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「楽しい雪の結晶観察図鑑」　巡り合わせで記録された美しさ｜好書好日
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「楽たのしい雪ゆきの結晶けっしょう観察かんさつ図鑑ずかん」　巡めぐり合あわせで記録きろくされた美うつくしさ

『楽たのしい雪ゆきの結晶けっしょう観察かんさつ図鑑ずかん』から

　雪ゆきと図鑑ずかんという言葉ことばが並ならぶとそれだけで冬ふゆの空気くうきを一気いっきに吸すい込こんだような心地ここちがする。この本ほんは、雪ゆきの結晶けっしょうの写真しゃしんとともに、その形状けいじょうの分類ぶんるいを説明せつめいしたもの。温度おんどや湿度しつどによって結晶けっしょうの成長せいちょうの仕方しかたは変かわっていくため、似にた雪ゆき、仲間なかまと呼よべる雪ゆき、は存在そんざいするが、けれど完全かんぜんに同おなじ雪ゆきは一ひとつとして存在そんざいしない。それは雪ゆきだけでなく自然しぜん界かいのものの多おおくはそうで、一ひとつとして同おなじものはないけれど、雑多ざったなわけではなく、とてもシンプルでいて筋すじの通とおった理由りゆうが、それこそ雪ゆきの結晶けっしょうの６本ほんの枝えだのように伸のびていっている。だから「一ひとつとして同おなじものはない」という事実じじつが何なにより美うつくしく感かんじるのだ。私わたしはそういう点てんで「観察かんさつ」という作業さぎょうが好すきだ。

　雪ゆきの結晶けっしょうの種類しゅるいがこんなにも沢山たくさん（たくさん）あることは知しらなかったが、何なによりもこの結晶けっしょうが、一人ひとりの人ひとによって観察かんさつされ、記録きろくされてきたことが、感かんじ取とれて嬉うれし（うれ）しい。雪ゆきというものが巡めぐり合あわせによってしか記録きろくされないことを感かんじさせる。結晶けっしょうのバリエーションを体系たいけいとして捉とらえられる、そのきっかけが、ただの説明せつめいではなく観察かんさつの記録きろくとしてあるから、この本ほんは美うつくしく、とても「雪ゆきらしい」本ほんだと思おもう。＝朝日新聞あさひしんぶん2021年ねん3月がつ6日にち掲載けいさい

編集へんしゅう部ぶ一いち押おし！
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