人も財政も消える街＃4Photo:PIXTA

人口じんこうの自然しぜん減げんを極力きょくりょく抑おさえ、他たの自治体じちたいからの流入りゅうにゅうで結果けっか的てきに人口じんこうが増加ぞうかする。それが現代げんだいの日本にっぽんで理想りそう的てきな街まちといえる。そんな理想りそうの街まちのランキングを作成さくせいした。2位いは「母ははになるなら、流山ながれやま市し。」のキャッチコピーで子育こそだて世代せだいへのアピールが奏功そうこうした千葉ちば県けん流山ながれやま市し。その流山ながれやま市しを抑おさえた1位いはどこか？特集とくしゅう『人ひとも財政ざいせいも消きえる街まち』（全ぜん6回かい）の＃4では、「人口じんこうが増ふえ自然しぜん減げんも緩ゆるやかな“理想りそう的てきな街まち”ランキング」を掲載けいさいするとともに、その施策しさくや地理ちり的てき条件じょうけんを検証けんしょうし、理想りそう的てきな街まちになる要因よういんを探さぐり出だす。（ダイヤモンド編集へんしゅう部ぶ編集へんしゅう委員いいん　竹田たけだ孝洋たかひろ）

自然しぜん減げん対策たいさくに苦慮くりょする
自治体じちたいは少すくなくない

「子育こそだて支援しえんに力ちからを入いれている。保育園ほいくえんも増ふやしている。その上うえでさらに、人口じんこうの自然しぜん減げんを抑制よくせいする対策たいさくと言いわれても……」。大都市だいとし圏けんのある自治体じちたい職員しょくいんは、困惑こんわくの表情ひょうじょうでそう漏もらす。

　人口じんこう戦略せんりゃく会議かいぎは、国立こくりつ社会しゃかい保障ほしょう・人口じんこう問題もんだい研究所けんきゅうじょの人口じんこうの自然しぜん増減ぞうげんを示しめす封鎖ふうさ人口じんこうの推計すいけいで見みて、20～30代だいの若年じゃくねん女性じょせい人口じんこうが2020年ねんから50年ねんの間あいだに20％以上いじょう減少げんしょうする自治体じちたいに対たいし、自然しぜん減げん対策たいさくが必要ひつようとした。だが、この職員しょくいんが言いうように自然しぜん減げんの対策たいさくに苦慮くりょする自治体じちたいは少すくなくない。

　封鎖ふうさ人口じんこうの推計すいけいで、人口じんこうが自然しぜん増ぞうとなっている自治体じちたいはもちろんある。そうした自治体じちたいの在あり方かたから何なにが有効ゆうこうな策さくなのかを探さぐるのも一法いっぽうだろう。ただ、人口じんこう移動いどうを想定そうていした推計すいけいで見みても人口じんこうが増ふえる自治体じちたいでなければ、参考さんこうにはしにくい。加くわえて、人口じんこう戦略せんりゃく会議かいぎが指摘してきする若年じゃくねん層そうの女性じょせいの人口じんこう動向どうこうも考慮こうりょすべきだろう。

　そこでダイヤモンド編集へんしゅう部ぶは、移動いどうを想定そうていした人口じんこうが増ふえている上うえに、若年じゃくねん層そうの女性じょせいの減少げんしょうや自然しぜん減げんが緩ゆるやかな自治体じちたいをあぶり出だすことにした。

　具体ぐたい的てきには、20年ねん時点じてんの人口じんこうが5万まん人にん以上いじょうで、20年ねんから50年ねんにかけての移動いどう想定そうていの総そう人口じんこう増加ぞうか率りつが5％以上いじょうの自治体じちたいを対象たいしょうとし、その数値すうちに若年じゃくねん女性じょせいの移動いどう想定そうてい人口じんこうおよび封鎖ふうさ人口じんこうの増減ぞうげん率りつ、封鎖ふうさ人口じんこうの総そう人口じんこうの増減ぞうげん率りつを足たした値ねが大おおきい順じゅんに並ならべ、人口じんこうが増ふえ自然しぜん減げんも緩ゆるやかな“理想りそう的てきな街まち”ランキングを作成さくせいした。

　5万まん人にん以上いじょうと人口じんこうでふるいにかけたのは、施策しさくの指針ししんとするにはある程度ていどの規模きぼの自治体じちたいである必要ひつようがあると考かんがえたためだ。ただ、その基準きじゅんを突破とっぱできたのはわずか22の自治体じちたいだった。その意味いみで参考さんこうにできる自治体じちたいはランキング上位じょういの自治体じちたいだろう。

　厳きびしい基準きじゅんをクリアし、ランキング2位いとなったのは「母ははになるなら、流山ながれやま市し。」のキャッチフレーズで有名ゆうめいな、子育こそだて支援しえんに積極せっきょく的てきに取とり組くんできた千葉ちば県けん流山ながれやま市しだった。

　では、1位いとなった自治体じちたいはどこか。次つぎページでは、ランキングの結果けっかを明あきらかにするとともに、1位いとなった自治体じちたいの施策しさく、理想りそう的てきな街まちとなる条件じょうけんを検証けんしょうする。