チンダル現象とは、空気中や水中などで光の道筋が見えるようになる現象である。
ちんちんがダルダルになる現象のことではない。
概要
例えば、暗闇の中で壁に向かって懐中電灯を照らしたらどう見えるだろうか。マンガ的表現ではドラえもんの「スモールライト」のように懐中電灯から伸びる光が描かれるが、現実では光の通り道が形として見えるなんてことはなく、光が当たった壁だけが照らされて明るく見える。
しかし、雨が降っていたり、ホコリが舞っていたり、霧が出ていたりすればどうだろう?現実世界でもマンガ的表現のように光が広がりながら壁まで伸びている様子を観察することができるはずだ。
このように、空気などの中に微粒子が含まれているとき、光を当てると微粒子に光が当たって照らされ(これを「光の散乱」という)、普通は見えないはずの光の道筋が見えることを「チンダル現象」という。
ちなみに、液体や気体の中に微粒子がたくさん漂っている状態のものを「コロイド」と呼ぶ。身近なもので言えば、牛乳(水溶液の中に乳脂肪の微粒子)、インク(水の中にインク顔料の微粒子)、雲(空気中に水の微粒子)などはコロイドである。
チンダル現象は、コロイドに光を当たったときに起こる現象である。
上図のように雲の隙間から光が漏れている様子を「薄明光線」や「天使のはしご」などというが、これも空気中にある水などの微粒子に、雲の隙間から差す光が散乱されて見えるチンダル現象である[1]。
もっと詳しく
チンダル現象は、コロイド溶液やエアロゾルのようなコロイド中に光を照射したときに、その道筋が光って見えることを指す。これは、コロイド中のコロイド粒子に光が当たって散乱することで起こる。
チンダル現象という名前はこの現象について研究したイギリスの物理学者ジョン・チンダルに由来する。彼はマイケル・ファラデーの後継でイギリスの王立研究所の教授になった人物でもある。
この現象はミー散乱によって説明することができる。ミー散乱とは、レイリー散乱(空が青い原因として有名)を起こす分子よりも大きな粒子による散乱である。なお、チンダルは著書の中で、「風のない日に遠くの小屋の屋根の上に立ち上る煙の柱を見ていた。その下のほうの背景は松林で黒く、上方は雲を背景とした明るい空であった。前者の部分は煙により散乱された光を見ることになるので青く、後者の部分は後方から煙を透過してくる光を見ることになるので赤っぽかった」と述べており[2]、レイリーの散乱式に関する洞察も行っていた。
関連動画
関連項目
脚注
- *レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
- *コトバンク「チンダル現象」日本大百科全書の解説
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ページ番号: 5576686
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リビジョン番号: 3062114
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