銀行再編の黒幕＃11Photo:PIXTA

関西かんさいの地方銀行ちほうぎんこうは、近年きんねん再編さいへんによって誕生たんじょうした関西かんさいみらいフィナンシャルグループの動向どうこうに注目ちゅうもくする。ただ、同社どうしゃの本業ほんぎょう利益りえきは低迷ていめいしており、シナジーを発揮はっきできなければ再編さいへんの呼よび水みずにはなれない。特集とくしゅう『銀行ぎんこう再編さいへんの黒幕くろまく』（全ぜん16回かい）の＃11では、関西かんさいを巡めぐる地銀ちぎん再編さいへんの展望てんぼうに焦点しょうてんを絞しぼった。（ダイヤモンド編集へんしゅう部ぶ　田上たうえ貴たか大だい）

関西かんさいはすでに地銀ちぎんが「1府県ふけん1行ぎょう」体制たいせいも
大阪おおさかが越境えっきょう融資ゆうしで競争きょうそう激はげしく再編さいへんは必要ひつよう

「各かく県けんに1行ぎょうではない。近畿きんきで2行ぎょうになる」――。大阪おおさか府ふと兵庫ひょうご県けんを除のぞくと、近畿きんき地方ちほうの地方銀行ちほうぎんこうはすでに「1府県ふけん1行ぎょう体制たいせい」であり、同どう一いち県内けんないに複ふく数すう行ぎょうが残のこる他ほかの地方ちほうと比くらべると、再編さいへんの可能かのう性せいは低ひくく見みえる。だが、菅かん義よし偉えら首相しゅしょうの「（地銀ちぎんの）数すうが多おお過すぎる」発言はつげんに応こたえるがごとく、ある関西かんさい地銀ちぎんの幹部かんぶは冒頭ぼうとうのように将来しょうらいの生存せいぞん地銀ちぎん数すうを大胆だいたんに予測よそくする。

　背景はいけいにあるのは、低てい金利きんり環境かんきょうや人口じんこう減少げんしょうといった地銀ちぎん共通きょうつうの悩なやみに加くわえて、資金しきん需要じゅようが多おおい大阪おおさかを巡めぐる地銀ちぎん同士どうしの熾烈しれつな貸かし出だし競争きょうそうだ。

　確固かっこたる地盤じばんを持もつ地元じもとで預金よきんを集あつめた“外様とざま”地銀ちぎんは、大阪おおさかに越境えっきょうして融資ゆうしをし続つづけてきた。その結果けっか、2020年ねん3月がつ期き決算けっさんを見みると、南都銀行なんとぎんこう（奈良なら県けん）は貸かし出金しゅっきん残高ざんだかの約やく24％を占しめる8205億おく円えんが大阪おおさかでの融資ゆうしだ。紀陽銀行きようぎんこう（和歌山わかやま県けん）に至いたっては、大阪おおさかでの貸かし出金しゅっきん残高ざんだかは全体ぜんたいの50％を超こえる約やく1兆ちょう6000億おく円えんを計上けいじょうする。

　この越境えっきょう融資ゆうしで象徴しょうちょう的てきな動うごきを見みせるのが、「広域こういき型がた地方銀行ちほうぎんこう」を掲かかげる京都きょうと銀行ぎんこうだ。