タワマン節税 緊急事態#1Photo:PIXTA

タワマン節税せつぜい国税庁こくぜいちょうのメスがはいった。2024ねん1がつからマンションの相続そうぞくぜい評価ひょうかおおきくわる。その影響えいきょうおおきさは?これからどんな対策たいさくつべきなのか。特集とくしゅう『タワマン節税せつぜい 緊急きんきゅう事態じたいぜん9かい)の#1では、その最新さいしん事情じじょうと「今年ことしやるべき対策たいさく」について解説かいせつする。(ダイヤモンド編集へんしゅう 山本やまもと あきら

週刊しゅうかんダイヤモンド」2023ねん7がつ15にち・22にち合併がっぺいごうだい1特集とくしゅうもとさい編集へんしゅう肩書かたがき数値すうちなど情報じょうほう雑誌ざっし掲載けいさいのもの。

タワマン節税せつぜいについにメス
しん評価ひょうか方法ほうほう全貌ぜんぼう対策たいさく

「タワマン節税せつぜいふうじの全貌ぜんぼうが、ついにあきらかになった。

 6月30にち国税庁こくぜいちょう有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ議論ぎろんしてきたマンションの相続そうぞくぜい評価ひょうか見直みなおあん公表こうひょうした。その内容ないよう端的たんてきあらわせば、「マンションの評価ひょうかがくを、最低さいていでも市場いちば価格かかくの6わり水準すいじゅんげる」というものだ。

 そもそも、くに対策たいさくしたのは、近年きんねんマンションによる過度かど節税せつぜい目立めだってきたからだ。

昨年さくねん4がつ最高さいこう裁判所さいばんしょ判決はんけつが、見直みなお議論ぎろんのきっかけとなった」。ある関係かんけいしゃはそう断言だんげんする。

 この裁判さいばんでは、原告げんこくである相続そうぞくじん相続そうぞくした2むねのマンションを、路線ろせんなどをもとやく3おく3000まんえん評価ひょうかし、購入こうにゅうれと相殺そうさいして相続そうぞくぜいは0えん申告しんこくしていた。これ自体じたいは、ルールどおりの申告しんこくだったが、国税こくぜいがわはこれをゆるさず、不動産ふどうさん鑑定かんていもとづきやく12おく7000まんえん評価ひょうかやく3おくえん追徴ついちょう課税かぜいとしたことの妥当だとうせいあらそわれた。

 結果けっかてき国税庁こくぜいちょうがわ勝訴しょうそしたが、この判決はんけつへの世間せけんてき関心かんしんたかく、タワマン節税せつぜい問題もんだいてんおおきく沙汰ざたされる格好かっこうとなった。

 そして昨年さくねん12がつ発表はっぴょうの2023年度ねんど税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこうに、マンションの相続そうぞくぜい評価ひょうかについて「相続そうぞく税法ぜいほう時価じか主義しゅぎした適正てきせい検討けんとうする」ことが明記めいきされた。

 この時点じてんからすでに“マンション増税ぞうぜい”は既定きてい路線ろせんとなっていたのだ。

 もともと、タワマン節税せつぜい流行りゅうこうする背景はいけいにあるのは、相続そうぞくぜいにおけるマンションの評価ひょうかがくと、市場いちば価格かかくとのいちじるしい乖離かいりだ。

 国税庁こくぜいちょう資料しりょうによると、一戸建いっこだての評価ひょうかがく市場いちば価格かかくとの乖離かいりりつ平均へいきん1.66ばい、つまり市場いちば価格かかくの6わり程度ていど評価ひょうかされていることになる。しかし、マンションは乖離かいりりつ平均へいきん2.34ばいたかく、4わり程度ていどでしか評価ひょうかされていない。さらに、42%ものマンションが2.5ばい以上いじょう乖離かいりりつとなっている。

 うえとおり、その歴然れきぜんだ。

 この「一戸建いっこだての6わり」という水準すいじゅんにマンションの乖離かいりりつわせること、これが今回こんかい改正かいせい骨子こっしといえるだろう。

 それでは、実際じっさい評価ひょうか改正かいせいはどのような中身なかみになっているのか。つぎページでは、自身じしん物件ぶっけんでも計算けいさんできるその具体ぐたいてき中身なかみと、評価ひょうか改正かいせいまった背景はいけい解説かいせつする。

 さらには、いまからできる対策たいさくとして、年内ねんないの「マンション贈与ぞうよ」がおとくになり理由りゆうについて説明せつめいしよう。