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映画「トラペジウム」原作・高山一実さんインタビュー 乃木坂46時代の小説「新しい作品になった」|好書好日
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映画えいが「トラペジウム」原作げんさく高山たかやま一実かずみさんインタビュー 乃木坂のぎざか46時代じだい小説しょうせつあたらしい作品さくひんになった」

高山たかやま一実かずみさん=junko撮影さつえい

原作げんさく別物べつものつくるつもりで参加さんか

――最初さいしょにアニメ映画えいがはなしいたときは、いかがでしたか?

 単行本たんこうぼん発売はつばいされてすぐのころにオファーをいただいて、自分じぶんいた物語ものがたり書店しょてんってもらえるだけでうれしかったのに、映画えいがというおおきなおはなしをいただいて、とても光栄こうえいおもいました。でも、映画えいがになると、よりおおくのほうていただく可能かのうせいがあるので、れてもらえるだろうかとか、90ふんちょっとのなかで、どうえがかれるんだろうとか、不安ふあん気持きもちもありました。

――脚本きゃくほん音楽おんがくなどの制作せいさくにもたずさわったそうですね。

 はい。原作げんさくもとになっていますが、別物べつものをつくるつもりで参加さんかしました。 小説しょうせついているときは、具体ぐたいてき場所ばしょのイメージはなかったんですけど、アニメでは、わたし地元じもとてきます。わたし提案ていあんした場所ばしょもありますし、「あ、ここもてくるんだ」というところもありました。小説しょうせついた楽曲がっきょく方位ほうい自身じしん」も、きょくにしたいとっていただけて。なんとなくメロディーがかんでいることをおつたえしたら、音楽おんがく担当たんとう横山よこやまかつさんがきれいなきょくにしてくださって、とても感動かんどうしました。

――声優せいゆうさんのイメージはいかがでしたか?

 オーディションから、アフレコにも参加さんかさせていただいたのですが、それぞれ、こえやくにぴったりでした。みなさん、第一声だいいっせいからすごい! とおもって、プロのすごみをかんじました。主人公しゅじんこうの「ゆう」をえんじた結川ゆかわあさきさんも、わたしおもう「ゆう」になっていて。

 ゆうは、あんまり過剰かじょうえんじてほしくないなとおもっていたんですけど、たぶん結川ゆかわさんもおなじようなおもいをっていらっしゃって。監督かんとくから「もっとつよく」というオーダーがあったときも、ちょうどいい塩梅あんばいにしてくださって、ありがたかったです。ゆうがうたうシーンでも、「ゆうだったら、こういううたかたもあるとおもうんですけど、どっちがいいですかね?」って質問しつもんしてくださって。そこまでゆうへの理解りかいふかめてくれていることがうれしかったです。

――完成かんせいした作品さくひんて、いかがでしたか?

 小説しょうせつとはちがう、あたらしい作品さくひんになっているとおもいました。オープニングきょくもすごくよかったです。小説しょうせつにはなかった、みんながうたっておどるシーンは、もう、ただただかわいくて。小説しょうせつんでいるほうがどんな感想かんそうつかもたのしみですが、小説しょうせつ苦手にがてほうは、ぜひアニメからはいっていただいて、小説しょうせつんでいただくとかんかたわってくるとおもうので、小説しょうせつむきっかけになったらいいなとおもいます。

(C)2024「トラペジウム」製作せいさく委員いいんかい

映画えいがでは全然ぜんぜんちがうキャラに」

――小説しょうせつは、現役げんえきアイドルがえがくアイドルの物語ものがたりとして話題わだいになりましたが、アイドルをテーマにしようとおもったのは、どんなきっかけですか?

 わたしほんきで、ほんたいする熱量ねつりょうはあったんですけど、ほんむようになったのは高校生こうこうせいころです。作家さっかさんというとちいさいころからほんきだったり、大学だいがくているほうおおかったりするので、自分じぶんには自信じしんがありませんでした。

 月刊げっかん「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)で連載れんさいすることがまって、自分じぶんつよみをかんがえたとき、アイドルの世界せかいだったらけるかもしれないとおもいました。ミステリーがきなので、女子じょし同士どうしのドロドロけいとかもあんとしてしたのですが、東西とうざい南北なんぼくおんなあつめるのはキャッチーでいいと、担当たんとう編集へんしゅうしゃさんにっていただいて、プロットをかんがえました。

――それぞれのキャラクターはどんなふうにかんがえましたか?

 すんなり成功せいこうするはなしにはしたくなかったので、ゆうには一度いちどつまずかせてからアイドルにさせようとおもいました。そういう人物じんぶつをつくるにはどうしたらいいか、どういうだったら成功せいこうするか、こういうめんしてきたらちょっとけむたいよなとか、まわりの観察かんさつしました。くるみは、橋本はしもとたまき奈ちゃんがいちまい写真しゃしんでバズって大人気おとなげになったのが衝撃しょうげきてきだったので、そういう、ビジュアルがつよくて有名人ゆうめいじんというにしました。

 4にんそれぞれおもれがありますが、いていくうちに、だんだんキャラクターの個性こせいそだっていってくれたので、はなし展開てんかいしていくときに、このうごかそうではなく、このうごいてくれそう、みたいなかんじにわりました。映画えいがでは、また全然ぜんぜんちがうキャラクターになっている ので、小説しょうせつほうきか、アニメのほうきか、感想かんそうかれると面白おもしろいなとおもいます。

――みんなでアイドルを目指めざはなしではなく、アイドルになりたくないてくるのが、意外いがいせいがあっておもしろかったです。

 わたしはアイドルがきだったので、だれもがアイドルになりたいものだとおもっていたんですけど、仕事しごと街角まちかどインタビューをしたとき、アイドルはきじゃないというったんです。マイクをけてもくびっていて、小声こごえで「アイドルはきじゃないから」って。このアイドルグループはきとかきらいというこのみはあっても、アイドル全体ぜんたい苦手にがてってひとはあんまりいないとおもっていたので、おどろきました。そういうもいるんだと。すごくキレイなだったけど、このはチャンスがあってもアイドルにはならないだろうとか、いろいろかんがえるようになりました。

――高山たかやまさんがおもうアイドルとはどんなものですか?

 ステージと客席きゃくせきのエネルギーがぶつかり提供ていきょうしてくれる存在そんざいおもいます。ライブで、応援おうえんしていただくがわ応援おうえんするがわの、あの空間くうかんというのは、アイドルならではのもので、いいものだなとおもいます。アイドルという職業しょくぎょうかなきゃえないもの、られないものがたくさんあって、わたし職業しょくぎょうだなとおもいます。アイドルにあこがれているときは、どんなにつらいことがあってもなりたいとおもっていたんですけど、実際じっさいになることができたら、おもっていたよりもつらいことがなくて、たのしいこと、しあわせなことばかりでした。わたしがアイドルになった時期じき場所ばしょが、すごくうんかったこともあるかもしれないので、わたし目線めせんにはなりますが、アイドルはいい職業しょくぎょうだよ、というのはつたえたいですね。

(C)2024「トラペジウム」製作せいさく委員いいんかい

おおきな情熱じょうねつげるものをさがなか

――小説しょうせついてみてどうでしたか?

 大変たいへんでした。いいとおもっていたものも、つぎにはダメだとおもうこともたくさんあって、いてもいても満足まんぞくできない。でも、りはやってくるので、どこかでいをつけないといけなくて、むずかしかったです。ストーリーはかんでいても、たような表現ひょうげんだとつまらないから、どうしたら面白おもしろつたえられるかなとか、そういう工夫くふうかんがえるのがたのしくもあり大変たいへんでもありました。

 映画えいがができて、あらためて小説しょうせつなおしてみたら、わたし小説しょうせつきでいたんだなとおもいました。映画えいが見据みすえていていたわけじゃない、つよおもいでいていたのは事実じじつで、そのつぎ作品さくひんけなかった意味いみもわかりました。ほんてから時間じかんって、ふる作品さくひんになっているんじゃないかとむのがこわかったんですけど、これはこれでありだよねっておもえたし、がんばる「ゆう」をきたくて、それをいていた自分じぶん頑張がんばっていたなって、かえることができました。

 小説しょうせつでは、ゆめかなえるためにがんばることの素晴すばらしさみたいなものをつたえたかったんですけど、映画えいがでは、「アイドル」というのがより強調きょうちょうされているとおもうので、アイドルに興味きょうみがあるほうが、「ゆうみたいにがんばろう」って、具体ぐたいてきおもってもらえたら、「ゆう」をつくったとしてはうれしいなとおもいます。

――またいてみたいとはおもわないですか?

 いつか、自分じぶんにとって熱量ねつりょうたかいものがてきたら、それについてきたいなとおもいます。わたしは、アイドルという職業しょくぎょうがすごくいいものだとおもっているので、『トラペジウム』は、その一心いっしんけました。いま、アイドルを卒業そつぎょうして2ねんくらいちますけど、まだ、アイドル以上いじょう熱量ねつりょうのあるものがつかっていないので、小説しょうせつのテーマをさがしつつ、高山たかやま一実かずみとしておおきな情熱じょうねつげるものもさがちゅうです。

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