ハイペリオン(競走きょうそう馬ば)単語たんご

ハイペリオン

4.4千せん文字もじの記事きじ

ハイペリオン(Hyperion)とは、1930年ねんイギリス産うまれの牡おす馬うまの競走きょうそう馬ばである。
20世紀せいきのイギリスを代表だいひょうする競走きょうそう馬ばにして大だい種たね牡馬ぼば。
馬うま名なは母ははシリーンがギリシャ神話しんわに登場とうじょうする月つきの女神めがみセレーネーに由来ゆらいするので、太陽たいよう神かみヒュペリオンから取とられた。

概要がいよう

父ちち Gainsborough、母はは Selene、母はは父ちちChau cerという血統けっとう。
父ちちのゲインズバラ(もしくはゲインズボロー)は第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんの影かげ響ひびきで三さん冠かん全すべてを代替だいたい競馬けいば場じょうで行おこなわれたレースを制せいしたイギリス三さん冠かん馬ば。本ほん馬うま以外いがいにも日本にっぽんでヒサトモ・クリフジら6頭とうの日本にほんダービー馬うまを産うむなど活躍かつやくした大だい種たね牡馬ぼば*トウルヌソルの父ちちでもある。
母ははのシリーンは個別こべつ記事きじに記載きさいしているが、小柄こがらな馬うま体からだながら多おおくの勝かち星ほしを重かさね、母ははとしてネイティヴダンサーの祖先そせんとなるシックルやトムフール・バックパサー親おや子この祖先そせんであるファラモンドを産うむなどの名な繁殖はんしょく牝馬ひんば。母はは父ちちチョーサーもブルードメアサイアーとして数すう多おおくの活躍かつやく馬うまを出だした馬うま。
生産せいさんは母ははシリーン同様どうよう第だい17代だいダービー伯爵はくしゃくで、3×4の奇跡きせきの血ち量りょうを多用たようしたダービー伯爵はくしゃくらしく、ハイペリオンにもセントサイモンの3×4のクロスを持もち合あわせている。

父ちちも母ははも母はは父ちちも小柄こがらであったからか、本ほん馬うまも成長せいちょうを促うながすための去勢きょせいが検討けんとうされたほど小柄こがらな馬うま体からだであり、成長せいちょうしても15.1ハンド(約やく153.4cm)しかなかった。どれくらい小ちいさいかと言いうと、同おなじく小柄こがらと言いわれているドリームジャーニーですら158 cmである。
加くわえて当時とうじは不吉ふきつの象ぞう徴しるしとされていた四よん白しろ(4本ほんの足あし先さきが白しろいストッキングを履はいている様ような感かんじ)であった為ため、殆どの人ひとからは評価ひょうかされていなかったが、母ははシリーンを含ふくむ数すう多おおくの名な馬うまを管理かんりしたジョージ・ラムトン調教ちょうきょう師しは本ほん馬うまを「今いままで見みてきた中なかで最もっとも美うつくしい馬うま、ダービーを勝かてる」と大だい絶賛ぜっさんしてダービー伯爵はくしゃくに頼たのみ込こんで管理かんりすることとなった。
ハイペリオンは性格せいかくは大人おとなしかったが、反面はんめん調教ちょうきょうでは真しん面めん目めに走はしらず気きに入いらないことがあると立たち止どまったりするなど徹とおる底ていして拒否きょひする気難きむずかしい馬うまであった。それでもラムトン調教ちょうきょう師しが母親ははおやの如ごとく愛あい情じょうを持もって接せっし続つづけた結果けっか、徐々じょじょに調教ちょうきょうでも真しん面めん目めに走はしり始はじめてラムトン調教ちょうきょう師しと強つよい信頼しんらい関係かんけいを築きずくようになった。

競走きょうそう生活せいかつ

2歳さい時じは5ハロンのニューSをレコード勝かち、2歳さい大だいレースの一ひとつであるデューハーストSを最後さいご方かたから差さし切きるなど5戦せん3勝しょうとまずまずの成績せいせきで終おえ、翌年よくねんに向むけて調整ちょうせいが行おこなわれていったものの調子ちょうしが上あがらず2000ギニーには間まに合あわなくなってしまい回避かいひ。ダービー前まえの一いち叩はたきを快勝かいしょうして堂々どうどうダービーに1番ばん人気にんきで乗のり込こんだ。
母ははシリーンは小柄こがらな馬うま体からだのせいでクラシック登録とうろくを見送みおくったが、ハイペリオンはその反省はんせいを活いかしてちゃんと今回こんかいは無む事ことにクラシックに出走しゅっそうする事ことが出来でき、その本番ほんばんでは2番手ばんてから直線ちょくせんを向むいたところでグングン加速かそく。結果けっかとして公式こうしき着ちゃく差さでは4馬うま身みだが映像えいぞうではそれ以上いじょうに見みえるほど突つき放はなして圧勝あっしょう。勝かちタイムの2:34.0は当時とうじのダービーレコードであり、現代げんだいでも遜色そんしょく無むいほどのタイムである。
続つづくプリンスオブウェールズSでも2着ちゃくと16ポンド(約やく7kg)のハンデ差さがあったものの2馬うま身み差さで完かん勝かち。この後のちに膝ひざを痛いためてしまい、セントレジャーをぶっつけ本番ほんばんで挑いどんだものの、これも馬うまなりで3馬うま身み差さ完かん勝かち。イギリスクラシック二に冠かん馬ばとなった。

4歳さいも現役げんえきを続行ぞっこうしたものの、ここでラムトン調教ちょうきょう師しがハイペリオンの調教ちょうきょう師しから変かわるというアクシデントが起おこる。理由りゆうはラムトン調教ちょうきょう師しが高齢こうれいで体調たいちょうを崩くずしがちになった事ことと、2000ギニーに間まに合あわず三さん冠かん馬ばになれなかった事ことによるダービー伯爵はくしゃくの不満ふまん等とう色いろんな説せつがあるが確実かくじつな理由りゆうは分わかっていない。
新あたらしく管理かんりすることになったカレッジ・リーダー調教ちょうきょう師しの下したで調教ちょうきょうをされたものの、ラムトン調教ちょうきょう師しの事ことを信頼しんらいしていたハイペリオンは調教ちょうきょうが上手うまくいかず、ハードなトレーニングを課かせられるとなると今度こんどは走はしりを止とめるといった事ことが続つづき順調じゅんちょうとは程遠ほどとおいスタートとなってしまう。
それでも4歳さい緒戦しょせん、2戦せん目めはギリギリ勝利しょうりするものの、3戦せん目めのアスコット金杯きんぱいで事件じけんが起おきる。レース直前ちょくぜんのパレードで馬場ばば入口いりくちで観戦かんせんしていたラムトン調教ちょうきょう師しをハイペリオンが見みつけると、身動みうごきせずに立たち止どまってしまう。何なにとかパドックまで引ひっ張ちょうってレースに参加さんかできたものの、これでやる気きを失しつくしてしまったのか、豪雨ごううによる不良ふりょう馬場ばばで行おこなわれたレースは勝かち馬うまから遠とおく離はなれた3着ちゃくで敗やぶれてしまい、次つぎのレースでも短たん頭あたま差さで敗やぶれて引退いんたい。
通算つうさん13戦せん9勝しょう2着ちゃく1回かい3着ちゃく2回かいと安定あんていした成績せいせきを残のこした。

大だい種たね牡馬ぼばハイペリオン

引退いんたい後こうはイギリス国くに内うちで種たね牡馬ぼばとなり英えい愛あいリーディングを6回かい、サイアーランキング 2位いを4回かいと1940～50年代ねんだいを代表だいひょうする活躍かつやくを収おさめ、母はは父ちちとしてもニアークティック、サイテーション、*テスコボーイなどを出だし、ノーザンダンサーを経由けいゆしてかなりの割合わりあいで血統けっとうにハイペリオンの名前なまえがいる。
産さん駒こまはイギリス以外いがいにアメリカに渡わたっても大だい活躍かつやくで、ナスルーラ同様どうように購入こうにゅうオファーがあったもののダービー伯爵はくしゃくは「ン拒否きょひするゥ」とハイペリオンをイギリスから出だす事ことは絶対ぜったいにしなかった。
だが代かわりに購入こうにゅうされた産さん駒こまのアリバイという馬うまがアメリカで大だい成功せいこうを収おさめ、5年ねん連続れんぞく年度ねんど代表だいひょう馬ばとなったケルソの父ちちユアホストや名な牝めすフラワーボウルを産うみ、グロースターク・ヒズマジェスティ兄弟きょうだいによって血統けっとうにその名なを残のこし続つづけている。

直系ちょっけい子孫しそんは日本にっぽんにおいてはセイウンスカイやグリーングラスなどがいたが、ノーザンダンサー系けいや*サンデーサイレンス系けいの勢いきおいで絶滅ぜつめつしている上うえ、世界せかい的てきに見みてもほぼ断絶だんぜつ状態じょうたいであり、オセアニア・イギリスで辛かろうじて残のこっている程度ていどである。
しかしながらノーザンダンサー含ふくめ、孫まごのフォルリが名な牝めすスペシャルを産うみ、ヌレイエフ・サドラーズウェルズ・フェアリーキング一族いちぞくを産うんだ事ことで血統けっとうにおけるハイペリオンの影かげ響ひびきは絶大ぜつだいな物ものとなっている。
日本にっぽんにおいて2019年ねん 10月8日にち現在げんざい、2019年ねんに産さん駒こまが出走しゅっそうした事ことのある種たね牡馬ぼば429頭とうの内うち、ハイペリオンが入はいっていない馬うまはマインシャフト(カジノドライヴの父ちち)と*シルバーチャームの2頭とうのみである。ただし、その産さん駒こまは全すべてハイペリオンの血ちを持もっているので、要ようするに現代げんだい日本にっぽんの競走きょうそう馬ばにハイペリオンを持もたない馬うまは存在そんざいしない。

29歳さいまで種付たねつけを行おこなうなど元気げんきだったものの、翌年よくねんの寒波かんぱの影かげ響ひびきで体調たいちょうを崩くずし、12月9日にちに安楽あんらく死し。享年きょうねん30歳さいと長ながく生いきた。ダービー伯爵はくしゃくはハイペリオンが息いきを引ひき取とった後のち、チャーチル元もと首相しゅしょうが来訪らいほうした際さいの記念きねんに取とっておいたブランデーを空そらけたという。本ほん馬うまの死後しご、種たね牡馬ぼばとして繋つなぎ養ようされていたウッドランドスタッドの前まえに銅どう像ぞうが作つくられ、後のちにジョッキークラブ事務所じむしょの前まえに移設いせつされている。
直系ちょっけいそのものは廃はいれてしまっても血統けっとうの中なかに必かならず存在そんざいし続つづけ、後世こうせいに影かげ響ひびきを残のこす馬うまが何頭なんとうもいる。その代表だいひょう格かくがハイペリオンである。

血統けっとう表ひょう

Gainsborough 1915 鹿毛かげ	Bayardo 1906 鹿毛かげ	Bay Ronald	Hampton
			Black Duchess
		Gal ic ia	Galopin
			Isoletta
	Rosedrop 1907 栗毛くりげ	St. Frusq uin	St. Simon
			Isabel
		Rosaline	Trenton
			Ros alys
Selene 1919 鹿毛かげ FNo.6-e	Chau cer 1900 黒くろ鹿毛かげ	St. Simon	Galopin
			St. Angela
		Cant erb ury Pilgrim	Tris tan
			Pilg rimage
	Seren issima 1913 鹿毛かげ	Minoru	Cyllene
			Mother Siegel
		Gondolette	Loved One
			Don gola