2023年6月30日に公開された国土交通白書。23年版の白書で、国土交通省が大きく取り上げたテーマは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」だ。白書の冒頭から国土交通分野のデジタル化をうたい、その具体的な対象として、防災やまちづくり、交通といった領域を提示。それぞれの分野に対する施策を説明している。これらの施策は、今後の建設産業における道しるべとなる。
国土交通白書の冒頭の一部。同白書では様々な施策を駆使してDXの推進を図る方向性を示している(出所:国土交通省)
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国土交通政策におけるDXの推進で期待できるのは、建設産業などにおける担い手不足の解消だ。建設業では改正労働基準法に基づいて、24年4月に時間外労働の上限規制の適用が始まる。しかし、現状の建設産業では、この法令対応が十分に進んでいない。
手間のかかる作業や施工などをDXによって自動化・機械化できれば、業務や工事の効率が上がり、省人化が実現できるようになる。さらに、自動化・機械化の取り組みは、災害対応の迅速化や安全性向上という点でも効果を期待できる。
インフラの老朽化対策でもDXは重要だ。道路であれば車両に搭載したカメラで撮影した映像を人工知能(AI)で損傷判定したり、河川であれば点群データから土砂堆積や浸食の状況を定量的に把握したりするような点検業務の効率化が、デジタル技術によって可能になる。
様々な観点から進む国交省のDX戦略。その旗振り役の1人である同省大臣官房参事官(イノベーション)の森下博之氏が、23年9月27~28日にかけて東京国際フォーラムで開催予定の「日経クロステックNEXT 東京 2023」において、その内容を分かりやすく解説する。
国土交通省の進めるインフラDX
2023/09/27 (水) 10:00 ~ 10:40
少子高齢化等に伴う建設産業の担い手不足、自然災害の激甚化・頻発化、インフラの老朽化など、インフラをとりまく厳しい状況に対応するために、データやデジタル技術を活用して、生産性向上、省人化、働き方改革などの実現に向けて国土交通省が進めるインフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みを紹介する。