F-X単語たんご

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• 第だい4次じF-X
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F-Xとは、航空こうくう自衛隊じえいたい次期じき主あるじ力ちから戦闘せんとう機き導入どうにゅう計画けいかく、あるいはそれによって導入どうにゅうされる次期じき戦闘せんとう機きの仮称かしょうを指ゆびす。過去かこにあったF-4EJやF-15J/DJの導入どうにゅうの一連いちれんの出来事できごとも第だい○次じF-Xと表あらわすことがあるが、本ほん項こう目めでは主あるじに第だい4次じF-Xについて記述きじゅつしている。

第だい1次じ～3次じF-X

第だい1次じF-Xでは昭和しょうわ34年ねん11月に国くに防ぼう会議かいぎは次期じき主あるじ力ちから戦闘せんとう機きとしてロッキードF-104を採用さいようすることを決定けってい。一いち度どはグラマンF11F-1Fスーパー・タイガーに内定ないていしていたものの白紙はくしに戻もどした末すえの決定けっていだった。第だい2次じF-Xでは昭和しょうわ43年ねん11月、航空こうくう自衛隊じえいたいはF-104Jの後継こうけい主あるじ力ちから戦闘せんとう機きとしてマクダネル・ダグラスF-4EJの採用さいようを決定けっていした。^[1]

第だい3次じF-X…F-15を採用さいよう。→ F-15J

第だい4次じF-X

※第だい4次じF-XはF-35で決定けっていしているため、下記かきの様々さまざまな議論ぎろんのうちいくつかは時代遅じだいおくれ・無む意味いみ化かしていることに注意ちゅういしていただきたい。

中期ちゅうき防衛ぼうえい力ちから整備せいび計画けいかく（平成へいせい17年ねん度ど～平成へいせい21年ねん度ど）において「F-4の後継こうけい機きを新あらたに整備せいびする」とされたことを受うけ、防衛ぼうえい省しょうは次期じき戦闘せんとう機きの選定せんてい作業さぎょうを本格ほんかく化か、調しらべ査対たい象ぞう機種きしゅとしてF-22、F-35、F-15FX、F/A-18E/F、ユーロファイター・タイフーン、ラファールを選えらび、2006年ねん3月がつまでにそれぞれのメーカー所在しょざい国くに政府せいふに対たいし質問しつもん状じょうを送付そうふ、F-22については一切いっさい回答かいとうを得えられなかったが、それ以外いがいの機種きしゅについては回答かいとうを得えた。海外かいがい調しらべ査等ひとしも行おこなったが、必かならずしも十分じゅうぶんな情報じょうほうを得えられなかった、として、17中期ちゅうき防ぼうでの7機きの次期じき戦闘せんとう機きの取得しゅとくを見送みおくった。^[2]

その後ご2010年ねんより再ふたたび調ちょう査・情報じょうほう収集しゅうしゅうを開始かいし、F-4の減げん勢ぜいも踏ふまえ、2011年ねん4月がつに提案ていあん要よう求もとむ書しょを発出はっしゅつ、締しめ切きり日びにF/A-18E及およびF-35を提案ていあん機種きしゅとするアメリカ政府せいふ、タイフーンを提案ていあん機種きしゅとするイギリス政府せいふから提案ていあん書しょを受領じゅりょう、提案ていあん書しょを分析ぶんせき・評価ひょうかし、2011年ねん12月にF-35Aを42機きを取得しゅとくすることが決定けっていした。^[3]

計画けいかくと問題もんだい

日本にっぽんの戦闘せんとう機きに求もとめられる条件じょうけん

自衛隊じえいたいには、憲法けんぽうの縛しばりから専守防衛せんしゅぼうえいという名な目めが存在そんざいするため、基本きほん的てきに先制せんせい攻撃こうげきは不可能ふかのうである。よって、相手あいてが攻せめてきたら立たち向むかうという防ぼう空そら戦闘せんとうが主あるじ体からだとなる。
基本きほん的てきに攻せめるほうが主あるじ導しるべ権けんを握にぎり、守まもる側がわは不利ふりになる、と言いわれる防ぼう空そら戦闘せんとうで、なおかつ配備はいび機き数すうの差さが大おおきい仮想かそう敵てき国くになどを想定そうていすると、少々しょうしょうの劣勢れっせいなど乗のり越こえるだけの戦闘せんとう能のう力ちからが必要ひつようになる。

つまり日本にっぽんの主あるじ力ちから戦闘せんとう機きの条件じょうけんを満みたすのは、その当時とうじの西側にしがわ諸国しょこくで最強さいきょうレベルの戦闘せんとう機きである。
よって、いままでのF-X計画けいかくではF-104、F-4EJ、F-15Jと、その当時とうじ最さい新鋭しんえいの機体きたいを導入どうにゅうして対応たいおうしてきた経緯けいいがある。

80年代ねんだいにF-XとしてF-15が決定けっていしたことで制せい空そら戦闘せんとう機きとして最強さいきょうレベルの戦闘せんとう機きを手てに入いれられた日本にっぽんは、90年代ねんだい末すえから精せい力ちから的てきに周辺しゅうへんの装備そうび開発かいはつや導入どうにゅうなどに邁進まいしん。対空たいくうミサイルAAM-4、AAM-5など様々さまざまな新しん兵器へいきを備そなえ、AWACS(E-767)や空中くうちゅう給油きゅうゆ機き(KC-767J)まで導入どうにゅうするに至いたった。

だが、2000年代ねんだい後半こうはん、航空こうくう自衛隊じえいたいには様々さまざまな状況じょうきょうの変化へんかも訪おとずれている。

世界せかい情勢じょうせいの変化へんかによる影響えいきょう

長ながく続つづいた不ふ景けい気きの影かげ響ひびきやMD(BMD)予算よさんのため正面しょうめん装備そうび予算よさんが削けずられ戦闘せんとう機き数かずも減へることが決きまっている一方いっぽう、中国ちゅうごくなど極東きょくとう地域ちいきの軍備ぐんび増強ぞうきょうの動うごきは止とまらずSu-27を含ふくめたロシア製せい最さい新鋭しんえい機きを配備はいびしだすという状況じょうきょうに。
と、同時どうじに、尖閣諸島せんかくしょとう問題もんだいなど、それまで安寧あんねいだった沖縄おきなわ方面ほうめんが一気いっきにきな臭くさいものとなってきた。

それまで主あるじ力ちから戦闘せんとう機きとして第だい1線せんで運用うんようしていたF-15も性せい能のうでは絶対ぜったいといえるものではなくりつつあり、MSIPと呼よばれるといわれる内部ないぶ改良かいりょうで形態けいたい1型かた、形態けいたい2型かたという内部ないぶアップデートを繰くり返かえしていたが、まだ数多かずおおい非ひMSIP型かた機体きたいの取扱とりあつかいが難むずかしくなってきた。何なにしろ非ひMSIP機きでは航空こうくう自衛隊じえいたいの切きり札ふだでもあるAAM-4/5（AMRAAMとAIM-9Xに相当そうとうする）が運用うんようできないという事情じじょうもある。

防衛ぼうえい費ひが削減さくげんされる中なか、導入どうにゅう機き数すうは少すくなくても航空こうくう戦せん力ちからにおいては他た国くにを圧倒あっとうできうるだけの機体きたいが必要ひつよう。
また戦闘せんとう機き数かずの稼働かどう率りつを高たかめたいという国くに内うち事情じじょうのためにも、できればライセンス生産せいさんなど高度こうどな修理しゅうり能のう力ちからが欲ほしいなど、少すくない予算よさん、配備はいび数すうでどうやってこれを実現じつげんするかという問題もんだいが第だい4次じF-X計画けいかくの最大さいだいの問題もんだいでもある。

が、実際じっさいに立たちはだかる問題もんだいは、これらに留とまらない。

問題もんだい1.　国内こくない主導しゅどう派はの不在ふざいと混乱こんらん

実じつは日本にっぽんの歴代れきだいのF-X計画けいかくは意外いがいと揉もめるケースが多おおく、第だい1次じF-X計画けいかくからして国くに内うちの政治せいじ家かの汚職おしょく問題もんだいやらなにやらで紛糾ふんきゅうしていた過去かこがある。

例たとえばF-104の導入どうにゅうも、F-104の予定よていがF-11Fタイガーにひっくり返かえって決きまったと思おもったら直前ちょくぜんで差さし戻もどされ、某ぼう海軍かいぐん航空こうくう隊たい出での航空こうくう幕僚ばくりょう長ちょうの鶴づるの一いち声こえでやっぱりF-104になったりしている。
第だい2次じ、第だい3次じにおいても、よからぬ話はなしが飛とび交かっていたが、国くに内うちの政治せいじ家かあるいは航空こうくう自衛隊じえいたいの一いち派は(戦闘せんとう機き至上しじょう主あるじ義ぎ者しゃ…つまり、戦闘せんとう機きマフィアと呼よばれる存在そんざい)が強つよ烈れつにプッシュした機体きたいがあったので決着けっちゃくしたという経緯けいいがある。
ところが、F-X前まえのFS-X計画けいかく(F-2)の際さいの日ひ米べい間あいだの政治せいじ問題もんだい化かなどのゴタゴタが忘わすれられないのか、こと第だい4次じF-X計画けいかくにおいて表立おもてだって音頭おんどをとるものが誰だれも出でないという体ていたらくである。

かといって、当とうの航空こうくう自衛隊じえいたい内うちでもコンセンサスがとれていない始末しまつであり、戦闘せんとう機きマフィアとそれ以外いがいの派は閥ばつ(FI派はとか輸送ゆそうとか)で衝突しょうとつがある。

つまり、空自くうじ内部ないぶで意見いけんの統一とういつが成なされていない、しかしその一方いっぽうで責任せきにんを回避かいひしようとする余あまり音頭おんどをとる派は閥ばつもない、という八方塞はっぽうふさがりの状況じょうきょうにあるといえる。

問題もんだい2.　導入どうにゅう方法ほうほうのジレンマ

歴代れきだいF-Xに選えらばれた機体きたいは、日本にっぽんでのライセンス生産せいさん(つまり、国くに内うちでの代理だいり生産せいさん)が認みとめられていた。

だが次つぎのF-Xはその配備はいび数すうがおそらく2個こ飛行ひこう隊たい程度ていど(36機き＋αあるふぁ？おそらく40機き前後ぜんこう)になるという観測かんそくもあり、この配備はいび数すうではライセンス生産せいさんは認みとめられない可か能のう性せいがあることも足あしを引ひっ張ちょうる原因げんいんとなっている。

ライセンス生産せいさんが認みとめられない場合ばあいの導入どうにゅうとなると、アメリカ議会ぎかい承認しょうにんによるFMS(対外たいがい有償ゆうしょう軍事ぐんじ援助えんじょ)扱あつかいの提供ていきょうになる場合ばあいが多おおく、そうなると大だい型かた整備せいびの度たびに面倒めんどうが生しょうじる。
アメリカ議会ぎかいの承認しょうにんを含ふくむ複雑ふくざつな手続てつづきがあるため、部品ぶひんの提供ていきょうにも手間取てまどるという事例じれいも多おおく、少すくない機き数すうの稼働かどう率りつを上あげることで仮想かそう敵てきに対峙たいじすることを考かんがえる航空こうくう自衛隊じえいたいとしては心底しんそこ悩なやましい問題もんだいである。

※実際じっさいにE-2CはFMSによる提供ていきょうだが、機体きたい装備そうび品ひんの提供ていきょうが滞とどこおり、整備せいび担当たんとう者しゃにとっての悪夢あくむである共食ともぐい整備せいびが行おこなわれているという話はなしもある。当然とうぜん稼働かどう率りつも落おちる原因げんいんともなる。他た国くにの一いち例れいとして、韓国かんこく空軍くうぐんのF-15Kがまだライセンス生産せいさんを行おこなっていなかった頃ころ、マンホールが陥おちい没ぼつして主あるじ翼つばさが破損はそんした際さいに自じ国くにで修理しゅうりできず、本ほん国くにへ船ふね便びんで送おくって修理しゅうりせざるを得えなかった事例じれいが有名ゆうめいであろうか。

従来じゅうらいの日本にっぽんのライセンス生産せいさんにおいては、アメリカからのブラックボックス化かされた部品ぶひんを嫌きらって大抵たいていの部品ぶひんを国くに産さんで賄まかなう、と言いう経緯けいいを経へる事ことで国くに内うち技術ぎじゅつが発展はってんし、部品ぶひんの更新こうしんも容易よういに行いってきた。自衛隊じえいたいのみならず、国くに内うちメーカー、ひいては日本にっぽん全体ぜんたいの航空こうくう技術ぎじゅつの発展はってんにも繋つながることである。
現げんにF-15はMSIP(多た段階だんかい改良かいりょう)計画けいかくに基もとづいて形態けいたい1型かた、形態けいたい2型かたと発展はってんしており、外観がいかんは一緒いっしょでも中身なかみは別物べつものというシロモノで、それによって様々さまざまな装備そうび品ひんの搭載とうさいが可か能のうになっていた。

これがFMSになると、これまでライセンス生産せいさんを担当たんとうしていたメーカーも技術ぎじゅつ者しゃが不在ふざいとなる、整備せいび能のう力ちからが落おちる（お隣となりの国くにでは大だい規模きぼ分解ぶんかい整備せいびの場合ばあい、わざわざ国くに外そとから技術ぎじゅつ者しゃ呼よぶ場合ばあいもある)、挙句あげくには利益りえきが生うまれない、という最悪さいあくの状態じょうたいに陥おちいる。
そうなれば、メーカーの利益りえき誘導ゆうどうによる恩恵おんけいが受うけられるはずの政治せいじ家かも音頭おんどをとりづらくなる……と、多重たじゅうに問題もんだいが起おこっていくことになる。

事実じじつ、防衛ぼうえい省しょうと国くに内うちメーカーとの懇こん親おや会かいのヒアリング内容ないようが公おおやけ開ひらくされていて、今後こんご5年ねん以内いないに戦闘せんとう機きの国くに内うち生産せいさんが開始かいしされないと、現行げんこうの技術ぎじゅつ者しゃ・熟練じゅくれん技わざ能のう工こうが流失りゅうしつあるいは定年ていねん退職たいしょくで失うしなわれ、開発かいはつ能のう力ちからや維持いじ能のう力ちからすら失うしなわれかねないという危機きき的てきな状況じょうきょうであることが明あきらかにされている。ちなみにF-2の生産せいさんに携たずさわったメーカーももう防衛ぼうえい産業さんぎょうから足あしを洗あらったところがあるとか…。タイムリミットは迫せまっているのも事実じじつなのだ。
http://www.mod.go.jp/j/delibe/sentouki/sonota/index.html

問題もんだい3.　国産こくさん兵へい装そうのインテグレーション・改良かいりょう問題もんだい

よくスペック至上しじょう主あるじ義ぎのオタク(酷ひどいときには軍事ぐんじ評論ひょうろん家かの手合てあいも)などが、「あの兵器へいきを買かえば日本にっぽんは強つよくなる」などと言いうときがあるが物事ものごとはそんなに簡単かんたんには進すすまない。

そこには大おおきい問題もんだいが立たちふさがることが多おおかったりするのだ。

複雑ふくざつなシステムの集合しゅうごう体からだである兵器へいきをさらに上位じょういのその国くにでの軍事ぐんじシステムに合致がっちさせるという作業さぎょうは、小しょうは工具こうぐの取とり扱あつかい方法ほうほうから様々さまざまな問題もんだいを一いち歩ほずつ解決かいけつしていく必要ひつようがある。これを総そうじてSystem Integration(システムインテグレーション)と呼よぶ。

システムインテグレーションとは

わかりやすく書かくと、例たとえばこれを読よんでいるアナタがデスクトップ型かたのWindowsPCを使つかっていたとする。そこへ別居べっきょしてきた妹いもうとがパソコンを持もち込こんで住すむことになった。この時とき生しょうじる技術ぎじゅつ的てきな問題もんだいである。
それまで自室じしつまで引ひいていたLANケーブルを妹いもうとの部屋へやに引ひかねばならない。あるいは妹いもうとはケーブルが嫌いやだとごねるので無線むせんLANのルーターを購入こうにゅうするかもしれない。そもそも妹いもうとはWindowsではなくMacを使つかっていたとしたら？次つぎにプリンタは？　などなど。

パソコン1台だい追加ついかするにしてもこの始末しまつなので、これが何なん億おくもする複雑ふくざつ極きわまりない兵器へいきの場合ばあい、クリアしなければならない問題もんだいの大おおきさに眩暈げんうんがすることはわかってもらえると思おもう。

アメリカでのF-22への新しん型かた対空たいくうミサイル搭載とうさいの際さいなどにこの問題もんだいが重大じゅうだい化かしている。AMRAAMと呼よばれるミサイルを搭載とうさいしようとしたところ、ウェポンベイ=格納庫かくのうこに収容しゅうようできなかったのだ。

F-22やF-35が日本にっぽんにきたとしても、機体きたい内ないのウェポンベイに日本にっぽんが独自どくじに開発かいはつしている航空機こうくうき用ようミサイルが搭載とうさいできない。となると、ミサイルを新規しんきに購入こうにゅうすべきか作つくるべきかの問題もんだいが発生はっせいする。
購入こうにゅう先さきの要望ようぼうとしては開発かいはつ国くにのミサイルを購入こうにゅうしてもらいたいし、日本にっぽん独自どくじの兵へい装そうを組くみ込こむのはシステムインテグレーションの問題もんだいから厄介やっかいごとを背負しょい込こむのでメーカーも嫌いやがる、あるいは足元あしもとを見みて高値たかねで売うりつけられる要因よういんにもなる。
これがライセンス生産せいさんになれば、内部ないぶ構造こうぞうの把握はあくが進すすんでいるため解決かいけつも容易よういになるが、その場合ばあいは上述じょうじゅつの問題もんだいが発生はっせいする。

問題もんだい4.　国内こくない防諜ぼうちょう体制たいせいの不備ふびと軍事ぐんじ機密きみつ流出りゅうしゅつのリスク

日本にっぽんの防諜ぼうちょう能のう力ちからは先進せんしん国こく最低さいていである。
これにより、アメリカを含ふくめた諸しょ外そと国くには、日本にっぽんへの最さい新鋭しんえい戦闘せんとう機きの提供ていきょうに否定ひてい的てきになっている一いち面めんがある。

現在げんざいの日本にっぽんにはスパイ防止ぼうし法ほうが整備せいびされておらず、アメリカからその機密きみつ流出りゅうしゅつが疑うたがわれることは珍ちんしくなく、これまでも数すう多おおくの流出りゅうしゅつ問題もんだいがあったとかなかったとか（ちなみに現在げんざい防諜ぼうちょう組織そしきとして、自衛隊じえいたいに情報じょうほう保全ほぜん隊たいが2009年ねんに創設そうせつされているが、この部隊ぶたいの創設そうせつの理由りゆうのひとつがこのF-Xである）。

現げんに日本にっぽんは、イージス艦かん機密きみつ漏洩ろうえい事件じけんなどで、その防諜ぼうちょう体制たいせいの未熟みじゅくさを露呈ろていしている。防衛ぼうえい技術ぎじゅつの塊かたまりであるイージス艦かんの機密きみつを漏洩ろうえいした以上いじょう、『10年ねん先さきの戦闘せんとう機き』とさえ呼よばれたハイテク戦闘せんとう機きF-22であろうとも、防諜ぼうちょう意識いしきは変かわらずいつか漏洩ろうえいすることになる、とアメリカに不信ふしん感かんを抱いだかれているのが現状げんじょうだ。
実際じっさいにF-15導入どうにゅうの際さいも、アメリカは日本にっぽんの機密きみつ保持ほじ能のう力ちからを信用しんようせず、電子でんし機器ききの一部いちぶをグレードダウンし、ブラックボックスの状態じょうたいで提供ていきょうしていた。

そもそも、海外かいがいから提供ていきょうを受うけるかどうか、という時点じてんでこの問題もんだいがあるのだ。

第だい4次じF-X候補こうほ機き一覧いちらん

様々さまざまな可か能のう性せいが示唆しさされてきたが、2011年ねん9月の提案ていあん書しょ提出ていしゅつ以降いこう、以下いかの3機きに候こう補ほを絞しぼって選定せんていが進すすめられた。評論ひょうろん家かのみならず多おおくの軍事ぐんじファンにとってもっとも熱あつい話題わだいとして、2chの軍事ぐんじ板ばんやはてななどで議論ぎろんが繰くり広ひろげられた。以下いかは、候こう補ほ機きの大おおまかな特徴とくちょうと、F-X選定せんていの上うえでのメリット・デメリットのまとめである。

F-35ライトニング2

アメリカ軍ぐんの開発かいはつする第だい5世代せだい戦闘せんとう機き。一応いちおう候こう補ほには挙あがっていたものの、武器ぶき輸出ゆしゅつ問題もんだいや、開発かいはつに参加さんかしていないため購入こうにゅう自体じたいが難むずかしい、という理由りゆうで注ちゅう目めされていなかった。

もっとも、本ほん機きの開発かいはつ自体じたいが非常ひじょうに難航なんこうしており、F-Xに間まに合あうか難むずかしい。費用ひようも1機き当あたり1億おくドル弱じゃくという巨額きょがくで、資し金的きんてきに厳きびしい面めんもある。

値段ねだん相応そうおうにステルス性せいやレーダー、パッシブセンサー能のう力ちからに関かんしては圧倒的あっとうてきであり、特とくにAN/APG-81はF-22のレーダーをベースにしたAESAレーダーを積つんでいる上うえ、日本にっぽんにおいてはE-767 AWACSやLink16ベースのJADGEシステムなど、TADIL（戦術せんじゅつデータリンク）の体制たいせいが特とくに構築こうちくされており、米べい軍ぐんとの互換ごかんもある為ため、導入どうにゅうされれば諸もろ仮想かそう敵てき国くにに対たいしても強つよみとなり得える。

さらに、従来じゅうらいの戦闘せんとう機きにはない、全まったく新あたらしいEO DASという全ちょん周あまね赤外線せきがいせんパッシブセンサーを搭載とうさい。SFアニメのように360度ど全ぜん周しゅうをパイロットが見みることが可か能のうな上うえ、IRST機き能のうを搭載とうさいしていて完かん全ぜんなパッシブ状態じょうたいのまま全ぜん周しゅうの敵てきを近ちか距離きょりから遠方えんぽうまでロックオン出来できる装置そうちである。ステルス機き同士どうしでの空そら中ちゅう戦せんで圧倒的あっとうてきに有利ゆうりに立たてるとされている。

ちなみにこの機きはエンジンが単発たんぱつであり、もしもの場合ばあいが懸念けねんされるが、すでに航空こうくう自衛隊じえいたいは単発たんぱつ機きであるF-2戦闘せんとう機きを導入どうにゅう・運用うんようしており致命ちめい的てきなエンジントラブルは起おこしていない。ただし、ステルス戦闘せんとう機きの量産りょうさん化かと言いう事こと自体じたい、世界せかい的まとにも未知みちの領域りょういきであるため、納期のうきの延期えんき及およびこれに伴ともなう価格かかくの高騰こうとうが懸念けねんされており、ステルスなんて自衛隊じえいたいにいるのか･･･と言いう意見いけんから、困難こんなんを乗のり越こえてまで手てに入いれるべき機体きたいではない、という声こえも存在そんざいする。

同機どうきの実戦じっせん配備はいびはアメリカ空軍くうぐんにおいてすら2017年ねん後半こうはんから開始かいし予定よてい(2013年ねん、計画けいかくの進捗しんちょく状況じょうきょうが好転こうてんし、2016年ねんに実戦じっせん体制たいせいに入はいると発表はっぴょうされた。)、自衛隊じえいたいの要よう求もとむは2016年ねん納入のうにゅうである。（米べい空軍くうぐんへの納入のうにゅうは2011年ねん5月から始はじまった）

このように開発かいはつスケジュールが遅延ちえんする中なか、長引ながびくアメリカおよび旧きゅう西側にしがわ陣じん営のイラク、アフガン、そして中東ちゅうとう、リビアなどの混乱こんらん対応たいおうのために軍備ぐんび費ひは超ちょう過かの一途いっとをたどるため削減さくげんに努つとむ力ちからしている一方いっぽうで、このようなF-35の開発かいはつ費ひ・導入どうにゅう費用ひようの高額こうがく化かは避さけられないとなるとわかると諸しょ外そと国くにで予定よていされていた導入どうにゅう機き数すうは減少げんしょうする一いち方ぽうである。このことがメーカー、アメリカ議会ぎかい(と周辺しゅうへん)、軍ぐん中枢ちゅうすうの考かんがえ方かたを変かえたようで、日本にっぽんのF-X導入どうにゅうで実績じっせきをだしたいという意向いこうが出でてきたようだ。

選定せんてい間近まぢかになってから、ロッキード・マーチン社長しゃちょうが「導入どうにゅうされた場合ばあい工場こうじょうを日本にっぽん国こく内うちに置おく」と発言はつげんし、運用うんよう試験しけんを早はやめるよう国くに防ぼう総省そうしょうに掛かけ合あうなど、ロッキード社しゃ側がわもF-X導入どうにゅうに積極せっきょく的てきになっている。さらに、主あるじ翼つばさやエンジンの組くみ立たてなど一部いちぶ国くに産さん化かも容認ようにんする姿勢しせいを示しめしている。軍事ぐんじ評論ひょうろん家かの小川おがわ和久かずひさ氏しによればライセンス生産せいさん率りつ50％超ちょうも可か能のうとか。

選定せんてい中ちゅうはアメリカ政府せいふとメーカーが、機体きたいの40%（価格かかくベース）の国くに産さんを認みとめると提示ていじしていたが、生産せいさんライン立たち上あげのコストなどを考かんがえると採算さいさんが取とれないことから、三菱重工みつびしじゅうこうは辞退じたいしている。機種きしゅ選定せんてい後ごは「日本にっぽんでは最終さいしゅう組立くみたてと検けん査のみ行おこない、国くに内うちでの生産せいさんはレーダーとエンジンの一部いちぶ部品ぶひんのみ」となっている。^[4]

F/A-18E/F　スーパーホーネット

艦上かんじょう戦闘せんとう機き。つまり海軍かいぐん向むけ。空母くうぼ運用うんよう上じょうの装備そうびが付つくので、重量じゅうりょうバランスや整備せいびの面めんにおいて不安ふあんな点てんが多おおい。航続こうぞく距離きょりや加速かそく性せい能のうが劣おとる事ことから問題もんだい視しされているが、多た用途ようと任務にんむに優すぐれる機材きざいであるため、その点てん考慮こうりょすれば優秀ゆうしゅうな機材きざいであるとも言いえる。

ボーイング社しゃが提案ていあんしているのは、F/A-18E/FのBLock2をベースにインターナショナル・ロードマップに基もとづく改良かいりょうを施ほどこされたもので、1)改良かいりょうコクピットの導入どうにゅう、2)改良かいりょうEPEエンジンの導入どうにゅう(従来じゅうらい比ひ15～20%の能のう力ちから向上こうじょう)、3)日本にっぽん側がわ独自どくじ兵へい装そう搭載とうさい可か能のうなステルスウェポンベイ、4)コンフォーマルタンクの導入どうにゅう、5)内蔵ないぞう型かたIRSTの導入どうにゅう、となっている。

またBlock2に搭載とうさいされているアビオニクスは優秀ゆうしゅうであり、搭載とうさいされる予定よていのAN/APG-79 AESAレーダーには、敵てきレーダーを一時いちじ的てきに使つかえなくする簡易かんいECM機き能のうが備そなわっていたり、曳航こう式しきデコイを装備そうび可か能のうであったりと、防ぼう空そら体制たいせいとTADILが整ととのっていることも特筆とくひつすべきだろう。電子でんし装備そうびに限かぎって言いえばF-35やF-22に肉にく薄すすきする高こう性せい能のうである。ただし、F-2とも性せい能のう的てき・立場たちば的てきに被おおってしまうと言いった欠点けってんも存在そんざいする。

3候こう補ほで仕様しようとして唯ただ一いち完成かんせいしている機体きたいで、それなりに在ざい日米にちべい軍ぐんでの運用うんようなどデータも揃そろいっているため、導入どうにゅうは比ひ較的容易ようい、戦せん力ちから化かに要ようする時間じかんも短みじかいと見積みつもれる。しかし、中国ちゅうごく・ロシアともに自じ国くに開発かいはつで第だい5世代せだいに準じゅんじた戦闘せんとう機きを開発かいはつしていることから、優位ゆうい性せいを保たもてる期間きかんに疑問ぎもんが生しょうじる。ボーイング社しゃによると、80%前後ぜんごがライセンス生産せいさん可か能のうだとしている。

ユーロファイター・タイフーン

最近さいきん秋あき波なみを送おくってきている機体きたいの筆頭ひっとうで、何なにかと不安ふあんがあるF-35の対抗たいこう馬うまとして最さい有ゆう力ちから候こう補ほに挙あげられる機体きたい。

ブラックボックスは設もうけず、ライセンス生産せいさんも独自どくじ改良かいりょうも全すべて許可きょかの構かまえの好条件こうじょうけん。F-35同様どうよう、こちらも英えい伊いのトップが直接ちょくせつ売うり込こみを掛かける等ひとし、相当そうとう本ほん腰こしを入いれている事ことが見みて取とれる。(無む論ろん、これには裏うらがあって改良かいりょう内容ないようはメーカーに報告ほうこくすることになっているので独自どくじ改良かいりょうした技術ぎじゅつ情報じょうほうは筒抜つつぬけになる)一応いちおうスーパークルーズ機き能のうも備そなえ、Su-27との戦せん力ちから比ひはF-22とまでは行いかないまでも高たかい比ひ率りつを保たもっている。そもそも4.5世代せだい機きである以上いじょう、F-22やF-35に比ひべると性せい能のう的まとに劣おとるのは仕方しかたない。

とはいえ、歴代れきだいアメリカ空軍くうぐん一体いったいの整備せいび体系たいけいである航空こうくう自衛隊じえいたいの整備せいびラインに欧州おうしゅう機きが入はいることになるため、大おおきく不安ふあん視しされている。部品ぶひん供給きょうきゅうをはじめ、国くに内うちのバックアップ体制たいせいについても同様どうよう。完かん全ぜんなNATO(北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう)規格きかくなので、機体きたいの開発かいはつにも問題もんだいがある。最近さいきんになってトランシェ3の配備はいびが決きまったが、実際じっさいはトランシェ2の改良かいりょう版ばんで、本来ほんらい予定よていされていたマルチロールタイプではない。F-2で積つんでいるようなAESA(アクティヴ・フェイズドアレイ)レーダーに至いたってはこれから開発かいはつに取とり掛かかる（ある意味いみ上記じょうきのライセンス生産せいさん・独自どくじ改良かいりょうのくだりが、日本にっぽんの技術ぎじゅつ目め当あてと言いう魂たましい胆きもも見みえ隠かくれする）。

改造かいぞうに使用しようした日本にっぽんの最新さいしん技術ぎじゅつが欧州おうしゅうだけでなく、他たのヨーロッパの顧客こきゃく、最悪さいあくの場合ばあい日本にっぽんの仮想かそう敵てき国くにに供与きょうよされる危険きけん性せいがある。ちなみに航空こうくう自衛隊じえいたいの内部ないぶには、三菱みつびしF-1、三菱みつびしT-2に搭載とうさいしたRR/チュルボメカ　アドーアRT172.MK102エンジンで苦労くろう（初期しょき生産せいさんラインの先行せんこう量産りょうさん品ひんを押おし付つけられたため、改良かいりょうに苦労くろうしたと言いうもの。俗ぞくに言いうアドーアの悲劇ひげき）したため、欧州おうしゅうの機体きたいそのものに対たいする拒否きょひ感かんが根強ねづよく残のこっている。また、機体きたいを改造かいぞう、レーダーなどのアビオニクスを自じ主あるじ開発かいはつした場合ばあい、結局けっきょくF-Xには間まに合あわなくなる可か能のう性せいも非常ひじょうに高たかい。

アメリカがF-35の売うり込こみに積極せっきょく的てきになっているのは、この機体きたいの売込うりこみが活発かっぱつであることへの当あて馬うまであると言いわれる。無む論ろん、事情じじょうはユーロファイターも変かわらない。計画けいかく参加さんか国くに以外いがいの導入どうにゅう数すうは意外いがいと少すくないのが実情じつじょうで日本にっぽんでの導入どうにゅう実績じっせきは今後こんごに対たいする重要じゅうようなアピールポイントになるのだ。

F-2後継こうけい機き

防衛ぼうえい省しょうは2020年ねん10月に、機体きたい開発かいはつ企業きぎょうとして三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうと契約けいやくを結むすんだ。F-2のときはエンジンやアビオニクスは別べつ契約けいやくとなっていたが、今回こんかいは三菱重工みつびしじゅうこうが開発かいはつ企業きぎょうを選定せんていして企業きぎょう間あいだ契約けいやくを結むすぶ形かたちになる。^[5]

2022年ねん12月、日本にっぽん、イギリス、イタリアの3国くに首くび脳のうが共同きょうどう声こえ明あかりを発表はっぴょう、3カ国くにが次世代じせだい戦闘せんとう機きを2035年ねんまでに共同きょうどう開発かいはつすることを明あきらかにした。名称めいしょうは「グローバル戦闘せんとう航空こうくうプログラム（GCAP）」で、イギリス・イタリアの「テンペスト」と日本にっぽんのF-Xが実質じっしつ的てきに統合とうごうされる。^[6]

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関連かんれん項目こうもく

• 軍用ぐんよう機きの一覧いちらん
• 戦闘せんとう機き
• 航空こうくう自衛隊じえいたい

脚注きゃくちゅう

1. *日本にっぽんの防衛ぼうえい力ちから3 航空こうくう自衛隊じえいたい　読売新聞よみうりしんぶん社しゃ編へん p.37 p.46
2. *http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2012/2012/html/n2352000.html
3. *http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2012/2012/html/n2351000.html
4. *特集とくしゅう F-35のすべて「主あるじ要ような開発かいはつ・製造せいぞうパートナー」板倉いたくら秀典ひでのり 航空こうくう情報じょうほう2017年ねん10月号ごう
5. *防衛ぼうえい省しょう、三菱重工みつびしじゅうこうとF-X開発かいはつで契約けいやく締結ていけつ 2020.10.30
6. *日にち英えい伊いが次世代じせだい戦闘せんとう機きを共同きょうどう開発かいはつへ、2035年ねんまでに－米国べいこくも支持しじ 2022.12.9

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