映画えいが「名めい探偵たんていコナン　黒くろ鉄てつの魚さかな影かげ」青山あおやま剛つよし昌あきらの原画げんが担当たんとうシーンの裏側うらがわ　プロデューサーに聞きいてきた

劇場げきじょう版ばんコナンについて、毎回まいかいファンの間あいだで話題わだいとなるのが、原作げんさく者しゃの青山あおやま剛つよし昌あきら先生せんせいが原画げんがを手てがけたシーン。青山あおやま先生せんせいは劇場げきじょう版ばんで、原画げんがのみならず、原案げんあん・脚本きゃくほん・画かくコンテにも携たずさわっている。SNSでは、「青山あおやま先生せんせい原画げんがのこのシーンが好すき！」「青山あおやま先生せんせい原画げんがには、こんな特徴とくちょうがある！」などなど、さまざまな意見いけんが交かわされ、大おおいに盛もり上あがっているのだ。

そこで映画えいが.comは、最新さいしん作さくのプロデューサーを務つとめるトムス・エンタテインメントの岡田おかだ悠ゆう平たいら氏しにインタビュー。本ほん作さくで青山あおやま先生せんせいが手てがけた原画げんがシーンやその特徴とくちょう、さらに青山あおやま先生せんせいの提案ていあんで大おおきく変更へんこうされたシーンなどの制作せいさく秘話ひわ、さらにシリーズの今後こんごなど、ファンが気きになるトピックスを語かたってもらった。（取材しゅざい・文ぶん／映画えいが.com編集へんしゅう部ぶ）

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

劇場げきじょう版ばん第だい26弾だんとなる本ほん作さくの舞台ぶたいは、東京とうきょう・八丈島はちじょうじま近海きんかいにある、世界中せかいじゅうの警察けいさつが持もつ防犯ぼうはんカメラをつなぐための海洋かいよう施設しせつ「パシフィック・ブイ」。そこで、ひとりの女性じょせいエンジニアが、黒くろずくめの組織そしきに誘拐ゆうかいされる事件じけんが発生はっせいする。さらに、組織そしきのNo.2であるラムの側近そっきんと噂うわさされる、新あらたな組織そしきの一員いちいん・ピンガも動うごき出だし、灰はい原げん哀あいのもとにも黒くろい影かげが忍しのび寄よる。

沢村さわむら一樹かずきがゲスト声優せいゆうとして、「パシフィック・ブイ」の局長きょくちょう・牧野まきの洋輔ようすけ役やくを務つとめる。監督かんとくは、「名めい探偵たんていコナン　ゼロの執行しっこう人じん」を手てがけた立川たちかわ譲ゆずる。「スピッツ」が主題歌しゅだいか「美うつくしい鰭ひれ」を書かき下おろした。

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「僕ぼくがプロデューサーを依頼いらいされたときには、もうシナリオは出来上できあがっている状態じょうたいだったんです。そのシナリオは、灰はい原ばらとコナンの物語ものがたりを中心ちゅうしんに、黒くろずくめの組織そしきが登場とうじょうするストーリー。さらに、原作げんさくで灰はい原ばらが登場とうじょうしたときの状況じょうきょう（※初はつ登場とうじょうは18巻かん）と、彼女かのじょが置おかれているいまの状況じょうきょうが全然ぜんぜん違ちがっていると表現ひょうげんすることを重視じゅうししていました。灰はい原げん哀あいとして、新あらたにいろいろな人ひとと出会であっていますから。このシナリオに反映はんえいされている通とおり、僕ぼくたち制作せいさく陣じんとしては、コナンと灰はい原ばらの絆きずな、灰はい原ばらの置おかれている環境かんきょうの変化へんかを重視じゅうしして作つくろうと考かんがえていました。灰はい原ばらにフォーカスしているからこそ、気持きもちが揺ゆさぶられるシーンが多おおいと思おもいます」

「制作せいさく陣じんでも一度いちど話はなしたんですが、新一しんいちと蘭らんが絶対ぜったい的てきに結むすばれているなかで、コナンと灰はい原ばらがどういう関係かんけいなのかと考かんがえたときに、恋愛れんあいという言葉ことばでは済すませられない。体からだが小ちいさくなったという秘密ひみつや苦悩くのうを共有きょうゆうしていて、一心いっしん同体どうたいというか、運命うんめい共同きょうどう体たいという形かたちで向むき合あっているんだろうと。灰はい原ばらがコナンに向むける感情かんじょうも、明確めいかくには語かたられていないので、見みている皆みなさんに考かんがえて、感かんじて頂いただければと思おもっています」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「青山あおやま先生せんせいからは全編ぜんぺんにわたり、セリフやシーンなどの細こまかい変更へんこうはありましたが、1番ばん大おおきかったのは、コナンと灰はい原ばらが浮上ふじょうしていくシーンですね。詳くわしくは話はなせないのですが、もともとピンチが訪おとずれるアクションも多おおいシーンだったところを、青山あおやま先生せんせいの提案ていあんで、キャラクター同士どうしの感情かんじょうが印象いんしょう的てきなシーンになりました。制作せいさく陣じんも、青山あおやま先生せんせいが変更へんこうされたシーンを見みて、『これは名めいシーンになるぞ！』と」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「青山あおやま先生せんせいご本人ほんにんしか分わからない部分ぶぶんではありますが、僕ぼくから見みると、やっぱり全すべて決ぎめのカットで、感情かんじょうが揺ゆさぶられるアップのカットが多おおいですね。青山あおやま先生せんせいが絵えコンテを見みて、『ここに決きめカットを入いれたいな』『ここは僕ぼくが描えがきます』という形かたちで、修正しゅうせい・リクエストしてくださいます。もともと存在そんざいしなかったところに、青山あおやま先生せんせいがアップを追加ついかして、『描えがきます』とおっしゃってくださることもありますね。漫画まんが的てきというか、『ここが重要じゅうようだ』という箇所かしょを選えらんでいらっしゃるのではないかと思おもいます」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「コナン、灰はい原ばら、蘭らん、ジン、ベルモット、安室あむろ、赤井あかいらが登場とうじょうする、過去かこ最多さいたとなる合計ごうけい10カットを描えがいてくださっています。青山あおやま先生せんせいご自身じしんも、描えがきたいカットが多おおかったんじゃないでしょうか。制作せいさく陣じんも事前じぜんに、青山あおやま先生せんせいがどこを描えがいてくださるか、予想よそうしたりもするんですよ（笑）。例たとえばベルモットのあるシーンは、最初さいしょは青山あおやま先生せんせいが描えがかれる予定よていはなかったんですが、立川たちかわ監督かんとくが『描えがいてくれないんですか？』と言いって、『それなら描えがくよ』と言いっていただきました。重要じゅうようなシーンだったので、立川たちかわ監督かんとくも、青山あおやま先生せんせいに描えがいていただきたいという思おもいが強つよかったんだと思おもいます。あとは、コナン・赤井あかい・安室あむろが共闘きょうとうするシーン。赤井あかい、安室あむろ、コナンと、青山あおやま先生せんせいの原画げんがが3シーン続つづくんです」

「青山あおやま先生せんせいの絵えって、柔やわらかいじゃないですか。一方いっぽうで、アニメのキャラクターたちはシャープなんですよ。シャープな線せんから柔やわらかい線せんへ、柔やわらかい線せんからシャープな線せんへ。このコントラストが美うつくしいんだと思おもいます。目めの書かき方かたで分わかることもありますね。柔やわらかい線せんで、感情かんじょうを揺ゆさぶるアップのシーンは、青山あおやま先生せんせいの原画げんがであることが多おおいですね」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「『異い次元じげんの狙撃そげき手しゅ（スナイパー）』で、沖おき矢や昴すばるが赤井あかいだとバレる、『了解りょうかい』と呟つぶやくシーンです。僕ぼくが制作せいさく進行しんこうを担当たんとうしていて、『ここは青山あおやま先生せんせいに描えがいてほしいな』と思おもっていて、実際じっさいに描えがいてくださったので、嬉うれしかった思おもい出でがあります。あとは、立川たちかわ監督かんとくの『ゼロの執行しっこう人じん』で、安室あむろが『僕ぼくの恋人こいびとは……この国くにさ』と言いうシーンのアップ。すごくかっこいいシーンなので、印象いんしょう的てきです」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「本ほん作さくの灰はい原ばらとコナンを中心ちゅうしんに、黒くろずくめの組織そしきが登場とうじょうするストーリーは、コナンファンはもちろん、ライト層そうや、昔むかしは見みていたけど、少すこし離はなれていた層そうも見みたくなる題材だいざいなんです。多おおくの人ひとが見みてくれるだろうとは思おもっていたんですが、あとは口くちコミで広ひろがっていって、『本当ほんとうに良よい作品さくひんだ』と感かんじてもらえるようにすることが、制作せいさくの目標もくひょうでした。興きょう収おさむ100億おく円えんは目指めざしていたところではありましたが、それよりもとにかく皆みなさんが楽たのしめる作品さくひんを作つくることに尽つきますね。僕ぼくと同どう世代せだいの30代だい半なかば、初期しょき作品さくひんを映画えいが館かんで見みていた層そうのなかで、いまはもう映画えいが館かんでは見みていないという人ひとも多おおいと思おもうんです。僕ぼく個人こじんとしては、そういう人ひとたちにどう響ひびかせるか、考かんがえていました。僕ぼくたちの年代ねんだいだと、子こどもがいる人ひともいるので、子こどもを連つれて見みてくれると、また新あらたに楽たのしんでいただける方ほうが増ふえますから」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「青山あおやま先生せんせいを中心ちゅうしんに、プロデューサー陣じんとともに意見いけんを出だし合あって、構想こうそうを練ねっています。例たとえば『元げん太ふとしを活躍かつやくさせたい』となったら、元げん太ふとしにフォーカスしたストーリーを作つくっていくことになります。青山あおやま先生せんせいが案あんを出だすこともありますし、プロデューサーから提案ていあんすることもあります。キャラクター、ストーリー、舞台ぶたいやその規模きぼ、季き節ぶしなど、さまざまな切きり口くちがスタート点てんになります。おっしゃる通とおり、第だい30弾だんくらいまでの案あんは出でつつありますね。『このキャラクターを何なん年ねんに1回かい出だす』などのルールはなく、やりたいことを自由じゆうに提案ていあんしています」

(C)2023青山あおやま剛つよし昌あきら／名めい探偵たんていコナン製作せいさく委員いいん会かい

「僕ぼくたちは現場げんばの人間にんげんなので、数字すうじに囚とらわれないようにはしているんです。制作せいさくチームとしては、それだけ多おおくの皆みなさんに見みてもらえたということが嬉うれしいです。100億おく円えんを達成たっせいしそうで、90億おく円えん台だいで止とまることが続つづいたときに、『1度どは100億おく円えんを達成たっせいしたいよね』という話はなしはしていましたが、『絶対ぜったい100億おく円えん行いくんだ！』という目標もくひょうを立たてて、現場げんばが動うごいているわけではないです。目標もくひょうは変かわらず、良よい作品さくひんを制作せいさくして多おおくの皆みなさんに届とどけたいということですね。今回こんかいの作品さくひんで久ひさしぶりに見みていただいた方ほうや、新あたらしくファンになっていただいた方ほうもいると思おもうので、この次つぎが大事だいじだなと思おもっています。新規しんきの皆みなさんも『この前まえ面白おもしろかったから、次つぎも見みよう』と思おもってくださっていると思おもうので、来年らいねんも心しんを惹ひきつけるような作品さくひんを作つくりたいと思おもいます」