Liezi : 仲尼 - Chinese Text Project

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Liezi : 仲尼 - Chinese Text Project

简体中ちゅう文ぶん版ばん

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Pre-Qin and Han -> Daoism -> Liezi -> 仲なか尼に

《仲なか尼に》

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1 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	仲なか尼に閒あいだ居きょ，子し貢みつげ入にゅう侍さむらい，而有憂色ゆうしょく。子こ貢みつぎ不ふ敢問，出で告つげ顏がお回かい。顏かお回かい援琴而歌。孔子こうし聞之，果はて召回入いれ，問もん曰：「若わか奚獨樂らく？」回かい曰：「夫子ふうし奚獨憂ゆう？」孔子こうし曰：「先さき言ごと爾志にし。」曰：「吾われ昔むかし聞之夫子ふうし曰：『樂天らくてん知命ちめい故こ不ふ憂ゆう』，回かい所以ゆえん樂らく也。「孔子こうし愀然有閒あんま曰：」有ゆう是ぜ言げん哉？汝なんじ之の意い失しつ矣。此吾昔日せきじつ之の言げん爾なんじ，請以今こん言げん為ため正也まさや。汝なんじ徒と知ち樂天らくてん知命ちめい之の无憂，未知みち樂天らくてん知命ちめい有ゆう憂う之これ大だい也。今こん告つげ若わか其實。脩おさむ一身いっしん，任にん窮きゅう達たち，知ち去來きょらい之の非我ひが，止とめ變亂へんらん於心慮しんりょ，爾なんじ之の所謂いわゆる樂天らくてん知命ちめい之の无憂也。曩吾脩おさむ《詩し》《書しょ》，正せい禮樂れいがく，將はた以治天下でんか，遺のこ來世らいせ；非ひ但ただし脩おさむ一身治魯國而已。而魯之の君臣くんしん日び失しつ其序，仁義じんぎ益えき衰おとろえ，情じょう性せい益えき薄うす。此道不ふ行くだり一いち國こく與あずか當年とうねん，其如天下でんか與あずか來世らいせ矣？吾われ始はじめ知ち《詩し》《書しょ》禮樂れいがく无救於治亂みだれ，而未知みち所以ゆえん革かわ之の之これ方かた：此樂天らくてん知命ちめい者しゃ之の所ところ憂ゆう。雖然，吾われ得どく之の矣。夫おっと樂らく而知者しゃ，非ひ古人こじん之の所謂いわゆる¹樂らく知也ともや。无樂无知，是ぜ真ま樂らく真知まち；故こ无所不ふ樂らく，无所不知ふち，无所不ふ憂ゆう，无所不為ふため。《詩し》《書しょ》禮樂れいがく，何なに棄之有ゆう？革かわ之の何なに為ため？「顏かお回かい北面ほくめん拜はい手しゅ曰：「回かい亦また得とく之の矣。」出だし告つげ子こ貢みつぎ。子こ貢みつぎ茫然ぼうぜん自失じしつ，歸き家か淫いん思おもえ七なな日にち，不ふ寢ね不ふ食しょく，以至骨こつ立りつ。顏かお回かい重じゅう往喻之の，乃反丘おか門もん，絃歌げんか誦書，終身しゅうしん不ふ輟。 1. 所謂いわゆる : Originally read: "謂いい所しょ". （根據こんきょCHANT）楊伯峻たかし列れつ子こ集しゅう釋しゃく116
2 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	陳ちん大夫たいふ聘魯，私見しけん叔孫氏し。叔孫氏し曰：「吾われ國有こくゆう聖人せいじん。」曰：「非ひ孔あな丘おか邪よこしま？」曰：「是也これや。」「何なに以知其聖乎？」叔孫氏し曰：「吾われ常つね聞之顏がお回かい，曰：『孔あな丘おか能のう廢はい心こころ而用形がた。』」陳ちん大夫たいふ曰：「吾われ國こく亦また有ゆう聖人せいじん，子し弗どる知ち乎？」曰：「聖人せいじん孰謂？」曰：「老ろう聃之弟子でし，有ゆう亢倉子こ者しゃ，得とく聃之道どう，能のう以耳視し而目聽。」魯侯聞之大だい驚おどろき，使つかい上じょう卿きょう厚あつ禮れい而致之の。亢倉子こ應おう聘而至いたり。魯侯卑辭請問之の。亢倉子こ曰：「傳つて之これ者しゃ妄。我わが能のう視聽しちょう不用ふよう耳目じもく，不能ふのう易えき耳目じもく之これ用よう。」魯侯曰：「此增異い矣。其道奈何いかん？寡人終おわり願ねがい聞之。」亢倉子こ曰：「我わが體からだ合あい於心，心しん合あい於氣，氣合きあい於神，神合こうあい於无。其有介かい然しか之これ有ゆう，唯ただ然しか之これ音おん，雖遠在ざい八はち荒あら之これ外がい，近在きんざい眉まゆ睫まつげ之の內，來らい干ひ我が者しゃ，我わが必知之の。乃不知ふち是ぜ我わが七孔四支之所覺，心腹しんぷく六ろく藏ぞう之の所ところ知とも，其自知ち而已矣。」魯侯大だい悅えつ。他日たじつ以告仲なか尼に，仲なか尼に笑わらい而不荅。
3 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	商しょう太宰だざい見み孔子こうし曰：「丘おか聖きよし者しゃ歟？」孔子こうし曰：「聖せい則のり丘おか何なん敢，然しか則のり丘おか博學はくがく多た識者しきしゃ也。」商しょう太宰だざい曰：「三さん王おう聖者せいじゃ歟？」孔子こうし曰：「三さん王おう善よし任にん智勇ちゆう者しゃ，聖せい則のり丘おか不知ふち。」曰：「五ご帝みかど聖者せいじゃ歟？」孔子こうし曰：「五帝善任仁義者，聖せい則のり丘おか弗どる知ち。」曰：「三さん皇すめらぎ聖者せいじゃ歟？」孔子こうし曰：「三皇善任因時者，聖せい則のり丘おか弗どる知ち。」商しょう太宰だざい大だい駭，曰：「然しか則のり孰者為ため聖きよし？」孔子こうし動どう容よう有閒あんま，曰：「西方せいほう之これ人にん，有ゆう聖者せいじゃ焉，不治ふち而不亂みだれ，不言ふげん而自信しんじ，不ふ化か而自行ぎょう，蕩蕩とうとう乎民无能名めい焉。丘おか疑うたぐ其為聖ひじり。弗どる知ち真ま為ため聖せい歟？真ま不ふ聖せい歟？」商しょう太宰だざい嘿然心こころ計けい曰：「孔あな丘おか欺我哉！」
4 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	子こ夏なつ問とい孔子こうし曰：「顏かお回かい之の為ため人じん奚若？」子こ曰：「回かい之の仁賢にんけん於丘也。」曰：「子こ貢みつぎ之の為ため人じん奚若？」子こ曰：「賜たまもの之の辯わきまえ賢けん於丘也。」曰：「子こ路ろ之の為ため人じん奚若？」子こ曰：「由之よしゆき勇いさむ賢けん於丘也。」曰：「子こ張はり之の為ため人じん奚若？」子こ曰：「師し之の莊そう賢けん於丘也。」子こ夏なつ避席而問曰：「然しか則のり四よん子し者しゃ何なん為事しごと天子てんし？」曰：「居きょ！吾われ語ご汝なんじ。夫おっと回かい能のう仁じん而不能ふのう反はん。賜たまもの能辯のうべん而不能ふのう訥，由ゆかり能のう勇いさむ而不能ふのう怯おびえ，師し能のう莊そう而不能ふのう同どう。兼けん四子之有以易吾，吾われ弗どる許もと也，此其所以ゆえん事ごと吾われ而不貳に也。」
5 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	子こ列れつ子こ既すんで師し壺つぼ丘おか子こ林りん，友とも伯はく昏瞀人じん，乃居南郭なんかく。從したがえ之の處しょ者しゃ，日數にっすう而不及。雖然，子し列れつ子こ亦また微ほろ焉，朝ちょう朝ちょう相しょう與あずか辯わきまえ，无不聞。而與南郭なんかく子こ連れん牆二に十じゅう年ねん，不ふ相あい謁請；相しょう遇ぐう於道，目もく若わか不ふ相あい見み者しゃ。門もん之の徒と役やく，以為子こ列れつ子こ與あずか南郭なんかく子こ有ゆう敵てき不ふ疑うたぐ。有ゆう自じ楚すわえ來者らいしゃ，問もん子こ列れつ子こ曰：「先生せんせい與あずか南郭なんかく子こ奚敵？」子こ列れつ子こ曰：「南郭なんかく子こ貌充心こころ虛きょ，耳みみ无聞，目もく无見，口くち无言，心こころ无知，形かたち无惕。往將奚為？雖然，試こころみ與あずか汝なんじ偕往。」閱弟子でし四よん十じゅう人にん同行どうこう。見み南郭なんかく子こ，果はて若わか欺魄焉而不可ふか與あずか接せっ。顧視子こ列れつ子こ，形かたち神しん不ふ相あい偶，而不可ふか與あずか群ぐん。南郭なんかく子こ俄にわか而指子こ列れつ子こ之の弟子でし末まつ行者ぎょうじゃ與あずか言げん，衎衎然しか若わか專せん直ちょく而在雄ゆう者しゃ。子こ列れつ子こ之の徒と駭之。反たん舍しゃ咸有疑うたぐ色いろ。子こ列れつ子こ曰：「得意とくい者しゃ无言，進しん知者ちしゃ亦また无言。用よう无言為ため言ごと亦また言げん，无知為ため知ち亦また知ち。无言與あずか不言ふげん，无知與あずか不知ふち，亦また言げん亦また知ち。亦また无所不言ふげん，亦また无所不知ふち；亦また无所言ごと，亦また无所知ち。如斯而已。汝なんじ奚妄駭哉？」
6 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	子こ列れつ子こ學がく也，三さん年ねん之これ後ご，心こころ不ふ敢念是非ぜひ，口くち不ふ敢言利害りがい，始はじめ得とく老ろう商しょう一いち眄而已やめ。五ご年ねん之これ後ご，心こころ更さら念ねん是非ぜひ，口くち更さら言げん利害りがい，老ろう商しょう始はじめ一いち解かい顏がお而笑。七なな年ねん之これ後ご，從したがえ心こころ之これ所しょ念ねん，更さら无是非ぜひ；從したがえ口之くちの所しょ言げん，更さら无利害りがい。夫子ふうし始はじめ一引吾並席而坐。九きゅう年ねん之これ後ご，橫よこ心こころ之これ所しょ念ねん，橫よこ口之くちの所しょ言げん，亦また不知ふち我が之の是非ぜひ利害りがい歟，亦また不知ふち彼かれ之の是非ぜひ利害りがい歟，外そと內進矣。而後眼め如耳，耳みみ如鼻，鼻はな如口，口くち无不同ふどう。心こころ凝しこり形がた釋しゃく骨肉こつにく都みやこ融とおる；不覺ふかく形がた之これ所しょ倚，足そく之これ所しょ履くつ，心こころ之これ所しょ念ねん，言げん之の所藏しょぞう。如斯而已。則のり理り无所隱かくれ矣。
7 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	初子はつね列れつ子こ好こう游ゆう。壺つぼ丘おか子こ曰：「禦寇好こう游ゆう，游ゆう何なん所しょ好このみ？」列れつ子こ曰：「游ゆう之の樂らく，所しょ玩无故こ。人ひと之の游ゆう也，觀かん其所見しょけん；我が之の游ゆう也，觀かん其所變へん。游ゆう乎游乎！未み有能ゆうのう辨べん其游者しゃ。」壺つぼ丘おか子こ曰：「禦寇之の游ゆう固かた與あずか人ひと同どう歟，而曰固かた與あずか人ひと異い歟？凡所見み，亦また恆見つねみ其變。玩彼物ぶつ之の无故，不知ふち我わが亦また无故。務つとむ外がい游ゆう，不知ふち務つとむ內觀。外そと游ゆう者しゃ，求もとめ備於物ぶつ；內觀者しゃ，取と足あし於身。取と足あし於身，游ゆう之の至いたり也；求もとめ備於物ぶつ，游ゆう之の不ふ至いたり也。」於是列れつ子こ終身しゅうしん不出ふしゅつ，自じ以為不知ふち游ゆう。壺つぼ丘おか子こ曰：「游ゆう其至乎！至いたり游ゆう者しゃ不知ふち所しょ適てき；至いたり觀かん者しゃ不知ふち所しょ眡，物もの物ぶつ皆みな游ゆう矣，物もの物ぶつ皆みな觀かん矣，是ぜ我が之の所謂いわゆる游ゆう，是ぜ我が之の所謂いわゆる觀かん也。故こ曰：游ゆう其至矣乎！游ゆう其至矣乎！」
8 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	龍りゅう叔謂文ぶん摯曰：「子こ之の術じゅつ微ほろ矣。吾われ有ゆう疾やまし，子こ能のう已やめ乎？」文ぶん摯曰：「唯ただ命いのち所しょ聽。然しか先さき言げん子こ所しょ病びょう之の證しょう。」龍りゅう叔曰：「吾鄉あごう譽ほまれ不ふ以為榮さかえ，國くに毀不以為辱はずかしめ；得とく而不喜き，失しつ而弗憂う；視し生なま如死，視し富とみ如貧，視し人じん如豕，視し吾われ如人。處ところ吾われ之の家いえ，如逆旅たび之これ舍しゃ；觀かん吾われ之の鄉さと，如戎蠻之國こく。凡此眾庶，爵賞不能ふのう勸すすむ，刑罰けいばつ不能ふのう威い，盛衰せいすい利害りがい不能ふのう易えき，哀樂あいらく不能ふのう移うつり。固かた不可ふか事こと國こく君くん，交親友しんゆう，御ご妻子さいし，制せい僕ぼく隸。此奚疾やまし哉？奚方能のう已やめ之の乎？」文ぶん摯乃命いのち龍りゅう叔背明あかり而立じりつ。文ぶん摯自後ご向むかい明あきら而望之の，既すんで而曰：「嘻！吾われ見み子こ之の心こころ矣，方寸ほうすん之の地ち虛きょ矣，幾いく聖人せいじん也！子こ心しん六ろく孔あな流通りゅうつう，一いち孔あな不ふ達たち。今こん以聖智さとし為ため疾やまし者しゃ，或ある由よし此乎！非ひ吾われ淺あさ術じゅつ所しょ能のう已やめ也。」
9 Jump to dictionary	仲なか尼に:	无所由しょゆう而常生者しょうじゃ道也みちや。由よし生せい而生，故こ雖終而不亡ほろび，常つね也。由よし生せい而亡，不ふ幸也ゆきや。有ゆう所由しょゆう而常死者ししゃ，亦また道也みちや。由よし死し而死，故こ雖未終おわり而自亡者もうじゃ，亦また常つね。由よし死し而生，幸也ゆきや。故こ无用而生謂いい之の道みち，用よう道どう得とく終おわり謂いい之の常つね；有ゆう所用しょよう而死者しゃ亦また謂いい之の道みち，用よう道どう而得死者ししゃ亦また謂いい之の常つね。
10 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	季き梁はり之の死し，楊朱望もち其門而歌。隨ずい梧之死し，楊朱撫なで其尸而哭。隸人之の生なま，隸人之の死し，眾人且歌，眾人且哭。
11 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	目め將はた眇すがめ者しゃ先さき睹秋毫しゅうごう；耳みみ將はた聾ろう者しゃ先さき聞蚋飛ひ；口こう將はた爽者先さき辨べん淄澠；鼻ばな將はた窒者先覺せんかく焦こげ朽くち；體たい將はた僵者先さき亟犇佚；心こころ將はた迷者先さき識是非ぜひ：故こ物もの不ふ至いたり者しゃ則そく不ふ反はん。
12 Jump to dictionary	仲なか尼に:	鄭てい之の圃澤多た賢けん，東里とうり多才たさい。圃澤之さわの役やく有ゆう伯はく豐子とよこ者しゃ，行ぎょう過か東里とうり，遇ぐう鄧析。鄧析顧其徒と而笑曰：「為ため若わか舞まい彼かれ來者らいしゃ奚若？」其徒曰：「所願しょがん知也ともや。」鄧析謂いい伯はく豐子とよこ曰：「汝なんじ知ち養やしなえ養やしなえ之これ義ぎ乎？受人養やしなえ而不能ふのう自じ養やしなえ者しゃ，犬いぬ豕いのこ之の類るい也；養やしなえ物ぶつ而物為ため我が用よう者しゃ，人にん之の力也りきや。使つかい汝なんじ之の徒と，食しょく而飽，衣ころも而息，執政しっせい之の功こう也。長幼ちょうよう群聚ぐんしゅう，而為牢ろう藉庖廚之物ぶつ，奚異犬けん豕いのこ之の類るい乎？」伯はく豐子とよこ不ふ應おう。伯はく豐子とよこ之の從者じゅうしゃ越えつ次じ而進曰：「大夫たいふ不ふ聞齊魯之多た機き乎？有ゆう善治よしはる土木どぼく者しゃ，有ゆう善治よしはる金きん革かわ者しゃ，有ゆう善治よしはる聲樂せいがく者しゃ，有ゆう善治よしはる書しょ數すう者しゃ，有ゆう善治よしはる軍旅ぐんりょ者しゃ，有ゆう善治よしはる宗廟そうびょう者しゃ，群ぐん才ざい備也。而无相しょう位い者しゃ，无能相しょう使者ししゃ。而位之これ者しゃ无知，使つかい之これ者しゃ无能，而知之の與能よのう，為之ためゆき使し焉。執政しっせい者しゃ迺吾之これ所しょ使し，子し奚矜焉？」鄧析无以應おう，目もく其徒而退。
13 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	公儀こうぎ伯はく以力聞諸侯こう，堂どう谿公言こうげん之の於周宣せん王おう，王おう備禮以聘之の。公儀こうぎ伯はく至いたり，觀かん形がた，懦夫だふ也。宣せん王おう心こころ惑而疑曰：「女おんな之の力ちから何なん如？」公儀こうぎ伯はく曰：「臣しん之の力ちから能のう折おり春はる螽之股また，堪こらえ秋あき蟬之翼つばさ。」王おう作さく色しょく曰：「吾われ之の力ちから者しゃ能のう裂きれ犀さい兕之革かわ。曳九牛うし之の尾お，猶なお憾其弱じゃく。女おんな折おり春はる螽之股また，堪こらえ秋あき蟬之翼つばさ，而力聞天下か，何なに也？」公儀こうぎ伯はく長ちょう息いき退席たいせき曰：「善哉ぜんざい，王おう之の問とえ也！臣しん敢以實じつ對たい。臣しん之の師し有ゆう商しょう丘おか子こ者しゃ，力ちから无敵於天下か，而六ろく親おや不知ふち，以未嘗用其力故こ也。臣しん以死事ごと之の。乃告臣しん曰：『人ひと欲よく見み其所不ふ見み，視し人じん所しょ不ふ窺；欲得よくとく其所不ふ得え，修おさむ人じん所しょ不為ふため。故こ學がく眎者先見せんけん輿こし薪たきぎ，學がく聽者ちょうしゃ先さき聞撞鍾。夫おっと有ゆう易えき於內者しゃ，无難於外。於外无難，故こ名めい不出ふしゅつ其一道どう。』今こん臣しん之の名聞みょうもん於諸侯こう，是ぜ臣しん違たがえ師し之の教きょう，顯あらわ臣しん之の能のう者しゃ也。然しか則のり臣しん之の名めい不ふ以負其力者しゃ也，以能用よう其力者しゃ也，不ふ猶なお愈いよいよ於負其力者しゃ乎？」
14 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	中山なかやま公子きみこ牟者，魏ぎ國こく之の賢けん公子こうし也。好こう與あずか賢人けんじん游ゆう，不ふ恤國事こくじ，而悅趙ちょう人じん公孫こうそん龍りゅう。樂らく正子まさこ輿こし之の徒と笑わらい之の。公子こうし牟曰：「子こ何なん笑わらい牟之悅えつ公孫こうそん龍也たつや？」子こ輿こし曰：「公孫こうそん龍りゅう之の為ため人じん也，行ぎょう无師，學がく无友，佞給而不中ちゅう，漫衍而无家か，好こう怪かい而妄言ぼうげん。欲よく惑人之の心しん，屈こごめ人じん之の口くち，與あずか韓かん檀まゆみ等とう肄之。」公子こうし牟變容へんよう曰：「何なん子し狀じょう公孫こうそん龍りゅう之の過か歟？請聞其實。」子こ輿こし曰：「吾われ笑わらい龍りゅう之の詒孔穿ほじ，言げん『善ぜん射しゃ者しゃ，能のう令れい後ご鏃中前まえ括くく，發はつ發はつ相しょう及，矢や矢や相しょう屬ぞく；前ぜん矢や造づくり準なずらえ，而无絕ぜっ落，後ご矢や之の括くく猶なお銜弦，視し之の若わか一いち焉。』孔あな穿ほじ駭之。龍りゅう曰：『此未其妙者しゃ。逢蒙之の弟子でし曰鴻超ちょう，怒いか其妻而怖之の。引烏號ごう之の弓ゆみ，綦衛之の箭や，射しゃ其目。矢來やらい注ちゅう眸子ぼうし，而眶不ふ睫まつげ，矢や隧地而塵不ふ揚あげ。』是これ豈あに智者ちしゃ之の言げん與あずか？「公子こうし牟曰：」智者ちしゃ之の言げん，固かた非ひ愚者ぐしゃ之の所ところ曉あきら。後こう鏃中前まえ括くく，鈞ひとし後ご於前。矢や注ちゅう眸子ぼうし而眶不ふ睫まつげ，盡つき矢や之の勢いきおい也。子こ何なに疑うたぐ焉？「樂らく正子まさこ輿こし曰：『子こ龍りゅう之の徒と，焉得不ふ飾かざり其闕？吾われ又また言げん其尤者しゃ。』龍りゅう誑魏王おう曰：『有意ゆうい不ふ心しん。有ゆう指ゆび不ふ至いたり。有ゆう物ぶつ不盡ふじん。有ゆう影かげ不ふ移うつり。髮かみ引千鈞せんきん。白馬しろうま非ひ馬うま。孤こ犢未嘗有母はは。』其負類るい反はん倫りん，不可ふか勝しょう言げん也。」公子こうし牟曰：』子こ不ふ諭さとし至言しげん而以為ため尤ゆう也。尤ゆう其在子こ矣。夫おっと无意則そく心こころ同どう。无指則そく皆みな至いたり。盡つき物ぶつ者しゃ常つね有ゆう。影かげ不ふ移うつり者しゃ，說せつ在ざい改あらため也。髮かみ引千鈞せんきん，勢至せいし等とう也。白馬しろうま非ひ馬うま，形かたち名めい離はなれ也。孤こ犢未嘗有母はは非ひ孤こ犢也。「樂らく正子まさこ輿こし曰：「子こ以公孫まご龍りゅう於馬皆みな條じょう也。設しつらえ令れい發はつ於餘竅，子し亦また將はた承うけたまわ之これ。」公子こうし牟默然しか良久よしひさ告つげ退すさ曰：「請待餘よ日にち，更さら謁子論ろん。」
15 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	堯治天下でんか五ご十じゅう年ねん，不知ふち天下でんか治ち歟，不治ふち歟？不知ふち億おく兆之願戴己歟，不ふ願ねがい戴己歟？顧問こもん左右さゆう，左右さゆう不知ふち。問とい外がい朝あさ，外そと朝あさ不知ふち。問とい在野ざいや，在野ざいや不知ふち。堯乃微ほろ服ふく游ゆう於康衢，聞兒童謠どうよう曰：「立だて我わが蒸ふけ民みん，莫匪爾なんじ極きょく。不ふ識不知ふち，順じゅん帝みかど之の則のり。」堯喜問とい曰：「誰だれ教きょう爾しか為ため此言？」童わらわ兒じ曰：「我聞がもん之の大夫たいふ。」問とい大夫たいふ，大夫たいふ曰：「古詩こし也。」堯還宮みや，召舜，因いん禪ぜん以天下か。舜しゅん不ふ辭じ而受之の。
16 Jump to dictionary Show parallel passages	仲なか尼に:	關せき尹いん喜き曰：「在ざい己おのれ无居，形かたち物ぶつ其箸，其動若水わかみず，其靜若わか鏡きょう，其應若わか響ひびき。故こ其道若わか物もの者しゃ也。物もの自じ違たがえ道どう，道みち不ふ違たがえ物ぶつ。善ぜん若わか道者どうしゃ，亦また不用ふよう耳みみ，亦また不用ふよう目め，亦また不用ふよう力りょく，亦また不ふ用心ようじん。欲よく若わか道どう而用視聽しちょう形がた智さとし以求之の，弗どる當とう矣。瞻之在ざい前まえ，忽焉こつえん在ざい後ご；用よう之の彌わたる滿まん六ろく虛きょ，廢はい之の莫知其所。亦また非ひ有心うしん者しゃ所しょ能のう得とく遠とお，亦また非ひ无心者しゃ所しょ能のう得とく近ちか。唯ただ默だま而得之の而性成之しげゆき者しゃ得とく之の。知ち而亡情じょう，能のう而不為ふため，真知まち真能しんのう也。發はつ无知，何なに能のう情じょう？發はつ不能ふのう，何なに能のう為ため？聚塊也，積せき塵ちり也，雖无為ため¹而非理ひり也。」 1. 為ため : Inserted. 據よりどころ《正統せいとう道どう臧》本ほん補ほ。

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