有きょうゆうされ、ワンスオンリーの原則げんそくに基もとづく効率こうりつ的てきな手続てつづきができるか、期待きたいされるところです。

ベース・レジストリの活用かつようは民間みんかん事業じぎょう者しゃにも波及はきゅう効果こうかをもたらす可能かのう性せいがあるでしょう。例たとえば、APIを利用りようした法人ほうじん情報じょうほうの取得しゅとくが容易よういになり、ビジネスにおける手続てつづきが迅速じんそくに進すすむようになるため、企業きぎょうの生産せいさん性せい向上こうじょうにもつながる可能かのう性せいがあります。

ベース・レジストリは公共こうきょうサービスだけでなく、民間みんかんセクターにも大おおきなインパクトが出でてくる可能かのう性せいがあり、今後こんごの整備せいび計画けいかくとリリースによる普及ふきゅうが期待きたいされるところです。