平安へいあん時代じだい単語たんご

• 概要がいよう
• 平安京へいあんきょう前史ぜんし
• 藤原ふじわら氏し北きた家かの台頭たいとうと他た氏しの没落ぼつらく
• 地方ちほう政治せいじの転換てんかんと武士ぶしの誕生たんじょう
• 院政いんせい
• 文化ぶんか・芸術げいじゅつ
• 関連かんれん項目こうもく
• 脚注きゃくちゅう
• 掲示板けいじばん

平安へいあん時代じだいとは、日本にっぽんの時代じだい区分くぶん。平安京へいあんきょう遷都せんと（794）から鎌倉かまくら幕府ばくふ成立せいりつ(1183,1185,1192)までを指ゆびす。

名前なまえの由来ゆらいは、都との置おかれた平安京へいあんきょうから。

概要がいよう

桓武かんむ天皇てんのうが都とを平ひらた城しろ京きょうから平安京へいあんきょうに移うつしたことに始はじまる（正確せいかくにはその間あいだに長岡京ながおかきょうがあるのだが）。当初とうしょは天皇てんのうたちによって律りつ令れい制せいの再建さいけんなどがもくろまれていったのだが、相次あいつぐ政争せいそうによって藤原ふじわら氏しや賜たまもの姓せい貴族きぞくといった貴族きぞくたちの伸長しんちょうが激げきしく、特とくに摂関せっかんをてことした藤原ふじわら氏し北きた家いえの爛熟らんじゅくは藤原ふじわら道長みちながで頂点ちょうてんへと至いたる。

一方いっぽう地方ちほうでは公おおやけ地ち公民こうみん制せいが崩壊ほうかいし、新あらたな土地とち制度せいど・荘園しょうえん制せいが成立せいりつする。一方いっぽう国司こくし制度せいども次第しだいに成功せいこう（じょうごう）、重任じゅうにんが盛さかんとなり受領じゅりょうが登場とうじょうする。こうして地方ちほうに下くだっていった都との中級ちゅうきゅう公家くげたちは在庁ざいちょう官かん人じんを組織そしきし、その中なかから蝦えび夷えびす由来ゆらいの武芸ぶげいを身みに着つける軍事ぐんじ貴族きぞくが登場とうじょうし、武士ぶし団だんが成立せいりつしていく。

やがて11世紀せいきになると院政いんせいが開始かいしされ、それに伴ともなう相次あいつぐ政争せいそうの結果けっか、保ほ元もとの乱らん、平治へいじの乱らん、治ち承うけたまわ・寿ことぶき永ひさしの乱らんが勃発ぼっぱつし、東ひがし国くにに成立せいりつした源みなもと頼朝よりともによる鎌倉かまくら幕府ばくふによって、都とと幕府ばくふが相互そうご補ほ完かんしていく中世ちゅうせい・鎌倉かまくら時代ときよへと移うつっていくのである。

平安京へいあんきょう前史ぜんし

奈良なら時代じだい、称しょう徳とく天皇てんのうの死しによって天皇てんのう位くらいにつける天てん武たけ天皇てんのう系けいの皇族こうぞくが断絶だんぜつしてしまい、天てん武たけ天皇てんのう系けいの井上いのうえ内うち親おや王おうの夫おっとである天智天皇てんぢてんのう系けいの光ひかり仁ひとし天皇てんのうが即位そくいしたことがすべての始はじまりとなる。

本来ほんらいなら光ひかり仁ひとし天皇てんのうを中継なかつぎとし、二人ふたりの間あいだに生うまれた他た戸と親おや王おうを即位そくいさせ、天てん武たけ天皇てんのう系けいの天皇てんのうの復活ふっかつが目め指ゆびされていたのだが、宝たから亀かめ3年ねん（772年とし）に井上いのうえ内うち親おや王おうと他た戸と親おや王おうは陰謀いんぼうの咎とがめで廃はい位くらい。渡来とらい人じん百ひゃく済すみ王おう氏しから迎むかえた高野たかの新しん笠かさとの間あいだに生うまれた桓武かんむ天皇てんのうが立太子りったいしされ、天皇てんのうに即位そくいしたのである。

桓武かんむ天皇てんのうはそれまで大和やまとにあった都と、平ひらた城しろ京きょうから母はは方かたの百ひゃく済すみ王おう氏しが拠点きょてんとしていた河内かわうちの交野かたのにより近ちかい、山やま城しろの長岡京ながおかきょうへ遷都せんとをもくろみ、傍流ぼうりゅうゆえの弱体じゃくたいな基盤きばんを克かつ服ふくしようとする。ところが長岡京ながおかきょうは藤原ふじわら種たね継つぎ暗殺あんさつ事件じけんなどで未完みかんのまま破棄はきされることとなり、改あらためて山やま城しろに平安京へいあんきょうが作つくられ、遷都せんとされることになったのであった。

藤原ふじわら氏し北きた家かの台頭たいとうと他た氏しの没落ぼつらく

桓武かんむ天皇てんのう亡なき後あとに起おこったのが、平城ひらじろ天皇てんのうと嵯峨さが天皇てんのうの兄弟きょうだいの対立たいりつである。この争あらそいは、大同だいどう5年ねん（810年とし）の平ひらた城しろ太ふと上じょう天皇てんのうの変へん（薬くすり子この変へん）によって藤原ふじわら氏し式しき家いえの没ぼつ落おとともに、嵯峨さが天皇てんのうの勝利しょうりに終おわる。

つづく承うけたまわ和わ9年ねん（842年ねん）に承うけたまわ和わの変へんが起おき、淳あつし和わ天皇てんのうの皇太子こうたいし・恒貞つねさだ親おや王おう派はの伴健岑とものこわみね・橘たちばな逸いっ勢ぜいらが失脚しっきゃくし、天皇てんのう位くらいも嵯峨さが天皇てんのう系けいの仁明にんみょう天皇てんのうに移うつる。この仁明にんみょう天皇てんのうには藤原ふじわら氏し北きた家いえの順子じゅんこが嫁よめいでおりその兄あに、藤原ふじわら良りょう房ぼうが台頭たいとう。その後ご良りょう房ぼうは太政大臣だじょうだいじんに就任しゅうにんし、さらには事実じじつ上うえの摂政せっしょうになり、藤原ふじわら氏し北きた家いえの優位ゆういが確立かくりつされたのである。

そして貞さだ観かん8年ねん（866年ねん）応おう天てん門もんの変へんが起おこる。大納言だいなごん・伴ばん善男よしおが応おう天てん門もんに放火ほうかしようとしたとするこの政変せいへんは未いまだに謎なぞが多おおいが、これをきっかけとして藤原ふじわら良りょう房ぼうは名実めいじつともに摂政せっしょうに就任しゅうにんする。

元もと慶けい8年ねん（884年ねん）には藤原ふじわら良りょう房ぼうの甥おいで養子ようしとなっていた藤原ふじわら基もと経けいが、事実じじつ上うえの関白かんぱくとなる。ついで仁和にわ3年ねん（887年ねん）に阿おもね衡の紛議ふんぎが起おき、橘たちばな広こう相そうの追放ついほうとともに関白かんぱくの政治せいじ的てき地位ちいが確立かくりつするのである。

しかし寛ひろし平ひらた3年ねん（891年ねん）より宇多天皇うだてんのうによる親おや政せい・寛ひろし平ひらたの治ちが行おこなわれ、菅原すがわら道真みちざねなどが取とり立たててられ、藤原ふじわら氏し北きた家いえの勢いきおい力ちからは一時いちじ的てきに後退こうたいする。それは醍醐だいご天皇てんのうによる延喜えんぎの治ちでも変かわらなかったが、昌あきら泰たい4年ねん（901年ねん）の昌あきら泰たいの変へんで道真みちざねは失脚しっきゃく。延長えんちょう8年ねん（930年ねん）の藤原ふじわら忠ただし平ひらたの摂政せっしょう就任しゅうにんで再度さいど藤原ふじわら氏し北きた家いえの勢いきおい力ちからが拡張ちょうしたのだった。

その後ご、村上むらかみ天皇てんのうによる天てん暦こよみの治ちをはさみ、安和あわ2年ねん（969年ねん）の安和あわの変へんで醍醐だいご源みなもと氏しの源みなもと高こう明あきらが失脚しっきゃくすると同時どうじに、摂政せっしょう・関白かんぱくが常置じょうちされ、藤原ふじわら忠ただし平ひらたの子孫しそんが継承けいしょうしていくことが確立かくりつする。以後いごは藤原ふじわら兼けん通どおり、藤原ふじわら兼けん家かの争あらそいや、藤原ふじわら道長みちなが、藤原ふじわら伊い周しゅうの争あらそいなど、藤原ふじわら氏し北きた家いえ内うちの摂関せっかんをめぐる争あらそいに移うつっていき、藤原ふじわら道長みちなが・藤原ふじわら頼通よりみち父ちち子この代だいに摂関せっかん政治せいじは頂点ちょうてんを迎むかえるのである。

地方ちほう政治せいじの転換てんかんと武士ぶしの誕生たんじょう

平安へいあん時代じだい初期しょきは、律りつ令れい政治せいじの理想りそうである班はん田制たせいの回復かいふくがまだ目め指ゆびされていた。しかし、政府せいふは政策せいさくを転換てんかんし、国司こくしは事実じじつ上うえの徴税ちょうぜい請負人うけおいにんと化かすのである。その結果けっか国司こくしの地位ちいは利権りけん化かし、収奪しゅうだつが激げき化かしていく。やがて徴税ちょうぜい請負人うけおいにんの国くに守まもりは受領じゅりょうと呼よばれるようになり、国司こくしの成功せいこう・重任じゅうにんが盛さかんになる。

一方いっぽう耕作こうさく請負人うけおいにんである田た堵とに名な（田た）の経営けいえいを請うけ負おわせる負まけ名めい体制たいせいが確立かくりつすると、有ゆう力ちから農民のうみんが開発かいはつ領りょう主あるじとして成長せいちょうする。その結果けっか開発かいはつ領りょう主あるじが中央ちゅうおうの権けん力ちから者ものに、自分じぶんが開発かいはつした田たを寄進きしんする、寄進きしん地ち系けい荘園しょうえん（免田めんだ型かた荘園しょうえん）が成立せいりつし発展はってんしていくのである。

さらに蝦えび夷えびす由来ゆらいの武術ぶじゅつが伝つたわり、中央ちゅうおうでは武芸ぶげいを身みに着つけた中流ちゅうりゅうの貴族きぞくが誕生たんじょうする。彼かれらは押領使しや追つい捕と使つかい、下級かきゅう国司こくしとして治安ちあんが悪化あっかする地方ちほうに下向げこうしていく。こうした貴族きぞくは地方ちほうで武装ぶそう有ゆう力ちから農民のうみんと結むすびつき、一部いちぶは土着どちゃく。承うけたまわ平ひらた・天てん慶けいの乱らん以後いごは平ひらた定じょう者しゃの血筋ちすじにあたる清和せいわ源はじめ氏し、桓武かんむ平たいら氏し、秀しゅう郷きょう流りゅう藤原ふじわら氏しといった軍事ぐんじ貴族きぞくが、あるものは中央ちゅうおうで摂関せっかんに奉仕ほうしし、あるものは地方ちほうで在庁ざいちょう官かん人じん化かして武士ぶし団だんを組織そしきする。こうして次第しだいに武士ぶし勢いきおい力ちからが伸長しんちょうし、院政いんせい期きへと至いたっていくのである。

院政いんせい

やがて摂関せっかん家いえを外戚がいせきとしない後のち三条さんじょう天皇てんのうが即位そくいすると、久ひさしく行おこなわれていなかった、天皇てんのうによる親おや政せいが行おこなわれる。その後ご彼かれを受うけ継ついだ、白河しらかわ・鳥羽とば・後のち白河しらかわの三さん代だいにわたり院政いんせいが行おこなわれるのである。

彼かれらは摂関せっかん家いえを抑おさえた後のち三条さんじょう天皇てんのうの親おや政せいを継承けいしょうし、院宣いんぜんによって上皇じょうこうによる専制せんせい的てき政治せいじを展開てんかい。また知行ちぎょう国こく制度せいどが拡大かくだいして、大だい国くに受領じゅりょう型かた院いん近臣きんしんらによって院いんの財政ざいせい基盤きばんが支ささえられ、官僚かんりょう型かた院いん近臣きんしんによって政務せいむも運営うんえいされていく。荘園しょうえんも整理せいりされ、領域りょういき型かた荘園しょうえんが確立かくりつ。荘園しょうえん公おおやけ領りょう制せいが成立せいりつする。

一方いっぽうこれまで摂関せっかんのみに奉仕ほうししていた軍事ぐんじ貴族きぞくたちが北面ほくめんの武士ぶしとして院いんに取とり立たててられ、彼かれらの官位かんいも次第しだいに引ひき上あげられていく。結果けっか摂関せっかんの没ぼつ落おと同調どうちょうした清和せいわ源はじめ氏しのうちの義よし家いえ流ながれ河内かわうち源みなもと氏しの没ぼつ落に反はんして、桓武かんむ平たいら氏しの平ひらた正せい盛もり、平ひらた忠盛ただもり、平清盛たいらのきよもりら3代だいは官位かんいを上昇じょうしょう。ついには院いん近臣きんしんの一流いちりゅうと化かすのである。

さらに皇位こういをめぐった保ほ元もとの乱らん、保ほ元もとの乱らん後ごの信西しんぜい一門いちもんの台頭たいとうに反発はんぱつした平治へいじの乱らんの結果けっか、朝廷ちょうていが空そら洞ほらとなり、平清盛たいらのきよもり率ひきいる平家ひらかがその隙間すきまを埋うめていったのである。その結果けっか平たいら氏し政権せいけんが成立せいりつするのだが、やがて治ち承うけたまわ・寿ことぶき永ひさしの乱らん、つまり源平げんぺい合戦かっせんが起おき、鎌倉かまくら時代ときよへと移うつっていくのである。

文化ぶんか・芸術げいじゅつ

奈良なら時代じだいまでは中国ちゅうごくの進すすんだ文化ぶんかである唐とう風ふう文化ぶんかが良いしとされていたが、平ひらた安中あんなか期きには唐とうの衰退すいたい、滅亡めつぼうなどにより国くに風化ふうかの流ながれが大おおきくなり、所謂いわゆる和風わふうが大おおきく花はな開ひらいた時代じだいになる。日本語にほんご表記ひょうきであるひらがな、カタカナが生うみ出だされ、現代げんだいの和風わふう住宅じゅうたくへの流ながれを作つくる寝ね殿しんがり造みやつこが始はじまったのもこの頃ころである。

特とくに文学ぶんがくは大おおきな発展はってんを見みせ、源氏物語げんじものがたりを書かいた紫式部むらさきしきぶや土佐とさ日記にっきを書かいた紀貫之きのつらゆきなど現代げんだいの目めから見みても立だて派はなオタクが活躍かつやくした時期じきでもある。

関連かんれん項目こうもく

歴史れきし 日本にっぽん史し 奈良なら時代じだい 鎌倉かまくら時代ときよ 平安京へいあんきょう 関白かんぱく 源みなもと氏し 平たいら氏し 武士ぶし 検非違使けびいし 滝口たきぐちの武者むしゃ 院いん近臣きんしん 北面ほくめん 西にし面めん

前ぜん九きゅう年ねん合戦かっせん 後こう三さん年ねん合戦かっせん 保ほ元もとの乱らん 平治へいじの乱らん 治ち承うけたまわ・寿ことぶき永ひさしの乱らん 新撰しんせん姓氏せいし録ろく 日本にっぽん後ご紀き 竹たけ取と物語ものがたり[1] 伊勢物語いせものがたり 源氏物語げんじものがたり 六歌仙ろっかせん 信貴山しぎさん縁起えんぎ

平安へいあん時代じだいを舞台ぶたいとする創作そうさく作品さくひん

小説しょうせつ 羅生門らしょうもん 藪やぶの中なか	ドラマ 義経よしつね（大河たいがドラマ） 平清盛たいらのきよもり（大河たいがドラマ） 光ひかる君きみへ	漫画まんが アシュラ 暴あばれん坊ぼう少納言しょうなごん
アニメ 牙きば狼おおかみ -紅蓮ぐれんノ月つき-	ゲーム 俺おれの屍かばねを越こえてゆけ 九きゅう怨 夢ゆめの浮橋うきはし〜新釈しんしゃく源氏物語げんじものがたり〜

脚注きゃくちゅう

1. *作中さくちゅうの時代じだい設定せっていは奈良なら時代じだい

関連かんれん記事きじ

子こ記事きじ

• 治ち承うけたまわ・寿ことぶき永ひさしの乱らん

兄弟きょうだい記事きじ

• なし