1. 火葬かそうの類語るいご。死体したいを焼やいて弔とむらうこと。用法ようほうは「荼毘だびに付ふす」など。
2. 漫画まんが『僕ぼくのヒーローアカデミア』に登場とうじょうするキャラクターの一人ひとり。pixivにおいてはこちらのイラストがほとんど。本ほん項こうで説明せつめいする。

全すべて焼やき尽つくす 冷つめたく燃もえる蒼あおき炎ほのお

真意しんいを隠かくす敵てき連合れんごうの実力じつりょく者しゃ 不遜ふそんの双眸そうぼうが見みつめる先さきは…？

―――僕ぼくのヒーローアカデミア 公式こうしきキャラクターブック2 Ultra Analysisより

ヴィラン連合れんごうの一員いちいん。ヒーロー殺ごろし・ステインの逮捕たいほ後ご、ブローカー・義ぎ爛ただれの紹介しょうかいで加入かにゅうしたメンバーの一人ひとり。雄お英えい高校こうこうの林間りんかん合宿がっしゅく襲撃しゅうげきの『開闢かいびゃく行動こうどう隊たい』ではリーダーを務つとめる。

ステインの掲かかげる『英雄えいゆう回帰かいき』思想しそうに支持しじを表明ひょうめいし、その意思いしを全まっとうすると宣言せんげんしている。

「荼毘だび」は通とおり名なで本名ほんみょうを始はじめとした素性すじょうは全すべて不明ふめい。本人ほんにん曰いわく本名ほんみょうは「出だすべき時ときになったら出だす」と語かたっている。

人物じんぶつ像ぞう

どこかシニカルで掴つかみどころのない性格せいかくで初対面しょたいめんの死し柄がら木き弔ちょうに『気色けしき悪わるい』と言いったり、同おなじタイミングで連合れんごうに入にゅうろうとしたトガヒミコのことを『イカレ女おんな』と言いったりと口ぐちが悪わるいが、声こえを荒あらげたりする様子ようすはなく冷さめたような態度たいどが目立めだつ。

他たのメンバーと同おなじく殺人さつじんに躊躇ちゅうちょはなく、攻撃こうげき対象たいしょうならばたとえ子供こどもであっても容赦ようしゃはない。ヒーローは勿論もちろんのこと、チンピラなどの大義たいぎも無なく生いきている存在そんざいならば躊躇ためらいなく焼やき殺ころす。

当初とうしょこそ死し柄がら木きとも揉もめたりしたが、最近さいきんでは彼かれのことを「リーダー」と呼よんでおり、ある程度ていどは認みとめている様子ようすを見みせる。

しかし、今いまなおどこか仲間なかまの筈はずのヴィラン連合れんごうの面々めんめんにも壁かべを作つくっており、なにかと非ひ協力きょうりょく的てきなところを見みせることもある。メンバーにも前述ぜんじゅつの本名ほんみょうを明あかさないところもそうだが、戦闘せんとう中ちゅうに味方みかたを巻まき込こむような範囲はんいで"個性こせい"を使つかったり、助たすけるのを断ことわったり、食事しょくじを一緒いっしょに取とらなかったりもしている(連合れんごうの皆みなで寿司すしを食たべている時ときに、魚さかなは嫌きらいという理由りゆうで断ことわるなど)

外見がいけん

荼毘だびby八多はた荼毘だびby八多はた

水色みずいろの瞳ひとみと無造作むぞうさな黒髪くろかみ。体格たいかくはかなり細身ほそみで、耳みみには太ふといピアスを付つけている。焼やけ爛ただれたようなケロイド質しつの皮膚ひふで覆おおわれた全身ぜんしんを金属きんぞく製せいの太ふとい継つぎ目めで繋つなぎ合あわせおり、まるで全身ぜんしんを皮膚ひふ移植いしょくをしたような異様いような外見がいけんをしている。

この皮膚ひふは通常つうじょう赤黒あかぐろい色いろで描えがかれることが多おおいが、青白あおじろい炎ほのおに照てらされることで毒々どくどくしい紫色むらさきいろに見みえることもある。

顎あごから首くび元もと、耳みみにかけては変色へんしょくした皮膚ひふが広ひろがっており、本来ほんらいは下しも顎あごや下しも瞼まぶたにあたる部分ぶぶんは皮膚ひふと皮膚ひふの継つぎ目めになっているため、その姿すがたが彼かれの表情ひょうじょうから感情かんじょうを読よみ取とることを一層いっそう難むずかしくしている。

また本人ほんにん曰いわく「涙腺るいせんが焼やけて泣なけない」とのことだが、感情かんじょうが高たかぶった際さいはごく稀まれに目めの下したの皮膚ひふの継つぎ目めから涙なみだのように血ちを流ながすシーンも見みられる。

敵てき連合れんごう加入かにゅう後ごは長ながい紺色こんいろコートを羽織はおっている。異い能のう解放かいほう軍ぐんとの戦たたかいの後のちは、袖口そでぐちにコンロの様ような金属きんぞくパーツを装備そうびし、デトネラット社しゃ製せいの耐火たいか服ふくを着用ちゃくようしている。

正体しょうたいについて

敵てき連合れんごうに加入かにゅうしたメンバーの中なかでは唯一ゆいいつ素性すじょうが不明ふめいでヒーローや警察けいさつも素性すじょうが掴つかめていない。本人ほんにんの性格せいかくとしても秘密ひみつ主義しゅぎなところがあり、連合れんごうのメンバーに対たいしても自己じこ紹介しょうかいでも偽名ぎめいで通とおしているなど、謎なぞの多おおい人物じんぶつである。

素性すじょうが不明ふめいな点てんについては敵てき連合れんごうの立たち上あげメンバーである死し柄がら木きや黒くろ霧きりとも共通きょうつうしているといえる。

ヒロアカまとめ16by紫陽花あじさいヒロアカまとめ16by紫陽花あじさい

個性こせいは『蒼あお炎えん』

身体しんたいから蒼あおい炎ほのおを放射ほうしゃすることができる。主おもに掌てのひらから炎ほのおを放はなつ。

火力かりょく、範囲はんい共どもに凄すさまじく、蒼あお色しょくの炎ほのおを操あやつることから火力かりょくは作中さくちゅうの炎ほのお系けい「地上ちじょう最強さいきょう」と評ひょうされるエンデヴァーの個性こせいヘルフレイムと同等どうとう以上いじょうだが、個性こせいと体質たいしつが合あわないようで長時間ちょうじかん使用しようすると自身じしんの炎ほのおで身体しんたいが焼やけてしまう。

林間りんかん合宿がっしゅく襲撃しゅうげきでは、森もりに火ひを放はなちヒーロー側がわの行動こうどうを制限せいげん。トゥワイスに作つくってもらった分身ぶんしんで相澤あいざわやブラドと交戦こうせんした。それらは撃破げきはこそされたものの、「プロヒーローの足止あしどめ」という役割やくわりを全まっとうしている。また、彼かれの声こえのみに反応はんのうする専用せんようの脳のう無なが与あたえられており、分身ぶんしんも加くわわった不規則ふきそくな襲撃しゅうげきで現場げんばをかき乱みだした。また、詳細しょうさいは不明ふめいだが焦こげ凍こおに意味深いみしんな発言はつげんをしている。

オールマイトとオール・フォー・ワンの戦たたかい（神野かみのの悪夢あくむ）の後のち、連合れんごうは潜伏せんぷくのため散ちり散ぢりになり、各地かくちで人材じんざい探さがしなどを行おこなっていた。しかし彼かれはそのついでに、思想しそうの合あわないチンピラや犯罪はんざい者しゃを大勢おおぜい焼やき殺ころしている。

ヒーローによる死し穢けがれ八はち斎とき會かい捜査そうさの際さいは、終盤しゅうばんにて死し柄がら木き・Mr.コンプレスと共ともにオーバーホールが運はこばれる護送ごそう車しゃを襲撃しゅうげきし、プロヒーローのスナッチと交戦こうせん。人命じんめい救助きゅうじょを優先ゆうせんするヒーローの隙すきをつき、連携れんけいして彼かれを殺害さつがいした。

この頃ころからホークスと接触せっしょくし、彼かれを信用しんようするための条件じょうけんを出だしている。

オールフォーワンの主治医しゅじいで脳のう無むの開発かいはつ者しゃの氏子うじこ達磨だるまとは趣味しゅみが合あう様ようで彼かれに気きに入いられたらしく、新しん開発かいはつされた最さい上位じょういの脳のう無む・ハイエンドの試運転しうんてんを任まかされ、九州きゅうしゅうで実戦じっせん投入とうにゅうを行おこなう。ハイエンドを倒たおしたホークスとエンデヴァーの前まえに現あらわれ、消耗しょうもうした二人ふたりを襲おそうもミルコの参戦さんせんで撤退てったい。去さり際さいにエンテヴァーに「精きよし々頑張がんばれ」と声こえを掛かけた。

「死しぬんじゃねぇぞ!、轟とどろき炎えん司し!!」

異い能のう解放かいほう軍ぐんとの抗こう争そうの際さいには、氷こおりの異い能のうを使つかう外典げてんと交戦こうせん。

死し柄がら木きがリ・デストロに勝利しょうりしたことで超ちょう常つね解放かいほう戦線せんせんが結成けっせいされた後のちは、ホークスを仲間なかまに引ひき入いれ、自身じしんは外典げてんと共ともに開闢かいびゃく行動こうどう遊ゆう撃げき連隊れんたい『VIOLET』の隊長たいちょうに任命にんめいされる。

全面ぜんめん戦争せんそう編へんでは、本性ほんしょうを出だしたホークスのもとに向むかい、トゥワイスを助たすける為ためにホークスと交戦こうせん。

「お前まえは悪わるくない　悪わるいのはいつだって屑くず共ども(ヒーロー)だ」

ホークスに大だい火傷かしょうを負おわせるもトゥワイスを救すくうことは出来できなかった。この時とき、ホークスに自身じしんの正体しょうたいを問とわれ、自身じしんの正体しょうたいを語かたった。読者どくしゃへのネタバレ防止ぼうしの為ためか、その台詞ぜりふが書かかれたフキダシは黒くろく塗ぬりつぶされており、トゥワイスを危険きけん人物じんぶつとしてマークしていたホークスに「誰だれよりもおまえは俺おれをマークしなきゃいけなかった」と語かたっており、正体しょうたいを知しったホークスは驚愕きょうがくの表情ひょうじょうを浮うかべていた。

全面ぜんめん戦争せんそうの終盤しゅうばん、290話わにて遂ついに自身じしんの正体しょうたいが明あきらかとなる。

わがまま現代げんだいっ子こな大人おとな子こども・死し柄がら木きに振ふり回まわされる敵てき連合れんごうの常識じょうしき人じん枠わく。

どちらかと言いえば世間せけん一般いっぱんの感覚かんかくの彼かれは周まわりに合あわせたりするし、ルールや風習ふうしゅうについて真面目まじめだったりする。ゲームでネコミミ付つけて語尾ごびに「にゃ」を付つけろというならその通とおりにする。たとえ死し柄がら木きが隣となりで同どう系統けいとうのお題だいを拒否きょひしていたとしても…。

反面はんめん、本人ほんにんも個人こじん主義しゅぎなところはあるので、死し柄がら木きの意見いけんそのものには共感きょうかんする部分ぶぶんも多おおい。現代げんだいモンスターに共感きょうかんする自分じぶんがなんか納得なっとくいかない今日きょうこの頃ころ。

ちょっと体温たいおん調節ちょうせつが苦手にがてな体質たいしつで、夏場なつばの運動うんどうはキツい。後ご、マグネに惚ほれられているが、荼毘だび本人ほんにんは理解りかい出来できていない(ちなみに、マグネは後のちに黒くろ霧きりの方ほうが気きになった為ため、最後さいごまで気付きづく事ことはなかった)

3巻かんで爆ばく豪ごうを拉致らちした際さいには、なんと車くるまを運転うんてんしていた。黒くろ霧きりの台詞せりふによると、どうやら免許めんきょ証しょう持もちらしい。

僕ぼくのヒーローアカデミア　敵てき(ヴィラン)

ヴィラン連合れんごう　超ちょう常つね解放かいほう戦線せんせん

死し柄がら木き弔ちょう　脳のう無な

外道げどう　殺人鬼さつじんき　狂人きょうじん　青あおい炎ほのお　継つぎ接はぎ

「酷こくえなァ、そんな名前なまえで呼よばないでよ」

「燈ひ矢やって立派りっぱな名前なまえがあるんだから」

荼毘だびまとめbyK_G荼毘だびまとめbyK_G

その正体しょうたいは、死しんだと思おもわれていた

エンデヴァーの第だい一いち子しで、焦こげ凍こおの長兄ちょうけい・轟とどろき燈とう矢や（24歳さい：※1）。

※1：燈ひ矢やは妹いもうとの冬美ふゆみと1歳さい差さである。公式こうしきファンブックでは冬美ふゆみの年齢ねんれいは22歳さいと表記ひょうきされているが、荼毘だびの正体しょうたい判明はんめい時じはそれから1年ねんが経たった頃ころなので現在げんざいの冬美ふゆみの年齢ねんれいは23歳さいである。よって、燈ひ矢やは24歳さいである事ことが分わかる。

燈ひ矢やの詳細しょうさいは個別こべつ記事きじで説明せつめいするが、10年ねん前まえ、父ちち・エンデヴァーが使用しようしていた山やまの特訓とっくん場じょうで、自分じぶんの”個性こせい"による暴走ぼうそうで山やま火事かじを引ひき起おこし、遺体いたいが残のこらなかったことから轟とどろき家か一同いちどうは「燈ひ矢やは死しんだ」と思おもっていた。

エンデヴァー「燈ひ矢やは死しんだ。許ゆるされない嘘うそだ……。」

「俺おれは生いきてる。

　許ゆるされない真実しんじつだ　お父とうさん!

　何故なぜ俺おれが息子むすこだと気付きづかなかった!?

　炎ほのお系けいの個性こせいは珍めずらしくもないから

　疑問ぎもんすら抱いだかなかったかぁ!?」

黒髪くろかみは実じつは染そめており、液体えきたいをかけて染料せんりょうを落おとし本来ほんらいの髪かみの色いろを現あらわした。元々もともと父ちちと同おなじく赤あか髪かみであったが、成長せいちょうするにつれて母はは・冷ひや譲ゆずりの青白あおじろい氷こおり色しょくへと変化へんかした。

幼少ようしょう期きはエンデヴァー以上いじょうの才能さいのうを持もつことから父親ちちおやから目めを掛かけられ、自身じしんもヒーローを目指めざしており家族かぞく仲なかは良好りょうこうだった。しかし成長せいちょうするにつれて、自みずからの炎ほのおで体からだを焼やいてしまうようになる。親おやから訓練くんれんを止とめられるも、話はなしを聞きかず訓練くんれんを止とめようとしなかったため、自身じしんを諦あきらめさせる為ためにエンデヴァーは新あたらしく子供こどもを作つくることを決きめる。

最終さいしゅう的てきに元々もともとエンデヴァーの望のぞんでいた半はん冷ひや半はん燃もえの“個性こせい”を持もつ焦こげ凍こおが産うまれたことで、父ちちから見向みむきもされなくなり、自分じぶんを見みようとしない父ちちに強つよい憎にくしみを抱いだくようになった。

全面ぜんめん戦争せんそうの終盤しゅうばん、エンテヴァーと焦こげ凍こおに直接ちょくせつそれらのことを伝つたえた上うえで、事前じぜんに録画ろくがしておいた自身じしんの過去かこの境遇きょうぐうの告白こくはく、個性こせい婚こんや轟とどろき家かの真実しんじつに関かんする動画どうがをスケプティックに全国ぜんこくのテレビとネットをハッキングさせることで世間せけんに公表こうひょうした。世間せけんに大おおきな動揺どうようを与あたえた上うえで、自身じしんの正体しょうたいに衝撃しょうげきを受うけるエンデヴァーをさらに絶望ぜつぼうさせるべく攻撃こうげきを行おこない、実みの弟おとうとである焦こげ凍こおと交戦こうせんし一蹴いっしゅうする。

実じつは火災かさい事故じこで瀕死ひんしになっていたところをオール・フォー・ワンに拾ひろわれ、死し柄がら木きに何なにかあった時ときの保険ほけん（スペア）として氏子うじこの再生さいせい治療ちりょうを受うけていたが、覚さめるまでに実じつに三さん年間ねんかんも昏睡こんすいしていた。そして治療ちりょうの過程かていで声こえや顔かおが別人べつじんの様ようになり、体質たいしつも弱体じゃくたい化かしていることを告つげられる。オール・フォー・ワンからの誘さそいを受うけるも、その誘さそいを跳はね除のけて療養りょうよう先さきである孤児こじ院いんに放火ほうかして逃走とうそうする。

轟とどろき家かに帰かえった際さい、三さん年ねん前まえと変かわらず焦こげ凍こおに執着しゅうちゃくする父親ちちおやの光景こうけいを目まの当あたりにして以来いらい、自身じしんの“個性こせい”を強つよくするために独学どくがくで特訓とっくんを続つづけ、今いまに至いたる。

荼毘だびを治療ちりょうした氏子うじこは「身体しんたいが動うごき始はじめた以上いじょう、身体しんたいは一いち月がつも保たもたない」と見みており、逃走とうそうした彼かれを追おうことなく放置ほうちしていた。

しかし荼毘だびは「父親ちちおやに見みてほしい」という愛憎あいぞう、怨嗟えんさ交まじった執念しゅうねんでその死しに征せいく身体しんたいを踏ふみ留とまらせており、約やく十じゅう年ねんぶりの再会さいかいで生いきていたことに驚愕きょうがくした氏子うじこは、そんな荼毘だびのことを「只管ひたすらに死しへと向むかう為ための熱ねつ、魔王まおうすら見放みはなした偏執狂へんしゅうきょうの死し炎えん」と評ひょうした。

第だい二に次じ決戦けっせんでは、物もの間あいだのワープゲートにより神野かんの区くに転移てんいさせられ、自分じぶんを止とめるために立たちはだかった弟おとうとの焦こげ凍こおと対峙たいじし、自分じぶんが荼毘だびとなった経緯けいいについて明あかした。

『僕ぼくのヒーローアカデミア』#146参加さんかFAbyRIEh『僕ぼくのヒーローアカデミア』#146参加さんかFAbyRIEh

「一ひとつ聞ききてえんだが焦こげ凍こお…　お前まえ一体いったいどんな面つらして──

　怯おびえる市民しみんと一緒いっしょに雄お英えいに籠こもっていられたんだ？」

「エンデヴァーの息子むすこ　荼毘だびの兄弟きょうだい

　厄やく災わざわいの煮凝にこごりみてえなてめェが！！！」

「そういう厚あつかましさだよ焦こげ凍こお！」

「最高さいこうの環境かんきょうと最適さいてきな身体しんたいがありやがるくせに、他たに縋すがった！！全すべてを持もって生うまれたくせに、そう在あろうとしなかった！！」

「誰だれも言いってくれねえなら俺おれが言いってやろうか！？」

「フラフラ中途半端ちゅうとはんぱの人形にんぎょうが！！！！」

「てめェは何者なにものにもなれねえよ！！！！！」

雄お英えいで自分じぶんの身みの丈たけに合あったヒーロー像ぞうを模索もさくしていった焦こげ凍こおの生いき様ざまを徹底的てっていてきに扱こき下おろし、身体しんたいを顧かえりみず赫灼熱ねつ拳こぶしで猛攻もうこうを加くわえるが、焦こげ凍こおが長兄ちょうけいを止とめるために編あみ出だした新しん技わざ『赫灼熱ねつ拳こぶし・燐りん』で炎ほのお（ねつ）を中和ちゅうわされていき、それでも体制たいせいを整ととのえ、大だい火力かりょくの炎ほのおで止とめを刺さそうとするも、焦こげ凍こおの『大だい氷こおり海嘯つなみ』で身体しんたいを凍結とうけつさせられる。

焦こげ凍こお「………そうだ。言いう通とおりだよ…」

　　「遠回とおまわりして、迷まよってばかりの半端はんぱ者しゃ …それが俺おれだ」

　　「親父おやじの事ことしか見みえてねえと思おもってたよ」

　　「確しっかり俺おれのことも見みてくれてて　よかった」

しかし、死しに瀕ひんしたことで眠ねむっていた冷ひやの氷結ひょうけつの“個性こせい”が開花かいかし、土壇場どたんばで焦こげ凍こおの「赫灼熱ねつ拳こぶし・燐りん」を真似まねてさらなる火力かりょくをもって復活ふっかつ。その後ご黒くろ霧きりのワープゲートを通とおって群ぐん訝いぶか山荘さんそうに移動いどうしエンデヴァーと対峙たいじする。

さらに燈ひ矢やは『大だい氷こおり海嘯つなみ』で氷こおり漬づけにされた時点じてんから熱ねつエネルギーを〝圧縮あっしゅく〟させて内うちに留とめ続つづけていた。燈ひ矢やの躰からだは保たもって数すう分ふん～十じゅう数すう分ふんで燃もえ尽つきてしまい、同時どうじに圧縮あっしゅくから解放かいほうされた全すべての熱ねつエネルギーが外そとへと解とき放はなたれ、直径ちょっけい約やく5㎞を無差別むさべつに灼やき滅ほろぼす超ちょう高圧こうあつ爆発ばくはつを引ひき起おこしかねない最悪さいあくの状況じょうきょうへと発展はってんする。

そのままエンデヴァーのすべてを奪うばうために自爆じばくしようとしたが、轟とどろき一家かずやと、飯田いいだの力ちからを借かりて神野かんの区く～群ぐん訝いぶか山荘さんそう間あいだ（約やく400km）を僅わずか10分ふんで移動いどうし駆かけつけた焦こげ凍こおにより阻止そしされ、完全かんぜんに失敗しっぱいに終おわった。

彼かれの身体しんたいは「冷凍れいとうされた焼死体しょうしたい」同然どうぜんになり、精神せいしん面めんでも家族かぞくへの怨うらみ節ぶし以外いがいにまともな疎通そつうのできない廃人はいじんになる悲惨ひさんな決着けっちゃくとはなってしまったものの、何なにとか息いきが残のこったまま身柄みがらが確保かくほされることとなり、かろうじて最悪さいあくの事態じたいは免まぬかれた。

荼毘だびのもとへ集結しゅうけつする家族かぞく。そのとき、燈ひ矢やの体からだが外側そとがわから（焦こげ凍こおによって）凍こおらされただけでなく、内側うちがわからも凍こおっていることに夏雄なつおが気きづき、燈ひ矢やが氷結ひょうけつの個性こせいを内うちに宿やどしていた事実じじつを家族かぞく一同いちどう初はじめて認識にんしきした。幼少ようしょう期きの燈ひ矢やが死しんだと思おもわれていた山荘さんそうの火災かさいで奇跡きせき的てきに生存せいぞんできたのも、今回こんかいと同様どうように死しの危機ききに瀕ひんしたことで氷結ひょうけつの個性こせいが発動はつどうしていたためであったと目めされた。

「……死しんじまえ クソ親父おやじ　みんな…俺おれも…死しんじまえ」

エンデヴァー「…燈ひ矢や…！　悪わるかった…」

　　　　　　「瀬古せこ杜もり岳だけ　行いかなくて……ごめんな…！！」

「…大嫌だいきらいだ…お父とうさんなんか…!　家族かぞくなんか…!」

人生じんせいで初はじめて家族かぞく全員ぜんいんに囲かこまれながら、譫言うわごとのように家族かぞくへの想おもいをぶつける燈ひ矢やであった。

こうして、最終さいしゅう決戦けっせんで敵てき連合れんごうの幹部かんぶとしてはスピナーに続つづく2人ふたり目めの脱落だつらく者しゃとなった。

※ここから先さきは、単行本たんこうぼん未み収録しゅうろくのNo.426「地獄じごくの轟とどろきくん家か・FINAL」の内容ないようを含ふくみます。ネタバレをされたくない方ほうは厳重げんじゅうにご注意ちゅういください。

決着けっちゃくから数すうヶ月かげつ後ご、燈ひ矢やは身体しんたいを巨大きょだいな生命せいめい維持いじ装置そうちに繋つながれていた。その見みてくれは、生身なまみの肉体にくたいが殆ほとんど見みえないレベルで全身ぜんしんを医療いりょう機器ききで拘束こうそくされた異様いようなものであった。復讐ふくしゅうの猛火もうかに委ゆだねた躯むくろは殆ほとんど炭すみと化かし、ただ穏おだやかに迫せまる死しを待まつだけの彼かれの元もとに、轟とどろき家かの面々めんめんが訪おとずれる。

「……………ぞろぞろと」

「ハハ…観光かんこう名物めいぶつじゃねぇんだよ……」

などと悪態あくたいを付ついていたが、命いのちがごく僅わずかなのは火ひを見みるよりも明あきらかな程ほどに彼かれの肉体にくたいは限界げんかいを迎むかえている。

エンデヴァー（炎ほのお司し）は最終さいしゅう決戦けっせんで再起さいき不能ふのうの重傷じゅうしょうを負おってしまったこともあり、ヒーローを引退いんたいする（けじめをつけるためにも、引退いんたいは最終さいしゅう決戦けっせんが始はじまる前まえから視野しやに入いれていた）旨むねを告つげ、燈ひ矢やの8年ねんにも及およぶ研鑽けんさんに「ヒーロー エンデヴァーは灼やかれて死しんだ」「おまえの炎ほのおは誰だれよりも強つよかった」と最大さいだい級きゅうの労ねぎらいの言葉ことばを送おくった。

「そっか。ご愁傷しゅうしょう様さま」

今更いまさらになって諂へつらう父ちちを"卑怯ひきょう者しゃ"と称しょうするも炎ほのお司しはそれを肯定こうていし、息子むすこである燈ひ矢やが『自分じぶんの事ことをどれだけ見みていたか、逆ぎゃくに自分じぶんが彼かれを見みようとしていなかったか』を改あらためて痛感つうかんする。せめて彼かれが死しに至いたる前まえに出来できるだけの罪つみを償つぐなうためにも、燈ひ矢やの「俺おれを見みてほしい」という唯一ゆいいつにして最大さいだいの悲願ひがんに応こたえるためにも、炎ほのお司しはこれからも毎日まいにち訪おとずれることを伝つたえる。

そんな中なか、焦こげ凍こおは長兄ちょうけいにある質問しつもんを投なげかける。

「燈ひ矢や兄けい 好すきな食たべ物もの 何なに?」

「蕎麦そば」

「おんなじだ」

燈ひ矢やは『自分じぶんとは決けっして交まじわることはないと否定ひていし、自身じしんから全すべてを奪うばった最高さいこう傑作けっさくだと憎にくんだ弟おとうと』と初はじめて心しんが通つうじ合あったことの嬉うれしさや自身じしんの最大さいだいの理解りかい者しゃがずっと近ちかくにいたことに気付きつけなかった後悔こうかいからか、燃もえ尽つきたはずの涙腺るいせんから一いち粒つぶの涙なみだを零こぼすのだった。

「焦こげ凍こお…」

「ごめんな…」

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