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スヴェン・ベッカートさん「綿の帝国」インタビュー 「強要と暴力」の側面に光 |好書好日
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スヴェン・ベッカートさん「綿めん帝国ていこく」インタビュー 「強要きょうよう暴力ぼうりょく」の側面そくめんひかり 

スヴェン・ベッカートさん

 米国べいこく通商つうしょう政策せいさく担当たんとうしていたすうねんまえ、トランプぜん大統領だいとうりょう仕掛しかける「貿易ぼうえき戦争せんそう」をほうじながら、いつももどかしくかんじていた。トランプ登場とうじょうは、グローバル資本しほん主義しゅぎ課題かだいひとつの表出ひょうしゅつにすぎない。その表面ひょうめんうだけでいいのだろうか。

 なやんでいたときにこのほん出会であい、一気いっき視界しかいけた。「綿めん(コットン)」きに米国べいこくあゆみは理解りかいできず、資本しほん主義しゅぎてられる世界せかいのいまもとらえられない。そう痛感つうかんさせられた。劇的げきてき世界せかいかんりなす歴史れきし原点げんてんは、故郷こきょうまちにあったという。

 冷戦れいせんのさなか西独せいどくオッフェンバッハにまれた。歴史れきし魅了みりょうされた少年しょうねんは、高校生こうこうせいになると、ドイツ近代きんだいまけ側面そくめんを「ナチスのせい」と片付かたづける授業じゅぎょう疑問ぎもんつ。まちのユダヤじん社会しゃかい調査ちょうさ没頭ぼっとうした。高校こうこう卒業そつぎょうまち出身しゅっしんのユダヤじんうため数カ月すうかげつあいだ、イスラエルに滞在たいざいした。

 「故郷こきょうまちのきわめてローカルな研究けんきゅうからはじまり、グローバルな視点してん研究けんきゅうへとすすんできた。たどりいたのが、綿めんがグローバル資本しほん主義しゅぎ発展はってんたした役割やくわりだったのです」

 綿めんというモノはひと心地ここちよい感触かんしょくつつみ、ない生産せいさんせい向上こうじょう技術ぎじゅつ革新かくしん一方いっぽうひとをモノとしてあつか奴隷どれいせい植民しょくみん支配しはい戦争せんそう共同きょうどうたい破壊はかいももたらした。その「強要きょうよう暴力ぼうりょく」の側面そくめんひかりてる。「資本しほん主義しゅぎへの移行いこう自然しぜんなものではなく、むしろ不自然ふしぜん事業じぎょうだった」「人間にんげんにとって天地てんちがひっくりかえるようなことだった」とみる。

 市場いちば経済けいざい発展はってんを、連続れんぞくの「芋虫いもむし変態へんたい」にたとえた経済けいざい学者がくしゃポランニーの議論ぎろんおもこさせる。今後こんご強要きょうよう暴力ぼうりょくをはらみ、社会しゃかい駆動くどうつづける資本しほん主義しゅぎ我々われわれいならせるのか。「解決かいけつのための科学かがく技術ぎじゅつっている。それがわたし悲観ひかん主義しゅぎすこし、やわらげています」とかたる。(ぶん青山あおやまただしあつし 写真しゃしん植田うえだしんしゃ)=朝日新聞あさひしんぶん2023ねん12月16にち掲載けいさい

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