東急8500系とは、1975年に登場し、2023年1月に引退した東急電鉄の通勤型電車である。
概要
当初、東急では当時建設が進められていた新玉川線向けに、当初は8000系を導入する方向で調整を進めていた。
ところが、営団半蔵門線との直通運転にあたって、営団と直通車両の規格が制定され、その規格に合わせるため、8000系を改良することになった。これが8500系である。
車両は8000系がベースのオールステンレス製20m4扉のオールロングシート車である。また、運転台は8500系より150mm高い高運転台仕様となっている。13次車からは8090系の構造を踏襲した軽量ステンレス鋼体で製造されている(側面見付は在来車に合わせてコルゲート付きのストレート外板となっている)。
主な改良点は前面に車両識別のための赤帯の張付、機器取り扱いの変更や電動車比率(10両編成時8M2T)の向上である。また、中間に誘導無線アンテナを設置するための付随車を設けるために先頭車は制御電動車になっている。
なお、本形式は8000系のマイナーチェンジ車であるため、形式区分上は8000系とされる事が多い。
1976年には通勤型電車として技術的に集大成された車両として鉄道友の会からローレル賞を受賞している。
当初は8000系の先頭車が編成中間の付随車の代替として入ったり、8000系の電動車ユニットを組み込んだ編成が存在したり(反対に8000系に8500系の電動車ユニットが差し込まれた編成も存在した)したが、いずれも全て解消されている。
製造から一貫して田園都市線・新玉川線で運用され、地下鉄半蔵門線にも直通して運用された他、一部編成は東横線にも配属され運用についていた時期もあった。
本系列についても製造開始から20年程度が経過した時期に7700系などと同じくVVVFインバータ制御化を含む更新工事が検討され、8637Fのデハ8799・0802の2両が試作改造されたが、結局費用対効果の面で疑問符がつきそれ以降の改造は見送られている。
また、8642Fを東横線から田園都市線に転属させるために製造した最終増備車デハ0718・0818の2両もVVVF制御車で製造され、前述した8799・0802の2両も編成差し替えで8642Fに組み込まれたため、8642Fは2種類のインバータと界磁チョッパ、都合3種類の制御装置が搭載される事となった。
田園都市線車両の運用範囲拡大や輸送力増強に伴い、10両編成38本、5両編成4本の計400両が製造され、東急の最多形式となった。
2019年移行2020系が導入され廃車が進み、2023年1月に全編成が引退した。
デハ8700・8800形の車両番号
デハ8700・8800形は100両以上が製造され、それぞれ番号が8799・8899まで埋まってしまった。
また、東急の車両番号はコンピュータで管理されており、そのプログラミングの都合上4桁までしか対応できなく、東武8000系のように「87100」「88100」とすることは不可能であった。
そこで、千の位を空き番の「0」に読み替えることによって解決した。そのため、8799の次は0700、0701と続いていき、8899の次は0800、0801と車両番号が付番された。
運用
長らく田園都市線の主力として君臨してきたが、流石に老朽化は隠せず、2020系によって置き換えが進み、2022年10月末をもって、東武伊勢崎線、東武日光線直通運用から撤退。2023年1月25日、ファンに惜しまれながら引退を迎えた。
なお、最後の幕車として人気だった8606Fは2両が東急テクノシステムに保存されている他、1両が民間で保存されることになっている。
譲渡
東急で廃車になった車両は長野電鉄・秩父鉄道・インドネシのジャボタベック鉄道に譲渡されたほか、伊豆急8000系も1両のみ8500系が元となっている。
長野電鉄には3連6本が譲渡された。引き続き8500系を名乗り、塗装も東急時代とは変わっていないことから比較的原型をよく保っている。ただし、1編成は中間車を先頭車に改造した車両であるため、この車両は原型と大きく変わっている。
秩父鉄道にも3連2本が譲渡され、7000系を名乗っている。1本は先頭車化改造編成である。
インドネシア・ジャボタベック鉄道には8連8本が譲渡され、主に急行やエコノミーAC(冷房付き各駅停車)で運行されている。塗装は奇抜なものに変更されているが東急時代の原型を保っている車両が多く、行先方向幕も日本時代のままの車両がある。そのため、インドネシアに普通に「中央林間」や「清澄白河」といった表示を掲げた電車が走っている。
関連動画
東急線内で活躍中の東急8500系。
譲渡先で活躍する元東急8500系。
JABOTABEKの8500系 長野電鉄の8500系
秩父鉄道の8500系改め7000系
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