太宰だざい治おさむ単語たんご

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「恥はじの多おおい生涯しょうがいを送おくって来きました。」

太宰だざい治おさむ(だざいおさむ 1909-1948)は、日本にっぽんの作家さっかである。

村上むらかみ春樹はるきが選えらぶ「国民こくみん的てき作家さっか10人にん」のうちのひとりである。

概要がいよう

本名ほんみょうは津島つしま修治しゅうじ（つしましゅうじ）。青森あおもり県けん出身しゅっしんの小説しょうせつ家か。
坂口さかぐち安吾あんごなどと共ともに無む頼よりゆき派は、戯作げさく派はと称しょうされる。

その退廃たいはい的てきな生活せいかつばかりが注ちゅう目めされるがその圧倒的あっとうてきな才ざい能のうと日本にっぽん文学ぶんがく史しに残のこした影かげ響ひびきは否定ひていできるものではない。

ただ太宰だざい本人ほんにんはこんなイメージに反はんして軽かるいノリの良よいキャラだったらしい。

来歴らいれき

青森あおもり県けん金きむ木村きむら（現げん・五所川原ごしょがわら市し金木かなぎ町まち）出身しゅっしん。大地だいち主あるじ・津島つしま家いえの六ろく男なん（11人にんきょうだいの10番ばん目め）として生うまれる。津島つしま家いえは戦後せんご、GHQの農地のうち改革かいかくで土地とちを取とり上あげられ、その没ぼつ落をモチーフにしたのが代表だいひょう作さくの一ひとつ、『斜陽しゃよう』である。
地元じもとの名士めいしであった一族いちぞくからは町長ちょうちょうや議員ぎいんが何人なんにんも出でていて、太宰だざいの孫まご・津島つしま淳あつしも2012年ねんから衆議院しゅうぎいん議員ぎいんを務つとめている。

東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく文学部ぶんがくぶ仏ふつ文学ぶんがく科か除籍じょせき。
在籍ざいせき時じ、人妻ひとづまと心中しんちゅうのを図はかって海うみに身投みなげするが未遂みすいに終おわる。(相手あいては死亡しぼう)
その後ご作家さっかを目め指ゆびして井伏いぶせ鱒二ますじ(『黒くろい雨あめ』の作者さくしゃ)に師事しじする。

雑誌ざっし、同人どうじん誌しなどへの作品さくひん発表はっぴょうをを経へて第だい1回かい芥川賞あくたがわしょう候こう補ほに挙あがるが落選らくせん（後うしろで詳述しょうじゅつ）。この時ときの禍根かこんで選考せんこう委員いいんの佐藤さとう春はる夫おっとに暴露ばくろ話ばなしで絡からむ。
対たいする佐藤さとうは井伏いぶせ鱒二ますじと相談そうだんして薬くすり物もの中ちゅう毒どくと言いう口実こうじつで太宰だざいを精神病せいしんびょう院いん送おくりにする。

この間あいだ就職しゅうしょくに失敗しっぱいするなど他たの不運ふうんが続つづき、自殺じさつ未遂みすいを2度ど起おこしている。
また、処女しょじょ短たん編集へんしゅうとして『晩年ばんねん』という題名だいめいの本ほんを出版しゅっぱん。

戦時せんじ中ちゅう(日にち中ちゅう戦争せんそう含ふくむ)は『富嶽ふがく百ひゃく景けい』や『お伽とぎ草紙ぞうし』『走はしれメロス』等とう比ひ較的穏おだやかな内容ないようの作品さくひんを書かいている。
ちなみに真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきの一報いっぽうを聞きいた後のちの太宰だざいの感想かんそうが残のこっている。
以下いか引用いんよう。

「十二月じゅうにがつ八日ようか。…どこかのラジオが、はっきりと聞きこえてきた。
…しめ切きった雨戸あまどのすきまから、真まっ暗くらな私わたしの部ぶ屋やに、光ひかりのさし込こむように強つよくあざやかに聞きこえた。
…日本にっぽんも今朝けさから、違ちがう日本にっぽんになったのだ」

戦後せんご、退廃たいはい的てきな作さく風ふうへと変化へんかし、『斜陽しゃよう』『人間にんげん失格しっかく』といった没ぼつ後のちに太宰だざい文学ぶんがくの象ぞう徴しるしと見みなされる作品さくひんを書かく。

昭和しょうわ23年ねん(1948年ねん)女性じょせいと心中しんちゅうのを図はかり死亡しぼう。享年きょうねん39歳さい。

その作さく風ふうや生いき方かたから2ちゃんねるやニコニコ動画どうがのユーザー的てきな皮相ひそう的てきな目めから見みると中ちゅう二に病びょうの魁さきがけのような存在そんざいであったと言いえるのかも知しれない。もちろん文学ぶんがく的てき才ざい能のうや業績ぎょうせきは否定ひていされるべきではない事ことを付つけ加くわえておく。

芥川賞あくたがわしょう落選らくせんのゴタゴタ

前述ぜんじゅつの通とおり、昭和しょうわ10年ねん（1935年ねん）の第だい1回かい芥川賞あくたがわしょうで落選らくせんしているが、この時とき太宰だざいを憤いきどお激げきさせたのが、主あるじ催誌『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』に掲載けいさいされた川端かわばた康成やすなりの選評せんぴょうであった。以下いか引用いんよう。

作者さくしゃの生活せいかつや文学ぶんがく観かんを一いち杯はいに盛もっているが、私見しけんによれば、作者さくしゃ目め下したの生活せいかつに厭いやな雲くもありて、才ざい能のうの素直すなおに発はっせざる憾うらみあった。

始はじまったばかりの芥川賞あくたがわしょうは選考せんこう委員いいんごとの選評せんぴょうの長ながさにばらつきが大おおきく、受賞じゅしょう作さく（石川いしかわ達三たつぞう作さく「蒼あおい氓」）以外いがいにはコメントしなかった委員いいんもいた。結果けっかとして、はっきりと太宰だざいに否定ひてい的てきな意見いけんを載のせたのは川端かわばただけという形かたちになったのである。

これを見みて太宰だざいは、「川端かわばたは作品さくひんではなく、私わたし生活せいかつに文句もんくをつけて自分じぶんを落選らくせんさせた」と考かんがえ（素直すなおに読よめば「よくない生活せいかつをしているので作品さくひんに悪あく影かげ響ひびきが出でた」という作品さくひんに対たいする評価ひょうかのように思おもえるが、そうは受うけ取とらなかったらしい）、同おなじ文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうが出だしている『文ぶん藝げい通信つうしん』に川端かわばたを罵ののしる公おおやけ開ひらけ質問しつもん状じょうを出だした。以下いか引用いんよう。

「私わたしは憤怒ふんぬに燃もえた。幾いく夜よるも寝苦ねぐるしい思おもひをした。
小鳥ことりを飼ひ、舞踏ぶとうを見みるのがそんなに立だて派はな生活せいかつなのか。
刺さす、さうおもった。大だい悪党あくとうだと思おもった」

（なお、「小鳥ことりを飼かい、舞踏ぶとうを見みる」というのは川端かわばたの小説しょうせつ「禽獣しし」の主人公しゅじんこうを引ひき合あいに出だした当あてこすりである）

翌よく月つき号ごうには川端かわばたの回答かいとうが載のっており、「最初さいしょに全員ぜんいんの投票とうひょうがあり、『蒼あおい氓』に5票ひょう、他た作品さくひんは1票ひょうか2票ひょうだったので、自分じぶん一いち人にんの意見いけんで何なにかなるものではない」（大意たいい）として、太宰だざいの考かんがえる選考せんこう過程かていを「根ねも葉はもない妄想もうそうや邪推じゃすい」と断だんじつつも、選評せんぴょうで太宰だざいの生活せいかつに言及げんきゅうしたことについては「暴言ぼうげんであるならば取消とりけす」と述のべている。

この第だい1回かい芥川賞あくたがわしょうの選考せんこう前まえから第だい3回かいまでにかけて、太宰だざいは複数ふくすうの選考せんこう委員いいんに宛あてて「どうか芥川賞あくたがわしょうをください」という趣旨しゅしの手紙てがみを（時ときには数かずメートルの巻まき紙かみで）何なん度ども送おくっている。
芥川賞あくたがわしょう(というよりも芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ)に対たいしては相当そうとうな思おもい入いれがあったようである。
以下いか引用いんよう。

「佐藤さとうさん一ぴん人ひとがたのみでございます。私わたしは恩おんを知しって居おります。
私わたしはすぐれたる作品さくひんを書かきました。
これからもっともっとすぐれたる小説しょうせつを書かくことができます」（佐藤さとう春はる夫おっと宛あて書簡しょかん）
「何卒なにとぞ　私わたしに与あずかへてください。一点いってんの駆か引ございませぬ」
「私わたしを見殺みごろしにしないでください」（川端かわばた康やすし成なり宛あて書簡しょかん）

（川端かわばた宛あての手紙てがみは第だい1回かい芥川賞あくたがわしょうの翌年よくねんに出だされているので、その頃ころには恨うらみも落おち着ついたらしい）

しかし当時とうじの芥川賞あくたがわしょうは「いったん候こう補ほになって支持しじが集あつまらなかった作家さっかに次回じかい以降いこう受賞じゅしょうすべきではない」という決きまりがあったそうで、太宰だざいは候こう補ほになることもなかった。
消沈しょうちんする太宰だざいを、親おや友ともの檀だん一雄かずおは「芥川賞あくたがわしょうなんかもらわなくていい、直木賞なおきしょうを取とりにいったらどうだ」と言いって励はげましたそうだが、それも実現じつげんせず、逆ぎゃくに檀まゆみの方ほうが太宰だざいの没ぼつ後のちに直木賞なおきしょうを受賞じゅしょうしている。

代表だいひょう作さく

※ニコニコ大だい百科ひゃっか内うちに単語たんご記事きじがあるものは太字ふとじとした。

上記じょうきは現在げんざいパブリックドメインとなっており、青空あおぞら文庫ぶんこにてほぼ全すべて読よむ事ことが可か能のうである。

コロンビアの太宰だざい治おさむ

ハーツオブアイアン IIにおいて、コロンビアの閣僚かくりょうの画像がぞうをネットで探さがしていたParadoxの開発かいはつチームがコロンビアの総合そうごう参謀さんぼう総長そうちょう候こう補ほカミロ・ダーサ・アルバレス氏しの画像がぞうを検索けんさく中なかに名前なまえの表記ひょうきが近ちかいことで引ひっかかった太宰だざい治おさむの画像がぞうを精しらげ査せずに使つかっている。しかも、太宰だざい先生せんせいはIIIでも元気げんきに活動かつどうしておられるようである。

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