本屋 大賞 の阿部 暁子 さん「カフネ」どんな本 ? 「食 」を通 じ支 え合 うシスターフッドの物語

『カフネ』は2024
法務局 に勤 める野宮 薫子 は、溺愛 していた弟 が急死 して悲嘆 にくれていた。弟 が遺 した遺言 書 から弟 の元 恋人 ・小野寺 せつなに会 い、やがて彼女 が勤 める家事 代行 サービス会社 「カフネ」の活動 を手伝 うことに。弟 を亡 くした薫子 と弟 の元 恋人 せつな。食 べることを通 じて、二人 の距離 は次第 に縮 まっていく。『カフネ』(阿部 暁子 )|講談社
デビュー
プロの料理人 であるせつなと、掃除 が得意 な薫子 がペアとなって訪 れる家庭 は、様々 な問題 を抱 えていた。個々 の家庭 の事情 をくみとり、最適 な料理 を提供 するせつな。美味 (おい)しいものを食 べることは、心身 の安 らぎにつながるのだ。とりわけ、せつなが作 る「卵 味噌 (みそ)」(我 が故郷 青森 のソウルフード!)に、胸 がいっぱいになった。
物語 の後半 、春彦 の心 にも、せつなの心 にも雨 が降 っていたことが明 かされる。せつなの雨 はまだ降 り続 いていることも。誰 にもSOSを出 せず、出 さずに生 きてきたせつな。その華奢 (きゃしゃ)な背中 に薫子 の手 は届 くのか。
「カフネ」とはポルトガル語 で「愛 する人 の髪 にそっと指 を通 す仕草 (しぐさ)」のこと。そのタイトルに呼応 するラストシーンは、奇跡 のように美 しく、優 しい。雨 に濡(ぬ)れた人 への、傘 のような一 冊 だ。
「カフネ」書評 濡 れた心 に差 し出 す優 しさの傘
『カフネ』は2025
「2004年 に大学 生協 の書店 で、博士 の愛 した数式 という本 を、帯 に書 いてある『第 1回 本屋 大賞 』という文字 に惹 かれて手 に取 りました。数字 の織 りなす美 しさと愛 に満 ちあふれた美 しい物語 でした。あれから長 い時間 がたって、今 ここに自分 が立 っていることを光栄 に思 います。『カフネ』という作品 は、思 いがけず多 くの方 に手 に取 って頂 きました。たくさんの人 の尽力 があって起 きた奇跡 のようなことでした。全国 の書店 さんにも、一般 の読者 さんにも、それだけ本 を愛 する人 がいることは、書 き手 にとって救 いです。私 たち書 き手 がいい物語 を書 き得 たなら、これだけたくさんの人 たちが応援 してくれることが希望 です。頂 いた大 きな贈 り物 に報 えるように、いい小説 家 になっていきたい」本屋 大賞 に「カフネ」阿部 暁子 さん「頂 いた大 きな贈 り物 に報 えるように」【発表 会 詳報 】