【ホンダ N-BOX 新型しんがた試乗しじょう】「屈指くっしの名作めいさく」第だい2世代せだいからの長足ちょうそくの進歩しんぽを求もとめるのは酷こく？…井元いもと康かん一郎いちろう

ホンダの軽けい規格きかくスーパーハイトワゴン、第だい3世代せだい『N-BOX』を短距離たんきょり試乗しじょうする機会きかいがあったのでショートインプレッションをお届とどけする。

2011年ねん、ホンダの新しん世代せだい軽自動車けいじどうしゃ「Nシリーズ」の第だい1号ごうモデルとして登場とうじょうしたN-BOX。昨年さくねんデビューした第だい3世代せだいは角かく型がたボディ、分厚ぶあついボンネット、広大こうだいな居住きょじゅう区く等々とうとう、大人気おとなげを博はくした第だい1世代せだい、第だい2世代せだいの特徴とくちょうを受うけ継ついだ完全かんぜんキープコンセプト型がたのモデルである。プラットフォームは第だい2世代せだいのキャリーオーバーだが、ポール側面そくめん衝突しょうとつに対応たいおうするため車体しゃたい設計せっけいは大幅おおはば変更へんこう。サスペンションも改良かいりょうを受うけているという。

ロードテスト車しゃは自然しぜん吸気きゅうきエンジンを積つむ標準ひょうじゅん型がたのライトデコレーションモデル「ファッションスタイル」のFWD（前輪ぜんりん駆動くどう）。試乗しじょうエリアは東京とうきょう～北関東きたかんとうで走行そうこう距離きょりは275.2km。おおまかな道路どうろ比率ひりつは市街地しがいち5、郊外こうがい路ろ5。1～2名めい乗車じょうしゃ。エアコンAUTO。

◆「屈指くっしの名作めいさく」第だい2世代せだいからの進化しんかは
ではインプレッションに入はいっていこう。筆者ひっしゃは1年ねんあまり前まえに第だい2世代せだいN-BOXカスタム自然しぜん吸気きゅうきの4200kmロードテストを行おこなっており、軽自動車けいじどうしゃ史しにおいて間違まちがいなく屈指くっしの名作めいさくという印象いんしょうを抱だいた。その第だい2世代せだいの後継こうけいという難むずかしいミッションを背負せおった第だい3世代せだいN-BOXは、伸のびしろの小ちいさい操縦そうじゅう安定あんてい性せいや乗のり心地ごこち、静粛せいしゅく性せいなどを何なにとかして向上こうじょうさせようと開発かいはつ陣じんが苦心くしん惨憺さんたんしたであろうことが如実にょじつに伝つたわってくるモデルだった。

第だい2世代せだいですでに軽自動車けいじどうしゃとしてほぼ完成かんせいの域いきに達たっしていた乗のり心地ごこちをさらに向上こうじょうさせるのは困難こんなん極きわまりないことで、普通ふつうに走はしっているぶんには第だい3世代せだいのアドバンテージは明確めいかくではない。違ちがいが比較的ひかくてき顕著けんちょに認識にんしきされたのは道路どうろの陥没かんぼつ部分ぶぶんや大おおきな路盤ろばんの段差だんさを乗のり越こえるときで、第だい2世代せだいはドンと突つき上あげが生しょうじていたのに対たいし、第だい3世代せだいはその衝撃しょうげきをうまく抑おさえ込こんでいた。

そのぶん普段ふだんの乗のり心地ごこちは路面ろめんの細こまかな凹凸おうとつの拾ひろい方かたが旧型きゅうがたよりわずかに増ふえた気きがしたが、この点てんについてはその場ばで両者りょうしゃを乗のり較くらべたわけではないので、あくまで記憶きおくを頼たよりとした印象いんしょう論ろんだ。

直進ちょくしん安定あんてい性せいやハンドリングについては明確めいかくに特徴とくちょうを体感たいかんできるようなシーンに出でくわさなかったため多おおくを語かたることはできない。普通ふつうに走はしっていて不満ふまんが出でるようなことはもちろんなく、流ながれの速はやい夜間やかんの国道こくどう新しん4号ごう茨城いばらき～栃木とちぎ区間くかん程度ていどの速度そくど域いきでは十分じゅうぶんな安定あんてい性せいを示しめした。第だい2世代せだいが新東名しんとうなを優ゆう速そくな流ながれに乗のって走はしるのにも全然ぜんぜん困こまらないほどの性能せいのうを有ゆうしていたことから、直進ちょくしん安定あんてい性せいはこの第だい3世代せだいも十分じゅうぶんに確保かくほされているであろうことは容易よういに想像そうぞうできる。

旋回せんかい性能せいのうに関かんしては、江戸川えどがわ沿ぞいの河川敷かせんしき道路どうろで時折ときおり現あらわれるシケインのようなコーナーを曲まがるときの姿勢しせいの安定あんてい感かんは第だい2世代せだいよりいいように感かんじられた。第だい2世代せだいが四よん輪りんを路面ろめんに練ねりつかせながらアバウトに走はしるようなちょっと昔むかしの欧州おうしゅう車しゃ的てきフィールだったのに対たいし、第だい3世代せだいはイメージした走行そうこうラインをトレースして走はしるような性格せいかく付づけに変かわっているように感かんじられた。シャシーの特性とくせいについては機会きかいがあれば長距離ちょうきょりロードテストを行おこなって確認かくにんしたい。

◆実測じっそく燃費ねんぴは23.2km/リットル、静粛せいしゅく性せいも向上こうじょう
パワートレインは第だい2世代せだいからの持もち越こしだが、CVTのチューニングが少すくなからず変かわっており、少々しょうしょうスロットル開ひらき度どを大おおきく取とっても簡単かんたんに回転かいてん数すうを跳はね上あげず、低てい回転かいてんトルクを生いかして走はしれるようになっていた。

「S07B」型がた自然しぜん吸気きゅうきエンジンはライバルと比較ひかくして低てい回転かいてんトルクが優位ゆういに厚あつく、1000rpm台だい後半こうはん～2000rpm台だい前半ぜんはんでもずいずいと車速しゃそくを上あげることができるだけの能力のうりょくを有ゆうしている。第だい2世代せだいはスロットル操作そうさがラフだとすぐに回転かいてんが上あがってしまい、高こう効率こうりつな領域りょういきをみすみす外はずしてしまうということがあった。第だい3世代せだいはそんな微妙びみょうなスロットル操作そうさをせずとも熱ねつ効率こうりつの高たかい領域りょういきを外はずしにくいようなシフトスケジュールになっていた。

市し街路がいろと郊外こうがい路ろをほとんどイーブンで224.2km走はしった区間くかんの実測じっそく燃費ねんぴは23.2km/リットル（平均へいきん燃費ねんぴ計けい値ね23.7km/リットル）。クルマの特性とくせいがつかめてくればもう少すこし伸のばすことができるように思おもわれた。

静粛せいしゅく性せいも向上こうじょうしており、体感たいかん的てきには第だい2世代せだいモデルの「カスタム」と同等どうとう。とくに良好りょうこうなのはロードノイズの遮断しゃだんは良好りょうこうで、舗装ほそう面めんのザラつきがきつい道路どうろでもカスタムよりチープな4スピーカーオーディオで音楽おんがくを楽たのしむのに困こまることはなかった。第だい3世代せだいのカスタムはこの標準ひょうじゅん型がたよりさらに遮音しゃおん性せいが高たかめられているとのことなので、機会きかいがあれば確たしかめてみたい。

インパネまわりのデザインが大おおきく変かわったことからカタログスペック上じょうの室内しつない長ちょうは大幅おおはばに減少げんしょうしたが、後こう席せきの広ひろさも健在けんざい。

◆長足ちょうそくの進歩しんぽを求もとめるのは酷こくだったかも
第だい2世代せだいに比くらべて後退こうたいしたのは車内しゃないの小物こもの収納しゅうのうスペースである。この項目こうもくについては元々もともとN-BOXはトップランナーではなかったが、第だい2世代せだいはステアリングコラムとメーターパネルの間あいだに容積ようせきの大おおきな収納しゅうのうボックスが備そなえられており、それが小物こものを放ほうり込こんでおくのに非常ひじょうに便利べんりだった。第だい3世代せだいではメーターパネルが液晶えきしょうとなり、その設置せっち場所ばしょも運転うんてん者しゃに近ちかくなったことから、そのスペースがなくなった。

そのかわりグローブボックスがティッシュペーパーの箱はこを収容しゅうよう可能かのうなように改あらため設計せっけいされていたが、ティッシュペーパーを取とり出だすのにいちいち大おおきなフタを開あけるのは面倒めんどうであるし、ティッシュペーパー以外いがいのものを入いれておくのには不向ふむきだ。その他たの収納しゅうのうスペースも明あきらかに減へっており、長距離ちょうきょりドライブでは車内しゃないに後こう付つけの小しょう物入ものいれを設置せっちしたくなるところだろう。

総そうじて第だい3世代せだいN-BOXは第だい2世代せだいの正常せいじょう進化しんか形がたとして十分じゅうぶんな商品しょうひん力りょくを有ゆうしていた。が、元もとが軽けいのディメンションという制約せいやくがあることを思おもうと限界げんかいと言いえるほど良よかっただけに、そこから長足ちょうそくの進歩しんぽを求もとめるのは酷こくだったかもと思おもえたのもまた確たしかだった。もっとも275km程度ていどのロードテストでは出会であう道みちも天候てんこうもごく限かぎられているので、知しることができていない美点びてんがある可能かのう性せいもある。いずれ再さいロードテストを行おこない、続報ぞくほうをお伝つたえしたいと思おもう所存しょぞんである。

■5つ星ほし評価ひょうか
パッケージング：★★★★★
インテリア/居住きょじゅう性せい：★★★★
エンジン：★★★★
フットワーク：★★★★
おススメ度ど：★★★★