【第だい76回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさい】是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとく「怪物かいぶつ」にクィア・パルム賞しょう　日本にっぽん映画えいがとしては初はつ

（C）２０２３「怪物かいぶつ」製作せいさく委員いいん会かい

第だい76回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいのコンペティション部門ぶもんに正式せいしき出品しゅっぴんされている、是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとく作さく「怪物かいぶつ」が、コンペなど主要しゅよう部門ぶもんの授賞じゅしょう式しき前まえに発表はっぴょうされる独立どくりつ賞しょうの「クィア・パルム賞しょう」を受賞じゅしょうした。「クィア・パルム賞しょう」は、2010年ねんに創設そうせつされたカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいの独立どくりつ賞しょうのひとつで、LGBTやクィアを扱あつかった映画えいがに与あたえられる賞しょうで、日本にっぽん映画えいがとしては初はつの受賞じゅしょうとなる。

同どう賞しょうは、公式こうしき部門ぶもんとは別べつに独立どくりつした審査しんさ員いんが組織そしきされ、映画えいが監督かんとくや俳優はいゆう、ジャーナリストや大学だいがく教授きょうじゅ、各国かっこくのクィア映画えいが祭さいのプロデューサーなど、毎年まいとし5～8人にんが審査しんさ員いんとなり、カンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいのコンペティション部門ぶもん、国際こくさい批評ひひょう家か週間しゅうかん、監督かんとく週間しゅうかん、ある視点してん部門ぶもんに出品しゅっぴんされたすべての作品さくひんが審査しんさ対象たいしょうとなる。

本ほん賞しょうの授与じゅよにあたり、審査しんさ員いん長ちょうのジョン・キャメロン・ミッチェル（『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』『パーティで女おんなの子こに話はなしかけるには』）は、「私わたしたち審査しんさ員いんは、10日とおか間あいだで12本ほんの映画えいがを観みました。1本ほんを選えらぶのは大変たいへんな作業さぎょうでしたが、ある作品さくひんが満場一致まんじょういっちで選えらばれました。その物語ものがたりの中心ちゅうしんにいるのは、他たの子供こどもたちと同おなじように振ふる舞まうことができず、またそうしようともしない、とても繊細せんさいで、驚おどろくほど強つよい2人ふたりの少年しょうねんです。世間せけんの期待きたいに適合てきごうできない2人ふたりの少年しょうねんが織おりなす、この美うつくしく構成こうせいされた物語ものがたりは、クィアの人々ひとびと、馴染なじむことができない人々ひとびと、あるいは世界せかいに拒こばまれている全すべての人々ひとびとに力強ちからづよい慰なぐさめを与あたえ、そしてこの映画えいがは命いのちを救すくうことになるでしょう。登場とうじょう人物じんぶつのあらゆる面めんを、繊細せんさいな詩し、深ふかい思おもいやり、そして見事みごとな技術ぎじゅつで表現ひょうげんした是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとくの『怪物かいぶつ』に、私わたしたち審査しんさ員いんは満場一致まんじょういっちでクィア・パルム賞しょうを授与じゅよします」と語かたった。

是枝これえだ監督かんとくは「ありがとうございます。まずこの作品さくひんを満場一致まんじょういっちで選えらんで頂いただいたジョン・キャメロン・ミッチェルさん、審査しんさ員いんの皆みなさまありがとうございます。そしてこの喜よろこびをここで分わかち合あって頂いただいている皆様みなさまにもお礼れい申もうし上あげます。ありがとうございます。（ジョン・キャメロン・ミッチェルさんが）お話はなししてくださった映画えいがの紹介しょうかいの中なかに、この映画えいがを通とおして僕ぼくが描えがきたかったことが全すべて語かたられていて、ここで僕ぼくが何なにか言葉ことばを重かさねることは何なにも必要ひつようないような気きがしています。僕ぼくがこの映画えいがのプロットを手てにしたのは4年ねん半はんほど前まえなのですけども、その瞬間しゅんかんからこの主人公しゅじんこう2人にんの少年しょうねんが抱かかえている葛藤かっとうとどういう風ふうに、それを演えんじる少年しょうねんと同おなじように作つくり手しゅであるプロデューサー、監督かんとく、脚本きゃくほん家かがその葛藤かっとうと向むき合あうべきなのか、どうしたら向むき合あえるのかをとてもとても時間じかんをかけてやってきました。映画えいががすべてを語かたっていると思おもうので、監督かんとくがここでなにかをいうのは、おまけのような、いらない蛇足だそくなのですが本当ほんとうに、この映画えいがを愛あいしていただいて感謝かんしゃいたします。ありがとうございました」と喜よろこびのコメントを発表はっぴょうした。

「花束はなたばみたいな恋こいをした」で知しられる脚本きゃくほん家か・坂元さかもと裕二ゆうじが初はじめてタッグを組くみ、故こ坂本さかもと龍一りゅういちさんが音楽おんがくを担当たんとう、出演しゅつえんは、安藤あんどうサクラ、永山ながやま瑛あきら太ふとし、田中たなか裕子ゆうこら実力じつりょく派はと、ふたりの少年しょうねんをみずみずしくかつ情感じょうかん豊ゆたかに演えんじる黒川くろかわ想そう矢やと柊木ひいらぎ陽ひ太ふとし。

息子むすこを愛あいするシングルマザー、生徒せいと思おもいの学校がっこう教師きょうし、そして無邪気むじゃきな子こどもたちが平穏へいおんな日常にちじょうを送おくっているとある郊外こうがいが舞台ぶたい。そんなある日ひ、学校がっこうでケンカが起おきた。それは、よくある子こども同士どうしのケンカに見みえたが、彼かれらの食くい違ちがう主張しゅちょうは次第しだいに大人おとなや社会しゃかい、メディアを巻まき込こみ、大事だいじになっていく。そしてある嵐あらしの朝あさ、子こどもたちが忽然こつぜんと姿すがたを消けしてしまう。

なお、是枝これえだ監督かんとく作品さくひんがカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいでコンペティション部門ぶもんに選出せんしゅつされるのは、2022年ねんの韓国かんこく映画えいが「ベイビー・ブローカー」から2年ねん連続れんぞく、7回かい目め（カンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいへの出品しゅっぴん自体じたいは9回かい目め）。なお「ベイビー・ブローカー」ではエキュメニカル審査しんさ員いん賞しょう、そして主演しゅえんのソン・ガンホが最優秀さいゆうしゅう男優だんゆう賞しょうを受賞じゅしょう。これまで、「誰だれも知しらない」（2004）で主演しゅえんを務つとめた柳やなぎ楽らく優ゆう弥わたるが最優秀さいゆうしゅう男優だんゆう賞しょう、「そして父ちちになる」（13）で審査しんさ員いん賞しょう、「万引まんびき家族かぞく」（18）では最高さいこう賞しょうであるパルム・ドールに輝かがやいている。主要しゅよう部門ぶもん授賞じゅしょう式しきは、現地げんち時間じかん27日にち午後ごご8時半じはん（日本にっぽん時間じかん/28日にち午前ごぜん3時半じはん）から開催かいさいされる。「怪物かいぶつ」は、6月2日にちに全国ぜんこく公開こうかい。