著書の映画化、ドラマ化が相次ぐ湊氏が、「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」と言わしめるほど心血を注いで上梓した物語が「母性」だ。ある女子高校生の遺体が見つかったことに端を発した、「母と娘」を巡るミステリー。
並々ならぬ思いで執筆した作品だからこそ、湊氏は「映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました」と胸中を明かす。それでも「脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました」と安堵。さらに「原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを心から嬉しく思います」と製作サイドへの信頼をにじませた。
メガホンを託された廣木監督は、国内外40以上の映画祭で数々の賞に輝いた「ヴァイブレーター」をはじめ「余命1ヶ月の花嫁」「軽蔑」「さよなら歌舞伎町」など、デビューから約30年にわたり第一線で活躍し続けてきたベテランで、最新作「ノイズ」が22年1月に公開を控えている。
「湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することができて嬉しく思いますと同時にプレッシャーでもありました」と、オファーを受けた際の心境を語った廣木監督。「湊さんが書かれた親と子どもの関係性は普遍的である一方、様々な姿を3人の中に見せてくれました」と手応えのほどをうかがわせた。
今回、主演の発表はなかったが、これまでの湊作品には松たか子、吉永小百合、井上真央、鈴木京香、榮倉奈々ら人気、実力を兼ね備えた面々が名を連ねている。今作の“母と娘”を誰が演じるのかにも注目が集まる。
「母性」のストーリーおよび、湊氏、廣木監督のコメント全文は以下の通り。
■ストーリー
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。さかのぼること11年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。
■
湊かなえ 永遠に
愛され、
庇護される
立場(
娘)でありたい
母親と、その
母親から
愛されたい
娘の
物語です。
毒親でもなく、
虐待でもなく、だけど
大切なものが
欠けた
関係。それを、
自分が
母親と
娘の
両方の
気持ちを
持っているあいだに
書きたいと、このテーマに
挑みました。ちなみに、
今はもうどちらの
気持ちも
持っていません。
映画化の
話をいただいた
際は、
限られた
時間でどの
部分を
切り
取るのだろうかと、
少し
不安が
生じました。しかし、
脚本を
読んで、
切り
取るのではなく、
物語の
大切なところをすくい
上げ、
映画として
膨らませていることがわかり、
安心しました。
一つ
一つの
場面が、
役者の
方々の
演技や
表情で、
受け
止め
方が
大きく
変わってくる
繊細な
構成において、どのような
感情を
湧き
起こさせてもらえるのか。
原作者としてではなく、
一観客として
楽しみにできるのは、
監督やスタッフ、
役者の
方々を
信頼しているからで、そのような
映像化になったことを、
心から
嬉しく
思います。
■
廣木隆一湊さんが
書かれた
小説は
前から
気になっていたので、
今回映画化することが
出来て
嬉しく
思いますと
同時にプレッシャーでもありました。
母親と
娘の
話なので
僕で
大丈夫なのか
心配でした。
反面、どんな
親子なのか
興味あふれる
物でした。でも、
湊さんが
書かれた
親と
子供の
関係性は
普遍的である
一方、
様々な
姿を
三人の
中に
見せてくれました。どうぞ、
女性の
方ばかりではなく
男性の
方にも
観ていただきたい
映画になっているのでぜひスクリーンでお
確かめ
下さい。